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2024年4月の読書メーターまとめ

村上春巻
読んだ本
78
読んだページ
15596ページ
感想・レビュー
78
ナイス
1458ナイス

2024年4月に読んだ本
78

2024年4月のお気に入り登録
1

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2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

村上春巻
ネタバレ【S】冒頭から映像が浮かぶような描写、英映画を代表するあのアイコンが登場。W・ポー刑事をアシストするのは、人間計数機にしてネットの達人でもある天才女子ティリー。ポーの友人かつ、命の恩人だ。そんな二人が有無を言わさずある殺人事件の捜査を命じられる。FBIとMI5との共同案件だ。カンブリア州で行われる商業サミットの関係者が、拷問ののち何者かに惨殺された。現場に残されたラットの置物と3年前の不可解な事件…。ポーはチェスの指し手のつもりだったが、自身が優秀さと頑固さゆえに択ばれたpawnだったことに漸く気づいた。
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2024年4月にナイスが最も多かったつぶやき

村上春巻

●この数日間で、もうお腹いっぱいです。

●この数日間で、もうお腹いっぱいです。
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2024年4月の感想・レビュー一覧
78

村上春巻
ネタバレ【A】昭和の頃の野球中継の解説で、「裏の裏の裏をかいたわけですな~」というわかるようでわからない表現があった。本書はそれを思わせるような怒涛の論理パズルである。殺人の手続きと動機のあらゆる可能性を数え上げて、それを一つ一つ検証してゆく、コナン君を思わせる―いや、正直彼よりも博覧強記で老成している―小学生探偵の活躍に、彼のお師匠さんにあたる青髪で白皙の成年探偵が途中から助太刀として登場、そして彼らの債権者でもある中国人美女の大女の呆気ない犯行動機の独白…。ミステリ好きが輪読するのも一興かな。脳が疲れた。
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村上春巻
ネタバレ【A+】老化防止のため、Youtubeで高校・大学の入試問題を解くのを日課としています。整数問題などは大人の狡さと力技で何とか解けるのですが、幾何分野のひらめきが全くない私。というわけで、三角形の相似や円に内接する三角形(方べきの定理ほか)、ついでに三角比に関する証明の導出などもおさらい、呆れるほど綺麗さっぱり忘れていました。あとコロナ禍で痛感した確率統計の知識の有用性だが、こちらのほうも忘却の彼方でありました。あと、アラビア数字って本当に偉大だな~ということも実感できました。昔の自分に手渡したい本。
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村上春巻
ネタバレ【A】YouTubeのおススメに、海外の視聴者による「必殺シリーズ」のリアクション動画が上がっていたので、そういえばというわけで、当該部分を再読。フジ系『木枯らし紋次郎』に対抗すべく、大阪は朝日放送が生み出したのが同シリーズ。始まりは池波正太郎の造形の藤枝梅安(緒方拳)であったが、続編の『必殺仕置人』以降からは、オリジナルの登場人物たちが視聴者の溜飲を下げた。なかでも、「無駄飯食らいの昼行燈」と称された中村主水が、実は凄腕の持ち主の殺し屋だったという設定が大受け、レントゲンの映像も番組の名物となった。
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村上春巻
ネタバレ【B+】私が知りたかった内容―詳細な修復法など―とは違っていた。著者のせいではなく、まったくのこちらの落ち度(選球眼の無さ)でした。というわけで流し読み。
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村上春巻
ネタバレ【A+】発表年は1947年だから、まだ英仏の人々の独憎しの感情は、現在よりも遥かに社会に充満していたに違いない。Dデイ後の英国の捕虜収容所に、敵味方の双方からどういうわけか一目置かれてしまう"奇妙な捕虜"がいた。《どうしてイギリス情報局はたった一人のドイツ人捕虜のために、これほど時間と労力をつぎ込むのか》。その理由が三人の語り手の視点から、徐々に解き明かされる。フランス各地の移動の場面や英国の田舎のマナーハウスや風車の風景なども、映画向きの内容だと思う。当時の英国人のドイツ人評の一例の側面もあるのかな。
