「彼は後を顧みた。さうしてたうていまた元の路へ引き返す勇気を有たなかつた。彼は前を眺めた。前には堅固な扉がいつまでも展望を遮ぎつてゐた。彼は門を通る人ではなかつた。また門を通らないで済む人でもなかつた。要するに、彼は門の下に立ち竦んで、日の暮れるのを待つべき不幸な人であつた。」(『門』夏目漱石)
「或有身如日初出者、有身沈没如重石者、有挙手向天而号哭者、有共相近而号哭者、久受大苦、無主無救」(『往生要集』源信)
「春の夜のひかりにあへず吹く風にゆくへもしらぬ花のひとひら」(拙歌)
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