■〆切が設定されると別件に気が向く地獄。但し仕事の〆切ならぬ図書館返却日…■《キャバレーを見届けろ》企画は読友さんを巻き込み場外乱闘に。骨は拾ってやるとのお言葉に甘え、ギター演奏動画バックに「身も心も」全力歌唱…ん?■写真:映画のセットが残る上田映劇 2022年6月の読書メーター 読んだ本の数:28冊 読んだページ数:7903ページ ナイス数:1917ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/200370/summary/monthly/2022/6
“メニューには、アラカルトでもターブルトートでも2シリングで夕食が食べられると書いてあった”(P194)“二人の間にはデザートの果物、それに胡桃と胡桃割り器が置かれていた。テーブルの端には、窓からの隙間風をメニュー帳で防ぐようにしてコーヒーサイフォンが置かれ、下にはアルコールランプの青い火が揺らめいていた。ロマリンはテーブルナイフで梨の皮を剥き、マーズデンはポートワインを断って、小さなグラスでブランデーベースの金色のリキュールを”(P207)喧嘩別れした二人の男が40年ぶりに再会?「不慮の出来事」
■シリーズ毒了まとめ:翻訳が途中でストップしたE・ジョージ〈リンリー&ハヴァーズ〉や微妙に劣化したグライムズ〈パブシリーズ〉とは異なり、一応の区切りが見られた点は大変満足。受賞作やマスト・リードに挙げられる作品からではなく、刊行順を守る方が全体の魅力を味わえる。後半どんどん読みやすくなった。せっかくなのでコーデリアものを含む初期作品も、青木久惠新訳で読みたいところ。コテッジとコテージ、カム島とコム島、ピアースとピアーズなど表記ブレなどは、シリーズ通しもろもろ微修正を求む。
小坂洋二インタビューはイロイロ刺さる。大学がロックアウトの4年間、渡辺プロでの社長面接、新入社員研修で付いたタレントの誰とも合わなくて、布施明担当となりレコード大賞を獲らせるまで、EPICソニーでのさまざまな出逢い、EPICソニーを離れるとき佐野元春のコンサートに招かれたこと…
“部長刑事と一緒に鉄橋の下でみぞれを避けながら法医学者の到着を待っているとき、ノビー・クラークが現場捜索用のアタッシェ・ケースからコーニッシュパイを二個取り出した” “ワイフの手作りだ。人心地がつくよ” “凍りついた手に持った、まだ温もりの残るペストリーに満たされた気持ちも今も思い出す。あんなにおいしいものをあれ以来食べたことがない”(P227)食事といえば…ダルグリッシュは先輩刑事と組んでいた頃に思いをはせる。
“質問はほとんどケイトに任せた。プランケット夫人は仕事を続けた。豚肉の切り身から脂を切り落として、両側に香辛料入りの小麦粉をまぶしつけ、フライパンの熱く溶かしたラードでキツネ色に焼き、裏返す。ダルグリッシュは夫人がフランパンから豚肉を取り出して、キャセロール容器に移すのを見守った。夫人はそのあと二人の向かい側に座って、玉葱の皮をむいてスライスし、ピーマンの種を取った”(P254)台所仕事をしながらだと、かなりの情報が引き出せた。もう少しで糸口がつかめそうなのだが・・・
哲学堂公園は「妖怪博士の妖怪庭園を歩く」(千葉幹夫)、珍獣意匠は「お化け建築家の物の怪を探す」(青木祐介)明治大学博物館は「江戸の捕物と拷問の世界を知る」(伊能秀明)に収録。他にも「現代の都市伝説を追う」(小池壮彦)、「東京の顔、都庁を風水する」「東京の将門伝説を巡る」(加門七海)などの案件を読むにつけ、祀られているものを動かすのはあかん〜としみじみ。
“私生活の彼は最高に親切なジキル博士、編集長としては血も涙もないハイド氏だった” “夫妻のエドワード朝時代の瀟洒な邸宅で、午後のお茶を楽しんだことがある” “取っ手を同じ方向に向けて並べられた繊細なカップ、薄切りの黒パン、昔ながらの手作りのスポンジ・ケーキとフルーツ・ケーキ、それらがエドワード朝時代のメロドラマの出演俳優を探す映画会社がよだれを流しそうな、年配のメイドの手で運ばれ”(P16)旧友とバッタリ。「殺人展示室」で知られる博物館に誘われる。そうそう、きみ、先週ステキな若い女性と川を眺めていたね…
“キャロライン・デュペインはバターを入れて、ごく薄い茶色に焼きあげた、かりっとしたスパイス入りのビスケットを好んだ。ビスケットはすでに焼きあがり、金網に並べて冷ましてある。ミュリアルはフロレンティン・クッキーの準備にかかった。こっちは理事会のお茶には合わないような気がした。ネヴィル先生はこのクッキーをよくティーカップに立てかけるので、チョコレートが溶けてしまう”(P93)“でもマークスさんは好きだから、出なければがっかり”(P94)博物館の秘書兼受付係ミュリアル・ゴドビーは、理事会用にクッキーを焼く。
“あの水槽に入ってるやつ”(P264)“金魚じゃない。絶対金魚じゃなかった”(死神 P266)急遽帰省するという大学時代の友人から、水槽とカブトムシの飼育箱とハムスターと鉢植えを託された。苔と藻の具合がちょうどいいから水槽は洗わないでくれといわれ…すぐさま思い浮かぶのがジャコビの名作「水槽」。あれは貝だったけど果たして本作は?