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村上春巻
ネタバレ【A+】2019年刊。3歳下の坂本氏(元「新潮」編集長)と、おそらくは人生の総決算を按じていただろう石原慎太郎の対話。東京裁判を傍聴に行った石原が、履いていた下駄をMPに投げ捨てられるシーンで、敗戦国の悲哀が痛いほどわかる。小林秀雄に三島に川端との交流も、敬愛しつつも時に辛辣に評するのが慎太郎流か。佐藤春夫と吉行淳之介についてはほぼ全否定の印象、大江健三郎とは不思議な関係性がみてとれる。坂本氏が石原作品のほぼ全てを読みこんでいるのは大したものだが、幇間のような持ち上げ振りが読んでいてチト恥ずかしくなった。
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村上春巻
ネタバレ【A+】巻頭巻末のロングインタビューは、『あさきゆめみし』の成り立ちのメイキングビデオ的内容。原典を重視しつつも、光源氏を中心とする女たちの恋愛模様と苦悩を描くうちに、大和和紀先生が彼女たちそれぞれに感情移入してゆくさまが伝わってくる。六条の御息所の造型の参考にした上村松園の『焔』(1918年)は初見だが、思いがけず生霊を飛ばしてしまった彼女の、妖艶な美しさと怖ろしさがみてとれる。登場する女性たちで確実に見分けがつくのは、末摘花と花散里、とあって微苦笑。先生ご自身は、マーガレット系の漫画家が憧れですって。
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村上春巻
ネタバレ【A+】タイトルや書影から、一般向けのキャッチーな内容かと思いきや、実は最新の論文や研究の結果が反映された、結構難しく骨太の内容でした。加齢による基礎代謝の減少により肥満になるというのは全くの出鱈目、《渇きは肥満を作る》という研究結果から、飲み水を意識的に増やすと血糖値が下がり、肥満とメタボの予防と治療に資するという情報などは、今この瞬間から実践できる。認知症の謎の解明は、社会的・経済的な問題として国を挙げて取り組むべきだろう。読解力とため息の回数がシンクロしているのも興味深い。血液型で違う疾病リスクも。
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村上春巻
ネタバレ【A+】この手の本はかなり渉猟してきたが、本書が類書と異なるのは、ブランド(銘柄)や部位の説明にとどまらずに、餌や飼育法、そして流通経路などにも言及している点。それゆえ肉食が環境に与える負荷や、アニマルウェルフェアについても考えさせられる。後半は極上レシピ集で、サーロインステーキの焼き方は、赤身肉と霜降り肉のそれぞれがあるなど芸が細かい。マネをしてみたいのは、挽肉ではなく、牛モモ肉を1cm弱に粗みじん切りにして成形したハンバーグ。最近の新語である《肉々しい》食感らしい。ジビエの普及と害獣駆除が課題かな。
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村上春巻
ネタバレ【B+】某中国地方から飛行機に乗って、東京は大手町のクリニックに通い、障碍を共有する方々とのオフ会のようなものに参加していたが、コロナ禍によりそれは中断された。汚部屋のヌシの著者夫妻が、何の因果か町内会の清掃係を引き受けることになるとは。ある意味御主人も「不思議ちゃん」のようなキャラだから、カレー沢さんとうまくやっていけてるのかな。実家のお父様もモノを溜め込み、片付けられない男であったことが判明、ADHDと発達障碍にも遺伝的な側面があるのだろうか。症状を自覚できても、それが解決に直結しないもどかしさ。
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村上春巻
ネタバレ【A】巻末の付録以外は漢字を一切使わずに、平仮名と片仮名のみで、日本の空を飛ぶ乗り物を紹介した絵本。JALやANAなどのメジャーどころだけではなく、FDAやJetstarのカラーリングがあるのもよい。政府専用機が必ず2機同時に運用されることは知っていたが、《ときには護衛の戦闘機があとにつづ》くことは知らなかった。ターボプロップ機が、ジェットエンジンの力でプロペラを回転させていることも、飛行機好き以外には知られていないかも。とろい私には、航空管制官の仕事は100%つとまらないだろう。絵心がある人が羨ましい。
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村上春巻
