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2024年3月の読書メーターまとめ

Chiyo K.
読んだ本
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4006ページ
感想・レビュー
18
ナイス
435ナイス

2024年3月に読んだ本
18

2024年3月のお気に入られ登録
2

  • ぶぶ ひこ
  • ガロ

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Chiyo K.
ネタバレ衝撃的なタイトルがいやでも目をひく。巻末に臨床心理士の紹介文と相談先の電話番号。重そうだ。しかし読み始めると止まらない。なぜ「杉森くん」を殺すのか。「杉森くん」はわたしを困らせ邪魔してばかりいたから。そう思っているわたしこと「ヒロ」も、だいぶ行き詰まっているように見える。乱暴に貯金箱を壊したり、一心不乱に木を彫ったり。尋常な状態ではないことを周囲もわかっている。大人は腫物に触るようにし、クラスメイトの良子さんや矢口くんは何も聞かずそばにいてくれ、「ミトさん」は話を聞いてくれる(いい子ばかりだ)。→
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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

Chiyo K.

Audible。宮澤賢治の生涯を、父・政次郎の目から描く。同じ人の親として身につまされる。長男だし学業も優秀なので内心で期待をかけてしまうが、「進学したい」「質屋は継がず、人造宝石を作って売りたい」などと言いだし、客あしらいも苦手そうなのも悩ましい。進学を禁じたら宗教にふけり始める。それでも感情的にならずに、家長としての威厳を保ちつつ対応するところが明治の、旧家の男だという感じがする。結核が死の病だった時代とはいえ、2人も子供に先立たれた心境たるや。付きっ切りで看病するその姿勢にこそ愛情が見られる。

