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2022年3月の読書メーターまとめ

やまおじさん
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2022年3月に読んだ本
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2022年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

やまおじさん
ザラザラした後味が残った作品。桐野夏生の作品らしいといえばそうなのだが、面白かった! と素直に言えない奇妙な読後感。文庫版解説(精神科医・批評家の斎藤環)に書かれていることだが、桐野作品の世界は「謎解きのないミステリー」という表現が当てはまるのかも。理解できるようなできないような、この小説の登場人物たちには、以前読んだ『OUT』に出てくる主婦たちに通じるような不気味さを感じた。こういうのが桐野作品の魅力というか魔力なのかもしれない。好き嫌いが大きく分かれる作家だと思うが、私はまだまだ読み続けたい。
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2022年3月にナイスが最も多かったつぶやき

やまおじさん

2022年2月の読書メーター 読んだ本の数:7冊 読んだページ数:1609ページ ナイス数:94ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/466409/summary/monthly/2022/2

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2022年3月の感想・レビュー一覧
18

やまおじさん
女性探偵 村野ミロ・シリーズの第2作。第3作『水の眠り 灰の夢』、第4作『ローズガーデン』を先に読んでいたので逆順になってしまったが、次は第1作『顔に降りかかる雨』(江戸川乱歩賞受賞作)を読んでみたい。主人公の村野ミロの魅力はもちろんだが、隣人のトモさんや、事件の当事者たち、ミロの父親の善三など、皆、生き生きとしている。「雨の化石」(ピソライト)の謎解き、最後のどんでん返し。上質のミステリーとして読んだ。
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やまおじさん
1988年の「すばる文学賞」最終候補作に手を加え文庫オリジナルとして刊行。改稿前は「自分の作品ながら通読するのも辛いほどだった」(あとがき)というが、作者の初々しさが感じられる佳作になっている。東京ディズニーランド開業(1983年4月)直後、バブル前夜の「時代に取り残された人々」を描きたかったという。ちなみに桐野夏生のその頃の作品―1984年『愛のゆくえ』(第2回サンリオロマンス賞佳作)でデビュー。93年『顔に降りかかる雨』(第39回江戸川乱歩賞受賞)。98年『OUT』(第51回日本推理作家協会賞受賞)。
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やまおじさん
短編集。「奴隷小説」というタイトル通り、奴隷的な状況でもがく人物たちか描かれていて不気味。なかでも寓話的な話や、フランシスコ・ザビエルの時代の人身売買(乱取り、人取り)の話などが面白かった。
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やまおじさん
自分でもあきれるほど桐野夏生を読み続けている。すっかりハマってしまって抜け出せない。この長編は、ひとつ前に読んだ『はじめての文学 桐野夏生』(文藝春秋2007年刊)の「リアルワールド『ホリニンナ』」に引き込まれて読んでみた。4人の女子高生と、母親殺しの男子高校生のからみあい、彼らの内面が、これでもかといったリアリティで迫ってくる。見当はずれかもしれないが、村上春樹の小説を思い浮かべてしまった。村上春樹の小説に描かれる登場人物たちの内面描写との類似という意味で。この文庫版の解説も斎藤環(精神科医・批評家)。
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やまおじさん
少年少女向け自選アンソロジー・シリーズの一冊。活字が大きく行間もゆったりしていて、おまけにルビまで振ってある。中編6作所収。冒頭の単行本未収録作「使ってしまったコインについて」を読んだ子どもたちは、内容の過激さに驚くことだろう。「小説には毒がある」「優れた小説には、いいことばかりは書いてありません」「年若い方に対しても、毒を減ずる気持ちはない」と、あとがきで言い切る桐野夏生の面目躍如。短編集『アンボス・ムンドス』所収の2作と「ファイアー・ブルース」シリーズの2作、「リアルワールド『ホリニンナ』」が面白い。
