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2025年10月の読書メーターまとめ

田中峰和
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2025年10月に読んだ本
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2025年10月のお気に入られ登録
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2025年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

田中峰和
近代日本が発展するなかで、読書がどのように変遷してきたか。明治以降の読書についての歴史から説かれる。明治から大正期の読書はエリートの教養で、戦前戦後になってエリートと大衆の教養になった。オイルショック以降バブル崩壊までは娯楽の扱いで、それ以降、ノイズ扱いされている。自己啓発の面では修養から教養、会社の研修、バブル崩壊以降は情報の役割となる。新自由主義が個人間の競争を激化させれば、読書から実用性の無いものはノイズとされる。真面目な日本人は仕事に全身全霊で励み鬱病発症。半身で取り組み読書をする余裕が必要だ。
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2025年10月にナイスが最も多かったつぶやき

田中峰和

2025年9月の読書メーター 読んだ本の数:34冊 読んだページ数:11688ページ ナイス数:399ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/376379/summary/monthly/2025/9 小説:25冊、人文:8冊、漫画:1冊。「むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし。」から青柳碧人の昔話と童話シリーズに嵌った。ミルクボーイの漫才同様パターンが出来上がると受け手も楽しめる。令和版甲賀と伊賀の争いも面白かった。

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2025年10月の感想・レビュー一覧
34

田中峰和
陽子の妹とされていた加奈子は実は、財閥の御曹司の隠し子だった。重傷を負って誘拐された加奈子の行方を追う木場刑事は陽子から妹ではなく娘であることを聞かされる。京極堂の推理を訊きにくる関口と榎木津、鳥口たち。バラバラ殺人と、加奈子の殺人未遂、彼女の誘拐はそれぞれ別の事件で犯人も異なることを聴かされる。加奈子の列車飛び込みは自殺ではなく謎の男が突き落としたと証言した頼子だったが、実は彼女が犯人だった。その頼子が今度はバラバラ死体で発見される。犯人は関口のライバル久保のようだ。彼こそが隙間を嫌う変質者なのか。
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田中峰和
五鈴屋に何の恨みがあるのか、音羽屋の卑怯で悪辣な行い。妹の結を利用して図案の型紙を持ち出させ、次には罠に嵌めて呉服仲間からの追放。絹の呉服を扱えなくなった五鈴屋は大打撃をこうむる。自分の愛する賢輔が幸を想い続けることへの復讐は勘違いも甚だしい。この妹だけには因果応報によって地獄を見てほしいものだが、たゆまぬ努力の結晶をかすめ取る中国同様、資金力には勝てないものだ。これだけの目にあいながらも敵対しようとしないのが幸の弱さか。逆境のなかでも常に前向きに、新しい商いのアイデアを練る幸の新商品が実を結びそうだ。
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田中峰和
交通事故で四肢麻痺の重傷を負ったひまり。総合商社の総合職でキャリアを積んできた彼女は、苦しいリハビリを続けながらも回復には限界があり、会社からは復帰を認められず、転職活動もままならない。弁護士資格で新たな活路を開こうとするが、様々な難問が立ちはだかる。1日24時間介護の必要な状況で、法科大学院に合格し、さらに司法試験の受験勉強を続ける。さらに、筆記や入力が満足にできない状況で、法務省に直談判し、音声入力を認めさせた交渉力も凄い。不可能な夢物語のようだが、同様の努力をした人物がいたことがあとがきでわかった。
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田中峰和