ネタバレ●第十七候 霜止出苗(しもやみてなえいずる)。新暦4/25~4/29頃。苗代で稲がいきいきと育つ時期。●八十八夜とは、立春から数えて八十八夜目のことで、毎年5月2日あたりになります。●うど(独活)に似ていると思われたがアスパラガスで、江戸期に伝わり「松葉独活」と呼ばれたそう。●「満点躑躅」と記して、発語は「どうだんつつじ」。老子の古語に由来するらしいが、日本語の融通無碍の自由さを評価したい。
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村上春巻
ネタバレ【B+】読中にずーっと漂う違和感と不寛容さ。要は英単語(特に固有名詞)の発音はネットや電子辞書を駆使して、耳から憶えないと、英語圏の話者には通じませんよ、と提言すればいいだけの話。手持ちの中学生向けの英和では、ruleという語には発音記号とともに「ぅルーる」とカタカナ発音が附してあるが、日常語としてはやはり「ルール」と発音し、書くしかない。《実は英語には、日本人や中国人がlとrの発音の区別ができないことをおもしろおかしく表現した小話が昔からあ》ることを、むしろ恥ずべきなのでは?。例示列挙の素人本。
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村上春巻
ネタバレ【A】30年以上にわたって、NHKラジオの英語講座を担当した著者が編んだ基礎語辞典、というよりは、口語表現とカルチャー事情を紹介する読みもの辞典、という趣き。aからzoneまで、基礎的な1~4文字語を収録しているのだが、学習英和には収録されていない慣用表現も多い。そして性差やPCに関する表現に紙数が割かれているのも時代を反映している。動画サイトで話題の猫ミーム(meme)の意味も理解できた。使われた瞬間から色褪せるのが流行語の宿命だから、そのあたりに注意が必要かも。語彙獲得の旅に終わりはないことを痛感。
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村上春巻
ネタバレ【A+】バターまみれ、もとい、バターのリッチさが小説内部にたゆたう小説を読んでいて、その描写をビジュアルで再確認するためのつまみ読み。まずは、グラタンに欠かせないベシャメルソース。バターと小麦粉と牛乳という単純さが、逆に作るのを難しくしているのかも。焦がしバターソースは、生野菜や魚介のグリルなど、淡白な素材を引き立てる絶品ソースらしい。洋食の名店がその看板メニューを家庭でも再現できるように、入手の簡単な食材に代替して、その工程を説明してくれる。漱石が愛した松榮亭(神田淡路町)「洋風かきあげ」はどんな味か。
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村上春巻
ネタバレ【B+】図書館児童書コーナー。「海からいただく 日本のおかず」シリーズ第2巻。ガマの穂に似ているから「かまぼこ」、文献上の初出は平安期で、現在の竹輪とほぼ同じ形状らしい。江戸期に蒸し蒲鉾が生まれ、明治以降は生産技術の向上で多くの人が口にできるようになったが、現在でも富山県では、色鮮やかな細工蒲鉾は婚礼の引き出物だ。伝統的なはんぺんの材料は、主に鮫だったとは…。カニカマで作る押し寿司は、外国人にもウケそう。蕎麦が茹で上がるまで、板わさと日本酒で時間をつなぐ、といった通ぶったこともしばらくしていないなぁ。
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村上春巻
ネタバレ【S】モデルは複数の男性が謎の連続死を遂げた、あの事件である。メディアが注目したのは、毒婦と呼ばれた彼女の「外見」にあった。現在ほどルッキズムが喧しくない当時であっても、みなTVでは奥歯に物の挟まったようなコメントをしていたように記憶している。三十路の女性記者・理佳は、容疑者・梶井真奈子に面会するたびに、食にまつわるエピソードから、段々と彼女の世界観に呑み込まれていくのであった…。真奈子の自身満ちた語り口が、脳内でマツコデラックスの声に変換されたのは私だけだろうか。バター売り場で、ふと佇んでしまうかも。
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村上春巻
ネタバレ【S】2010年刊、図書館の除籍本。英国ミステリ好きなので、登場人物たちがロンドンやスコットランドの諸都市を移動するさまを本書を足掛かりに、ざっと流し読み。パリやベルリンの街並みも、行ったこともないくせに、したり顔で懐かしむ私に微苦笑。インターラーケンから鳥瞰する、ユングフラウとアイガーの姿にも、安上がり的に行ったつもりになる自分を発見。東京ほか地方都市の、1日乗車券やICカードの安価かつ便利さを再確認できた。東京田園調布の区画は、まんまパリのミニコピーだね。Buda+Pest=ブダペストなんだ~
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村上春巻
