“イタリア半島に渡り鉄道に乗って北上する。自転車の速さを競うロードレースという新しい競技が開催されるというので、物見遊山に立ち寄った。走行経路はイタリア国内を大きく一周。時計周りにミラノからナポリへ、そしてミラノへと戻る。休息日を挟みつつ実質8日間走って競い合う”(P182)なんとなんと1909年、第1回ジロ・デ・イタリアの記述だ。おじさんは助手とともにナポリから最終日までを見届けている。
■第2週の全日本CXのせいでどうしても前後がざわつく■絵本に鎮めてもらいつつ読みたい本をそこそこ■某温泉街にて。別々の建物だけど色味が統一されてる。左のポップな水玉模様、右の扉周りや擬似三階も手作り感満載でたまらんのよ。後ろに回って見てないのが残念■2024年1月の読書メーター 読んだ本の数:12冊 読んだページ数:3040ページ ナイス数:1032ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/200370/summary/monthly/2024/1
“だが「好奇心は猫をも殺した」というたとえもあるぞ、それを忘れるな”(P91)謎の信号源を求めて奇怪な遺棄船へと向かうダラス船長の心の声。結局好奇心に殺されたのは猫ではなかったことになるが…
“猫のジョーンズは、舷窓の一つにむかって坐っていた。かれはあらしを心躍るものと考え、大きめの塵の粒子が舷窓の外側にくっつくのを見すましては、前足でそれをたたくというゲームに熱中していた” “それらの黒い石の細片を鳥だと思うこともできた。もっとも鳥というものをかれはまだ来たことがないのだが、それでも本能的に、その観念を把握して”(P128)猫のジョーンズは元々おそらく船猫という設定。『エイリアン2』登場の際には、地上でリプリーと同居していた。
『甘美で痛いキス ヴァンパイア・コンピレーション』山口雅也&菊地秀行対談で、“いったい、いくつあるんだよ、『エイリアン』の元ネタ”発言があったのを思い出し笑。シマックの短編「廃棄場」説を一時は信じた。中村融氏は訳す価値のないほど凡作の「廃棄場」から思いついたのならオバノンの才能恐るべしとブログに記した(2010年3月)。その後『宇宙船ビーグル号の冒険』の影響を否定するため「廃棄場」を持ち出したという見解になっているらしい。新版『宇宙船ビーグル号の冒険』解説を読みたいが高騰すぎる。
“ルイーズときたら困りもんでさ、中国の食いもんに舌なめずりしやがんの。チキン・チャプスイってやつ、食ったことある?” “五十二番のエビ団子にチャーハンよ。ジンジャーはおなじみの酢豚が大好きなんだ。ずるい生き物だよな、牝ってのは。どんな種類にしても。いいや、よく聞いてくれ。ジンジャーだってさ、ルイーズが帰ってから半時間もの遊び相手をしてりゃ、おれのメシの支度ができてないことについて気づいても”(P22)P・ラヴゼイの長編は今のところ一冊だけ毒了。そろそろまとめ読みの頃合いか?
yumihaさん、いつもありがとう。おかげさまで図書館長、見た目も行動もゼンゼンフツーです。いっとき2キロ減の別猫でしたが少し戻り今は理想体重です。猫って気まま〜とよく言われますが、元々は毎日決まった場所で決まったことをする習性があるそうです。図書館長は四時半起きで快便し、いっしょに体重計に乗り、ごはんの後で注射を待ち「うむ」と頷いてコタツに入ります。
“特にポアロの大好物というババ・オ・ラムをデザートに出せる店というだけで、その店の品格がわかるような気がします”(ソーホーのババ・オ・ラム『エッジウェア卿の死』P77)“イギリスの菓子は家族のために主婦が作るもの。田舎にあるマナーハウスでもロンドンの宮殿でも作る菓子の内容は同じです”(P78)そもそも〈料理で〉クリスティーを読み始めた気がしているが、そのお菓子の場面が思い出せない既毒作品が多少なりともあった。そろそろ再毒の頃合い?
