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2024年5月の読書メーターまとめ

sab
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2024年5月に読んだ本
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

sab
まだまだ続くセット・ザ・シーン。進まない。登場人物が多い。征韓論が決まりそうになるも岩倉らの帰京によってどんがらされる。 ◆英国公使パークスは、その時はまだそれほどの存在ではなかった伊藤博文と大隈重信を評価し、西郷従道に対してこの二人の言うことを聞け、と説いた。なぜならパークスの目から見てこの二人が、感情的攘夷主義に陥る日本人の思考法から離脱していると感じ取っていたからだ。この助言は、西郷従道が兄の側に立たないという決断を押したことに鑑みて意味は大きい。
sab
2024/05/10 23:47

◆三条と岩倉はいちいち大久保の意向を伺っている。岩倉遣欧使節団などを歴史で習ったのに、それ以外で印象の無い岩倉などは、やはりリーダーシップを持って決断し歴史を作っていくタイプではなく中間管理職的な役割だったのだろうか。

が「ナイス!」と言っています。

2024年5月の感想・レビュー一覧
13

sab
終戦。西郷、桐野、篠原の最期は武士の最期でもあったかもしれない。封建社会は土地と言う報酬を媒介にした主従関係だったが、明治維新を戦った士族たちが報酬をもらえないばかりか、身分も(四民平等)君主と土地も(廃藩置県)誇りも(廃刀令)奪われたことで立ち上がるしかなかった。もし西南戦争が士族側の勝利だったら?封建制への反動が起きていたら?もちろん士族が勝ったからと言って江戸時代にさかのぼるわけではなく、選挙ではない武力による政権交代に終わったかもしれないが、歴史はまた違っていたかもしれない。
sab
2024/05/28 17:20

◆薩摩の伝統は軍略のことで話がこじれると、上の者は論理を通すことなく「命が惜しいか」と一括して始末をつけるのが型のようになっていた。論理のすり替えである。

sab
2024/05/28 17:21

◆太平洋戦争の敗戦は司馬には革命の一種のように思われていたが、よく考えてみると潰されたのは陸海軍の諸機構と内務省だけであった。このように一部(特に頭だけ)がすげ変わるパターンと、ドラスティックに変わるパターンがあると思うが、その中国の王朝や日本の歴史における事例の研究などはないのだろうか?ビジネスにおいては、巨大企業の中での自己変革と、スタートアップとして成長することほどの違い、ということになると思うが。つまり、実務家は残されて、実はそれほどの代わり映えのしない革命。

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sab
熊本まで散歩をしに行った薩軍は、熊本城を観光することも出来ず、人吉に引っ込む。
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sab
西南戦争開戦。薩軍の無戦略性と能天気を見るに、良い勝負になることもなく、負けるべくして負けることが見え透いている。仮説を持って走りながら検証して正解らしきものに素早くたどり着くことが完璧な戦略を立てることよりも上策であることは(おそらくいまは)常識であると思うが、初めの仮説の筋が悪いとここまでの体たらくに陥ってしまうのかと、悲しくなってしまう。慎重であることと大胆であることが違うように、無為に行動を起こすことと、良い仮説を持って行動を起こすことの違いは如実である。
sab
2024/05/28 17:19

◆「旅団」の語は西南戦争で作られた新語であった。それまでは駐屯している兵団を鎮台と呼び、戦闘編制で動いている兵団を旅団と呼んだ。この頃は制度上の厳密な単位ではなかった。 ◆西南戦争を戦うためのロジスティクスは、山県がその有り余る実務能力を持って実行まで行った。本当にオペレーションの人。

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sab
秋月の乱、萩の乱を薄らと挟みつつ、西南戦争に至る前夜。 ◆大久保は、私学校の暴発を抑えているのはむしろ西郷だと思っていた。この本(翔ぶが如く)を読む前から、西郷隆盛と言えば、薩長同盟締結を行い、江戸城無血開城を行った人物で、征韓論で破れて西南戦争を起こした、という知識くらいだったものの、天下を手中に収めようと野心で乱を起こした、という印象は少しもなかった。
sab
2024/05/19 00:13

この本が描いてきた大久保と西郷の関係性や、西郷の周囲を取り巻く環境、そして西郷その人の人格というものから察するに、西郷はあくまで巨大な「器」であり、それ自体で意志を持つのではなく、中に入れたものによって善にも悪にもなるのだという印象。「そいじゃ、俺の体を上げまっしょう」という言葉からも、自分はあくまで省庁に過ぎない、という自覚が感じられる。 ◆西郷に対して放たれた刺客が大久保も把握するところだった、という一事こそが西郷が鳴動するきっかけとなった。

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sab
熊本神風連の乱。児玉源太郎出てきた。 ◆西本願寺は勤王派で東本願寺は徳川家康の政治的意図で建てられた為佐幕を貫いた。東本願寺はその負い目から、新政府にしきりに献金をしていた。しかしそれでも西に比べて新政府から冷遇されていたため、地方官会議所として西系の築地本願寺ではなく、東系の浅草本願寺が借り上げられてしまった。 ◆廃藩置県、徴兵令に続いて出された廃刀令によって、士族は職場、存在意義に続いて、その誇りさえも奪われてしまった。刀を日本の象徴で攘夷の魂だと考えていた神風連には許容ならざる処置だった。
sab
2024/05/19 00:02

