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2025年1月の読書メーターまとめ

McLean
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  • Οὖτις

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

McLean
5人のアナキストの生涯が本書では好意的な立場で描かれているのだとしても、一人々々個性的かつ魅力的で、それに比べるとマルクス主義者たちは確かに嫌な奴、陰険で冷徹な奴が多いと感じる。アナキストは権力を嫌うあまり政治に背を向けて、それが負け組に回る結果をもたらしているのだろう。ドストエフスキー『悪霊』のピョートルのモデルであるネチャーエフにいいように騙されたバクーニンに見られる如く、無防備=お人好しにも程がある。マフノ農民運動も死屍累々の結果となった。「別個に進んで共に撃て」とかつてプレハーノフは言ったのだが。
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2025年1月の感想・レビュー一覧
12

McLean
卒論の提出を終え、大学院に進むつもりでゼミの同期生たちとの打ち上げをしている席上、韓国から留学している院生にさりげなく韓国行きを誘われ、気軽に承知したことから、いつの間にか韓国の大学の日本語教授を1年間務めることになった記録だ。隣国でありながらその実像を日本人は全く知らなかったのだと本書で思い知らされた。韓国ではすべての男子に原則3年間の徴兵が課され、多くの学生が学業を中断せざるを得ない点だけでも置かれた立場は日本と大きく異なる。軍事政権下の激動の貴重で生々しい記録だ。ピサンキェアムニョン!(非常戒厳令)
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McLean
日本各地に残る年中行事を収集整理した本であるが、成立経緯が面白い。敗戦によって戦前のものがすべて否定される風潮となり従来の行事をどうするのか混沌とした中で、昭和23年に祝祭日が制定された。この時期に郵便業務に携わる若い世代のために本書が書かれ各郵便局に配布されたもので、市販されなかったという。正月元日から日を追って各地で行われて来た行事の由来や関連性などが記されている。多くがその裏に農耕の行事に基づく神に捧げる祭礼という意味を持つ。それらの民族遺産が忘れらる前に後の世代に伝えねばとの使命感で書かれている。
penginpapa
2025/01/29 22:03

昔の人は志が高いですね~

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McLean
私も他の男児同様、小学生の一時期は電車の運転士になりたいと思ったし、時刻表オタクも経験したが、あの頃の思い入れのようなものは国鉄の終焉と共に過ぎ去った。それでも本書を読んでみて、工学の分野に属する記述が続いてもちんぷんかんぷんとはならず、わかりやすい図解満載で、鉄道の話はやはり楽しいと再認識した。冒頭のレールについての説明からして、特にカーブを通過するための巧みな工夫などは、理系の人には常識なのだろうが、私には驚きであり発見でもあった。戦後特に欧米で消えゆくと見られていた鉄道も今や見直されつつあるそうだ。
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McLean
5人のアナキストの生涯が本書では好意的な立場で描かれているのだとしても、一人々々個性的かつ魅力的で、それに比べるとマルクス主義者たちは確かに嫌な奴、陰険で冷徹な奴が多いと感じる。アナキストは権力を嫌うあまり政治に背を向けて、それが負け組に回る結果をもたらしているのだろう。ドストエフスキー『悪霊』のピョートルのモデルであるネチャーエフにいいように騙されたバクーニンに見られる如く、無防備=お人好しにも程がある。マフノ農民運動も死屍累々の結果となった。「別個に進んで共に撃て」とかつてプレハーノフは言ったのだが。
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McLean
物理屋出身の著者による現代経済学入門書という先入観念で読むとかなりとまどう。そもそも数式が出て来ない。教科書にある経済学用語も殆どない。むしろ文明論であり社会思想論として読むべきではないか。賛否は別として卓見が多い所はハラリのようだ。全9章の第8章「仮想通貨とブロックチェーン」で漸く理系らしくなる。何となく聞いていたブロックチェーンが漸くわかったように思う。最後の資本主義の将来を論じた章は見事だ。ルソーの一般意志と全体意志、そしてエントロピー増大の法則やニュートンの天体力学をからめた話など、勉強になった。
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McLean
昭和43年より平成30年の退位まで約半世紀にわたる上皇后の昭和192首、平成274首の未発表歌を収める。共著含め3冊目で初めて「美智子」の名を冠した。深窓で詠まれたものではなく、多くが旅先など自然の中で出会った光景を詠んだものである。中でも夕すげを詠ったものが印象深い。「三日(みか)の旅終へて還らす君を待つ庭の夕すげ傾ぐを見つつ」。実父母を詠んだものも初めて知った。「行くことの適はずありて幾度か病む母のさま問ひしこの電話」。こういう歌も心に残る。「果てもなく沙漠といふもいづくにかひそみて湧ける泉をもてり」
McLean
2025/01/18 20:31

貴重な歌が多い中で、亡き歌の師たちを悼んだ歌も注目される。五島美代子への哀悼歌「天翔るみ魂にそひて楽ありと ふと想ふ終のみ歌ならむか」。佐藤佐太郎を悼んで「みよはひを重ねましつつ弥増せる慈しみもて教へ給ひぬ」、そして「夜の風に吹かれて君ら見しといふ鶏頭のそよぎ我を見てゐし」。これには「佐藤佐太郎『未来より吹きくる風の心地して夜の鶏頭のそよぐを見つつ』を思ひだしつつ」との詞書がある。更に佐太郎未亡人志満を悼んだ三首の内の「那須の野に山百合咲けるこのあした君いまさぬを思ひさみしむ」も良い。