“マッシュルーム入りのキッシュ・ギャランティーヌという薄くした鶏肉に牛挽き肉をのせて巻き、ゆでたもの。これはソーセージにような形のもので、薄く切りながら食べますが、ハーブの一つ、ローズマリーの風味だったのが印象的でした。自家製のパテはフランスパンにつけながらその場でほおばります。野菜はキャベツのせん切りをマヨネーズで和えたコールスローとポテトサラダ。デザートは紅茶にホームメードのアップルケーキでした”(ピクニックの楽しみ『なぜ、エヴァンスに頼まなかったのか?』P187)ハーブ留学時のピクニックランチ
“人は本を読んで絶望するはずがない。実際はその逆で、私たちは、自分にふさわしい本を探すものだ”(酒寄進一訳『珈琲と煙草』P101) https://bookmeter.com/books/20586061
欧文組版の個人的な好みとしてはF/L。本作は『Carl Tohrberg: Drei Stories』と同じジャスティファイ。組幅が狭く文字デカめにもかかわらず読みやすい仕上がりになっている。
“私の弁護士事務所は音楽大学のそばにあり、私はその開け放った窓の下でよく立ち止まり、ピアノの音を聞きながらタバコを吸ったものだ。私たちはときどきカフェで会い、洋梨のタルトを食べた”(P67)“じつは私、時間からこぼれ落ちてしまうんです”(P68)音大生アユミの儚さは、どこか「パン屋の主人」の登場人物サクラを思わせる。
“伝記でしばしば言及されるように、クライストは当時、カントの『判断力批判』を読んで、うつ病になったといわれている。私はそれを信じない。人は本を読んで絶望するはずがない。実際はその逆で、私たちは、自分にふさわしい本を探すものだ。クライストの場合、それがカントだった。クライストは、なぜ自分が足をすくわれたか、つまり私たちが現実と呼ぶものがなにかをカントから学んだ”(P101)人は自分にふさわしい本を探す。読みたいときが読みどきだということを忘れてはならない(自戒)。
“私は名物のブイヤベースを頂いた。海鮮の旨みが凝縮されたとても美味しいスープだった。同行者はパスタを頼んだのだが、ソースには見慣れない白い茸が入っていた。コプリーヌという茸で、一見鬼白茸に似ていたため躊躇したが、食べてみるととても”(P46 1902年フランスにて)“様々なジャムが、種類も多く鮮やかに冬の食卓を彩る。私のお気に入りはすっきりとした酸味のあるコケモモだ。口内炎に効くというので、助手たちにも積極的に食べさせた”(P103 1905年ノルウェーにて)2年も2年半も外遊し続けられる財力って一体?
“イタリア半島に渡り鉄道に乗って北上する。自転車の速さを競うロードレースという新しい競技が開催されるというので、物見遊山に立ち寄った。走行経路はイタリア国内を大きく一周。時計周りにミラノからナポリへ、そしてミラノへと戻る。休息日を挟みつつ実質8日間走って競い合う”(P182)なんとなんと1909年、第1回ジロ・デ・イタリアの記述だ。おじさんは助手とともにナポリから最終日までを見届けている。
(memo)“真に重要な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。人生が生きるに値するか否かを判断する、これが哲学の根本問題に答えることなのである”(新潮文庫版『シーシュポスの神話』より不条理と自殺 P11)そういえばシーラッハ『珈琲と煙草』にはカミュの項があった。
海外ホラー、ミステリ、SF主食の異形読み。
1999年「死ぬまでに10000冊の毒書」を宣言、
年間250冊を読みすすめるも途中7年の沈黙。
2012年、読メ登録とともに復活を果たす。
短編好き。アンソロジストに憧れを抱く。
紙本主義。装丁など本の佇まいにこだわる。
版ヅラやノンブル位置にキビシイ「組版警察」
密林のドイヒー画像が許せぬ「書影警察」
プラクティス好き「試走警察」
三一書房『サイコミステリーベスト100』を
2019年6月、30年がかりでコンプリート。
2020年11月「おあと6000冊」達成。
2023年3月プロフィール更新。
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“私は名物のブイヤベースを頂いた。海鮮の旨みが凝縮されたとても美味しいスープだった。同行者はパスタを頼んだのだが、ソースには見慣れない白い茸が入っていた。コプリーヌという茸で、一見鬼白茸に似ていたため躊躇したが、食べてみるととても”(P46 1902年フランスにて)“様々なジャムが、種類も多く鮮やかに冬の食卓を彩る。私のお気に入りはすっきりとした酸味のあるコケモモだ。口内炎に効くというので、助手たちにも積極的に食べさせた”(P103 1905年ノルウェーにて)2年も2年半も外遊し続けられる財力って一体?