神奈川近代文学館「帰ってきた橋本治展」に合わせて、先月は「人工島戦記」を。全共闘世代をテーマで何度目かの未完作だったと知りました。肯定できないが否定もできない、ジレンマなのか…2024年4月の読書メーター 読んだ本の数:3冊 読んだページ数:2049ページ ナイス数:219ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/279835/summary/monthly/2024/4
橋爪大三郎氏の橋本治講演会の受講は6年前のゲンロンカフェと合わせて2度目。今回はより一層 全共闘の時代にフィーチャーした講演内容でしたが… 同期世代ならではの仲間意識なのか、批判的なコメントゼロ。橋本治も橋爪大三郎もダメならだれが批評できるのか…
共産党と民青と全共闘とソ連とトロツキーと中国と文化大革命と毛沢東とフランスの5月革命と…ベトナム戦争とタテカンと…とにかく全部が丸っとまとめ。前回登場したPANTA氏もつながっている。そして、最後に歌舞伎というヒネリが効いたところが橋本治の「ふしぎな」ところ。第四回も楽しみ。
PANTA氏の曲「マーラーズ・パーラー」の歌詞に寄せる橋本治の批評、橋本治とPANTAの共作「悲しみよようこそ」、転じてPANTAにとっての橋本治、宮沢賢治論へと向かう。橋本治の研究者 柳澤氏による「橋本治」っぽい思わぬ方向へのヒモつけがされそうな連載のスタート。
「帰ってきた橋本治展」での柳澤健氏は橋本治と出会った頃の面影を残す、ヤンチャ&オシャレな風貌でした。対する橋爪大三郎氏の応答がどうにも要領得ず… 現代における全共闘が橋本治にしても未完になるしかない、現代との反故、断絶を思わずにはおれませんでした。
また、面白いのは劇中のバレエシーンは教室で踊る「白鳥の湖」「プロメテの火」、ニジンスキイ「ペトルウシュカ」へのエキゾチズム、バレエといえば革命下のソ連で牛車で生まれたタマアラ・トマノワの話、日本の現代バレエ「長崎の絵踏」…など散りばめられたエピソード。これは、初めて一般誌(朝日新聞)に掲載、紹介されたバレエの世界なのかもしれない。本当にサラッと描かれているが、バレエ世界全体をイメージできるような、堪能できる書き方になっていて、さすが文豪の筆なのだ。
草笛光子さんインタビューもいい。市川崑「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」「獄門島」「女王蜂」の横溝正史シリーズ全部に出演してたんだな。うっかりしてた。それぞれに市川監督が「いつもひとつヒントをくださる」と。「だらしなくて趣味の悪い着物を着る女」「きつい、強い女」「ドロドロした女」…。あと、「暴力も言語だ」っていう主張。人間の身体行動そのものが「言語」で、暴力で何を叫んでいるのか、それはただひとつ「コミュニケーションが欠けている!」という主張というのも良い。良い。こんな話、本でなかなか読めない。
アマプラで公開中のBBCドラマ版では… えー!そっちかぁ⁉︎ 納得できない展開へ。一方で、ドラマ化で掘り下げられたシーンもありました。例えば、家庭教師の生家「父は田舎牧師」の設定は読み飛ばしていたが、実はしっかりストーリーに根ざしていた、とか。
以前読んだ「テヘランでロリータを読む」作中の英文学の講義に登場したヘンリー・ジェイムス。イラン・イラク戦争の戦時下、イラン革命後の女性迫害の中で読む「デイジー・ミラー」「ワシントン・スクエア」の部分と照らし合わしてみた。
。「…われらがヒロインは成長のためにきわめて大きな犠牲をはらう。…彼女は父親にも求婚者にも確かに一種の復讐をはたす…彼らに屈服するのを拒否するのである。最後に彼女は勝利を手にする。ただし、それを勝利と呼べればの話である…彼らの報酬は「幸せ」ではないー「幸せ」はオースティンの小説の中心となる言葉だが、ジェイムスの世界では…獲得するのは自尊心である…」
読書傾向は4方向くらいに分類されるみたいです。ほぼ通勤の友ですので積読本が消化できない傾向ですがー。
① ザックリ、映画鑑賞の副読本
② ザックリ、美術関連書
③ ザックリ、旅行関連書
④ ザックリ、21世紀に生きるための教養文学
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アマプラで公開中のBBCドラマ版では… えー!そっちかぁ⁉︎ 納得できない展開へ。一方で、ドラマ化で掘り下げられたシーンもありました。例えば、家庭教師の生家「父は田舎牧師」の設定は読み飛ばしていたが、実はしっかりストーリーに根ざしていた、とか。