白パンに指嚙まれいることもなく白パンちぎるひとり晩餐▲君という冬にむかいて珈琲を飲みいる夏のひるさがりかな▲風うけた白いシーツよさかさまのあなたの顔よすぐ近くあれ▲桃は鍵もたぬものなりひそやかに舌の上へ迎えるものなり▲キャリアウーマンのわが姉きょうもゆらゆらとたらちねの母のなかに出入りす▲素足にて夜のしずけさに昇りゆく階段はふと葡萄のごとし▲海終るところにかがみ青年は犬の鎖を解きはなちたり▲ボシュロムのレンズ広告、メニコンのレンズ広告、初雪ふれり▲気まぐれな座敷童がわらってる「為替と株の動きです」
亜米利加はあ目りか(彼は知っていた)布、布、布、布、いつまでの風▲みずからを誰もが《われ》と重いつつこの世の埃吸いこみている▲ICHIROのバット潜める谷ふかく乱れ飛ぶべきましろき蝶ら▲劫初より携帯電話あるごとしハイビスカスの色を信じる▲それはちがうそれはちがうと唐辛子あかあか軒に吊りさがりいる▲ポストの朱あんばらんすに立ちながら冥府との時差測りつづける▲スカートへもう天(おおぞら)がやって来たなんと風の強い日だろう▲海(わたつみ)へ指輪はめむとするごとくさみしきことを君もなしいる
▲お決まりの広告のカタチくどいほど登場人物レクサスに乗る▲二人に一人は癌の時代と聞きながらならないほうと思っておりぬ▲卵かけご飯か鯛茶かオムレツか豊かに迷い朝が始まる▲夏休み初日の朝は納豆に卵を落とすような幸せ▲コンビニへ食パン買いにいくことが親孝行となる春の道▲愚痴、不満、悲観、諦念、母からのマイナスイオンたっぷり浴びる▲一人暮らし始めたばかりの子の部屋の冷蔵庫にて冷える缶詰▲英検の結果出る日を尋ねれば「二年後くらい」と答える息子▲しっかりと飯を食わせるだけの日々 息子のお下がりTシャツを着て
読み終わったら行きます。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます