陰影に富んだ登場人物たちも地味ではあるが奥行きを感じさせるし、事件への興味からではなくライト家の人々を守るために深慮をめぐらすエラリイにも初期作品とは異なる落ち着いた魅力を感じた。 被疑者として裁判にかけられた人物のためにエラリイが奔走するという『中途の家』に近いプロットながらメロドラマ的な甘さは拭った渋い大人の作劇、後年の『九尾の猫』『ガラスの村』を思わせる群集心理の暴走シーン、悩める名探偵の萌芽などクイーンのターニングポイントとなる重要作という評価はなるほどその通りだった。
お気に入りの喫茶店でコーヒー片手に読書をするのが数少ない趣味。 ※レビューはネタバレしていることが多いのでご注意ください。
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陰影に富んだ登場人物たちも地味ではあるが奥行きを感じさせるし、事件への興味からではなくライト家の人々を守るために深慮をめぐらすエラリイにも初期作品とは異なる落ち着いた魅力を感じた。 被疑者として裁判にかけられた人物のためにエラリイが奔走するという『中途の家』に近いプロットながらメロドラマ的な甘さは拭った渋い大人の作劇、後年の『九尾の猫』『ガラスの村』を思わせる群集心理の暴走シーン、悩める名探偵の萌芽などクイーンのターニングポイントとなる重要作という評価はなるほどその通りだった。