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2024年2月の読書メーターまとめ

Hiroshi
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16
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2024年2月に読んだ本
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2024年2月のお気に入られ登録
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  • marumaru

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Hiroshi
古代DNA研究の最新成果を元に人類の起源を辿る本。化石人類学で人類は700万年前にチンパンジーと分化し初期猿人からアウストラロピテクス属と続き、250万年前にホモ属となり完全な直立二足歩行を始める。ネアンデルタール人からは古代DNAを読み解けるようになる。ホモ・サピエンスとの系統とは60万年前に分岐した。その後ネアンデルタール人(ユーラシア大陸の西半分に分布)の系統からデニソワ人が分岐した。デニソワ人(シベリア西部)はDNAの証拠だけで新種とされた人類で、全身の骨の同定はできていない。三者は交雑していた。
Hiroshi
2024/02/28 17:29

サハラ以南以外のサピエンスは40万年前と6万年前の出アフリカ後直ぐにネアンデルタール人と交雑した。パプアニューギニアの人々にはデニソワ人のDNAが受け継がれている。サピエンスの化石はアフリカ全土から見つかるが、発祥地は不明だ。34万年前に分岐が始まり6集団くらいになる。初期農耕民の移動で拡散される。6万年前に東アフリカからユーラシア大陸に進出する。1万年で東アジア系統・ヨーロッパ系統・ユーラシア競う集団に分岐した。ヨーロッパでは最初の人類定着後に4万年前と1.4万年前に中東の狩猟採集民が進出し置き換わる。

Hiroshi
2024/02/28 17:30

85百年前にアナトリアから農耕民が移動してきて狩猟民は周辺に移動した。後に交雑がおこる。50百年前に今のウクライナあたりから牧畜主体の青銅器ヤムナヤ分化の主体がヨーロッパに入る。ペストを連れて来て、3/4を置き換えた。北方で影響が大きい。ヤムナヤがインド・ヨーロッパ語族だ。他のユーラシアでは置き換えはない。北上及び南ルートがあり、シベリア迄行ったのもある。ポリネシアにはアウトオブ台湾が進出。3万年前にシベリアに到達していたのが1.75万年には新大陸へ。民族というが、ゲノム上では純粋な民族などいないのだ。

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2024年2月にナイスが最も多かったつぶやき

Hiroshi

2024年1月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:4724ページ ナイス数:242ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/307059/summary/monthly/2024/1 写真は某山で撮ったフキノトウ。

2024年1月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:4724ページ ナイス数:242ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/307059/summary/monthly/2024/1
写真は某山で撮ったフキノトウ。
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2024年2月の感想・レビュー一覧
16

Hiroshi
高校の生物学の教員が教え子で生物学の研究者になった者とで書かれた生物学の本。コロナ禍で少しでも生物学の知識があればデマだと確信できるような怪しい情報が氾濫していたので、大人にとっても生物学は大切なのだ。定義や細かい化学式等は省き、何故そうなるのか、どのように決まるのかが理解できることを主眼とし、生き物の基本原理を知るようにできている。だが『大学生物学の教科書』全5冊で計1920頁あるのを本書では333頁にしており省略が多い。発生学の濃度勾配説や細胞のアポトーシスは大変驚く仕組みだが、本書では触れられない。
Hiroshi
2024/02/29 17:21

細胞の大きさは、1㍉の1/10の100㌨が植物の体細胞、10㌨が動物の体細胞、1㌨がバクテリア、0.1㌨がウィルスだ。好気呼吸は解糖系からクエン酸回路、電子伝達系でATPを獲得するが、概ね23~27分子だと。バイオテクノロジーでは3倍体の魚を作るという。卵を作らなくなった個体は、その分の栄養を体作りまわせるので大型化して寿命を延ばせる。血管内では血小板の活性化は抑制されている。毛細血管は破れやすく拍手でも破れることがある。植物は光周性があり、短日植物・長日植物・中性植物がある。連続した暗期の長さで決まる。

Hiroshi
2024/02/29 17:22

生態的ピラミッドは1段上がる毎に現存量(生物の平均体重×個体数)は1/10になる。遷移は火山荒野→草原→陽樹林→陰樹林となる。火山荒野は地衣類やコケ類の残骸が有機物として混ざることで土壌ができる。道路のない森林の中は穏やかな環境で、弱い生物が住む。熱帯雨林では養分が雨で流されるので根が浅い。生命の起源には熱水噴出孔説・表面代謝説・パンスペルミア説がある。電子供与体をH2SからH2Oにした化学合成細菌がシアノバクテリアの祖か。原生代の終わりからカンブリア紀にかけてカルシウム濃度が3倍になり外骨格が発達した。

