ネタバレ副題のとおりで、アントニオ・ダマシオらが参照されている。体現的シミュレーション(観察者の身体や脳で試みられている他者の身体状態の疑似的な再現)とas if body loopの概念が興味深かった。紹介される絵画では《十字架降下》と《聖トマスの不信》が印象に残った。伊藤マンショ、カラヴァッジョは著者のご専門なのかもしれない。コンパッシオが身体性を帯びた概念としての「受難」であることは、情動理論にも繋がりそう。「ニューロサイエンスは文化を超える」という話があったが、構成主義的情動理論と対立しそうだと感じた。