暴力的な亭主関白の夫を殺すという、親近感溢れる家族の話かと思ったら、鏡の国のアリスのジャバウォックが出てきて途中からSFになった。ジャバウォックは憑き物で、憑いていると赤く光り、消えると青くなる。ジャバウォックを取り除く試みがされるが、音楽が有効であるらしい。最後バスケの試合会場になるが、急に伏線が全部回収された。そう考えると私の脳にもジャバウォックが憑りついているのかも。いつものことだけど、筆者の小説は話のベクトルが多すぎて読むのが大変。「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。それしかない」

あべのハルカスの16階に美術館があり、ブラックジャック展をやっていた。父が手塚治虫が好きで『火の鳥』は読んだことがあったが心をえぐられるような社会風刺はハルカス300の展望台の景色より熱かった。広島や長崎のキノコ雲やコインロッカーベイビーなど、在りし日の筆者が見てきた社会問題が作品に投影されていた。展覧会は当時のNHK夜7時のニュース映像と本作の絵の一部を対応させて展示していた。人種差別や性差別がかなり露骨で読んでいてしんどかった。会場出口は全国のファンの熱いメッセージが書かれた付箋で埋め尽くされていた。

筆者初のエッセイは小説と全く印象が違い、等身大で謙虚で日常生活でのエピソードは心に深く語りかけてくる。『不調ビンゴ』:私は雇用主のことが大嫌いで、「つらいなあ」と思いながらも退職届を書くわけでもなく漫然と毎日そこに通っていた。耐えていた、というよりは心がダメージを受けすぎてうまく機能しなくなっていたのだろう。合わないものから離れることは立派なセルフケアであるが、簡単なことではない。今いるここより良い場所に行くためにはどうすればいいか、何を手に入れ何を捨てればよいのかを考えて、冷静に行動しなければならない。

暴力的な亭主関白の夫を殺すという、親近感溢れる家族の話かと思ったら、鏡の国のアリスのジャバウォックが出てきて途中からSFになった。ジャバウォックは憑き物で、憑いていると赤く光り、消えると青くなる。ジャバウォックを取り除く試みがされるが、音楽が有効であるらしい。最後バスケの試合会場になるが、急に伏線が全部回収された。そう考えると私の脳にもジャバウォックが憑りついているのかも。いつものことだけど、筆者の小説は話のベクトルが多すぎて読むのが大変。「他人と過去は変えられない。自分と未来は変えられる。それしかない」

真夏の夜の駅のホームで、尊敬している人に「あなたはマイノリティなので正規雇用は無理だが、公教育には必要なので教員よりカウンセラーになったほうがいい」と言われた。確かに優秀ではないからこそ偉そうにして何かを教えるこの仕事は疑問ではある。心が苦しくなった時、私はジムに行くが、ジムのいじめの話をしたら興味深く聞いていて「その歳になってまで人を憎む婆さんの人生って、どんな人生だったんだろうね」と私ではなく婆の人生を心配していた。誰かに一生懸命聞いてもらう姿勢を感じることもカウンセリングの一部かもしれないと思った。

民主主義とは、特定の個人を崇拝するのではなく、国民一人一人が主体となって国を築いていくことであり、誰かに従属するのではなく個として世界の中心に立つことだ。民主社会の一員としての一歩は、周囲の意見に流されず、まずは自分の頭で物事を考えることだ。民主化が進んだのはマッカーサーの日本国憲法だが、そんなアメリカにも人種差別は根強くある現実がある。国技館ってGHQに接収され「メモリアルホール」という名前を付けられ改装されてたの初めて知った。いまだに土俵は女人禁制だが、十一月場所の内閣総理大臣杯はどうするのだろう？

高校の世界史の授業で学んだ時はガチの軍事論だと思い一生読まないと思っていたが、恋愛色強めで面白い。読むのに山川の世界史図録が必要だ。新幹線の中で何巻まで読めるかな。「自分が選んだ女への愛が尽きて相手をはっきりと見極められるようになるまで結婚するんじゃない。さもないとひどい取り返しのつかない過ちを犯すことになるから。つまり結婚するなら、もはや何の役にも立たない年寄りになってからするんだ…。さもないと、自分の内にある良きもの、気高きものが、すっかり潰えてしまう。何もかもがつまらぬ雑事に費やされてしまうからな」

『文藝』の選評の筆者の言語化能力に感動し、Kindleで買って電車で時間つぶしのつもりで読み始めたのだが…いい！　初見の感動を書き留めたかったが、車窓の景色と一緒に吹き飛んだ。面接でも芸術作品でも同じだが第一印象は大切でそれが全てだと思った。文章は「他者」のために書かれるべきであって、自分を大きく見せるために書かれるべきではない。単に本が好きで、無能な上司が嫌いで、他者と関わらず自分だけの責任で仕事がしたい一心で小説家になった筆者。筆者は小説より随筆のほうが向いていると思う。サンプルの部分は秀逸な梗概だ。

印象に残ったのは「詩を書くことは、いまも基本的に楽しい」という言葉。私は今の仕事全く楽しくないので早く辞めたい。/僕は、言いたいことがあってもそんなに簡単に言葉にはできないと思ってる/3回の結婚に反省はあるけど　結婚は若い頃から自分にとって　大事なテーマだったんですよね/90歳を超えると生きるよりも死ぬことへの思いのほうが深まりますね　もう92年生きてきたから生きることはわかったような気がするんだけど　死ぬっていうのはどういう感じなのかな　想像してみるんだけど困ったことに死んでみないとわからないんだよね/

2010年1月、私は初飛行機でフェリス高出身のお嬢と宮島・尾道に行った。平和記念資料館は心を揺さぶられ今まで行った博物館の中で一番だ。原爆ドームは新年早々だったので閑散としていた。妹の旦那が広島出身で毎年行くらしく、修学旅行の留守中母をよろしくと連絡したら、最初はおすすめのおにぎり屋さんなど紹介してくれたけど、私が広島行ったことないと思ってるらしくいつもの変なマウント取りだしたので気分が悪くなった。最近は外国人で大混雑だが広島は民度がいいらしい。方角があまりよくないので災いは全て校長に行くよう念じている。

『風は西から』:小4の時父に好きな人ができて離婚したが、高2で初カノができた。岡倉さんから「好きです」と告白され、好きかどうかわからなかったが、有頂天になってつきあいはじめた。岡倉さんはかわいかった。でもある日距離を置かれ自然消滅。「岡倉さんのことはそれほど好きじゃないのかもしれないと思っていたはずなのに、別の男といるところを見たら、ギャッと血が逆流する思いがした」がリアルで生々しかった。桃子さんがタコスを作ってくれるのは、桐原くんがタコってことの隠喩かな。LGBTQの短編は差別主義国日本では重く感じる。