■『謎のエヴァンズ』ならぬ《謎のスティーヴ》に取り憑かれクリスティの原書へ。原書が政令指定都市の中央図書館に収蔵されていない衝撃。原書にもちゃっかり居るスティーヴ。謎は深まるばかり■写真:2008年9月の街歩き京島界隈■2024年9月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:4540ページ ナイス数:1366ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/200370/summary/monthly/2024/9
“自由落下空間でクァディーが十二弦のギターを弾いているところを想像していたのよ”(P363)夫唱婦随でクァディーと運命をともにする博士夫人は実は音楽家。自身は音楽学校で二番に甘んじ演奏家の道を諦めざるをえなかった。クァディーの長くたくさんの指をひと目見て音楽芸術への可能性を感じ…この約二百二十年後、マイルズとベル・ソーンがパーティー会場で、クァディーの演奏家ニコルに出逢うと思うと感慨深い。ちなみに『無限の境界』収録「迷宮」169頁からクァディーにまつわる歴史が要約されている。
“ハンサムとはとてもいえないが、目を引く男だ。黒髪。深い一重まぶたの細い茶色の目。厳しい、用心深そうな口元。ローマ風の横顔を肉厚の鼻翼がくずしてはいるが、士官カットの髪型にはよく似合う”(P27)バラヤー大使館主席随行武官ダヴ・ガレーニ大佐の第一印象。後々の調査でコマール出身者としては異例の道を歩んできたと判明する。ガレーニと父ガレンの父子関係も読みどころ。
“重症者9人のためのリハビリ・センターの手配が終わったよ。冷凍保存した死者8名のうち4名は助かるそうだ”(P16)“あの修復をあきらめないかね。ほかのもの全部と同額だよ” “この広い宇宙に、ごまかしてやりたい人間はいくらでもいるが、負傷した部下はそのなかには入れたくない” “その趣旨には賛成だ”(P17)タング准将との会話。全ワームホール・ネクサスの中で、技術面の先進性でベータ植民惑星と並び称されているのが、ここ地球だ。費用がかさむからといって、修復をあきらめるという選択はない、とマイルズ。
【オール・ハロウズ・イヴ(All Hallow's Eve)Fantasy読書会’24】1冊め。 読んでる最中これはファンタシイと思ったのだ。黒猫だし。
“イモリの足のフライを食べたことがないのよ!” “イモリ・アンド・チップスもね” “イモリ・アイスなんて連中は知らないわ” “イモリ・ナゲットも?” “ほんものの骨つき肉を、刻んで、丸めて、フライにしたものだ”(P108)“レストランのメニューでは〈最上級生鮮蛙足肉〉として地上人に出してるわ。しかもけっこういい値段で”(P114)“肉になる代わりに、人間はもっと細かく分解されて植物の肥料になるのよ。とても道徳的な選択でしょ”(P122)さすがのクインも、殺し屋の始末には少々頭を悩ませたが、名案が…
“さあ紳士方、パーティ・タイムよ” “芸術的な扇形になるように、エスコバールの黄色いチーズ、セルギアールの硬くて白いチーズ、二種類のニシンの酢漬け、十個以上のチョコレート・バー、甘いピクルスなどを”(P214)“熱いフライド・チキンレバーだけが、クライン・ステーションの培養大桶でつくられた現地製だった。イーサンはオキタを思い出して喉が詰まった”(P215)チラミン含有濃度の高い食べ物を求めてクインが買い出しに。クラレットは安っぽいが、バーガンディはなかなか、シャンパンは極上。さて結果は?
“この隅の席、このテーブル、そこから見えるすばらしい大理石の広間” “無酵母パン製造会社のノーフォーク街支店、略称《ABCショップ》として知られている”(P8)“彼がレジへ歩いていって、ミルクと丸パンの代金2ペンスを支払うのを、ポリーは見守った”(P35)《イヴニング・オブザーヴァー》紙の記者ポリー・バートンが《ABCショップ》のいつもの席に。昼食は大カップのコーヒー、バターつきロールパンとタン一皿、計11ペンス。いつもではないのは、やたら話し上手な風変わりな老人…シリーズ第1作は「フェンチャーチ街の謎」
“隅の老人は二杯目のミルクを注文し、ついでに、おずおずとチーズケーキのおかわりもたのんだ”(P138)“五時のお茶の時間にはもどってくるつもりだ” “五時五分過ぎにわたしがもう一度《ABCショップ》に行ってみると” “お茶うけにはなにがいいかね?” “バターつきロールパンと、お話の結末ですわ”(P151)『リッスン・グローヴの謎』はポリーの一人称。ちなみに13編中、冒頭2作と最後の2作が三人称である。
“老人は作り笑いを浮かべて、背を向けると鞍袋のひとつをあけて、なかを探りはじめた。そして使用済みのプラスティック薄葉紙でくるんだレーズンの包み、木の葉で包んだ茶色っぽい結晶の小さなかたまりをいくつか、そして革紐のように見えるものを一束とりだした” “乾燥山羊肉かね” “だいたい山羊だね” “半分貰おう。それからレーズンもな。メープル糖は子どものために置いておこう”(P298)勝つか死ぬか。幼帝を連れ国守ピョートルとコーデリアはボサリ、エステルハジーと共に馬で逃亡。ん?だいたい山羊って…謎肉混じっとる?
