家裁調査官研修中の望月大地が数々の案件を通して調査官として、人として成長していく話。ラインで知り合ってラブホに行った男性から金を盗んだ少女、彼女に振られてストーカーする男子高校生、とにかく離婚したいと願う女性、10歳の男の子の親権を得たい離婚寸前の夫婦。どの案件も薄っぺらい観察眼では真実が見えてこない。足を使ってこまめに調べ、当事者や周囲の人や物事をよく観察し、何より当事者を救いたいと思う気持ちが大事と実感。向いていないのではと悩みながら進む大地にも好感を持った。表題は当事者と大地に向けられたもののよう。

移住者を募り、無人集落簑石を再生させるIターンプロジェクトに取り組む南はかま市甦り課の西野課長、万願寺、観山。しかし移住者に次々とトラブルが起きて誰もいなくなり、プロジェクトは失敗に終わる。一つ一つのエピソードが面白く、上質のミステリーになっている。万願寺が語り手となり、課長や観山の意外性も楽しめて満足していたら最後にひっくり返された。ぞっとさせ、悲哀を感じさせるエンディング。さすが米澤穂信さん。あくまでもミステリーなのだろうが、このようなプロジェクトに取り組む公務員の心情が繊細に描かれていて心に響いた。

家裁調査官研修中の望月大地が数々の案件を通して調査官として、人として成長していく話。ラインで知り合ってラブホに行った男性から金を盗んだ少女、彼女に振られてストーカーする男子高校生、とにかく離婚したいと願う女性、10歳の男の子の親権を得たい離婚寸前の夫婦。どの案件も薄っぺらい観察眼では真実が見えてこない。足を使ってこまめに調べ、当事者や周囲の人や物事をよく観察し、何より当事者を救いたいと思う気持ちが大事と実感。向いていないのではと悩みながら進む大地にも好感を持った。表題は当事者と大地に向けられたもののよう。