一見障害を持つ主人公の社会や自分への憤りとやるせなさを綴るストーリー。でも実は、釈華さんも田中くんも窮屈な現代に生きる私たちの代弁者なのでは、と感じたり。

いつもとはテーストの異なる、卑猥、退廃、恐怖、そして怪事を基調とし、そこに著名な洋画と写真家のオマージュを取り入れた6作品で構成された短編集。実験的？な感もあるが、人間のネガな側面を見事に描く原田先生、凄いっす。

読んでいてとにかく気持ちが良かった。ピュアなのか、単に頭が悪いからなのか、主人公の破天荒な行動力に目が離せずに一気読み。確かに「無敵の犬」だね。

一見障害を持つ主人公の社会や自分への憤りとやるせなさを綴るストーリー。でも実は、釈華さんも田中くんも窮屈な現代に生きる私たちの代弁者なのでは、と感じたり。

障害を持つ女性の生の声がビビッドに伝わる非常に学びの多いレポート。「障害者について論じられるときには、障害のある女性の声は取り上げられず、もしくは障害者の経験として女性という面は切り捨てられる一方で、女性について論じられるときには、障害のある女性の経験が置き去りにされる。」まさに障害を持つ女性界隈はこの一言に尽きるのでは。

ノストラダムスに宗教的集団自殺、オカルト系ユーチューバーと仮想通貨、古今の風説やトレンドを織り交ぜたイヤミス的群像小説。いつもとは違ったテーストで、真梨先生の振り幅の広さを感じる作品。

現代日本の保守思想家の代名詞とも言える西部先生の遺言書と言っても過言ではない生前最後のメッセージ。読み進めるにつれて、「朝生」等生前氏が真剣に世に問う“あるべき保守の姿“の映像がビビットに思い出される。超リベラルが支持を受けて久しい昨今、そろそろ氏の思想を再考する時期なのではなかろうか。

夏目漱石前期三部作の1冊。改めて読むと、明治期の女性の大胆さ、轢死描写、女性が社会的に地位を確立する事での婚姻率の低下など、以前にはスルーしていた件の新たな発見が。また、胃腸の弱さや（正岡）子規の仄めかしなどなど、自叙伝的要素を窺い知る場面もあり自然と読みながら笑みがこぼれる。

歩きスマホを通じて語られる、普段の生活で目にする残念な素行への心渦巻く憎悪、そしてそれを飲み込んでしまう自身に対するやるせなさ。「おいしいごはんが食べられますように」に続き、人の心の機微を見事に描ききる作品