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Hiroshi
古代DNA研究の最新成果を元に人類の起源を辿る本。化石人類学で人類は700万年前にチンパンジーと分化し初期猿人からアウストラロピテクス属と続き、250万年前にホモ属となり完全な直立二足歩行を始める。ネアンデルタール人からは古代DNAを読み解けるようになる。ホモ・サピエンスとの系統とは60万年前に分岐した。その後ネアンデルタール人(ユーラシア大陸の西半分に分布)の系統からデニソワ人が分岐した。デニソワ人(シベリア西部)はDNAの証拠だけで新種とされた人類で、全身の骨の同定はできていない。三者は交雑していた。
Hiroshi
2024/02/28 17:29

サハラ以南以外のサピエンスは40万年前と6万年前の出アフリカ後直ぐにネアンデルタール人と交雑した。パプアニューギニアの人々にはデニソワ人のDNAが受け継がれている。サピエンスの化石はアフリカ全土から見つかるが、発祥地は不明だ。34万年前に分岐が始まり6集団くらいになる。初期農耕民の移動で拡散される。6万年前に東アフリカからユーラシア大陸に進出する。1万年で東アジア系統・ヨーロッパ系統・ユーラシア競う集団に分岐した。ヨーロッパでは最初の人類定着後に4万年前と1.4万年前に中東の狩猟採集民が進出し置き換わる。

Hiroshi
2024/02/28 17:30

85百年前にアナトリアから農耕民が移動してきて狩猟民は周辺に移動した。後に交雑がおこる。50百年前に今のウクライナあたりから牧畜主体の青銅器ヤムナヤ分化の主体がヨーロッパに入る。ペストを連れて来て、3/4を置き換えた。北方で影響が大きい。ヤムナヤがインド・ヨーロッパ語族だ。他のユーラシアでは置き換えはない。北上及び南ルートがあり、シベリア迄行ったのもある。ポリネシアにはアウトオブ台湾が進出。3万年前にシベリアに到達していたのが1.75万年には新大陸へ。民族というが、ゲノム上では純粋な民族などいないのだ。

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Hiroshi
化石の中のDNAは古代DNAと言われる。そこには絶滅種の復活という望みがある。その古代DNAの研究の歴史が書かれた本。化石は長い年月の間、地中に放置されている。骨には細胞があるのでDNAがある。恐竜の化石の中に恐竜の生体分子が残っている可能性はあるのだ。だが例えDNAを検出しても菌類や細菌が増殖していた場合もあるし、人間のDNAが混入する事もある。未だ恐竜のDNA全体を検出したことがないので、それが恐竜のDNAだと確かめようがない。1977年にシベリア永久凍土から氷漬けのケナガマンモスの化石が発見された。
Hiroshi
2024/02/26 17:46

これから抗体が作られた。だがタンパク質は完全なものではなかった。82年に琥珀の中の昆虫を顕微鏡で観察をすると細胞の中の構造まで保存されていた。86年にはクアッガの剥製からDNAの抽出が試みられた。脱アミノ化や脱塩基がおこっていた。ミイラのDNAを調べたがDNAの混入があった。当初は制限酵素でDNAを短く切ってプラスミドと断片を大腸菌に入れてDNAを増やしていた。今はPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)を使う。2本鎖のDNAを1本鎖にして、そこにプライマーを結合させてプライマーを伸長させる。温度管理でできる。

Hiroshi
2024/02/26 17:46

増幅したDNAをシークエンサーで解析する。次世代シークエンサーでは大量の塩基配列を解読できる。90年に『ジュラシック・パーク』が流行る。研究者も琥珀の中のDNAを求めた。琥珀は高温に晒され、紫外線にあたる。だから無理であった。2010年に2万年前には絶滅したネアンデルタール人の核ゲノムの遺伝子領域の読み取りができた。我々人類との交雑が分かった。両種のゲノムの比較で、生存能力が高い為に子を多く残した個体が増えると分かる。絶滅種の復活は、選択的交配、クローン製作、遺伝子編集で行われる。クローンは難しいようだ。

