愉快な冒険譚にページを捲る手が止まらなかった。読み進むうちにフィールドワークというものへの理解も深まった。著者は優秀な昆虫学者であるだけでなく、発信者、表現者としての才能にも恵まれている。もちろん努力された部分もあるだろうが。それにしても、若い研究者たちの厳しい現状には胸が痛む。

知人からの回覧本。すいすい読めて肯ける部分もあったが、結局よくわからないまま読了。いろんな人を痛烈に批判しているが、その根拠が十分に語られていない。同じ事実を見ていても、立場が違えば真逆の解釈が成り立つというのは確かにその通りだと思うが…

「パタゴニア」に陶酔し過ぎて、何となく次を読むのが躊躇われたことから、この本は長く読まないままだった。ヘルツォークの「歩いて見た世界　ブルース・チャトウィンの足跡」を観て俄に手に取った。日に焼けて黄ばんだページを夢中で繰った。チャトウィンの幼年時代の思い出から始まる「パタゴニア」のしっとりした雰囲気とはまた違った魅力にあふれた作品だった。後半に挿まれた作者のノートの記録も興味深く読んだ。数少ない残りの作品も読んでみたい。

「ソングライン」と併読していたので、まず両作の趣の違いに驚いた。そしてどちらも読ませるチャトウィンはやはり偉大な作家だ。読み始めてすぐ井伏鱒二の「珍品堂主人」を思い出した。主人公の蒐集家特有の珍妙さが愉快でもあり、もの悲しくもあった。訳者のあとがきの冒頭にある通り、「いい小説を読んだ。」という満足感でいっぱい。

時代に取り残された風景や事物が、静かに語り出す声が聞こえるような気がした。

紹介されているワークは、心が疲れている時でも実践できそうなシンプルなものばかりです。それと知らず似たようなことをしている人も多いのでは。セルフケアにとどまらず、他者支援の道具箱として活用したいです。

甥が反田恭平さんのファンで、名前だけは知っていたが、演奏は聴いたことがなかった。ショパンコンクール２位関連のニュースで初めて彼のピアノを聴いた。パワフルだけど緻密で繊細、この本から伝わる反町恭平さんは、彼の弾くピアノそのもの。

昨今は何のための信仰かと暗い気持ちになる出来事が多いけれど、片柳神父の優しい語りもあって、素直な気持ちで読み進めることができた。

愉快な冒険譚にページを捲る手が止まらなかった。読み進むうちにフィールドワークというものへの理解も深まった。著者は優秀な昆虫学者であるだけでなく、発信者、表現者としての才能にも恵まれている。もちろん努力された部分もあるだろうが。それにしても、若い研究者たちの厳しい現状には胸が痛む。