プレカリアートのための生活防衛書。30年を超える長引く不況で、不安定な雇用と労働状況に苦しむ人は増え続ける。本人が努力しても不運が重なれば、フリーターからニート、ホームレスまであっという間に陥ってしまう。周りに相談する相手がいないなら、ぜひ読んでおきたい本である。たとえば、家賃が払えない場合、サポートを受けられる住居確保給付金が受けられる。ホームレスになる前に利用したい制度。生活保護の基準は13万円の支給。収入が10万円しかなければ3万円が支給される。他にも情報が詰まっていて、弱者を助けてくれる。
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田中峰和
エッセイコーナーの平積みの8割を占める老い本。五木寛之、佐藤愛子などを老いスターと命名するセンスは負け犬以来磨きがかかっている。長生きすれば必ずやってくる老いについては気になって当然。時代とともに変わる老いの意識。57年に出た「楢山節考」では、老いれば家族に迷惑をかけたくないと姥捨て山に入り最期を迎える。貧しい時代の現実を見せてくれた。72年には「恍惚の人」がベストセラーに。老人性痴ほう症と呼ばれていた時代、家族が世話するのが当然だった。今や介護保険が充実し、介護施設が姥捨て山の役割を果たしている。
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田中峰和
ポルターガイストの正体を探る超常現象調査隊。旬の過ぎた俳優の東城が暮らす一軒家で不思議な現象が起こる。晴子と越野のコンビが調査に乗り出すが、やがて東城が行方不明になってしまう。売れっ子とは言えないものの仕事を投げ出しての失踪に周りは大騒ぎ。超能力少年がテレビ出演でインチキがばれたように、ポルターガイストを起こす少女が呪いを遺して死んだことが原因のようだ。少女の霊に乗り移られた東城がスカイツリーに昇って晴子たちと大活劇。憑依の原因となる電磁波を関東一円にばらまいてしまう。少女の霊は退治されめでたしめでたし。
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田中峰和
長い京極堂の講釈が今回も見どころ。宗教者、霊能者、占い師、超能力者、それぞれのインチキの違いを説明する。聞き役は相変わらずボンクラ小説家の関口と新登場のカストリ雑誌編集者の鳥口。わずか300人ほどの新宗教の教祖とバラバラ死体に疑念をもった鳥口は宗教団体に潜入したが、自分の身分を看破され逃げてしまう。今回、京極堂にあったのも、この案件の相談が目的だった。14歳の少女二人が巻き込まれた事件。かつての大女優の妹が列車に向けて突き落とされ重傷。刑事の木場がこの件に関わる。木場と関口はどこで再会するのかに期待。
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田中峰和
「世の中には不思議なものなど何もない」と断言する京極堂。陰陽師の家系ということで、妙な能力を連想させるが、実は理論武装と推理力で呪われた家系の難事件を解決してしまった。新人文士の関口は何とも情けない狂言回しを演じて、幼すぎる彼を救ってくれるのが京極堂の役割。探偵を名乗っている榎木津よりよほど名探偵を演じている。気になるのは妻がいるはずの関口が久遠寺涼子に傾倒し過ぎて、自分自身を見失ってしまうこと。まるで子供のように自制心が無くなり、周りをあきれさせる。親友とはいえ、そ頼りない男を見守る京極堂が立派過ぎ。
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田中峰和
旧制高校出身の3人の仲間の話。京極堂は古書店の店主で売れない作家関口の相談役。先輩にあたる榎木津は元子爵の子孫だが、今は自社ビルに居を構える探偵。関口が京極堂に20か月も子どもを身ごもっている妊婦の相談をしたところ、榎木津に調査を依頼することに。問題の妊婦の家は久遠寺医院の娘で、夫は夫婦げんかの末、失踪したとの証言を得る。物忘れを友人たちに指摘される関口だが、この医院とその妊婦が子どもの頃の記憶が脳内で再現される。会った人物の過去が見える榎木津とその妹を連れ医院を訪れるが、榎木津は逃げ、関口は危機に陥る。
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田中峰和
子守りのエマの首吊り死体発見で捜査を開始するペレス。今回もウィローを招聘するが、注目すべきは彼女の妊娠。出産するつもりと伝えられたペレスは無責任な返答をしてしまう。彼にはいまだにかつての婚約者に死なれ、その娘キャシー扶養の責任感から逃れられない。上司にあたるウィローより、主導権をとりがちなペレスだったが、今回は部下の役割が目立つ。父親のDVで育ったエマは、子守りをしていた子どもたちへの虐待で憂さを晴らしていたという事実。未成年の犯罪というやりきれない事件だが、ペレス、ウィロー、サンディの幸で終わる。
