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2024年5月の読書メーターまとめ

syota
読んだ本
4
読んだページ
1344ページ
感想・レビュー
4
ナイス
273ナイス

2024年5月に読んだ本
4

2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

syota
真木柱から若菜上まで。光君は准太上天皇となり、朝廷最大の実力者として君臨するなど全盛期を迎えた。ただ橋本さんは、溢れる光の中のかすかな影に着目して、筆を進めている。髭黒邸に落ち着いた玉鬘は光君を突き放して見るようになり、明石の母子との間にも気持ちの齟齬が生じ始めた。四角四面の夕霧は他人行儀で、紫の上でさえ光君への執着が薄れてきたのを感じる。あたかも天頂に達した太陽がその後高度を下げ、影が次第に大きくなるように、人の心の闇が次巻以降急速に広がることを予感させる一冊だった。
フク
2024/05/16 19:57

眩しい光の中にちらっと影が差しはじめる、このあたりからが本当の源氏物語なのかもしれませんね。

syota
2024/05/16 20:19

フクさん、コメントありがとうございます。確かにこのあたりから登場人物の陰影がぐっと深まり、物語の駒ではなく内面の悩みを抱えた生身の人間として迫ってきますよね。私も、若菜あたりからが『源氏』の真骨頂ではないかと感じています。

が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
4

syota
地球の誕生から現在、更には予想される未来(10億年後には地球の全生命が死滅しているらしい)までの生物の変遷を一冊で解説している。著者はあの「Nature」誌の編集にも参画している生物学者。2度の全球凍結、5度の大量絶滅を乗り越えて生物がしぶとく復活してきたのが、なんとも印象的だ。それぞれの大災厄がなぜ起こったのかも、端的に説明されていて分かりやすい。ただ、電子版では本文とイラストが別ページに分かれてしまうのが難点。イラストを見ながら読まないとイメージが掴めないので、途中から紙版に切り替えてしまった。
が「ナイス!」と言っています。
syota
真木柱から若菜上まで。光君は准太上天皇となり、朝廷最大の実力者として君臨するなど全盛期を迎えた。ただ橋本さんは、溢れる光の中のかすかな影に着目して、筆を進めている。髭黒邸に落ち着いた玉鬘は光君を突き放して見るようになり、明石の母子との間にも気持ちの齟齬が生じ始めた。四角四面の夕霧は他人行儀で、紫の上でさえ光君への執着が薄れてきたのを感じる。あたかも天頂に達した太陽がその後高度を下げ、影が次第に大きくなるように、人の心の闇が次巻以降急速に広がることを予感させる一冊だった。
フク
2024/05/16 19:57

眩しい光の中にちらっと影が差しはじめる、このあたりからが本当の源氏物語なのかもしれませんね。

syota
2024/05/16 20:19

フクさん、コメントありがとうございます。確かにこのあたりから登場人物の陰影がぐっと深まり、物語の駒ではなく内面の悩みを抱えた生身の人間として迫ってきますよね。私も、若菜あたりからが『源氏』の真骨頂ではないかと感じています。

が「ナイス!」と言っています。
syota
英仏海峡に面した古い灯台に住む画家の男は、身体の障害がもとで住民から孤立し、絵と野鳥の保護に日々を送っていた。そこへ、傷ついた白い雁を抱いた少女が訪れる。男と少女と雁は、ゆっくりと少しずつ心を通わせるが…大人へと成長していく少女と、身体のハンデゆえに己の想いを言い出せない男、そして高まる戦争の足音。異様な外見の内側に隠された男の優しさと勇気が胸を打つ。心に染み入る珠玉の短編だ。【第108回ガーディアン必読小説1000冊チャレンジ】参加。[G1000]
syota
2024/05/12 19:59

私が読んだあすなろ書房版に収録されているアンジェラ・バレットの挿絵がまた、作品の魅力を倍加させている。冒頭の湿地の描画から引き込まれるが、ことに少女の挿絵は秀逸だ。日本人が白人の少女を描くと、人形のように可愛らしく描きがちだが、そこはさすが英国人。「生粋のサクソン人」という本文の記述どおり、頬骨が高く無骨な、いかにも土着のサクソン系といった容姿に描いている。そして成長した彼女の姿がまた良い。子供の頃の面影をそのまま残しながら、要所ではハッとする美しさを見せてくれる。文章も挿絵も味わい深い一冊だった。

が「ナイス!」と言っています。
syota
玉鬘10帖も佳境に入ってきた。これだけ出突っ張りなのに、いまいち玉鬘にヒロインとしての魅力を感じないのは、中年男のいやらしさ全開で迫る光君を嫌がりながら、ある程度のセクハラは許容するという”大人の対応"が原因だと思う。庇護されている立場なのでやむを得ないのだが、結果的に清新さや可憐さ、一途さ、儚さといったヒロインとしての要素が希薄になってしまったのも事実だ。
syota
2024/05/05 17:33

今回、橋本源氏ならではと感心したのは、内大臣家の二人の姫君の描き方だ。雲居の雁のおおらかな天然っぷりも良かったが、もっとも印象に残ったのは近江の君の描写。登場人物中ほぼ唯一の下層階級育ち、下品で無教養、厚顔でお調子者という設定の彼女を、橋本さんは温かい目で擁護している。原作を省略したり改変したりせず、訳文の工夫と若干の追加で、庶民的でバイタリティ溢れる気の良い娘に変貌させてしまった。きっと橋本さんは、庶民をバカにして笑いものにすることに納得できなかったのだろう。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/06/07(3673日経過)
記録初日
2013/01/02(4194日経過)
読んだ本
1026冊(1日平均0.24冊)
読んだページ
334707ページ(1日平均79ページ)
感想・レビュー
989件(投稿率96.4%)
本棚
32棚
性別
血液型
A型
自己紹介

典型的なA型人間です^^;

長年気分転換に軽い本を読む程度でしたが、
あるとき図書館に「軽い本」を借りに行き、
ついでに何気なくほかの棚も眺めていると、
イプセンやストリンドベリといった
名のみ知っている作家の本が目に入りました。

その瞬間
「人生は短い、
この本を読めばあの本は読めないのだ」
という以前目にした言葉が脳裏に浮かび、

「自分は何をしているのだろう、
読むべき本はほかにあるのではないか」
という思いにとらわれ、考え込んでしまいました。

それ以後は、極力
読み応えのある作品を選ぶよう心がけています。

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