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2024年10月の読書メーターまとめ

ユニ
読んだ本
10
読んだページ
2404ページ
感想・レビュー
10
ナイス
56ナイス

2024年10月に読んだ本
10

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ユニ
ネタバレ前半部は良質なサスペンスといった感じの隙のない展開で、読んでいるこっちが苦しくなってくるほど張り詰めていた。後半は一回思いっきり泣いたあとみたいに緊張感が解けて一転、親離れがテーマの成長物語となっている。「こんなことをさせられるのが、とても。」「気づいて、気づいて、気づいて」という箇所に顕著なように主体性がなかった真美が、被災地でのボランティアを経たラストで「架に掴まれたその手を、自分の意思で、真美も強く握り返した」のは人は変われるという希望だ。結ばれなかった相手も含めて様々な出会いに意味があるとも感じた
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
10

ユニ
ネタバレほとんど駄洒落のような言葉遊び(打てるものなら、何でも鬱病)や、警句めいた文(人間の魂は霊の一種である)に溢れ、けれども全体的にはメルヘンなやさしさと残酷さが同居しながらとっつきやすさがある。地の文にカジュアルに哲学用語も登場し、学問や詩的言語、日常言語、クィアな性愛の用い方、そして子供たち(そうだ、兄弟姉妹の手は、病気で絡み合って解けなくなってしまった鼠たちの尻尾のように、一生離れないんだ)の表れ方が魅力的で、言葉が風通しの良い作品世界を駆けまわるイメージは「都市の空気は自由にする」という諺を思い出した
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレ作家・埜渡徹也とその妻琉生を中心に、様々な草木の生えている森の中を歩くかのような、周辺人物の雑多な細部までわたる濃淡様々な人生模様を散策するかのような読書体験だった。現実ベースな一方で白昼夢のようなファンタジーなのだが、女と男の性差やジェンダーについて軽妙かつシリアスに切り込むエピソードが思えば前半からあった。昭和のメロドラマ的不倫や最終章冒頭の紋切り型の謝罪と説得は、虹色のお化けという「違う姿」やラストでの新しい森の出現を際立たせている。全編を通し読んでて気持ちの良い奔放さと思考を整える繊細さがあった。
ユニ
ネタバレ人生は孤独な旅であり、だからこそ孤独の旅同士が交わるときというのは尊いのだと感じた。男の語りは、妹への手紙を始め、語りかける静謐な声が響いてくるようだった。規範的な身体から外れた人間は、もともと孤独な魂をありのままでぶつけて生きていくことになると思う。「彼女の肉体には、長い間言葉を失っていることが如実に現れていた。(略)何一つ外部へ漏れ出さず、何一つ内部に沁み込んでこない」「人間の体は悲しいものだということ。誰かを抱きしめるために、抱きしめたいと思うように生まれついている」ならばせめて明るい方へ歩みたい。
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレ前半部は良質なサスペンスといった感じの隙のない展開で、読んでいるこっちが苦しくなってくるほど張り詰めていた。後半は一回思いっきり泣いたあとみたいに緊張感が解けて一転、親離れがテーマの成長物語となっている。「こんなことをさせられるのが、とても。」「気づいて、気づいて、気づいて」という箇所に顕著なように主体性がなかった真美が、被災地でのボランティアを経たラストで「架に掴まれたその手を、自分の意思で、真美も強く握り返した」のは人は変われるという希望だ。結ばれなかった相手も含めて様々な出会いに意味があるとも感じた
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレゾンビをネタに神経科学について、専門家による知見を学べる一風変わった本。映画をはじめエンタメの世界で活躍するゾンビはフィクション上の存在にすぎない人間の変わり果てた姿だが、あらゆる人体の生理は情動なんかも含めて脳の状態によって説明できるという視点のもと、多くの読者を楽しませながら語られていることだろう。不謹慎さも危なっかしい魅力となっていて、読み物として面白い。冒頭のこれは患者や科学者たちへのオードなのだという宣言も力強く打たれる。但し、個々の病気について単純化しすぎていて不適切に感じられる箇所もあった。