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田中峰和
近代日本が発展するなかで、読書がどのように変遷してきたか。明治以降の読書についての歴史から説かれる。明治から大正期の読書はエリートの教養で、戦前戦後になってエリートと大衆の教養になった。オイルショック以降バブル崩壊までは娯楽の扱いで、それ以降、ノイズ扱いされている。自己啓発の面では修養から教養、会社の研修、バブル崩壊以降は情報の役割となる。新自由主義が個人間の競争を激化させれば、読書から実用性の無いものはノイズとされる。真面目な日本人は仕事に全身全霊で励み鬱病発症。半身で取り組み読書をする余裕が必要だ。
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田中峰和
幸の賢さに対し、妹の結の幼さと愚かさが際立つ巻。3兄弟に嫁ぐという稀有の苦労を味わった幸だが、そこには彼女の能力と他者への思いやりという天性のものがあった。それに対して何の取り柄もない結は、コンプレックスに苦しみ続けていた。27歳にもなって、五鈴屋での立ち位置が定まらず、嫁にも行けない。手代の賢輔への思いは一方的で、彼の気持ちが姉の幸に向いていることを目の当たりにして、精神は破綻してしまう。貧しい田舎で母と暮らし、貧苦は味わったが、苦労を知らない結。幸が大事にし過ぎたのが裏目に出たのか。恋の恨みはこわい。
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田中峰和
日本各地でクマ被害が続出している。ヒグマはツキノワグマの2倍、カムチャツカヒグマはその2倍ほどもある。そんな巨大なクマに襲われた人類学者のナスターシャはシベリア先住民族エヴェンのところでフィールドワークをしていた。彼女はヒグマに頭部を噛まれあごの骨が砕ける重症を負ってヘリコプターで搬送されるが、外科手術も克明に描かれ、恐怖を感じさせる。アイヌ民族がヒグマを神と崇拝するように、エヴェン人も神聖化している。ナスターシャ自身ヒグマの夢を見続け、合体したように感じ、なかば狂気に陥る。恐怖が人格まで変えたようだ。
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田中峰和
智蔵と江戸進出を誓った幸だが、夫の早逝で夫婦揃っての出店はかなわなかった。だが、幸にとってかけがえのないのが、女衆の竹だった。小頭に抜擢された竹は思う存分能力を発揮して幸の懐刀となっていく。女名前の店主を認めない大坂のしきたりに3年の猶予を勝ち取った幸だが、いずれ跡継ぎを決めなければならない。そんなとき、五代目の惣次が江戸にいることが分り、何とか次の3年の猶予期間を得た。歌舞伎役者とのパイプができて、さらに発展していく五鈴屋。役者の富五郎が語る若い頃の仲間こそ、夫の智蔵のことだった。ここでも縁は繋がる。
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田中峰和
女名前禁止のしきたりを守る大坂は古臭く、今でも政治や企業では女性に不利な状況。マスコミの高市いじめは当時の大坂のようだ。江戸出店は幸の創意工夫が活かされる、新世界のようなもの。女衆の竹を表向きの小頭に起用するなど、仕入先や商品の工夫だけでなく組織や人材登用においても封建制の殻を破る大胆さ。親旦那や治兵衛のいない江戸でもその手腕は衰えず、出店に向けて次々とアイデアを出し続ける。人の会話や風景に接しても、それをヒントに新たなものを生み出す。四十七士討ち入りの日を開店日に決めるなど、江戸の粋も生かしている。
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田中峰和
2020年のパンデミックで激変した生活や社会構造。この変化がミステリにどう影響を与えたか。新型コロナ、東京オリンピック、分断国家、政治腐敗、失われた30年などのテーマで各章論じられるが、安倍晋三の名が度の章でも登場することに気づく。一章ではコロナ禍で後手の対策に終始し、退陣したこと。二章では東京五輪開催に際し、原発をアンダーコントロールと無責任に断言し、三章では「こんな人達には負けられない」と発言。四章では森友・加計学園問題、山口敬之の性加害などでの忖度など、度の章でも安倍批判が続く。アンチにとって良書。