◆幕府はその成立当初から薩摩島津がいつか徳川家に仇なすと考えていたため、骨髄からの佐幕であった細川家を熊本に転封させ、加藤清正が築いた難攻不落の熊本城を持って、薩摩に対する抑えとした。

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sab
台湾出兵の帰結、清国との妥結。 ◆台湾出兵の後始末として大久保が訪清した先で、英国公使ウェードのあしらいや、清国方とのやり取りを見るにつけ、キツネとタヌキの化かし合いと言うか、外交とはかくあるべき、という思いがする。どさくさに紛れて琉球を日本の領土と清国に認めさせたのも、実は重大な議題を議題と見せずにさらっと既成事実化するテクニックであり、ビジネスでも使える。
sab
2024/05/14 17:28

◆日本の民主主義の走りとして成立した元老院だが、その成立経緯はトップダウンなものだった。太政官権力を再建するために木戸を必要とした大久保が、その入閣条件としてその成立を認めた。大久保の思想はビスマルクのそれに近い。三権分立は時期尚早で、まだ天才的宰相による専制の時期が必要だと見ていた。

sab
2024/05/14 17:28

◆ルソーの主張では、人間がまだ「自然状態」だった原始段階では人間は皆自由で平等で平和だったが、「社会状態」に入って人間は害禍の中に取り込まれた。ルソーは、自然状態の自由と平等の理念を社会状態に持ち込むべきだと主張した。本論ではないが、最近読んだ「万物の黎明」で、このルソーの主張(というか仮説)は誤りである、と繰り返し主張しておりそれがまだ頭の中にあったため、司馬遼太郎の簡潔な表現が心に留まった。

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sab
ようやく佐賀の乱が発生するも、かなりあっさりこれを済ませてしまう。大久保の江藤新平に対する処置が無慈悲で苛烈である。 ◆政府は佐賀の乱をはじめ、不平士族の反乱を鎮圧する中で軍を強くし、天下統制を実現する。前に何かの本で読んだ、常備軍と市民軍では常備軍が圧倒的に強い、という論理の中で、ハンニバルは長く戦い過ぎたためにローマの市民軍が常在戦場の中で常備軍化し、容易く負けなくなってしまったという論理を見た。軍隊と言うものは実戦の中で鍛えられる。
sab
2024/05/14 17:28

◆西郷の政治観として藤田東湖の影響があり、言ってみれば適材適所というものがある。小人と大人の器を持って、その人の役職を規定すべきなのだ。それはつまり、功のあったものに褒美として間食を与えてはいけない、あくまで褒美をやればよい、という考えをしていた。これはかつて薩摩藩の藩財政を立て直した調所笑左衛門のことが頭にあった。調所は奇略を重ねて藩財政を立て直したが、その功で仕置家老となり、藩政を握ったことでその後弊害が出たらしい。

sab
2024/05/14 17:28

本論ではないが、この調所が藩財政を立て直したときに借金の凍結の強要や、サトウキビ百姓への苛烈な収奪という文言を見るにつけ、現在日本の赤字財政の末期を見る思いがする。

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sab
征韓論が終わり、ようやく西郷が下野する。話が傍に入ってなかなか進まない。坂の上の雲よりも動きが少ない(まだ戦争が始まってもいない)ように感じるのは、①政治の話ばかりで動きがない②時間軸の進みが遅い③登場人物が多く、描いているエピソードが多い、といった理由からだろうか。
sab
2024/05/14 17:27

◆志士仁人の時代は過ぎ、政治処理家の時代が来た。西郷は去り、伊藤博文らがきている。しかし「伊藤・山県程度の二流の人間が明治国家を作った」とは、歴史にifがないことに鑑みれば悲観的に過ぎやしないか。この論理は「世に棲む日々」の革命の3段階の論理で見た。 ◆長州の藩閥主義と薩摩の郷党主義は似て非なるもの。長州のそれが官僚組織にある相互保全で栄達と言う利益を目していたのに対し、薩摩のそれは薩摩人特有の士族的美意識が他藩出身のものを軽んずるという無邪気な同族意識にとどまっていた。

sab
2024/05/14 17:27

◆川路が作った警察組織。首都警察の邏卒は3000人と言う規模から始まった。江戸時代の町奉行の人数は奉行以下、与力同心合わせて366人であり、それに比べればはるかに多い。江戸時代は階級社会であり、被支配者を相互監視させることで治安維持に活かしていたため、それでも成立していた。また、新政府はその武力は十分ではなく、維新間もない不安定な時勢の中でこの3000人は準兵力としての役割もあった。

