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2024年10月の読書メーターまとめ

ましろ
読んだ本
20
読んだページ
4475ページ
感想・レビュー
10
ナイス
182ナイス

2024年10月に読んだ本
20

2024年10月のお気に入られ登録
4

  • ワタ
  • kakari
  • 名無し
  • うたかた

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ましろ
物語が在るべきかたちに閉じ込められていた。自分のためにあるような、密やかな好ましい世界が、どの頁にもそっと在ることに安堵する。ここには慰めがあった。心を配り、労り、遠慮がちな人に、目を留める人がいた。他者の領域を侵さない心遣いを端々で感じる。忘れ難いものたちの声なき声に耳を澄ませ、感じ取ろうと、見届ける。ささやかな物語がここに在ることに、静かにただ心傾ける時間の愛おしさがあった。ときに容赦なくもある描写も、貫かれた静謐や美しさに、何だかいっそう文章の隅々、細部まで心尽くされたものであることが伝わってきた。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
10

ましろ
ケアに関する切実な究極の問いに対しての答えが、安易なところになかったことに、仄かな希望を抱けた。時間をかけて考え、探し続け、学び続ける問題であり、多くの人がぶつかることなのだと知れただけで、どこか安堵する。ケア論の本質としての間接性、極力傷つけないようにつながり続ける関係性というのは、配慮があってこそのもの。心に留めておきたいと感じた。生きることの大半はケアであり、すべての人がケアする人であり、ケアされる人であることも重ねて思っていたい。つながりの中にいられなくとも、共通する苦しさに仄かな光を見出したい。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
図書館の教育的機能、無知の可視化の話が興味深かった。世の中にある圧倒的な書物の数に対して、一人の人間が読めるのはごく一部に過ぎない。図書館で多くの本を眺め歩きながら、一生の中でこれだけ読まない本があると知ること。そうして自分がどれだけ無知なのかを思い知ること。生涯勉強を続けても、無知のままに終わるということに戦慄する必要。人生は有限で、図書は無限。知的であることは慎ましさであり、無限の知に対する礼儀正しさでもある。無限の知に向けて開かれている理想的な図書館の在り方と、行政の目指す図書館とのずれも巡らせた。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
登場人物たちが皆、何だか愛しく思えた。ここに描かれた思いが自分の中にもあったと柔らかに抱き留めたくなる。若き日の思いがまだ燻ぶっていることにも気づかされる。時代を映しながら、時代はまた繰り返されていること、普遍的な悩ましさがいつの日にもあることに思い至る。表題作を読んだなら、その一篇だけで既にデルモア・シュワルツに魅了されていた。放たれた言葉に端々でぐっと心を掴まれていた。さらりと現実と真実を突きつけられていた。自分が見えている人はどれだけいるだろう。自分と他者の隔たりを巡らせ、思わずまだ青いと恥じ入る。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
始まりにある通り、生はせめぎ合うものだった。現実に居場所がないのなら、非現実に避難して自分を保とうとする。昼と夜、意識と無意識、精神の混沌、夜の言葉で紡がれた世界へ誘われながら、濃密な人生の断片にふれるとき、その孤独を思う。幻影の中でも居場所を探している。捉え方次第ながら独りであることの根深さも思う。自分自身の孤独を慰めるすべとして求めた安全と平安。けれど犠牲を払ってまで希求した先に、その価値は在るのか。歪な平衡の中に、一人の生の足掻きがある。どこかで線を引き、折り合うまで続く自分への問いに引き込まれた。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