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレ1000年も前の人が書いた作品だというのにすごく近くで生きている人の感じがしたのは、原文もさることながら現代語訳の素晴らしさもあるのだろう。何十年の人生のなかで切り取られる部分は、ライフイベントとして重要なものも何気ない日常も、ある種の確信や角度をもって綴られていて静かに輝いている。そういう意味で想像力豊かで霊感を持った物語の世界の住人という気がしてくる。パートタイムジョブのノリで宮仕えしたり、何かありそうな男性と何もなかったり、儀式の日に参りに出かけたり、友達付き合いが曖昧に途切れたりしていて、愛おしい
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレ英米文学の名作10作品を題材にして、楽しみながら読書意欲をかきたてられながら、文芸翻訳について思考を巡らし潜っていくことができる。いわゆる言外の意味のようなものを汲み取る技術について理解をすすめる助けになると思います。鴻巣さんの講義を聴講している気分になれて、お得に感じます(?)ね。鴻巣さんの翻訳理論のエッセンス(詩、ジョーク、言葉遊び、皮肉、悪態という翻訳五大難関など)を知れますし(声優業との比較がありましたが)ユーモアがあって心地よい語り口の鴻巣さんを通して様々な物語を聴いて(読んで)みたいと感じます
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレものすごい情報量だと感じた。短歌初心者にとって重要なデータベースとなっていて、穂村さんの血肉を通してそれは特有の手触りをもつ。解説にあるように短歌か作者に興味があるなら読み返したくなる永久保存版だと予感させられる。鼎談、インタビュー、エッセイ(「世界を覆す呪文を求めて」)、メールレッスン、実存的批評と様々な記事が雑誌のようにある。書かれ方は通史的でもないしわかりやすい分類をしているわけではない。短歌についての分析、視点、歴史を、断片的に読んでいくことになるが、その集成が歌集のように一つの作品となっている。
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレ読みながら、家族総出演系YouTuberの桐崎栄二のことをずっと思い出していた。撮影によって結ばれる現代の極北のような家族。少なくとも心休まるあるべき家族ではなくて、噛み合っていないのに第三者の眼差しを意識しながら取り繕っているのは、親近感をおぼえた。もちろん登場するアイテムなんかは時代を感じるけど、毒親だの親ガチャなの言われる現代とメンタリティは通じる気がした。あと同時収録の「潮合い」がかなり良かった。二次性徴、いじめ、先生に告げ口、キス禁止など、小6の子供たちの不安定で混沌とした感覚の表現が優れていた
が「ナイス!」と言っています。
ユニ
ネタバレさりげない文体で、あまり言葉の世界として構築されたことのないようなものを見せてくれた小説だと思った。冒頭の「わたしにとって、母は会いに行く人物だった。」にもそれは現れている。「植物状態」という単語にお爺が急に瞳をはっきりさせるシーンや夫の「みおがこんなにわがままに育ったわけだって、納得したんです」という台詞が良かった。言葉を交わす、社会的な関係性を踏まえた意味に回収されるものだけがコミュニケーションではないということを強く感じた。呼吸のリズムやペースで通じ合うこともある。それはきっと人間同士ではなくても。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/02/21(3569日経過)
記録初日
2015/02/10(3580日経過)
読んだ本
732冊(1日平均0.20冊)
読んだページ
213257ページ(1日平均59ページ)
感想・レビュー
116件(投稿率15.8%)
本棚
2棚
自己紹介

プロフィール訪問ありがとうございます!昔につくったアカウントを発掘して、活用してます。SNS続かないがちなので、簡単に、(読書の)気楽な記録を目指したい、と自分にわざわざ言い聞かせます。

記録をつけ始めたのは2015年からで、読了日不明のものも含めるともっと前からの記録になります。2023年夏から、読んだものに感想もつけるようにしました。昔読んだものもいつか再読して感想を書きたいと思っています。

感想読んでくださった方、ありがとうございます。ナイスをくださった方の感想は読みにいきます!

基本的には自分用の記録として使っていますが、交流も歓迎してます。よろしくお願いします!

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