結婚を控えたさくらに突然、記憶にない年下の兄が現れて…新手の詐欺としか思えない、この状況を著者がどう展開させていくのか興味津々で、どんどん読み進めていった。さくらより警戒心が強い私でも感じる、図々しさと親しみやすさと生真面目さと繊細さが同居する「おにいさん」の魅力。結婚相手の山田さんとその両親、さくらの妹のすみれなど周囲の人々も不思議なほどおにいさんを自然に受け入れていき…さくらが封印していた過去がほどけて、遂に分かるおにいさんの正体。善良な人達が織りなす現代のメルヘン。年末に心が温かくなった。

結婚を控えたさくらに突然、記憶にない年下の兄が現れて…新手の詐欺としか思えない、この状況を著者がどう展開させていくのか興味津々で、どんどん読み進めていった。さくらより警戒心が強い私でも感じる、図々しさと親しみやすさと生真面目さと繊細さが同居する「おにいさん」の魅力。結婚相手の山田さんとその両親、さくらの妹のすみれなど周囲の人々も不思議なほどおにいさんを自然に受け入れていき…さくらが封印していた過去がほどけて、遂に分かるおにいさんの正体。善良な人達が織りなす現代のメルヘン。年末に心が温かくなった。

不思議で綺麗な話だった。アメリカに住んでいる叔母が日本旅行中に突然死し、莫大な遺産を相続することになった弦矢。だが、６歳の時に何者かに誘拐され、27年間行方不明になっている娘レイラが見つかった場合、遺産の７割は彼女に渡すようにとの遺言があり、彼は叔母の大邸宅に仮住まいしながら、レイラの行方を捜し始める。広大な庭の中の色とりどりの花々、海の見える絶景、叔母の残した手作りスープ、叔母の周囲の人々との淡い交流、そして明らかになる衝撃的な事実。ミステリーというより人の生き方で読ませる。弦矢の善良さが際立っていた。

マッサージ店で働くさくらは客の松原と付き合うようになるが、その束縛的、支配的態度から別れを切り出すが、分かってもらえない。ストーカーの典型とも思われる言動がリアルに描かれ、嫌悪感と恐怖感が募った。松原はとんでもない男だが、一方でさくらの態度や考え方にもイライラさせられるものがあった。途中、警察やカウンセラー役の女性のストーカー対処法がページを割いて語られもした。さくらは家族や同僚の池田先生に支えられ、やっと新天地で新たな一歩を踏み出すかにみえたが…衝撃的な結末！最後に松原の内面が描かれたのはフェアだった。