“灯のせいかもしれないが、その顔はさっきの挑発的なところも、ぎらぎらした感じもなくなって、妙に植物か鉱物めいてただ「そこにある」感じに見えた。若い、ということは、時として罪悪である”(ライク・ア・ローリングストーン P33)バンドメンバー募集にのって熊本から出てきたのは男じゃなかった。それなりに平穏な日常は家出娘ネコに翻弄され、ネコが引き起こしたトラブルによってバンドは崩壊の一途・・・
■収録作:「魂の歌」「75セントのブルース」「太陽と潮騒の中で」「不死鳥ジョー」「セブンティーン」「あいつとオイルと枯れ草と」「荒野遙かに」「俺たちの季節(とき)」「風に吹かれて」■デューク・エリントン風「オール・マイ・ラビング」オーティス・レディング「ドッグ・オブ・ベイ」S&G「ボクサー」、「夢は夜ひらく」、ボブ・ディラン「風に吹かれて」が作中に盛り込まれている■栗本薫によると『キャバレー』の矢代俊一は「セブンティーン」の主人公・俊一から頂いたとのこと。
■もちろん紙本で毒了したが書影がないのでコチラで登録。表紙を見てもらわないとね。■「75セントのブルース」は少年サンデー1969年4月6日 No.15(通算536号)掲載。原詩はラングトン・ヒューズで、原題 Six-Bits Blues。個人的にアルバム『古井戸イエスタデイズ』に収録「750円のブルース」に馴染んでおり、BGMはどうしてもそうなってしまう。
“母はどちらかというとこってりした料理が好きだ。オイスターとか肉の炭火焼を好む。オレンジとアヒルのローストにブラックスースをかけた料理、茹でたイカのイカ墨和え”(P176)“ライスと、あとはステーキだな” “ええ、存じておりますよ。焼き加減はしっかりめで、マッシュポテトとシンプルなレタスのサラダを添えて”(P177)一年前の事故でウェイターは全員死んだはず。このイシドロ・エルベスそっくりのウェイターが父の好みを知るはずがない…料理で読むシルビナ・オカンポのハイライトは「レストラン〈エクアドル〉の事故」。
“油を塗るにも男が三人、ブーツの裏にベーコンの脂のかたまりを縛りつけてスケートしないといけない。焼き上がったホットケーキをポール・バニヤンは次々丸ごと吞み込み、小樽に入れた糖蜜で流し込む。ものすごくたくさんホットケーキを呑むんで、全部を横に並べたらミネソタを横断しちまう、けどまだこれはほんの序の口”(P158)“食器棚の奥に古いグリーンピースを一個見つけたら、そいつを七つに切り分けて一週間分のディナーに”(P160)スーパー木樵ポールと対照的な弟が居眠り対決。「アメリカン・トールテール」は豪快愉快ホラ話だ
(memo)■憧れのマンガ家と会いたい遊びたい願望を次々成就させ有頂天と思われるが、大いなる戦略ミスを犯してしまう。JUNEのキーパーソーンになり、また竹宮ファミリーとの密なる交遊から、萩尾望都にだけはお近づきになれなくなった・・・■JUNE創刊号(当時JUN)掲載・折原はるか『日々への想い』が萩尾望都作品からキャラとパクりカット多数。個人的にもしや栗本薫/中島梓のペンネーム?疑惑があったが、本人には画力がとことんないらしくこの説は却下。同人誌出身者か誰かのアシか? 竹宮サイドの関係者ならヤバいよJUNE
くたくたさんの「毒を喰らわば皿まで」プロジェクト、読ませていただいてます。「真夜天」の続きを読むのが耐えられなくてやめてしまった私としては、勇者です。冷静に評価を出す、くたくたさんのレビューを読んで私は救われてます。