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McLean
戦前の日本共産党を去来した幾多のスパイたちの中で最も大物であったスパイMこと松村昇こと飯塚盈延をモデルにした戯曲で、日下武史主演で劇団四季により上演された。著者は立花隆の『日本共産党の研究』でスパイMという人物に関心を持ち、単なる公安の指示で動くのではない、二重スパイ的な二つの世界に生きる男の姿を描いた。話の筋は二転三転して実に面白く飽きさせない。実際の飯塚という男も事実関係はわかっていても、本当の実像、結局何を考えていたかは何とも摑み難いものがあって、これも昭和史の大きな謎の一つと言うしかなさそうだ。
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McLean
薩摩藩出身の川路利良が明治新政府の近代警察制度を創始したが、江戸の隠密・密告制度流に自由民権等の反政府勢力に密偵を送り込み切り崩しを図った。大逆事件を経て対象は日本共産党に向けられる。拷問に屈したり弱みを握られたりしてスパイとなった例が多いが、二度の大弾圧で壊滅状態になった共産党の事実上息の根を止めることとなったスパイMは少し違う。謎の多い伊藤律の例はスパイという声が多く評価は分かれるが、偽装転向で情報を求められ苦し紛れに出した名が思わぬ国際的陰謀事件摘発の糸口となったというのが真相なのではないだろうか。
McLean
2025/01/15 20:33

グループ内でなぜか摘発を逃れた者がいると、そいつが仲間を売ったのではないかと疑いたくなる。実際そうだった例も多いが、濡れ衣である例も少なくない。昭和15年、「京大俳句」は反戦派の急先鋒と見なされ大弾圧を受け、メンバーが11人検挙される中で「逮捕されて当然の歯科医の西東三鬼だけはひっぱられていない。当局に協力したのではないか」と言われる。山本健吉らは特高がわざと泳がせて疑心暗鬼を生もうとしたと弁護したが、本人も苦悩して、早く自分も引っ張ってくれと思ったという。

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McLean
登場するスポットは起源が古いものもあるが、本書で語られる歴史は主に江戸時代以降である。中でも大きな変わり目は明治維新であろうか。寺社や旧跡が次々登場するが退屈しない。五重塔で火事や戦災で焼失したものは多いが、地震で倒壊した記録は残されていないという。露伴の小説に描かれた谷中五重塔も台風ばかりか彰義隊戦争でも関東大震災でも、浅草寺五重塔が焼けた東京大空襲でも生き残りながら、1957年に男女の放火心中によって焼失したのは無念でならない。露伴は既に物故していたが、幸田文は火事を知らされ慌てて駆けつけたという。
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McLean
私がSFを読み始めた頃はアシモフ、クラーク、ハインラインの御三家ら所謂ハードSFにブラッドベリらファンタジー派を加えた作家たちが主流だったが、1970年頃に山野浩一の「NW-SF」がニューウェイヴSFを日本に紹介し、俄かに注目されるようになった。その代表がオールディスとこのバラードで、創元文庫の『結晶世界』等に人気があった。その後彼は『クラッシュ』、『太陽の帝国』とSFから離れて行ったが、87年に書かれた本書は久々に世界の破滅と新生といった従来のテーマにやや戻った感がある。冒険的要素もあり私には懐かしい。
penginpapa
2025/01/11 12:18

太陽の帝国は確かスピルバーグによって映画化されましたね?

McLean
2025/01/11 13:35

バラードは少年時代に上海で上海事変に巻き込まれて、日本軍の強制収容所に入れられた経験があります。

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McLean
著者は本業は医師だが、該博な知識に基づき社会心理学等多彩な分野で研究業績を残した。本書は1895年に書かれており、庶民の社会運動が歴史を動かすようになった1789年のフランス革命を起点として、ナポレオン帝政から普仏戦争を経た激動の時代を見た上で「群衆心理」を様々な面から分析している。基本的に保守的立場で、勃興する社会主義運動も真っ向から否定している。その後欧州は世界大戦、ロシア革命、ファシズムといった新たな事態を経験することとなるが、それらを予言しているとも言え、本書は概ね今も通用すると考えていいだろう。
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McLean
2002年に出た本だが、第1章のベネディクト・アンダーソンとの連続講演「言語と国家」は『想像の共同体』に触れつつ独自の言語、国家論が語られ、最後は交換様式Dに至る密度の濃い内容。以下3章は芥川、菊池寛、谷崎の作品を引用して日本文化、普通選挙と秘密投票、市民貨幣等を論じており、『トランスクリティーク』を具体的にわかりやすく解説したと後書に記されている。巻末に全文引用されている芥川『神神の微笑』、菊池寛『入れ札』は少年時代に読んでいる。谷崎『小さな王国』は初めてだったが、そこまで必要だったかなという気はする。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2021/02/27(1452日経過)
記録初日
2015/10/01(3428日経過)
読んだ本
951冊(1日平均0.28冊)
読んだページ
255829ページ(1日平均74ページ)
感想・レビュー
635件(投稿率66.8%)
本棚
0棚
性別
血液型
O型
職業
無職
現住所
埼玉県
自己紹介

【名刺代わりの推し短歌3首】
馬追蟲(うまおひ)の髭(ひげ)のそよろに來る秋はまなこを閉ぢて想ひ見るべし/長塚 節
かきくらし雪ふりしきり降りしづみ我は眞實を生きたかりけり/高安國世
あはれしづかな東洋の春ガリレオの望遠鏡にはなびらながれ/永井陽子

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