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Hiroshi
生物や生命、ゲノムや遺伝子等の生物学分野の基本的なキーワードの定義は時代と共に変遷してきた。現在でもこれらの定義に関係する常識が脆弱である。著者が定義を見直すことで生物学の新たな景色が広がるのを見る本。生物の定義は細胞を基本単位にしているが、著者は生命を自己複製する核酸を持つものとする。細胞を基本単位にする細菌・古細菌の原核生物と真核生物と、自己複製する核酸だけの生命のウィルス、プラスミド(染色体DNAとは別のDNA)、ウイロイド(1本鎖環状RNAのみからなる植物病原体)、レトロポゾン、テロメアが生命だ。
Hiroshi
2024/02/25 15:45

ゲノムはその生物の生存に必要な最小限の染色体1セットだが、生命の定義を変えたので先天的に受け取る全ての遺伝情報とする。核ゲノムにミトコンドリアゲノムを追加する。ヒト核ゲノムは遺伝子領域が40%で反復配列が60%。タンパク質遺伝子は全体の30%で、エクソンは全体の1.5%だ。RNA遺伝子は全体の10%だ。特定の遺伝子形質を規定する因子の遺伝子を特定の生理的機能を規定する因子とすると、RNAに転写されるだけで翻訳されないRNA遺伝子や反復配列で遺伝子の発現を制御するエピゲノム修飾のスイッチが遺伝子に含まれる。

Hiroshi
2024/02/25 15:46

個体形成は細胞の分化であり、生命はテロメアの短縮で老化し、ゲノムは子孫形成で受け継がれる。逆転写酵素の発見によりRNAワールドが成り立ち、40億年前に最初に誕生した生物の共通先祖から細菌と古細菌の先祖が誕生し、21億年前に核とミトコンドリアや葉緑体を獲得して真核生物となる。立襟鞭毛虫が接着する遺伝子を獲得して多細胞からなる後生動物が誕生し、今に繋がる。ヒトたらしめるものが何かは分からない。ヒト核ゲノムで増えたのはレトロポゾンのAluというSINEだが不明だ。文明には学習することが必要で、認知機能の変化か。

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Hiroshi
一般の遺伝学の本では遺伝学の説明をしながら、一部で研究者が如何なる仮説を立てて実験したかを書く。本書は物語であり歴史なので、研究者が何に興味を持ち仮説を立てて実験していき評価された事が書かれている。その分遺伝学の説明が少ない。今世紀に入ってからの説明はあっという間だ。エピジェネティック制御の解除であるiPS細胞が登場せず残念だ。メンデルが遺伝の法則を発見し、生物の形質が遺伝子によって決定されることを推測した。モーガンらは遺伝子物質が染色体にあり、遺伝子は染色体上の決まった配置と距離を保っていると解明した。
Hiroshi
2024/02/22 17:31

マクリントックはゲノム内を転移する遺伝因子トランスポゾンを発見し、ゲノムに動的な側面があることを示した。ビードルは特定の遺伝子が特定の代謝ステップを支配し、一遺伝子一酵素説を提示した。アヴェリーにより遺伝子の本体がDNAであることが明らかになる。シャルガフはDNAの塩基組成においてアデニンとチミン、グアニンとシトシンが等量であるとした。フランクリン、ウィルキンズ、ワトソン、クリックにより二重螺旋構造が解明される。メーセルソンとスタールにより半保存的複製やコーンバーグらにより複製の生化学的メカニズムが解明。

Hiroshi
2024/02/22 17:32

ジャコブとモノーによるオペロン説により遺伝子が作動し始める為の分子的仕組みが解明される。20種のアミノ酸は3つの塩基で指定されるコドンが解明される。DNAからmRNAに転写されてタンパク質が作られるセントラルドグマだ。分子遺伝学の成果だ。以後は多様な生物の様々な遺伝子の発現制御機構の解明が進んだ。DNAにはエクソンとイントロンがあり、イントロンの部分は選択的スプライシングされエクソン部分だけのmRNAが作られ翻訳される。DNAの塩基配列に依存しないエピジェネティック制御が環境に応答した遺伝子の発現制御だ。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
地理学者として衛星写真を利用した土地利用を研究し持続可能な開発を教える著者が、地球の循環系を考えながら人類が食糧をどのように獲得してきたかを見る本。世界の人口は、1800年に10億人弱、1900年に15億人、1950年に25億人、2000年に60億人、2010年に70億人に増えた。その食糧を賄えているのだ。恒星の惑星として生物が発生して人類のように高度な文明を築けるのは希だ。その地球で人類は狩猟採集民生活から農耕牧畜民生活へ、そして都市生活へ道のりを歩んできた。人間にとっての究極のエネルギー源は食べ物だ。
Hiroshi
2024/02/21 12:09