“マイレディ。陛下” “カラス麦とシロップがあります。お湯、ハーブティー、乾燥果実も。バターはありません” “シロップをかけた温かいカラス麦は、欠けた白い皿に盛られていても素晴らしい味だった。ハーブティーをがぶがぶ飲みながら、コーデリアは自分が危険なほどの脱水症状になっていたのに気づいた”(P312)辺境の郵便配達夫クリィに匿われる。幼帝グレゴールが所望するミルクを、空中から取り出せないことにボサリは恥じ入っている様子だ
“食料パックのケースをふたつ見つけてきた。ラベルが燃えただけで、ほとんど焦げていない。コーデリアがいっぽうの銀色の包みをあけて泉の水を加えてみると、それは醤油で味付けしたオートミール” “もうひとつのケースは?” “妙な匂いがするがね。悪くなっているんじゃないだろうか”(P26)“人工のブルーチーズのサラダ・ドレッシングよ”(P27)コーデリアの留守中にキャンプが攻撃された。一方ヴォルコシガンは部下に背後から撃たれ置き去りに。部下への治療を望むコーデリアは「コマールの殺し屋」と呼ばれる男に捕虜宣誓をする。
“この二人は、おやじさんの個人的な捕虜だ” “なにを食べるかね” “オートミールとブルーチーズ以外のものなら”(P105)“下士官は奥の部屋に姿を消し、数分後に湯気のたっているシチューらしきもののボウルをふたつと、純然たる植物性マーガリンを塗った本物のパンを持ってきた。コーデリアはがつがつとかぶりついた” “バラヤーの野戦料理の乏しい種類が許す範囲のうまいものを、つぎからつぎへと供されていた”(P106)給食担当の士官はコーデリアに料理を褒められウキウキ。この巻ではコウデルカもイリヤンも子犬のように若い。
“街も壊れたあとがなく、車を引きながら声をあげて水を売っているものがいたり、かと思うと、全身が真っ黒に見えるほど奇妙な生き物の干し物をぶらさげて歩いているものもいる。店先ではその黒い干し物を、焼いて、むしってかゆの上にのせて食わせる屋台が出ていて”(P97)船でアルゴ河をさかのぼり、ついにダル湖到達。一行は下船し陸路カラヴィア公領へ入った。この干し物は何かな? ムツゴロウっぽい?
“彼の横にはジョールという名の背の高いブロンドの中尉が控えていた。マイルズはこのまえ休暇で帰郷したときジョールに出会っていた。世の中には完璧な士官がいるものなのだ。勇敢で頭が切れ”(P131)“ジョールは時と場合によっては異常なほど礼儀正しい男”(P486)発見しました〜最新作『女総督コーデリア』のキーパーソンとウワサのジョール(笑) 艦隊事故にすばやく対処し勲章を授与され→負傷治療中に司令部転属→アラールが軍務秘書に引き抜いたというのが現時点で毒者が把握している情報。今後が楽しみすぎ〜
“ユーリ狂人皇帝の代役を演じているかと思うところだわ。あなたの顔つきったら” “まずグレゴールの暗殺を黙認して、つぎに不義密通を提案し、おまけにあなたの父上をホモだと告発したうえ、父親殺害計画をほのめかし、キャヴィロと手を組むつもりだとしか思えないわよ” “もう一度繰り返せっていわれたら、どうするつもり?” “説得力があったかい?”(P433)次から次へと相手を惑わし唆しさりげなく脅し魔法のように納得させてしまう騙りのテクニックを見せるマイルズ。エレーナはただただ呆れている。
海外ホラー、ミステリ、SF主食の異形読み。
1999年「死ぬまでに10000冊の毒書」を宣言、
年間250冊を読みすすめるも途中7年の沈黙。
2012年、読メ登録とともに復活を果たす。
短編好き。アンソロジストに憧れを抱く。
紙本主義。装丁など本の佇まいにこだわる。
版ヅラやノンブル位置にキビシイ「組版警察」
密林のドイヒー画像が許せぬ「書影警察」
プラクティス好き「試走警察」
三一書房『サイコミステリーベスト100』を
2019年6月、30年がかりでコンプリート。
2020年11月「おあと6000冊」達成。
2023年3月プロフィール更新。
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“街も壊れたあとがなく、車を引きながら声をあげて水を売っているものがいたり、かと思うと、全身が真っ黒に見えるほど奇妙な生き物の干し物をぶらさげて歩いているものもいる。店先ではその黒い干し物を、焼いて、むしってかゆの上にのせて食わせる屋台が出ていて”(P97)船でアルゴ河をさかのぼり、ついにダル湖到達。一行は下船し陸路カラヴィア公領へ入った。この干し物は何かな? ムツゴロウっぽい?