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やまおじさん
桐野夏生に「村野ミロ」シリーズがあることを、最近知った。新装版ではなく初版2003年版を古本で読んだ。ひとつ前に読んだ『水の眠り 灰の夢』(1995年刊)に、ミロの父母と養父(村野善三)の1960年代の物語が綴られていた。私の中で両者が繋がったのがうれしい。主人公の探偵 村野ミロが魅力的。桐野作品らしく人間の欲望や心理が巧みに描かれているが、一部の桐野作品がもつ暗くドロドロしたところが薄く、抵抗なく読めた。もちろん、それぞれに影のある登場人物たちの造形は、さすがだ。シリーズの他の作品も読んでみたい。
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やまおじさん
文庫470ページ、読みごたえのある長編小説。ゆっくりした展開にじれったかったが、中盤から、俄然、面白くなってきた。1963年、オリンピックを翌年に控えて東京が大きく変貌しつつあった時代。草加次郎事件の犯人捜し、女子高生殺しの謎。ミステリー的な展開に引き込まれた。トップ屋と呼ばれた週刊誌記者たちの群像が魅力的。文庫解説(武田砂鉄)の指摘――”泣ける” ”感動的”といった感情(「涙の強盗」)を拒絶する桐野小説のルポルタージュ的手法――は鋭い。梶山季之・草柳大蔵・竹中労といった当時のトップ屋を彷彿とさせる。
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やまおじさん
ザラザラした後味が残った作品。桐野夏生の作品らしいといえばそうなのだが、面白かった! と素直に言えない奇妙な読後感。文庫版解説(精神科医・批評家の斎藤環)に書かれていることだが、桐野作品の世界は「謎解きのないミステリー」という表現が当てはまるのかも。理解できるようなできないような、この小説の登場人物たちには、以前読んだ『OUT』に出てくる主婦たちに通じるような不気味さを感じた。こういうのが桐野作品の魅力というか魔力なのかもしれない。好き嫌いが大きく分かれる作家だと思うが、私はまだまだ読み続けたい。
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やまおじさん
デビューから10数年後の1990年代後半に雑誌に掲載した短編9作を集めたもの。同じく短編集「アンボス・ムンドス」にも感心したものだが、作者の力量を感じる。自作解説のような「あとがき」に書かれているのだが、作者は子供の頃、地面に埋まっている石ころをひっくり返し、剥がした跡にある異世界を見るのが好きだったという。作者にとって短編小説とは「一個の石をめくってみて、その下にある世界を見る驚きや、その世界を書くこと」だと。日常生活の裏側に潜む不気味な世界を読者に突きつける。ひさしぶりに短編小説の面白さを満喫した。
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やまおじさん
さして期待せずに読み始めたが、さすが桐野夏生。面白い。どこにでもありそうな現代の親子四人家族。わがままで自己中心的な夫、反抗期の息子二人。彼らに翻弄されながら自分を見失っている46歳の妻が、ある日、思いがけない行動に出て、家族が崩壊に向かっていくさまが、読者には面白おかしく展開されていく。桐野作品にしては暗さがなく、気楽に読める(当事者には、けっこう深刻な小事件が続くが)。後半、長崎の老人との出会いから思わぬ展開に…。新聞連載小説と知り、なるほど、と納得。タイトルの”荒野”に込められた作者の思いは深い。
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やまおじさん
連合赤軍の凄惨なリンチ事件の当事者(”兵士”だった女性)のその後を描く。永田洋子や森恒夫が実名で登場し、主人公を含む他のメンバーも仮名で登場。事実をベースに桐野夏生らしい視点からこの事件の意味を問う。最後、どんでん返しのように主人公が隠していた過去が示され、驚く。文庫解説の弁護士(大谷恭子氏)に取材協力を求めていたことを知り、朝日新聞2020/12/15の著者の寄稿「不寛容の時代」の記述に納得。<正しき者、正しき行いを描く作品には、確かにカタルシスがある。だが、人間の行いは正しいことばかりとは限らない。>
やまおじさん
2022/03/19 09:46