定住して農耕を始めると土地が痩せてくる。植物には炭素・窒素・リンが必要だ。その栄養分を取られた土地に肥料として栄養分を戻さなくてはならない。植物は炭素を空気中の二酸化炭素から利用する。窒素は空気の8割を占める窒素分子からは利用できず、地中の硝酸塩を利用する。リンも地中のものを利用する。窒素が硝酸塩になり元の窒素分子になるのは微生物の働きによる。リンは水に流されて川・海に沈殿してリン鉱となる。最初の肥料は糞尿であった。回収して使った。足りないときは西欧では南アメリカの海鳥の営巣地の大量の塊を輸入したりした。

Hiroshi
2024/02/21 12:09

そして窒素は化学工業でアンモニアを作り、リンはリン鉱石から取るようになる。だがこれらの過剰は公害となっている。昔は多品種で害虫被害を回避していた。日本ではあまり見られないが、世界では広大な面積の畑を数人でトラクター等を使ってモノカルチャー農業がなされている。農作物の生産量の3割、収穫量の1割は害虫に食べられる。それを予防するため殺虫剤が作られた。だがDDTは目的とする害虫以外の生物も死滅させる。生物の多様性の危機となる。大規模な変化の反動で、地球からしっぺ返しを食らうのは時間の問題だ。智慧を出し合おう。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
日本史では旧石器時代の後に約1万年以上続く縄文時代があり、その後弥生時代となり本格的な農耕が始まる。ところが世界史で西アジアでは旧石器時代から新石器時代になると農耕が始まる。その為「新石器時代革命」と言われる。「採集か農耕か」ということより「遊動か定住か」の方が人類史過程では重要であり、生産様式ではなく生活様式を重視して「定住革命」を提唱する著者が書いた本。専門は自然人類学。86年の著作。人類が誕生したのが700万年前だ。我々の祖先のサルや類人猿の頃から遊動生活をしており、人類になっても殆どが遊動生活だ。
Hiroshi
2024/02/17 13:01

氷期から後氷期にかけての環境変動は高緯度地域ではより大きく、低緯度地域では少なかった。温帯環境が拡大し始め、中緯度地域の温帯林環境の拡大に対応して定住生活が出現した。何時でも何かが食べられる低緯度ではその日食べる食料を探せば良い。だが四季がある中緯度地域では採取不可の冬用の食料を貯蔵しなくてはならない。その貯蔵の為に定住が始まったのだ。一次植生の陰樹を開墾すると二次植生の陽樹や人里植物の競争がおこる。人にとり有用な植物を保護して採取する。不要な樹木は薪となる。この状態が栽培化であり、この先に農耕化がある。

Hiroshi
2024/02/17 13:02

漁撈が始まる。網を設置した漁撈は危険ではない。著者は理学博士であり、通説ではないユニークな学説は読む価値がある。口型動物の魚から進化して哺乳類では口型と手型に分かれた。その手型動物の最も成功したのが人類だ。二足歩行の原因は一般に疎林化に求めるが、著者は大型のヒヒ等が現れ、それに対抗する為に棒等の道具を手で使うようになり、手で棒を握ると樹上生活は不可能で下に降りたと。多くの動物は同種を殺さない。類人猿は殺すことがある。人類はこれを避けるために分配や言語を使って緊張を和らげるようになったのではないだろうか。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
1923年の関東大震災、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災について、その災害を検証し、復興がどのような主旨でどう行われたかを見ていく本。大災害の時代とは、1959年の伊勢湾台風で5千人強の死者を出して以来、日本では5百人を越える死者を出した自然災害が無かったが、阪神・淡路大震災以降に千人を超える死者を出す自然災害が起こり、新たな時代になったからだ。著者は神戸大学教授時代に震災を経験して都市再生戦略策定懇談会に参加し、東日本大震災では復興構想会議の議長を務めたのだから、検証も優れている。
Hiroshi
2024/02/15 17:05

