臨床研修で院内の様々な科を経験する研修医の諏訪野良太を主人公とする連作医療ミステリー。どの章も患者への諏訪野の真摯な向き合いで最後は心を和ませてくれる。そして最終章後、自分の進むべく科を決意。臓器提供という重いテーマを短編で読ませてくれた現役の医師である作者に感謝。

戦後の愚連隊組長からヤクザ映画俳優となった人物。ほんの7年前、2015年まで生存し89歳で亡くなる。裏社会から陽のあたる場所へ、ある意味昭和の懐の深さを感じる。

映画撮影のために交通整理や備品の貸出まで便宜を図る、警視庁の部署FC（フィルムコミッション）の活躍？を描く。撮影現場で発生した殺人事件を操作し解決するが、これが二転三転する。登場する楠木がマル暴甘糟とダブってしまった。

第一話〔じめじめと湿った〕を読み始めたら何処にお揚げさんが出てくるのかと思ったら、最後でやられた。こりゃー面白いぞと読み始めたら止まりません。作者のお揚げさんに対する愛情が溢れ、出てくるお揚げさんの姿形そして味まで想像ができてしまう。自分もトースターで焼いたお揚げさんにかつお節と刻みねぎ、醤油をかけて酒のつまみにしていたが、バリエーションが増えた。お揚げさんに乾杯!

京都愛宕山の空也瀧での8番勝負。離相流剣術使いの道中嚢に入っていた弔い代一分、死に場所を探していたのか何とも潔い最後。いよいよこの後は紀伊へ、とその前に佐伯彦次郎主従との戦いか。十番勝負のタイトル通りあと二番で武者修行も終了、出版が待ち遠しい。

日露戦争の勝利で講和条約を結んだが、条件の悪さに民衆が納得せず日比谷焼き討ち事件が勃発する。帝都を警備する鳥居部長率いる警官たちと圧倒的な存在感の藤田（斎藤一）、政治結社黒龍会を交えての殺人事件捜査。史実とフィクション入り混じっての物語でサクサクと読める。

臨床研修で院内の様々な科を経験する研修医の諏訪野良太を主人公とする連作医療ミステリー。どの章も患者への諏訪野の真摯な向き合いで最後は心を和ませてくれる。そして最終章後、自分の進むべく科を決意。臓器提供という重いテーマを短編で読ませてくれた現役の医師である作者に感謝。

題名通り田園調布にお抱えドライバー付きの法曹界一家の令嬢弁護士の話。冤罪を晴らすという動機で弁護士となり、殺人事件の被疑者を国選弁護人として冤罪を晴らすため自家用車ベントレーを駆る。がしかし、後半60ページは怒涛の展開となり冤罪は晴らすが‥‥。話のテンポがよくサクサクと読了。それではごきげんよう。