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田中峰和
戦後80年。戦争に行った軍人はほとんど100歳を超え、恩給を支給されている人はほどんどいない。気になるのは死線をさまよった兵士の棒級年額が145万円で大将は833万円という格差だ。主人公の尾崎は命を救ってくれた軍医小笠原の家族を探し、亡くなった兵士への補償制度を求め、国に働き掛ける。一方、小笠原家の妹は空襲で家族を失い、自分も後遺症が残る。兵士だけでなく、非戦闘員も当然、保証を受けるべきと運動を起こそうとするが、見えない敵が妨害してくる。それはディープステイトなのか。実態は明かされないが不気味だった。
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田中峰和
吸血鬼はあり得ないという点から、犯人と目されていたベトナム人の入院先が怪しい。しかも血液の病気。人力では体内の4リットルもある血液を吸いつくすことは不可能だ。病院や医師が絡んでくるところから、担当医の作田が怪しいと思ってしまったが、全くの的外れだった。ベトナム人の技能実習生が関わる事件で、現代社会の問題にも焦点を当てているところは登場人物の軽さと比較すれば社会性もある。首筋にできた二つの穴は牙のあとではなく、当然機会によるものだった。人工透析は血液の毒素をろ過して戻す役割だが、戻さない結果の失血死だった。
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田中峰和
「日射病」は人妻と一晩だけの関係をもった中尉の回想が綴られる。金銭的な授与はないが性的な関係をもってしまった。三歳の子を持つ母親なのに、なぜ彼に身を委ねたのか。言い訳のように、暑すぎることで理性が利かなかったのは言い訳。日射病は肉体的な疲弊を生むが、彼は精神的な疲れから回復できない。一晩という時間は、その後の彼の人生でどのような位置づけになるのか。一方、「ミーチャの恋」では、冬から夏にかけての季節の変化を背景に揺れるミーチャの心が描かれる。心浮立つはずの春という季節、ミーチャの心理的波乱がやってくる。
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田中峰和
自分がどれほど不幸でも、それを認めない少女ソフィア。夫のDVに耐え切れず逃げ出した母への思いは恨みだけ。家事だけでなく、酒場の給仕までさせられるソフィアだが、兄のエディも何もしてくれない。孤立するソフィアの家の向かいに現れたナタリーは、不思議な少女で、週単位で別の人柄を演じるが、ソフィアにとって唯一の友達となる。ソフィアの父を客観的に観ているナタリーは父の間違いを指摘するが、ソフィアは認めたくないので仲たがいする。ソフィアとナタリーへの暴行が激しさを増すなか、ついにエディが父を病院送りにして、一安心。
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田中峰和
一言で言えば、気持ちの悪い作品を集めた短編集。安部公房に通じる突飛な発想で読者を不思議な世界に誘う。最初の「ほどく」でいきなり、読むことを拒否する読者が現れるはず。自分の身体をほどく方法を発見した女性たちが反乱を起こす。封建制からの脱皮なのかと、そこに意味を求めようとしても拒否される。古い自分をほどいて出現したのはミシンのようでアリにも似た不思議な姿。想像を絶する創造力に作家の狂気を感じる。以降、似たような作品ばかりで、異常な物価高や少子高齢化、ディストピアに向かう現代を想起させる闇が見えてくる。
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田中峰和
2万人の死者を出した東日本大震災。数日後に、2人の命を奪って逃亡する真柴亮。まだ見ぬ実の父を求めて逃亡を続ける真柴だが、家族と離れ迷子になった直人に懐かれて二人で逃げ続ける。犯人を追う刑事たちも家族を亡くしているが、陣内は自分の家族より事件解決を優先し妻に詰られる。祖父から父の悪口だけ伝えられて育った亮は、施設で育ち、ようやく正社員に慣れたのに、先輩の甲野のせいで事件に巻き込まれ、半グレと警官殺害の罪で警察に追われる。不運が重なって2人の命を奪った亮だが、結局狙撃される。命の価値を考えさせられる。
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田中峰和
