お役を早々に退き失踪した父，跡を継ぎ町奉行となった年若い息子，かつて名奉行と呼ばれた祖父，それぞれの関係性がもどかしく，難しくもどこか血の繋がりを感じられつつ話が進みます．父藤右衛門のとった行動はどうなのと疑問符は残りますが一番苦しみ悲しんだのはその妻ではないかと．総次郎の親友武四郎の将来がひらけ喜ばしい限りです．

それぞれの人たちが抱える屈託と海辺のシェフ猫さんのあっけらかんとした言動のギャップが面白い．行き詰まった時ふと力を抜いて自分の中にある答えに気づけるか，難しいですよね．シェフ猫さんがあの可愛らしい肉球の手でしめ鯖の骨抜きをしている図，なかなかシュールです．

料理屋での衣装比べというきらびやかな最中に起きた毒殺事件．全編を通して亀吉の心理描写が細やかに描かれていてその心の動きが手に取るようにわかります．ひなという女の子と出会ったことでまたさらに成長した亀吉．亀吉も要もいつか子供じゃなくなる時がくる，それはそれで楽しみではあります．

う～ん，こういうテイストのもの，嫌いではないのですがこれは合わなかったかな．「スモールワールズ」が良かったのでこちらを手に取りましたが期待外れでした．強いて言えばソファーのお話がちょっとほのぼのでした．

なかなか刺激的で痛い場面が多くその痛みが伝播してきそうで身構えてしまいます．ストーリーもかなり入り組んだ設定で飽きさせず読ませてくれます．美桜のキャラが強烈過ぎて怖い…　私はやっぱり有道さん派です．2作目をとばしてしまったので戻って読まなくては．

またまたなんだかグロい事件．所々に差し込まれている少年の記憶文がどうつながるのか徐々にもしかして，と思いながら読みました．鷹野から門脇へとペア相手が変わっても塔子のスタンスは変わらず．もう誰と組んでも立派にやっていける，頼もしい刑事になってきています．

お役を早々に退き失踪した父，跡を継ぎ町奉行となった年若い息子，かつて名奉行と呼ばれた祖父，それぞれの関係性がもどかしく，難しくもどこか血の繋がりを感じられつつ話が進みます．父藤右衛門のとった行動はどうなのと疑問符は残りますが一番苦しみ悲しんだのはその妻ではないかと．総次郎の親友武四郎の将来がひらけ喜ばしい限りです．

こねないパンとはどう作るのか興味があって．そのぶん発酵時間が長いのですね．しかも鍋ごとオーブンに入れて焼くと．まず鍋を買わないとですがそこまでして作るかどうか…悩ましい．

カラスが唯一の友達，という孤独そのものの少年時代を送った主人公恭一郎．父親からの虐待や育児放棄そして痴呆老人の介護などこの世の負の部分がどうしようもなく弱者に覆いかぶさってくる．生い立ちに同情の余地はあるもののだからといって犯罪に走っていいとはいえないが．イケメンの恭一郎の外と内とのあまりに違う顔，でもこのまま孤独を引きずって生きていくのもかなり辛そう．

歌川広重についてほとんど何も知らなかったことに気づきました．武家の生まれでしかも火消し同心だったこと，絵師としてなかなか芽が出なかったこと，生涯江戸の町を描くことにこだわったこと，色々勉強になりました．広重ブルーのぼかし摺り，何日か前に江戸の摺り師の話を読んだばかりなのでちょっと身近に感じました．

公安と捜一がそれぞれの事件で繋がりが出てついには合同捜査に，という珍しい体制に．父の道を継いだ二人の刑事がほどよい距離感で協力体制．公安が縮小されるとしたらそれは喜ばしいことなのか…

テレビ局勤務の4人それぞれ目線のお話．人物像の描き方が上手なためそれぞれの喜怒哀楽が手に取るようにわかります．なかなか思うように生きられないもどかしさを抱えながらもなんとか道筋を見つけて踏み出そうとするそのあがき具合がすごく現実的です．

守人の進路が見えてくる展開．田辺と出会いその祖父母と親交を持ったことが彼の人生に大きな影響を与え，自分を肯定することができしかも誰かを大切にしたいと思えるようにもなり，最初の頃のような孤独に閉じこもる守人とは別人のよう．色々な人たちと縁を繋いでくれた月光荘は真の友達．

最近は算盤用人の仕事はなく人探しばかりの市兵衛．小春と渋井の息子良一郎との縁談のショックから家出をした小春の兄又造が頼った先で災難に．ヤクザ同士の利権争いに巻き込まれながらも無敵な市兵衛．どんな巨漢も枝一本で撃退．いつも思うのですがこんな格好いい市兵衛ですが一生独身を貫くことになる？のでしょうか．

前巻に引き続津坂藩の揉め事に駆り出される市兵衛．行方不明の勘定方を探すうちまたまた藩内の腐った不正にたどり着き成敗！最後の深々とした雪の場面は見どころ．で，市兵衛の養子の話はどうなるの？

叔父との確執になかなか答えが出ないもどかしさ．双方にそれぞれ言い分があるわけですがどうしても安次郎の肩を持って読んでいるので叔父のやりようは今ひとつ納得がいきません．ましてや信太を養子になどと言語道断です．友恵は何を考えているのか．押しかけ女房になりそうな気配も．とにかく安次郎父子が幸せに穏やかに暮らせることが肝心．

ちょっとばかりまどろっこしい展開で前半は斜め読みしてしまいましたが喜代さんとの別れが近くなってからのあたりからしんみりとじっくり読みました．田辺に自分の本音をさらけ出せた守人は少しだけ心が軽くなり人を信頼できるようになってきていい傾向だと思います．卒業後の生き方がどのようなものになるか次巻が最終話のようなので期待しています．

相変わらず冷静で優しく強い市兵衛．兄信正を介して上様よりの密命を受け津坂藩のお家騒動絡みの問題解決を図ります．瀕死の重傷を負った弥陀ノ介の仇を討つという熱い思いもあり9人の敵を相手に孤軍奮闘，お見事です．上様より俸禄を貰ったということは召し抱えられたということ？ではないのか…

現代にも通ずるペット事情あるある．犬の躾は難しいです．個体差もあるし，褒めてのばすというのもすごく根気がいります．老インコと老爺の再起のお話がとても良かったです．けんけん堂や鳥屋とも交流ができ今後も何かと助けになりそうです．お美津のいつまでも初々しい妻ぶりが微笑ましいです．

半世紀前の川崎が舞台．確かに工場地帯からは常に煙が出ていてスモッグという言葉が普通にあった時代．警察官の喫煙もヤクザと飲み食いするのも今じゃご法度．多摩川河口で見つかった死体から様々な人を巻き込んでの事件捜査．デカ長さん大暴れ，それもまた時代かな．決してスマートではないけれどこの時代の刑事たちの矜持が感じられるいい作品でした．