関東大震災は小田原で海溝型の面的断裂がおこり、10秒後に三浦半島下で断裂が続き、10㍍の津波を発生させたM8.1の地震と、その3分後に東京湾北部を震源とするM7.3の直下型地震を合わせて言う。約10万人が亡くなり、9割が焼死だった。竈の時代だ。全体的に見れば復旧レベルを大きく超えて近代都市東京を建設する立派な創造的復興となった。阪神・淡路大震災は明石海峡下から淡路島及び六甲山南麓に渡って断層が動いたM7.3の地震。盆地生成表面波と焦点効果で断層から離れた震災の帯で震度7を記録し、約6500人が亡くなった。

Hiroshi
2024/02/15 17:06

多くが圧死で1割が焼死。政府の初動は遅れたが、関東大震災や東日本大震災よりも効果的な良き全政府的な対処と復興を成し遂げた。私財に国費を投じてはならないとの建前で創造的復興は阻まれる。東日本大震災は海溝型のM9の大地震。死者は約2万人で9割が津波による溺死だ。創造的復興を国費で行う等復興面では優秀だった。だが原発事故では後手に回り、アメリカの信頼を失いそうになる。被曝の危険を顧みない自衛隊のヘリコプターによる放水で日本側が本気で原発事故に対処していると示し、日米間の暗雲を取り払った。公助が災害では大事だ。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
地球の表面ではマントルの上にプレートが載っている。マントルの移動に伴いプレートが動き、海洋プレートが大陸プレートに沈み込む所で海洋プレートと一緒に沈み込んだ大陸プレートが元に戻るのが海溝型地震だ。プレート同士がぶつかり合いプレート内部に歪みが溜まり、その歪みを解放するために活断層が動くのが内陸型地震だ。今はプレートテクトニクスにより地震はこのように説明される。戦後直ぐに研究者となった著者が、地殻変動は過去のもので動いていないとされた学説を覆し、活断層と太平洋の逆断層の地震を解明していった道筋が書かれた本。
Hiroshi
2024/02/13 18:32

日本地図に断層を書き込み、断層の動きから圧縮力の向きを書き込むと圧縮力の向きが平行な線で現れる。最初の実験の結果を測定したら、1年に5㍉くらい動くことが分かった。褶曲運動は今も行われている。日本は100万年前から活発な地殻活動を行っている。太平洋の日本近海でも地震はおこる。海の中なので断層を調べることはできない。三角点を測定すると南東に向かいゆっくり動いている。断崖段丘はゆっくり沈降して地震で大きく隆起する。今はGPSで観測することを自ら行いながら、現在の地震学に繋がる道を開いて行ったことが分かるのだ。

Hiroshi
2024/02/14 17:04

これが2番目。初学者に研究者の先輩として優しく語る。まずは褶曲のある地層近くに水準点標石を埋める事から始まる。海進と海退は隆起と沈降でおこるが、大陸の氷床により海面が下がることもある。地盤沈下は否地殻活動。関東大震災で江ノ島の様に隆起した所がある。海岸段丘になっている。地震の度に隆起か。東京湾・相模湾の段丘を調べる。地震でできた地表の断層を調べる。現場でみると過去の地震断層の跡がある。日本地図に断層を書き込む。すると南北型の断層は左ずれ、東西型の断層は右ずれだと分かる。断層運動は時と共に積み重なって行く。

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Hiroshi
①モーツァルトのジュピター、②ベートーヴェンの英雄、③運命、④田園、⑤シューベルトの未完成、⑥ベリオールズの幻想、⑦チャイコフスキーの悲愴、⑧ドヴォルザークの新世界、⑨マーラーの巨人、⑩ショスタコーヴィチの革命、を十大交響曲として説明する本。表題の話もあるが、多くが作曲家の生涯全般を語るものになっている。①神童モーツァルトは父の支配下から抜け出して作曲活動をする。親ほどの歳のハイドンと競う。ハイドンセットと三大交響曲だ。その中の最後がジュピター。35歳と短い人生だった。ヘンデルのメサイアの編曲もしていた。
Hiroshi
2024/02/12 17:45

②ベートーヴェンは19歳でフランス革命を経験する。ハイドンと師弟関係もあった。当時の交響曲は30分くらいだが英雄は50分と革命的だ。③④は同時に初演奏された。しかも6番の田園から演奏だ。運命は情熱ソナタと共通する。田園は他の作曲家が描く自然の情景を蹴散らかした。⑤シューベルトは31歳の人生と短いが、6百以上の歌曲を残した。⑤未完成は死の間際に作曲されたのではない。第2楽章までで人に託し、死後41年目に発見された。⑥ベリオールズは楽器を弾けない作曲家。演奏不可能な曲まで作る。この曲を越える曲はできなかった。

