町田そのこさん初読。門司港にあるコンビニ店を舞台に、人を虜にする店長志波とどんな困りごとでも解決する「なんでも野郎」ツギの兄弟が様々な人の悩みに寄り添い、その人生を応援する話。意図は分かり、良い話だと思うのだが、正直、少し引きながら読んだ。強烈なフェロモンを発するという志波の人物像があまりイメージできなかったり、どこにいてもツギが見つけ出すことができるのが現実離れしていたり…と言いつつ、漫画を描くことを諦められない桐山良郎の話や女子高生梓と那由多の話、スタッフ中村光莉の息子恒星の恋と友情の話が心に残った。

町田そのこさん初読。門司港にあるコンビニ店を舞台に、人を虜にする店長志波とどんな困りごとでも解決する「なんでも野郎」ツギの兄弟が様々な人の悩みに寄り添い、その人生を応援する話。意図は分かり、良い話だと思うのだが、正直、少し引きながら読んだ。強烈なフェロモンを発するという志波の人物像があまりイメージできなかったり、どこにいてもツギが見つけ出すことができるのが現実離れしていたり…と言いつつ、漫画を描くことを諦められない桐山良郎の話や女子高生梓と那由多の話、スタッフ中村光莉の息子恒星の恋と友情の話が心に残った。

夫が浮気しているとの匿名電話を受け、相手の里美と会いながらも日常生活をつづけていくのゆり。卓哉の厚顔さや里美の不遜さに猛烈に腹が立つが、そんな卓哉をのゆりが変わらず好きなのが切ない。卓哉に「離婚してくれ」「プライドはないのか」と言われたり、里美から卓哉を突き返されてものゆりは変わらなかったが、匿名電話と無言電話の女性栗原が出現してから形成が逆転していく。すがりつく卓哉に、最後にのゆりから「別れよう」というのだ。静かに深く思いを巡らし、泣きながらも決断を下したのゆりに喝采を送りたい。心に沁みた恋愛小説。

米澤穂信さんの本にまつわるエッセイ集。好きな作家さんなので、プライベートな面をもっと知りたい気持ちもあって読み進んだが、謙虚な性格な方のようで、自分のことというより好きな本、好きな作家、書店についての話が大半だった。それでも人となりが滲み出てくる。本人は否定しているが、かなりの読書家。少年の頃から物語を作ることも読むことも大好きな、小説家に生まれついたような人。ミステリーについての語りは情熱的で雄弁。紹介されている作品は読んでみたいと思わされるものが多かった。書店愛も凄い。同業者との対談も面白かった！