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2024年3月の感想・レビュー一覧
18

Chiyo K.
ネタバレ博物館で働くカトリは、上流家庭の出でもなく古典の素養もない自分の先行きに不安を感じ始める。博物館にさる男爵の遺品が寄贈され特別展が開かれるが、来場者から次々行方不明者が出る。寄贈品の一つの年代記に謎を解く鍵があると思ったカトリは親友リズと調べにかかるが。歴史ミステリーと、自分の行く末に不安を感じがちな若者の心理をからめたファンタスティックな展開。著者はテーマに造詣が深いらしく、男爵の遺品やカトリが取り込まれる世界などの描写は具体的でおそらくとても正確。歴史ロマン好きに。性差を感じさせない言葉遣いにも好感。
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Chiyo K.
ネタバレ絵本作家にして鳥の巣研究家の作者によるノンフィクション。挿絵がほぼ全てのページに入っていて理解を助ける。幼い頃本で見たニワシドリが、活動の原点であることが明かされる。大人になってからも、ニワシドリだけなぜこのようなことをするのか、なぜこのような形になったかが気になり現地へ観察に行く。「水曜ど○で○ょう」のような珍?道中がつぶさに語られる。見たかったアズマヤが見つかると「!」を多用した文章からその興奮が伝わってくる。終盤のアズマヤについての考察がすごい。生態ではなくアズマヤに着眼した研究は唯一無二と思う。
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Chiyo K.
ネタバレ幼い頃おばあちゃんと過ごした日々。家の中は瓶詰や野菜でいっぱい。畑の土を柔らかくするため、ミミズを拾ってきて埋める。移民だったおばあちゃんは英語が苦手。でも身ぶりで言いたいことは通じる。若い頃とても苦労してきたことも。作者の思い出。やっぱりこの画家は光と水とガラスの描写が秀逸。台所のおばあちゃんを柔らかく照らす朝の陽ざし。畑へ向かうぼくたちを午後の日が包む。ベッドサイドの窓に打ち付ける雨。濡れた路面を照らすヘッドライト。何度見てもため息が出る。素朴な物語だが、この絵ゆえにどこか懐かしさと切なさを感じる。
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Chiyo K.
ネタバレTV報道からイベント事業へ異動させられ鬱屈していた守谷。同僚・吾妻の強い希望で無名の画家の展覧会を企画しようとするが、作家は戦後石油化学業で財をなした家庭の出身で謎の失踪を遂げている。調べるうちその家の複雑な人間関係や業、愛憎にまで分け入ることになり...。この表紙でこのあらすじだとドロドロしたものを連想するが、見えてきたのは昭和の男のプライドと虚勢、大企業経営の閉鎖性、そして戦争で人生を変えられた者の心の傷だった。全般に男性は問題をこじらせる一方、女性(特に高齢の)が謎の解決に貢献しているのが印象的。→
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Chiyo K.
ネタバレスタルクさんの新作がまだ読めた! 海の東と西でそれぞれ何の不自由もなく暮らしていたシッカとマルガレータ。やがてシッカの住む国で戦争が始まり、子どもだけ西側へ疎開させることになりマルガレータの家へ引き取られる。シッカは打ち解けようとせず、マルガレータは親がシッカを大事にするのが気に入らない。どちらの気持ちもわかる。スタルクさんは二人に我慢をさせず、ガンガンけんかをさせる。だって悪いのは子どもたちに忍耐がないからじゃない、みんな戦争のせい。ちょっとゆるい絵が、子どもたちのあどけなさと切実な感情を表している。
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Chiyo K.
ネタバレチャットで悩みを聞くNPO活動を立ち上げた著者が、自身の10代の頃の壮絶な経験や、悩んで死にたくなった時はどんなふうに考えたり、周りを頼ったりしたらいいのかを説く。人に助けを求められずつながりもなくなる「望まない孤独」をなくしたいこと。努力しても結果が伴わなかったり他人と自分を比べて苦しくなったら、自分の長所やこれまでの自分のプロセスを認めて自信につなげよう、妄想と事実を切り分けて辛くなるのを防ごう等、大人にも必要なレジリエンスの方法も書かれている。生きる意味とは日々を味わうこと。その権利は誰にもあると。
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Chiyo K.
ネタバレ岡山の夏の風物「うらじゃ」祭り。あさひの中学では出席の足りない生徒が、そのために舞踊に参加させられる。経験者ということでチームに入れられたあさひは、最初は不本意ながらも兄の思いを追ってうらじゃに取り組む。訳あり生徒それぞれの語りで章を進める。みんなそれぞれ教室に居場所がなかったり人間関係が築けていなかったり。自分の中のある部分=鬼と向き合わないでいるから辛い。踊りに取り組むことで、少しずつそれを理解していく。自分のことでいっぱいいっぱいなこの年代の、熱い青春と成長とを描いている。著者の岡山愛も溢れる。
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Chiyo K.
ネタバレ日々いろんな現実を目にして何なのか、なぜなのか、どうなのかを考えてしまうというヨシタケさん。絵にする以前にもいろんな憶測をしているはずで、そのバリエーションたるやこの人の頭の中はどうなってるんだろうと毎度思う。憶測は勝手にするものでエネルギーを消費するばかりで何の役にも立たないと最初に書かれているが、本書の後の方では自分に対する気づきにつながってたり(切り替えのできるシャワーヘッドとか)、仕事のネタにもなっているはずなので、ヨシタケさんの日々には役立っていると思う。
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Chiyo K.
ネタバレ20代の著者は北極と出会い、その後専ら冒険のフィールドとして繰り返しそこへ立ち帰った。単独徒歩行や犬ぞり、先達やパートナーと等スタイルを変えて行った北極圏冒険を綴る。毎回新たな課題が発生し正直しんどいことの方が多そうだが、ただ「そこへ行きたい」「そこにあるものを見たい」という「知的情熱」が推進力になっている。それは人間であるゆえだと。後年著者は「冒険とは何か」の思索を深めていくが、本書では現在までどんな段階を踏んできたのかがわかる。文庫版は振り返りコラムあり。冒険研究所書店で購入、サインを入れていただく。
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Chiyo K.