が「ナイス!」と言っています。
sab
まだまだ続くセット・ザ・シーン。進まない。登場人物が多い。征韓論が決まりそうになるも岩倉らの帰京によってどんがらされる。 ◆英国公使パークスは、その時はまだそれほどの存在ではなかった伊藤博文と大隈重信を評価し、西郷従道に対してこの二人の言うことを聞け、と説いた。なぜならパークスの目から見てこの二人が、感情的攘夷主義に陥る日本人の思考法から離脱していると感じ取っていたからだ。この助言は、西郷従道が兄の側に立たないという決断を押したことに鑑みて意味は大きい。
sab
2024/05/10 23:47

◆三条と岩倉はいちいち大久保の意向を伺っている。岩倉遣欧使節団などを歴史で習ったのに、それ以外で印象の無い岩倉などは、やはりリーダーシップを持って決断し歴史を作っていくタイプではなく中間管理職的な役割だったのだろうか。

が「ナイス!」と言っています。
sab
西郷隆盛と大久保利通の関係性に焦点を当て、征韓論から西南戦争までを描く。西郷を描くなら幕末からかと思っていたが、征韓論からと言うのが些か意外。フランス革命では既存秩序の転覆を行ってから、二転三転あってナポレオンの登場・活躍・退場によって革命が定着して小康を得た。翻って日本においては大政奉還と戊辰戦争によって既存秩序は幕を引いたが、実際には階級差は「四民平等」を謳わなければならないほどに温存されていた。
sab
2024/05/11 23:36

そうなんですね。小説の方のWikiで見て大河で映像化されたことは把握してましたが、ドラマのWikiは見ていなかったので知りませんでした。かなり改変された、ということなのですね。政治劇で群像劇なので、画的にはかなり地味だと思っていたので、テレビ的には戊辰戦争なんかも描いた方が視聴者に受ける、という判断で手を入れられたのでしょうかね。

KF
2024/05/12 00:30

幕末部分はかなり分厚い感じでした。島津斉彬時代に西郷隆盛が力を発揮しまくっていた印象。島津久光については西郷が上手く取り扱えなかったのに対して大久保利通が上手に取り扱った点が感じられたと思います。私も観たのがかなり以前で、レンタルビデオで連日借りて観たので記憶も曖昧です。大河としては幕末も含んだ方が視聴率も取りやすかったのかもしれませんが、それを小説に組み込むと十巻が二十五巻位に膨れ上がりそうです!

が「ナイス!」と言っています。
sab
実務経験に裏打ちされた内容と見えて、読みやすくやや難しい理論も平易に解説してくれている良書だった。特に詳しいのがβの話。CAPMの一変数で非常に重要な割に、決定係数が低すぎるのはいかがなものか、と思っていた。比較対象となるマーケット(TOPIXなど)を選別することで市場全体ではないが特定市場のβを出せるのは面白いアプローチ。
sab
2024/05/08 22:54

また、他では見ないペイアウト戦略についても詳しい。配当や自社株買いの概要がわかる。そしてケースによって、その定量的インパクトの計算過程も見せてくれる。そのケースの中で、借入金による自社株買いによって、WACCはもちろん変化するのだが、それが資本構成の変化に留まらず、βの変化(オリジナルのレバードβ→アンレバードβ→リレバードβ)にも波及すること、それを計算として表現する必要があることは思いもよらないことだった。βってYahooファイナンスとかから引っ張ってくる定数だという印象があったが、めちゃくちゃ面白い

が「ナイス!」と言っています。
sab
バリュエーションの教科書の森生明先生の本。簡潔で芯を食った内容はさすが。でも、バリュエーションの教科書とどこが違うのかと問われると、どこだっけ?となってしまう。強いてあげるなら、本書はM&Aにフォーカスする内容で、ファイナンシャルアドバイザー以外の業務にも言及がある点、バリュエーションの教科書は(たしか)オプションを扱った章もあるため、バリュエーション(と言うか金融という意味でのファイナンス)にフォーカスしている点か。
sab
2024/05/08 17:28

第5章。本場のフィナンシャルアドバイザーの実際の企業価値算定方式は、類似上場会社比準方式、類似取引比準方式、DCF方式を掛け合わせたものであり、特にターミナルバリュー算定には類似上場会社比準方式を用いることで、永久成長率を仮置かなくてもいいというのはなるほど。(5年後の市場環境と現在の市場環境はもちろん違うのだろうが)

が「ナイス!」と言っています。
sab
解説にある通り、マイケル・ルイスによる、金融史を記録するノンフィクションであり一級のエンターテイメントである。学者による解説や、記者による見解記事ではなく、当事者たちが(バイサイドセルサイド双方)なぜ破綻につながる行動を取ったのか、そのインセンティブの構造から危機は必然であった。基本的に時系列かつ多様な登場人物が織りなす群像劇として活写されつつ、複雑な金融商品の仕組みがストーリーの中で解説されるため、金融危機の顛末が「わかる」ようになっている。そうは言っても難解なので、再読したい。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/11/18(2776日経過)
記録初日
2016/11/17(2777日経過)
読んだ本
685冊(1日平均0.25冊)
読んだページ
242062ページ(1日平均87ページ)
感想・レビュー
644件(投稿率94.0%)
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