Hiroshi
2024/02/12 17:46

⑦チャイコフスキーはピアノ協奏曲第1番他があり第一人者であった。悲愴の公演の成功をした6日後にコレラで死ぬ。悲愴は私の人生だと。⑧史上初めてアメリカで作られた交響曲。チェコの人気作曲家がアメリカの音楽育成の為に招聘されて作った。⑨マーラーは生涯で10曲の交響曲を残し、11曲名を制作中だった。その最初の1番が巨人。第3稿まである。⑩今迄の作曲家は他の作曲家と交流を持っていた。革命後の作曲家であり、今度失敗したらスターリンの粛正にあう可能性がある中で成功させたのが革命だった。強制されたとの告白が疑義を呼ぶ。

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Hiroshi
①中世(言葉の乗り物としての音楽)、②ルネサンス期(言葉を収める伽藍としての音楽)、③バロック(音楽の劇場)、④それ以後の古典派・ロマン派・20世紀(芸術としての音楽)の音楽を見ていく本。①②の時期の音楽や人は分からない。やっと分かるのが③のモンテヴェルディからだ。音楽はメロディ(旋律)・ハーモニー(和音)・リズム(律動)からなる。①では教会や修道院での典礼で、伴奏無しの1本の旋律だけで聖なる祈りの言葉が歌われていた。モノフォニー(単旋律)だ。グレゴリオ聖歌だ。ミサ曲だ。単旋律は緩やかにたゆたって流れる。
Hiroshi
2024/02/11 15:19

9世紀に楽譜らしき物が現れ(ネウマ符合)、10世紀にドレミで唄うようになり、異なった高さで唄うオルガヌムが現れ、ポリフォニー(多声音楽)へとなる。②中世では音楽は神に向けての祈りの言葉だったが、ルネサンス期には人間の耳にとって美しく響くものになる。対位法により協和音程が出てき、響きが重視された。宗教改革後はプロテスタントではコラールが歌われた。楽器が現れる。③バロックでは劇的な形式と手法を通して感情の表現がされた。オペラができる。モノディー(通奏低音)が現れ多声音楽が否定される。楽器が声楽の代わりとなる。

Hiroshi
2024/02/11 15:19

協奏曲ができる。ヘンデル、ヴィヴァルディ、バッハがいた。④古典派は優美な旋律を中心とした艶やかに美しい判り易い音楽だ。交響曲ができた。ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンがロマン派から手本とされた。逆にロマン派は小作品が中心となる。新しいものは進んでいる必要があり、ベートーヴェンを超えるのは難しい。国民国家の出現により民族音楽の旋律を取り入れる様になる。オッフェンバックのように娯楽音楽に進む者も。20世紀になると新しさが求められ前衛的になっていく。古楽復興運動がおきて各時代の音楽の価値が再認識されだす。

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Hiroshi
元三重県庁の職員で大学の非常勤講師等をしている著者が、地方自治の全体を理解し、地方自治の基本的な仕組みを知り、身近な暮らしから地方自治の実像を見てもらいたくて書いた本。『財政のしくみがわかる本』の姉妹編として書かれた。私たちの社会を支えるのは、①強制力により人を従わせて社会を纏めていく政治システム、②自発的な協力によって比較的小さな社会を纏めていく社会システム、③お金を媒介にして社会全体で分業しながら必要な財やサービスを生み出していく経済システムだ。政治システムが提供している財やサービスが行政サービスだ。
Hiroshi
2024/02/07 17:49

政策が政治で決められ、その政策を実施するのが行政だ。行政サービスは国と地方自治体で行われる。地域的な事柄を地域で決めて行うことを地方自治という。住民自治と団体自治だ。地方自治は基礎的自治体である市町村と広域自治体の都道府県で行われる。住民は地域の政治に参加し、自治体から平等にサービスを受ける権利があり、必要な費用を分担する義務がある。住民は長と議会の議員を選挙で選ぶ。地方自治体は大統領型の統治だ。選挙以外にレファレンダム・イニシアチブ・リコールや請願・陳情等がある。自治体の予算は1年間の政策を表している。