ネタバレ【S】2024年初版《47都道府県の名物料理を旅の雑学とともに解説》という副題に偽りなし。《食の境目はどこ?》では、味の「濃淡」「甘薄」にお餅の形、牛豚鶏の食文化の分水嶺が歴然とわかるし、「全国学校給食甲子園」で入賞した各地特有のメニューも興味深い。いわゆるご当地グルメというものも、その県民ですら見たことも聞いたこともないものが多いと聞いたことがある。ご当地ラーメンと、町(村)おこし的に伸長した焼きそばを中心とするB級グルメが、日本中を席巻しているという印象。これは保存版として購入するしかないな。
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村上春巻
ネタバレ●第十六候 葦始生(あしはじめてしょうず)。新暦4/20~4/24頃。葦が芽生え始める時期。●葦芽(牙)と書いて、「あしかび」と読みます。●かびといっても「黴」ではなく、植物の芽や穂先など、細く突き出したものを指す言葉です。●「年魚」「香魚」という表記もある「鮎」、元々は占いに使われてたそう。●「若鮎」という茶色い和菓子があります。関東ではその中身は餡ですが、上方では求肥入り、名古屋圏ではなんと味噌餡入りだとか。●「真珠星」とは乙女座のα星スピカのこと。スピカとは麦の穂のことで、農耕の女神だとか。
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村上春巻
ネタバレ【A+】奥様が外資系で稼いでいたこともあって、50手前で通信社を早期退職して主夫生活を開始した著者。だがフツーでなかったのは、それが英国の地であったということ。どういうわけか私たち日本人に漠としてある、英国=紳士の国という刷り込み。8歳のお嬢さんの学校生活を軸に、(衣)食住のことどもから、その幻想は面白いように覆されていくのであった…。よく言われることだが、やはり日本の医療が安価で高水準なことがよくわかる。あと、食についてアバウトでないと、かなりストレスがたまりそう。つまり、私は定住できなさそう。
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村上春巻
ネタバレ【A】1975年初版(図書館/書庫)。著者の評伝的なものを読んでいたのでその副読本的に読了。昭和50年代に静かなブーム的に流行った写経、その中心を担ったのが般若心経であるが、その理由と功徳を探ると同時に、著者に寄せられた読者からの疑問に詳細に答えるという構成。著者自身の般若心経との邂逅は、亡き曾祖母からの口伝であった。中岡氏が庶子であったこと、敗戦後の中国に残留していた頃とあるラマ僧に、日本人は般若心経に着目すべしと言われたことが、本書を上梓する潜在的なダイナモになったのかも。不思議な278文字の経典。
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村上春巻
ネタバレ【A+】●「魔術師」父娘が20年近くかけて仕込んだ奇術の企みやいかに。●「ひとすじの光」亡き父が遺した無名の競走馬から紐解く小説家のルーツ。●「時の扉」《東フランクの王》が、時間の流れに永遠に絡め捕られた理由。●「ムジカ・ムンダーナ」交換価値、貯蔵価値としての音楽が存在する小世界。亡父が遺した曲は何ものだったのか。●「最後の不良」個性が尊ばれると同時に、かくあるべきという暗黙の規範に縛られるという矛盾。このくだらない循環を断ち切るには…●「嘘と正典」どんなに悲惨な悲喜劇であっても、オリジナルは尊重すべし…
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村上春巻
ネタバレ【S】有名かつマスト的なものから、2000年代の最新のものまで、哲学書(含む日本人)の内容を、1行→100字→400字の順にブレイクダウンして紹介し、それに思想家の横顔とエピを付記する。《断言、反復、感染という3つの手段を用いて人々を操作する》というのはまさにTVコマーシャルの手法だが、ル・ボンは『群集心理』(1895)で見事に予見している。コロナ禍において、カミュ『ペスト』(1947)が再注目されたのも記憶に新しい。スミス『道徳感情論』(1759)の《公平な観察者》という姿勢を大事にしたいと思った。
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村上春巻
ネタバレ【S】2019年初版に改訂を加えた第2版。2025年6月に施行される刑法、少年法他の改正に対応したものである。小学校高学年でも読めるように、本書は実際の法律の文言をわかりやすく噛み砕いて表記している。昨今の道徳の授業の在り方を私は知らないのだが、修身的な観念論よりも、本書をもとに具体的なケーススタディでもって、児童自身に考えさせるのもありではないか。国を挙げて「いじめ」撲滅への法整備などがなされているのは評価できるのだが、例の旭川の悲惨ないじめ事件がいまだに解決をみないように、課題は山積していると思う。
