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2025年1月の読書メーターまとめ

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読んだ本
7
読んだページ
2563ページ
感想・レビュー
7
ナイス
339ナイス

2025年1月に読んだ本
7

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

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ネタバレ『屍人荘の殺人』などの一風変わったクローズド・サークルの系譜に連なる本格ミステリ。閉ざされた地下施設から脱出するための人身御供とするために殺人犯を見つけ出そうという、謎解きにタイムリミットサスペンスの味わいを付け加えているところが面白い。 捻った設定ではあるが中身はストレートな本格をやっていて、こういうところも『屍人荘』に似ていると思った。もの凄いキレがあるロジックという訳ではないが、堅実な推理の積み重ねには好感が持てる。
が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
7

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AIテーマの二編が面白かった。 「ろーどそうるず」はバイクに搭載されたAIとそこからフィードバックされたデータを管理・検証する統括AIとの台詞のみで構成された対話劇。AI同士の会話ながらユーモアを交えた軽妙なやりとりが楽しい。一昔前の喋るマシンが登場するアニメを現代的にアップデートしたような話で爽やかな結末もいい。 「リグ・ライト -機械が愛する権利について」は主人公が祖父から相続した車には女性型ロボットがセットになっていて…というオープニングを始めコメディっぽい話ながら深いところまで考えられた作品。
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2025/01/31 21:17

ポイントになるのは「機械『が』愛する権利」というところ。フィクションにおいてAIは人を愛することができるのかというテーマは結構見るが、そもそもAIにだって選ぶ権利があるだろうという視点を取り入れた作品はあまりなかったと思う。 近未来SFとしてはやや牧歌的・楽天的に過ぎると感じる部分もあるが、柔らかい読み心地の中にしっかりスパイスを効かせた作品だった。

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日本探偵小説の巨人・江戸川乱歩と、彼を推輓しデビューに力を貸した小酒井不木との往復書簡集。日本推理文壇黎明期の空気を伝える貴重な資料であると同時に、読み物として滅茶苦茶面白い。 印象的なのは二人の関係性の変化。乱歩が不出来な自作や己の才能の限界に苦悩する中で、彼の天才を信じ激励する不木の姿には心温まるものがある…のだが乱歩側の文面は次第に事務的なそっけなさを感じさせるものになっていく。 このように書くと乱歩がとんでもない恩知らずのように思われるかもしれないが、決してそうではない。
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2025/01/25 14:11

不木の乱歩への評価はとにかく高く、まるで探偵小説界の救世主であるかのように猛烈に持ち上げるようになっていく。自身に対する鬱屈した思いを抱え執筆から離れたがっていた乱歩が、不木の強すぎる熱意を敬遠しようとするのもやむをえないところがある。 不木は純粋な善意の人なのだが、乱歩を信じるあまりとにかく頑張ってほしい、書いてほしいと押しの一手なのがかえって逆効果。読んでいて「押すな不木!一度引け!」と思わずツッコんでしまった。 本人たちは大変そうだが、彼らの人間味を強く感じられるあたりは実に興味深かった。

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いまいち話に乗れず。まず「世界のありようを覆しかねない秘密を抱えた男を追って世界中を転戦する」という展開が『虐殺器官』とかぶりすぎているように思える。 もう一つ気になるのが主人公ワトソンの性格。本作の諜報員として活躍するワトソンと、原典の間の抜けたところはあるけれど情に厚い好漢なワトソンでキャラがかけ離れすぎ。多少違うくらいならともかくここまで変えていると「これワトソンの必要ある?」と感じてしまった。 歴史改変SFとしてのクオリティに感心はしたけれど最後まで物語には入れなかった。
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ネタバレ『屍人荘の殺人』などの一風変わったクローズド・サークルの系譜に連なる本格ミステリ。閉ざされた地下施設から脱出するための人身御供とするために殺人犯を見つけ出そうという、謎解きにタイムリミットサスペンスの味わいを付け加えているところが面白い。 捻った設定ではあるが中身はストレートな本格をやっていて、こういうところも『屍人荘』に似ていると思った。もの凄いキレがあるロジックという訳ではないが、堅実な推理の積み重ねには好感が持てる。
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架空の地方都市ライツヴィルを舞台にしたクイーン中期の代表作。 人間ドラマに大きく舵を切ったこともあり、本格ミステリとしては非常にシンプル。多少ミステリを読み慣れているなら犯人の見当をつけるのは難しくないし、落ち着いたトーンの物語を壊さないためか国名シリーズのような錯綜したロジック、あるいは派手なトリックもない。 序盤の展開はスローペースで最初はやや退屈。しかしそれはジムとノーラ、ライト家の平穏な日々が壊れていく過程を丹念に描き出すためなのだと次第に分かってきてからは静かな迫力に呑まれた。
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2025/01/08 14:49

陰影に富んだ登場人物たちも地味ではあるが奥行きを感じさせるし、事件への興味からではなくライト家の人々を守るために深慮をめぐらすエラリイにも初期作品とは異なる落ち着いた魅力を感じた。 被疑者として裁判にかけられた人物のためにエラリイが奔走するという『中途の家』に近いプロットながらメロドラマ的な甘さは拭った渋い大人の作劇、後年の『九尾の猫』『ガラスの村』を思わせる群集心理の暴走シーン、悩める名探偵の萌芽などクイーンのターニングポイントとなる重要作という評価はなるほどその通りだった。

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ネタバレアンソロジーで既読ではあるが、コロナ禍を背景に直接的な触れ合いとは異なる人と人の繋がり方を描いた「オンライン福男」が別格の面白さ。技術革新によって変わりゆくコミュニケーションの理想的なあり様をバカ話的な展開の中で説教臭さを感じさせず読ませるあたりが絶妙。読んでいて「神はいると思いますか?」「インターネットで見た」というミームの懐かしい感覚を思い出した。アイドルやVtuber文化に思い入れがないので「福男」ほどにはハマれなかったが、表題作「走馬灯のセトリは考えておいて」も同路線の佳作。
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主人公は殺し屋。ターゲットの身辺調査を行っている内に妙な行動が目につくようになり、その理由を追求する中で殺しの依頼の裏側に隠された思惑が明らかになって…というフォーマットの本格ミステリ短編集。 石持浅海の大きな特徴である特異な動機は本作でも健在。石持作品の意外すぎる動機は時として端正なロジックと食い合わせが悪く感じることもあるのだが、本作は殺し屋が主人公ながらリアル寄りではなく緩めのシチュエーションコメディ的なテイストとなっているので突飛な犯行動機が上手く話に馴染んでいる。
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2025/01/02 19:16

ベストは「標的はどっち?」。短めの話の中で展開される入り組んだストーリーと鮮やかなロジックが、意外な動機のインパクトを上手く支えている。1話あたり30頁程度の短めな話ばかりなので物足りなさを覚える部分もあるけれど、その腹八分感も含めての雰囲気を楽しむべき作品だろう。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/03/15(1075日経過)
記録初日
2022/03/01(1089日経過)
読んだ本
356冊(1日平均0.33冊)
読んだページ
138423ページ(1日平均127ページ)
感想・レビュー
352件(投稿率98.9%)
本棚
16棚
性別
自己紹介

お気に入りの喫茶店でコーヒー片手に読書をするのが数少ない趣味。                                ※レビューはネタバレしていることが多いのでご注意ください。

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