人生の悲しさを巡らせた。求め続けた愛の果てと、避けては通れない老いの在り様を見る。傍から見たら、その人のこだわりはどれほどのものだろう。けれどその人の心の内を知れば知るほどに、思わず心寄せてしまう思いの一端を、自分の中にも見つけてしまう。何かを守るために何かを犠牲にし、悔いたとて取り戻すことのできないものを、多かれ少なかれ人は抱えている。美しく在るがために若さを保ちたいと願い、愛に憧れ、愛されたいと願う。在るべき自分に囚われたがゆえに自己を引き裂かれ、在るがままの自分を認められなかった悲しさが苦しかった。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
少女の頃に憧れた物語の世界を思い出す。同い年で同じ日に生まれる。従姉妹と思われるほどに自分とよく似た、めぐみとかすみ。どうかすると壊れそうになる関係性や少女の心の揺れ動く様が、どうにも読み手側の記憶を疼かせ、懐かしくなる。そうして二人だけでなく、どの登場人物たちのことも愛おしく微笑ましく読んでしまう。なかなか言い出せないこと、思いとは裏腹になる行動、些細なことも大きなことも、行き違いもある友情の行方が何だかまるごと特別だった。「樅の木の話」が当時の佇まいで読めることも貴重で、改めて心傾けたものに感じ入る。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
語りに滲む苦悩と孤独にふれ、音楽に焦がれた。自分の中の奥深くに在る痛みや後悔の根を思い出す。意識する、しないに関わらず、正しい、正しくないに関わらず、自分自身をそこから解き放つすべを誰もが探し続けているのかもしれない。誰もがかつては夢見たものがあった。歳を重ねてゆくほどに、人が生まれたときから皆不完全な存在であることを認めてゆく。完璧である必要がないと自覚するときの赦し、慰め。答えを見つけようとする足掻きに、それぞれの人生を巡らす。過去と現在、そして未来へと共鳴を重ね、同じ場所へ帰る。人生の物語が愛しい。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
書くことの日々の鍛錬と感じ取れる、自分と向き合い、作品と向き合う、多くの試みの過程を巡らす。掌編が俳句に結ばれることによって、そこに閉じ込められた著者ならではの世界がひとつの、或いはそれぞれのかたちとして在る佇まいに惹かれた。とりわけ表題となった作品の潔いまでの短さと、切なる思いが深く残り、忘れ難い。のんびりとした声の裏側にある様々な感情を掬い上げる文章と、それだけに留まらない、言葉にならない思いまでも掌編に表現されていることに感じ入る。後からこうして作品や逸話を知ることに、一読者として特別な思いになる。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
物語が在るべきかたちに閉じ込められていた。自分のためにあるような、密やかな好ましい世界が、どの頁にもそっと在ることに安堵する。ここには慰めがあった。心を配り、労り、遠慮がちな人に、目を留める人がいた。他者の領域を侵さない心遣いを端々で感じる。忘れ難いものたちの声なき声に耳を澄ませ、感じ取ろうと、見届ける。ささやかな物語がここに在ることに、静かにただ心傾ける時間の愛おしさがあった。ときに容赦なくもある描写も、貫かれた静謐や美しさに、何だかいっそう文章の隅々、細部まで心尽くされたものであることが伝わってきた。
が「ナイス!」と言っています。
ましろ
本を読んでいて出会う思いに幾度も頷き、立ち戻る。ごく小さな私的な経験が、読んでいる文章と結ばれ、響き合う瞬間を知っている。切なるほどに読書を求めてしまうこともあった。ときに自分以外の誰かの言葉を求めて、本に縋ったこともあった。それぞれに違う思いを抱えていることを知る。忘れてしまいそうになることを、読みながら省みる。旅の中で読んだ本が、その旅の思い出の半分になるのなら、本を連れて旅に出るのも悪くないと、出不精ながら巡らせてみる。自分自身と対話するように、日々の支えとしての読書の姿を、知らぬ間に見つめていた。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2008/07/21(5971日経過)
記録初日
2004/09/24(7367日経過)
読んだ本
3826冊(1日平均0.52冊)
読んだページ
827281ページ(1日平均112ページ)
感想・レビュー
1534件(投稿率40.1%)
本棚
35棚
自己紹介

あくまでも自分のための記録、読みたい本の管理の場として。ただただ黙々と、興味のままに読み耽る愉しみ。日々の慰め、その繰り返し。
無理なく気持ちの赴くままに、感想やレビューは書いたり、書かなかったり。

*

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