チヨダ・コーキもスロウハイツも知らないので、他の読者ほど乗り切れない。読むには年を食い過ぎているのもあるだろう。知能指数上位2%の選ばれた頭脳のメンサのように、千人限定で殺しのライセンスをもたせるマーダーライセンス協会。その会員ティーは、3年前に別れたアールの電話を受けて、彼女を探す。噂ではアールは売春グループを組織し、本人も娼婦となっている。ようやくたどり見つけたのは、彼女の死体だった。しばらく殺人を控えていたティーだったが、職人のJに銃を作らせ、アールの復讐のために立ち上がる。
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田中峰和
ちりめん本とは縮緬のように表面がデコボコした和紙に印刷された本。浮世絵など日本ブームが起こった西洋に日本の昔話を紹介している。10作品中、最後の「しっぺい太郎」だけは知らなかった。村の神に娘を人身御供にしなければならない慣習があり、通りすがりの若者が関与するという話。前の晩に化け猫たちが踊り狂う姿を目撃した青年は神の正体が化け猫だと見抜き、しっぺい太郎と呼ばれる犬と協力して化け猫を退治する。今昔物語にも紹介される中世の説話だが、なぜか普及していない。狸が老婆を鍋で煮てその夫に食わせるなど残酷な話が多い。
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田中峰和
耐久性のある国産車ブレイクショットに関係する人々の群像物語。自動車メーカーの期間工が他の工員がボルトを落としたシーンから始まる。サッカーユースのメンバーの晴斗と修悟は大の仲良しだが、それぞれの父の生活レベルは違い過ぎる。修悟の父冬至はファンド企業の役員で晴斗の父友彦は板金工。トップの不正が報じられた冬至の車ブレイクショットは転売され、友彦のマイカーに。さらに中央アフリカの戦場にまで流れていく。てっきり、冒頭の車だと思い込んでいたが、時期ずれるし全く別のものと分かったが、車の軌跡から人生が描かれる。
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田中峰和
三兄弟に嫁いできた幸だが、三男の智蔵との結婚でようやく幸せをつかむ。ところが、妊娠したのに早産で胎児を亡くし幸自身の命も危機に陥るが智蔵の優しさに救われる。桔梗屋のっとりを妨害された真澄屋は、その後も五鈴屋の商い手法を盗み、前に立ちはだかる。詳細の無さを恥じる智蔵だが、奉公人と妻への優しさと気遣いは満点。いよいよ江戸進出にむけ、二人で江戸に住もうと覚悟するが、智蔵の身体に異変が。早い展開のなかで、順調と不幸が訪れるので、飽きさせない。
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田中峰和
所帯をもった長男が早逝し、次男に嫁ぐが出奔され、それでも商いの道を諦めない幸を救ってくれたのは、三男の智蔵だった。女の主人を認めない大坂商人のしきたりを守るには、自分が人形となって、幸の望を叶えるしかない。貸本屋に住み込んで9年。浮世草紙の夢をあきらめて五代目徳兵衛になる決意をする。条件は次男同様、幸を嫁にすることだった。江州との取引が始まり、羽二重の売り上げが一気に伸びて、五鈴屋も規模を拡大する時期にきた。世話になった桔梗屋が店を畳むため、買収の声をかけたのが評判の悪い真澄屋。幸は桔梗屋を救えるのか。
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田中峰和
新NISAとは国家による投資詐欺と喝破する著者。死を覚悟した男に怖いものはない。貯蓄から投資の政策こそSNS型投資詐欺の生みの親。前段階として金融庁は定年時点で2000万円必要という報告書を出し国民を焦らせた。今後、厚生年金の給付額が最悪の場合43%も目減りすると脅かした。当然、国民は老後資金をどう確保すればよいのか不安に駆られる。一国の総理大臣が貯蓄から投資へと、証券会社のセールスマンと化した。新NISAを使えば1800万円までの売却益や配当は非課税になるとの売り文句。政府の欺瞞を暴いた著者を称える。
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田中峰和
次男の惣次が徳兵衛を次いで、五鈴屋は好転したかに見えたが、人間の本性は変わらない。儲けを出すという商いの基本はわかっていても、情というものがない。米中の娘の婚礼衣装をまかされる大取引を手代が掴んできたが、ぬか喜びに。その店の手代が横領で損失を出して経営危機にった途端、惣次は取引を断る。見かねた母の富久が陰で衣装の手配をし、幸に商いには情が大切なことを教える。幸の発案で江州の生産者に絹織の生産を発注し、軌道に乗りそうになるが、両替商の倒産が起こる。幸の意見に立腹した惣次は殴りつける。不作の兄妹だった。