をを、長時間の不在許されたし。国内レースのライヴがあったもんで。Ribes tristeさんは小学生、くたくたさんは確か中学生? 二人とも栗本薫をずいぶん早くから読んでいたのですね。てか、自分が遅いのだ笑。JUNE初期をリアルタイムで知っていながら、本作を今の今まで読んだことがなかったという…そういえばグインも25巻くらいまでは古本で集めたのでした。百巻入る回転式本棚まで用意したのに・・・いろいろうらめしいっす。お次は『マンガ青春記』で絶賛された宮谷一彦作品を予定しています。
“さえない気分で、ヒノ・テルマサのレコードを聞いていた。一時、ナオンの人気なんか、やけに多くて、タイガースみたいなカフスのシャツなんか着てたときは、見てくれ、どうかと思ったもんだ。しかし、その頃の〈白昼の襲撃のテーマ〉だって、やっぱりごきげんだ。カービン銃、連射してくるようなペットの叫び。それから、内臓かきまわしてくるみたいなピアノの響き”(ブルース・フィーリング P160)ヒノテルいいね! ケースの内側に、おちょぼ口で吹けって書いてたんだっけ?
前回レビューと収録内容はコチラ→ https://bookmeter.com/reviews/86162592 長らく角川絶版街道上にありオススメ甲斐のない状態だったが、最近はKindleで読める。 狂熱のデュエット(Kindle) https://bookmeter.com/books/11892411
“正反対の二つの感情が同時に高まってくる、そんな具合のものさ。絶望的でありながら、同時に希望を感じさせるもの、淋しいくせに明るいもの、悲しいくせに陽気なもの、悲しいくせにふてぶてしいもの、俗っぽくて、そして高貴なもの、それがブルースなんだ”(P18) “音楽はごまかせない。人間の内面を映す鏡みたいなもんさ”(P30)「海を見ていたジョニー」のラジオドラマがあったとは! C・W・ニコルがジョニー役だよ。
“たった一人だけリュウとした背広の男がいた。目にしみるような白麻のスーツを着て、草色のネクタイを結んでいる。引き緊った敏捷そうな体つきで、背が高かった。良く陽に灼けた浅黒い肌と、強く光る目と、やや厚めの唇をもっていた。美しい青年だった。結城は、その伝説中の人物の余りの若さに、ひどく驚いた。どう見ても二十代の青年だ。三十二歳の結城より、いくつか年下にちがいない”(私刑の夏 P206)敗戦後、北鮮からの脱出行。主人公の結城は肺を病む国語教師という設定。脱出の手引きをする謎の男ホシカとの出会う場面が印象的。
■東海洋士/『匣の中の失楽』の竹本健治とは高校の同級。上智大学在学中「別冊新評・筒井康隆の世界」で中島梓とともに世に出た。卒業後は松竹入社、『なんとなく、クリスタル』の脚本を共作。松竹退社後放送作家に転ずる。2001年3月に本書である第一長篇『刻丫卵』刊行。2002年3月、病により逝去。享年47歳。
海外ホラー、ミステリ、SF主食の異形読み。
1999年「死ぬまでに10000冊の毒書」を宣言、
年間250冊を読みすすめるも途中7年の沈黙。
2012年、読メ登録とともに復活を果たす。
短編好き。アンソロジストに憧れを抱く。
紙本主義。装丁など本の佇まいにこだわる。
版ヅラやノンブル位置にキビシイ「組版警察」
密林のドイヒー画像が許せぬ「書影警察」
プラクティス好き「試走警察」
三一書房『サイコミステリーベスト100』を
2019年6月、30年がかりでコンプリート。
2020年11月「おあと6000冊」達成。
2023年3月プロフィール更新。
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“あの水槽に入ってるやつ”(P264)“金魚じゃない。絶対金魚じゃなかった”(死神 P266)急遽帰省するという大学時代の友人から、水槽とカブトムシの飼育箱とハムスターと鉢植えを託された。苔と藻の具合がちょうどいいから水槽は洗わないでくれといわれ…すぐさま思い浮かぶのがジャコビの名作「水槽」。あれは貝だったけど果たして本作は?