そういう意味でこの作品はミステリーではない。『そういう展開』ミステリーではその展開によって導き出される真実をそのままぽんと出し、そこが小説の最大の山場となるが、本作は『そういう展開』を踏み台に、さらなるフェイズへと踏み込む。『そういう展開』によって浮上した、いわばメタ的な視点から物語の再構築を、登場人物とともに読者が『体験』する。この小説にはギアチェンジが三段階もあるのだ。問題作というよりは実験作であると感じたが、その試みは成功していると言っていいだろう。 つまり、マジで面白いから読めということだ。
読書歴の浅い人間には『そういう展開』を楽しむものとしてオススメできるし、読書歴の長い人間には『そういう展開』を『こう』使う奴が出てきたんですよ! とオススメできる。ある意味、初心者にも玄人にも推薦できる作品だと思う。
超濫読人間
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