(寄稿)不寛容の時代 小説家・桐野夏生:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/DA3S14730829.html

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やまおじさん
下巻にはいって、その目まぐるしい展開にハラハラドキドキしながら読了。なにしろ不気味な人間がたくさん登場する。これまで読んだ桐野作品の結末は、たいていが悲劇で終わっていて、苦い後味の残るものが多かったような気がする。だが、この小説では、かすかな希望が感じられて、ほっとした。福島第一原発事故後の日本の状況が、ひとつ間違えていたらこうだったかもしれない、という作者の想像(創造)力に基づく背景設定。そこに、幼児売買、原発棄民、外国からの移民、といった現代的な重いテーマを盛り込んだ傑作だと思う。読みごたえあり。
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やまおじさん
これも桐野夏生の傑作。幼児売買と3.11の震災を核に、人間のこころの闇を、これでもかと描く。なぜこれほど人間の暗部を描き続けるのか? 朝日新聞への寄稿(2020.12.15)「不寛容の時代」で桐野夏生は次のように書いている。<正しき者、正しき行いを描く作品には、確かにカタルシスがある。だが、人間の行いは正しいことばかりとは限らない。人間は愚かで、間違いを犯す。><正義と悪、右と左。二元論で語られるほど、人間は単純ではない。むしろビトウィーンな存在なのに、他人の曖昧は許すことができないらしい。> なるほど。
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やまおじさん
単行本も持っているが、なんとなく文庫で読みたくなり、ちいさな活字を追った。目がショボショボ。1975年12月から翌年4月にかけて「夕刊フジ」に連載されたエッセイ。このタブロイド紙には、山口瞳、吉行淳之介、筒井康隆、田辺聖子らも、山藤章二の挿画で連載している。懐かしい。五木さんもまだ40代前半、最初の休筆を終えて『凍河』『戒厳令の夜』の二大連載を終えたばかりの頃。軽妙な語り口の「重箱の隅」をほじくるような身辺の話題が気楽に読める。山藤さんの絵がまた楽しい。遅筆の五木さんに振り回される様子も透けて見える。
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やまおじさん
ドイツのビオンテック社創業者エズレム・テュレジとウール・シャヒン夫妻(ともにトルコからの移民)がmRNAワクチン技術を新型コロナウイルスのワクチンに応用。超スピード(ライトスピード=光速)で開発していく様子を密着取材したもの。登場人物名が多くて読むのに苦労したが、なんとか読了。巻末の「付録・ワクチンに入っているもの/いないもの」リストはワクチン否定論者(トンデモ論を言いふらす人たち)に読ませたい。読まないだろうが。卵・ゼラチン・防腐剤・金属・超小型電子機器・電極・カーボンナノチューブ等々、入ってないよ。
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やまおじさん
桐野夏生さんの最新作(2021.10)。面白くて夢中になり、いっきに読了。”ネグレクト”、児童虐待という現代の重いテーマに取り組んだこの長編小説は、さすが桐野夏生だと感心した。主人公の少年の視点からの独白部分には、ちょっと無理も感じたが、彼の鬱屈した心理は理解できる。周囲の大人や少年少女たちの動きも、さもありなんと。幕をすとんと落とすようなエンディングも、桐野さんらしく、私は好きだ。図書館本。予約の行列ができていて次の予約者が待っているので、すぐに返却しなければ。
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やまおじさん
1931年のいわゆる「満州事変」に端を発した日中戦争から太平洋戦争の開戦(日米開戦)に至るまでを、半藤一利・加藤陽子・保坂正康の3氏の鼎談で検証。2017年8月にNHKラジオで放送された内容(3氏の対談)に保坂正康氏の解説が加えられている。冒頭、先の戦争の呼称についての議論が興味深い。保阪氏が「日本人の戦争観はぐらぐらと揺れ続けている」と喝破しているが、いまだに日中戦争、太平洋戦争(アジア太平洋戦争)を総括できておらず、語の正しい意味での”反省”ができないのはなぜか。当時の国民が戦争を支持したのはなぜか。
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やまおじさん
剱岳山頂に残されていた古代(奈良~平安期頃)の仏具(錫杖頭と宝剣)の謎を追うノンフィクション。明治40年、当時未踏峰とされていた剱岳に苦労して登頂した測量隊(柴崎芳太郎隊)が発見したこの仏具を運んだ者は誰か? いつ? 何のために? 探検家を自称する著者は何度も現地に足を運び、さまざまな人の協力を得、膨大な資料を渉猟してこの本を書き上げた。著者が出した結論は驚くべきものだ。そして私事だが、剱岳に一度、難所の岩場を超えて登ったことがあり、立山連峰もよく知っているので、描かれている地域にリアリティを感じた。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/05/29(3620日経過)
記録初日
2009/03/26(5510日経過)
読んだ本
943冊(1日平均0.17冊)
読んだページ
273720ページ(1日平均49ページ)
感想・レビュー
611件(投稿率64.8%)
本棚
19棚
性別
現住所
東京都
URL/ブログ
https://www.facebook.com/iriyamah
自己紹介

雑多な読書をしています。年間100冊読破を目指すも、なかなか。とくに好きな作家と作品は、池澤夏樹(静かな大地)、船戸与一(蝦夷地別件)、宮部みゆき(時代小説群)、五木寛之(初期の小説群、エッセイ)など。民俗学、社会学の本もよく読みます。南方熊楠、塩見鮮一郎、赤坂憲雄、内田樹など。エンタメノンフと呼ばれるジャンルも好き。なかでも高野秀行、角幡唯介。関野吉晴、長倉洋海なども好きな書き手です。最近は桐野夏生の小説に嵌っています。

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