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村上春巻
ネタバレ【A】中国地方在住の漫画家♀の著者は会社員との兼業であったが、色々あって専業の作家に。以前から世間(社会)との折合いの悪さや、自分が「片づけられない女」であることは自覚していた。担当編集者の提案で、飛行機に乗って東京大手町のクリニックである検査を受けると、ADHDとASDの傾向あり、との診断が下るのであった…。自身へののりツッコミを重ねながら、発達障碍との向き合い方と具体的な処方を綴るのは、実際は大変なストレスなのかも。《悩みに対し「そんなことないよ」「考えすぎだよ」は逆に「無理解でもある」》。確かに。
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村上春巻
ネタバレ【B+】「文学界 第一巻第五号」1949年(昭和24)。小生も小学生時代から大変に寝つきの悪い質であったのだが、安吾の言わんとすることは正直よく分からない。敗戦後のこの頃既に、何時間睡眠しなければならないという強迫観念みたいなものがあったのだろうか。安吾と言えば睡眠薬アドルム中毒で有名だから、やはりその気があったのだろう。《睡眠省とか、睡眠大臣というものが必要であり、初代の大臣は私がならなければならないだろう》と彼は言う。安吾大臣の秘書官になりたかった。
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村上春巻
ネタバレ【A+】単語に負けず劣らず悩ましいのは、基礎的な素養として、イディオムをどれほど覚えればよいかということ。本書が類書と根本的に異なるのは、熟語などを構成する一語一語について説明をしている点にある。例えばat large(逃亡中で) という意味だが、元々largeにはliberty(自由)という意味があったから、犯人=自由の状態にいる→逃亡中、という論理だ。by and largeは元は船乗りの言葉で、ほぼ全ての風向き→概して、という意味になったなど暗記のためのペグになってくれる。読み物としても面白かった。
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村上春巻
ネタバレ【B+】1972年初版(図書館/書庫)。先日著者に関する本を読むときの副読本?的に読む。私たちの世代がこぞって読んだシリーズの1冊でもある。その内容は「超能力」開眼のメソッド紹介と、日本をはじめとする世界中の不思議なエピソード、から成る。《念力でイノシシをたおす100歳の僧!》《少年心霊医》等の記事につい笑ってしまった。三島由紀夫の霊言をするブラジルの少女の話題があるのだが、彼の死がわずか2年前のことだったから、当時としては昨日のことのようだったのかな。オカルト話は面白いけど、その過信は危険な部分もある。
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村上春巻
ネタバレ【A+】和田誠の「仕事」を映画から回顧した展覧会の図録。和田さんと映画は、中高生の時代から切っても切れないものであり、1984年には『麻雀放浪記』で監督デビューまでしてしまった。和田氏の画風は精緻画の極北にあり、俳優の肖像は極力省略された線で表現されるのだが、そのすべてが彼らの特徴を見事に見る者に伝える。画集の自身の似顔絵の上に"THAT IS NOT ME!"と記してくれたのは、M・ディードリッヒ。大女優らしくシャレが効いている。《俺の最高傑作は『真夜中まで』だな》といわしめた同作を、私は見逃している。
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村上春巻
ネタバレ【B+】児童向けの、《かたちのひみつ》Q&A。●家のアウトレット(コンセント)の二つの穴、右が電気が来るほうで、左は余分の電気を逃がす役目。●歩行者用の人物の信号機が試験的に設置されたのは1965年で、場所は新宿伊勢丹前の交差点。●東京タワーは耐震構造で、スカイツリーは制震構造。●旅客機は燃料節約のため、基本的に機首を3度斜め上に向けて飛行する。●タケコプターにはテールローター(後ろの小さいプロペラ)がついていないので、プロペラの回転方向と反対回りに人は回ってしまう。●宇宙船が大気圏に突入する角度は大事。
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村上春巻