Hiroshi
2024/02/07 17:49

明治時代になり立憲国家になると藩が集められて道府県となり、村が集まり市町村となる。明治政府は自治体に委任した事務の処理に人民が参与させその経費を負担させた。戦後新憲法下で地方自治が憲法上保障されたが、機関委任事務が多く自治体の自由度が著しく低かった。99年に成立した地方分権一括法で機関委任事務が廃止され、自治体は自治事務と法定受託事務を行う様になった。だが三位一体改革が行われても国の補助負担金を通じた関与には変わりが無い。だが地域のニーズをよく知る自治体は住民の生活の質向上に向けて独自の政策を立てだした。

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Hiroshi
財政とは民主主義に基づいて社会の構成員の共同意思決定のもとに運営される経済である。それを企業(生産活動)、家計(消費活動)、政府(両者を1つの社会に纏める)の個々の主体の活動から見ていく本。国家財政に加え地方財政も見ていき2006年にOECDから指摘された日本の格差社会の急激な進行について再分配機能の小ささから来ていると指摘している。予算は財政を決定する仕組みである。私達の経済は、市場経済の原則と財政の原則から成り立つ。財政の収入は租税で調達される。租税は強制的に無償で国家活動の営みの為にお金を調達する。
Hiroshi
2024/02/06 17:07

日本の所得税は全ての所得を集めて累進税を適用せず、多くの所得に分離課税を適用して金持ちに多くの負担を強いていない。消費税では税率を上げるにはインボイス方式が必要だ。政府は自分では仕事をせず政府関係機関や地方自治体にお金をだして仕事をさせる様にしている。人には生存に必要なニーズと、そうではないウォンツがある。前者は財政で賄い、後者は市場に任せる。財政は借金しない方が良い。建設国債は許される。赤字国債には内国債で発行されているので国家破綻はない。問題は所得の再分配機能が果たせず逆分配機能を持ってしまうことだ。

Hiroshi
2024/02/06 17:07

財政の危機は社会的・経済的な危機を解消できないことだ。日本は先進国の中で最も所得再分配機能が小さな政府だ。昭和時代は市場が行う所得分配が先進国の中で最も平等だった。1980年代から非正規社員が増え出し市場による所得分配が不公平を拡大し格差が拡大したが、所得再分配機能の小さな財政機能だけは残された。西欧は新しい労働市場に誰でも参加できるように教育を施した。日本は対応しない。財政責任を放棄した。これからは財政民主主義を機能させて、効率優先の市場が作り出す格差を財政の出動によって格差を是正していく事が望まれる。

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Hiroshi
政治の制度だけではなく我々の民意がどう政治家に伝わるか迄が書いてある本。代議士とは貴族院議員に対する衆議院議員に対して使う言葉だ。議院内閣制は国王が持っている行政府を統率する権力を議会の多数派勢力の指導者に委ねることから始まった。小選挙区制は制限選挙制下の有権者が比較的同質的な場合において生まれたもの(国内産業の保護か自由な通商の推進かが争点)とかが分かった。相互依存社会では人間同士の関係についてルールを作る必要がある。このルールを作るのが政治だ。政治は治者と被治者の自同性がある民主主義で行われるべきだ。
Hiroshi
2024/02/05 15:05

政治は理想を求めるが常に理想と現実を考えて暴走してはならない。政治の情報はメディアから得るが、メディア情報はステレオタイプになりがちだ。視点をずらしてステレオタイプにならないように。政治家はその仕事の内容が分かりづらいので胡散臭く見える。小さな政府を目的とする保守派。大きな政府を目的とする進歩派。1990年の冷戦の終結により55年体制が動きだした。有権者から選ばれた議員で構成されるので国会が最高機関となった。公開の場で言葉による戦いがなされる。多数決は多様な主張の議論で合意形成されて行くことに意義がある。

Hiroshi
2024/02/05 15:05

国会は立法し予算を議決する。議会には与野党の活発な議論の場とする型と立法と国勢調査の場とする型がある。前者が日英、後者が米だ。政府には議院内閣制と大統領制がある。前者の三権分立は変形。政府は監視されてチェックされる必要がある。リスクの個人化・社会化の問題、裁量か普遍かの政策、により社会が変わる。普遍的政策でリスクを社会化すると西欧・北欧の政策に、普遍的な政策でリスクを個人化すると米の政策。日本は強者のつまみ食い。我々は様々な方法で声を上げて権利を主張することが大事。思ったより政治家は庶民の声を求めている。