ネタバレ寺田寅彦先生エッセイ。本の新聞広告から書き始め、批評からではなく「広告の坪数で(本の)価値を判断」するように慣らされているのではないか、と指摘。「無批判な多読」ではなく自分だけの「尊い師匠であり、なつかしい恋人」となる本、「自分の意識の水平面以下に潜在している」何かに触れる本こそが自分の読むべき本で、そういう本を自分で探すのがよいのではないかと。「おすすめの本は?」と聞かれてしばしば困る自分は大いに共感。自分の仕事の一部は「本をすすめること」だが、何を基準に本を選びすすめるべきなのかを考えざるを得ない。
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Chiyo K.
ネタバレ鹿児島城下に石橋を作った職人らは、秘密を広めぬために永送り(口封じ)されたという。殺害を免れた頭領・三五郎は生き残った肩身の狭さに逼塞していたが、やがて山中の谷川に石橋を築いてほしいと住民から要請される。三五郎を殺せなかった刺客、三五郎の身代りに父親を殺された姉弟、永送りで殺された石工の息子らを交えその数奇な運命を描く。築かれた橋の技術の確かさ、堅牢さに対して人の命のなんと軽いことか。日本にはこんな時代もあったのだと再認識させる良書。太田大八さんの挿絵は絶品。まだ熊本に残る石橋はあるのだろうか。
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Chiyo K.
ネタバレハルキウに住むイエバの暮らしを戦争が襲った。砲撃に神経をすり減らしながら過ごし、避難を続けた約1ヶ月とその後の記録。恐怖や将来への不安、それが和らいだ時や人から受けた厚意や親切への感激などを素直につづる。絵を描くのが好きだそうだが、きっと読書もたくさんするのだろう。イギリスのテレビ局の取材をきっかけに、日記を公表したりアイルランドへ避難する道が開けた。日々自分が接している生徒らと同年代と思うといたたまれない。イエバは「難民」という言葉が嫌だという。否応なくそうなったのかもしれないが、何という芯の強さ。
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Chiyo K.
ネタバレジュリアン三度登場。フランスに住むユダヤ人の祖母は少女時代にナチスの迫害を受けたが、クラスメイトとその両親が命がけで匿ってくれた。納屋から一歩も出られない中、自由を渇望しながら自分のこれまで、そして友への想いをかみしめる日々。初代?ジュリアンが松葉杖をついていると書かれていて嫌な予感がしたが、当たってしまった。ナチス占領が子どもたちの生活をどんなふうに変えたか(ヴィンセントのような親ナチ派も含め)や、サラや両親が受けた心の傷までも丁寧に描いている。フランスでの迫害やレジスタンスにも触れた巻末解説もよい。
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Chiyo K.
ネタバレ前作であまり語られなかった家庭での思い出から書き起こされている。失敗談、病気の話もあっけらかんと。疎開先の生活、東京の女学校生活、NHKの専属俳優となりやがて女優として活躍するまで。疎開先での母親の生活力に驚く。食堂を開いたり行商をしたり。頭がいいだけでなく度胸もあったのかも。言われたように芝居ができず使えない役者扱いだったが、「そのままでいい」と個性を見出してくれた劇作家の先生。トモエ学園の小林先生のような師に生涯二人も出会えた。それは自身が選んだ道でのこと。様々なエピソードを駆け抜けるようにつづった。
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Chiyo K.
ネタバレ再読。顔を知らない、しかも政治的に対立している土地の相手とのメールのやりとり。深まる思い、そして不安。初読時のドキドキ感はない。展開を知っているからでもあるが、かの地の状況が本書の時点より悪化しているだろうからでもある。ガザにいるナイームはエルサレムのタルとチャットすることができた。NGOの若者に思いを打ち明けることも、留学の申請をすることもできた。今はどうだろう。高失業率どころか、水も食べ物もままならない。憎しみの連鎖は断ち切られるどころか、強靭になるだろう。海を隔てた私たちは祈ることしかできないのか。
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Chiyo K.
ネタバレ女性が読み書きを学ぶことを禁じられた時代。英明な母のもと文字を学んだベアトリスは命を狙われ逃げ出す。修道院に匿われるが再び追いやられ、修道院のヤギ、孤児の少年と共に森へ。ベアトリスの過去とは。王室顧問官は愚昧な王を予言で操り力で国を支配しようとする。方やベアトリスが愛するのは物語と知識。少年と修道士はそんな彼女を支え、彼女を襲う輩も文字や物語の力に屈する。ベアトリスと仲間がほとんど暴力を使わず道を切り拓いていくのが印象的。力を発揮するのはもっぱらヤギのアンスウェリカ。力は愛のためにあると。国際女性デーに。
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Chiyo K.
ネタバレ人間がいたことがなく自然たっぷりな南硫黄島へ2回の上陸調査を行った時の体験を、軽妙かつ冗談半分(以上)の文体でつづる。平地がなくほぼ山からなるその島は、標高が高くなるほど地盤が安定し樹木が茂り、著者が研究する鳥類も住まう。着陸というより木や地面に衝突するようにして帰還するクロウミツバメ等、普段全くお目にかかれない海鳥の生態に驚かされる。羽毛に植物の種子をつけたまま移動し別の島へ運んでいたことなど、生態系の形成にも役割を持っていたことがわかった。冗談に紛れて気づきづらいが、結構貴重なお話を読ませてもらった。
が「ナイス!」と言っています。
Chiyo K.
ネタバレ衝撃的なタイトルがいやでも目をひく。巻末に臨床心理士の紹介文と相談先の電話番号。重そうだ。しかし読み始めると止まらない。なぜ「杉森くん」を殺すのか。「杉森くん」はわたしを困らせ邪魔してばかりいたから。そう思っているわたしこと「ヒロ」も、だいぶ行き詰まっているように見える。乱暴に貯金箱を壊したり、一心不乱に木を彫ったり。尋常な状態ではないことを周囲もわかっている。大人は腫物に触るようにし、クラスメイトの良子さんや矢口くんは何も聞かずそばにいてくれ、「ミトさん」は話を聞いてくれる(いい子ばかりだ)。→
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/01/07(2666日経過)
記録初日
2015/03/01(3344日経過)
読んだ本
1463冊(1日平均0.44冊)
読んだページ
299715ページ(1日平均89ページ)
感想・レビュー
1349件(投稿率92.2%)
本棚
1棚
性別
現住所
神奈川県
外部サイト
自己紹介

中学校司書です。同業者さんを、お気に入り登録させていただくこともあるかと思います。よろしくお願いします。

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