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田中峰和
世襲制の弊害がこの巻のテーマ。色好みで仕事に何の興味も持たない長男の徳兵衛。次男の惣次は働き者だが、人間的に冷たい。遊郭通いしか興味のない徳兵衛と結婚させられた女衆の幸は、ご寮さんになったが子ども過ぎて徳兵衛に相手にされない。番頭の治兵衛が中風になって退職し、長男は働かない。惣次は大店の婿養子と縁組の話がきて、五鈴屋は風前の灯火。悪所通いからの帰り道、酔っぱらって大けがをした徳兵衛はそのまま、帰らぬ人となった。徳兵衛の母富久の煮え切らない態度が全ての元凶だったが、彼の死で幸と惣次に運が開けた。
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田中峰和
一時期流行った断捨離とは真逆の人たち。起業家と離婚した妹と40過ぎても独身の姉。タワーマンションに住む妹は働き者の姉と違って贅沢三昧で姉のファッションをくさし、大事な服まで捨てていく。質素で実用的なライフスタイルをバカにされているようで腹が立つ。婚約中の女は大好きな本を処分したのに、フィギュアを大事に抱えて戸惑う男。こんな優柔不断な男と別れるべきと思う。溜め込み過ぎる母は認知症が原因なので、同居か施設の準備が必要。無類の女好きで浮気しまくりの夫が検査入院中、浮気の証拠三昧。死ぬまで性豪は治らない。
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田中峰和
源流は戦国・江戸時代に遡る甲賀と伊賀の忍者集団が、令和の現代、大戦争勃発。明治政府で警察組織に入り込んだ甲賀忍者だが、伊賀は軍部に管理され敗戦とともに解体された。もっともらしい理屈が面白い。以来、両者の対立は続き、草として世間に入り込んだ末裔たちは事件の度に、総帥の白神に呼び出される。三億円事件が両陣営の確執から生まれ、伊賀が奪った三億円を甲賀が横年したと思い込む伊賀の総帥は、復讐を果たそうとして子孫の小学6年生セイラを誘拐する。常に一枚上手の甲賀は事件を解決し、伊賀は敗北を続けるという設定。
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田中峰和
ほとんどの話が昭和28年のもの。「青女房」のように終戦直後、戦地から引き揚げてきた兵隊の話が印象的。育児放棄した妻が一言も話せなくなり、話せるようになったら、夫一人で育てた子供が口をきけないことを詰る。狂った妻が青女房なのか。不気味な話だが、他の作品とも共通するのは主人公の厭世観。全てが嫌になって生き続ければ、変なものが見えて、妖怪も出てくるだろう。母親が死んでも放置している「鬼童」も怖いが、現代にもありそうで、余計に怖い。放置しているだけでなく、殺害までしているようでさらに怖い。
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田中峰和
元武家でも貧しい学者の娘・幸は「商いはいつわりなり」と教えられて育ったが、皮肉なことに兄と父が亡くなって呉服屋の五鈴屋に奉公に出される。父以上に封建的な商家では女は人としてすら扱われない。幸は最下層の女衆になるが、理解ある先代の母親富久と番頭の治兵衛によって、厳しいながらも愛情をもって育成される。天主の徳兵衛は廓に居続ける無類の色好みで店の事を顧みない。富久と番頭は色好みの徳兵衛を正そうと嫁をとらせるが、色狂いは治らない。幸に優しくしてくれた嫁の菊栄も実家に戻り、結納金の返済を迫られ五鈴屋は危機を迎える。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/07/17(4532日経過)
記録初日
2013/07/17(4532日経過)
読んだ本
5156冊(1日平均1.14冊)
読んだページ
1659122ページ(1日平均366ページ)
感想・レビュー
5149件(投稿率99.9%)
本棚
16棚
性別
年齢
71歳
血液型
AB型
職業
無職
現住所
京都府
URL/ブログ
https://www.facebook.com/muscletanaka
自己紹介

図書館から借りての読書がほとんど。
したがって、書き込みはできません。

図書館中心なので、新刊の小説は人気がありすぎるので、
読みません。

京都と大阪の図書館を利用していますが、府立は学術書が
豊富で、京都市立は大衆的な書籍が多いのが特徴。

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