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Hiroshi
どうしてこんな国になった。誰がこんな国にした。ゲンダイ流に第2次安倍政権から岸田文雄内閣の今に繋がる強権政治の10年戦争を検証した本。昨年10月の刊行であり安倍派裏金疑惑の前に書かれた。自民党は1955年の立党時に国民政党であることを宣言している。特定の階層・階級の利益を代表するのではなく、国民大衆の繁栄をもたらすのだ。だが第1次安倍政権から野党になると自民党支持団体は切り崩されて神政連・日本会議・旧統一教会等しか残らなかった。自民党主流派の経世会や宏池会とは違い清和会は利権が少なく宗教組織と結びついた。
Hiroshi
2024/02/04 16:38

民主党政権に対峙する為に戦略的に右寄りの保守系支持層を取り込んだ。国民政党の姿から遠ざかった。アベノミクスは、①大胆な金融政策、②機動的な税制政策、③民間投資を喚起する成長戦略であったが、②③に安倍は興味が無くカンフル剤でしかない①だけしかしない。日銀を政府の傀儡にした。安倍は財務省嫌いで経産省内閣であった。超円安による物価高で訪日外国人が安い安いと買い物をするのを眺める国にした。憲法改正を行わず集団的自衛権を閣議で決定した。政府を縛る憲法を無視した行為だ。憲法は権力が使い熟すとの御用学者の弁を利用した。

Hiroshi
2024/02/04 16:38

内閣人事局ができて官邸主導の恐怖人事が行われイエスマン官僚や忖度が広がった。その結果モリ・カケ・桜であり、働き方改革のデータ捏造だ。息吐くように嘘をついた。立法・行政の次に司法を牛耳ろうと凖司法である検察庁を特別法ではなく一般行政の国家公務員法で定年延長を図ろうとした。国会では束ね法案を使い、個別の法案の審議時間を短くさせるようにした。論点が多岐にわたり分散し、論点がぼやけることでわかりにくくする為だ。言論の自由確保の為の放送法を反対に解釈して言論の自由を威嚇したことが中でもとてつもなく悪いことだった。

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Hiroshi
40年余り事件取材をしてきた著者が月刊誌『本の窓』で計66回連載されたものをテーマ別に編集して書き下ろした本。『世田谷一家殺人事件』『餃子の王将社長射殺事件』等彼の本を読んでいれば面白いが、いきなりこの本を読んでも面白くないかもしれない。オウム事件は教祖が何も語らなかったので未解決とも言える。3億円事件は6か月前のボーナス支給日に警察の動きを観察する事件がおきていた。実際の事件では行員は勇気ある警察官の行為に感心して、支店への連絡が遅れた。行員は偽警察官の顔を見ていないのでモンタージュ写真は出鱈目だった。
Hiroshi
2024/02/03 16:51

グリコ森永事件は公安と刑事が対立して犯人を取り逃した。少年院の仮退院者の再犯率は25%未満。これを多いと見るか否か難しい。75%の少年にとって入院の継続は不要だからだ。裁判員制度が始まると裁判員は情緒的になり厳罰化に向かう傾向がでた。裁判がやたらビジュアル化して言葉が大切にされていない。自殺志願の殺人や身勝手な殺人がある。死にたい病苦老人と孤独な若者がそういうことをする。女性の殺人犯には動機を理解できない場合がある。尼崎事件は疑似家族の事件だ。当時の警察は民事不介入であり、今ではできない事件かもしれない。

Hiroshi
2024/02/03 16:53

グリコ森永事件で主犯の弟も聴取をうけていた。前科が或る者が温情判決受けていたのに凶悪事件をおこすと、前の判断を帳消しにする重い裁判になる。酒鬼薔薇事件の少年院でのプログラムは失敗したが、院と医師が結託して隠したと。元巨人の清原の薬物汚染は根が深いようだ。児童虐待は25年連続増加していて、2015年は10万件を超えた。これは警察を始め自治体も積極的な呼びかけをしたために認知件数が伸びたのではないか。少子化が進む中で児童虐待が増えるのは嘆かわしい。政府は総活躍社会を目指すが、自殺者はまだ多いままである。

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読書データ

プロフィール

登録日
2013/01/15(4135日経過)
記録初日
2013/01/06(4144日経過)
読んだ本
1120冊(1日平均0.27冊)
読んだページ
325982ページ(1日平均78ページ)
感想・レビュー
1021件(投稿率91.2%)
本棚
50棚
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