ネタバレ【S】ほほウチの老父母と同じ年の村上さん、50年かけて出来上がったレシピは、なんと50万点。これまで出版した料理本は576冊という事実がその証拠となるしょう。1972年30歳のときに、米国の料理コンテストで優勝して、雑誌「ミセス」誌で料理家デビュー。それ以前に、日本人を夫に持つ外国人女性たちと交流したことも、本書の内容に確かに結実しています。定番的な和のメニューから、外国の方から教わった本格的なレシピまで、どれも地に足のついたような美味しそうな家庭料理ばかり。粉からしの溶き方の実演に、プチ感動しました。
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村上春巻
ネタバレ●第十五候 虹始見(にじはじめてあらわる)。新暦4/15~4/19頃。虹が出始める時期。●この時期には天気がぐずつくことがある。三日以上降り続く雨は「春霖」、降ったり止んだりは「春時雨」と呼ぶ。春雨には、緑豆の澱粉で作った透明な麺の意味も。●桜のお返しに、米国から1912年に東京市に贈られたのが花水木。当初は「アメリカ山法師」と呼ばれていた。白や薄紅色で花びらのようなものは、実は総苞というもので、本当の花は中心部にある黄緑色のつぶつぶの部位。●幕末に伝わったフリージア、最初の名は浅黄(あさぎ)水仙。
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村上春巻
ネタバレ【B+】1分ほどで読了できますし、これほど自身で手軽に実証できるものもそうはないでしょう。湯豆腐を食べる―鍋から引き上げる―《刹那》が大事らしい。「星岡」(1933年)
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村上春巻
ネタバレ【S】平安期の古典の背景知識を得る、あるいは摂関政治をはじめとする藤原一族の権力闘争や複雑な流れを、これほどわかり易く、なおかつコンパクトにまとめた事典は類を見ないのではないか。朝堂院での毎日の書類の決裁の流れなどは高校日本史の授業では扱わないし、盤双六のルールなど無駄な情報も愉しい。お化粧のことは《顔づくり》と言ったらしく、まさに言い得て妙。また当時の貴族は結構暴力的だし、宮中や貴族間のいじめも我が国の悪しき伝統のようだ。噂話は存外本人の耳に届きやすく恐ろしきもの、と記したのは清少納言。これも今と同じ。
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村上春巻
ネタバレ【A】例文に関西弁が多いので奥付を見ると、著者は京大法の出身で、死刑廃止論者のよう。それゆえ、用語の意味だけでなく、刑事被告人や不当な捜査や取調べへの、弁護人としての思いが附言されているので、読む人を択ぶかもしれない。われわれ素人でもわかる・使う言葉から、まったく見当もつかない隠語まで多種多様だが、個人的には一般人が訳知り顔で用いるのは「イタイ」と思う。その弾倉の形状から、リボルバーのことを「レンコン」と呼ぶのに少し笑ってしまった。暴力団に警察、そして刑務所等の隠語には、創作者や記者は重宝するのかも。
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村上春巻
ネタバレ【B+】う~ん、これは写真でみたかったかも。フレンチフライにグレービーソースとチェダーチーズをかけた、カナダのファストフード「プーティン」。その名前は例の誰かさんに似ているが、居酒屋チェーンで供したらウケそう。メレンゲをオーブンで焼いて、生クリームをたっぷりかけたデザートの「パブロア」。その発祥をめぐって、オーストラリアとニュージーランドはもめたことがあるらしい。先日読んだ英国のミステリーでは、場面ごとに紅茶か珈琲が登場した。東京のアフタヌーンティーの料金は、場所代など理解できるのだが、高過ぎる印象。
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村上春巻
ネタバレ【A】考えてみれば、彼―中岡俊哉―の人生が数奇なものであった。馬賊になるべく母弟を捨てて渡満、他の日本人と違って中国の人々と普通に交流していたことから、敗戦後の中国人の復讐を免れ八路軍に合流。やがては北京放送で日本の「同志」への宣伝放送の担当アナになる。大陸に骨を埋めるつもりだったが、妻の希望もあって、昭和33年にようやく帰国した。生活のために、中国で蒐集していた怪奇譚を出版社に持ち込んだところ、あっさりと連載が決定し、70年代の怪奇のアイコンとなる「中岡俊哉」という筆名が生まれた。すべてが懐かしい。
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村上春巻
ネタバレ【A+】あの未曽有の大惨事の10ヵ月後に上梓された児童向けのサバイバルブック。いま現在をどのように過ごすべきか、住居と食事の両面において気をつけるべきことが、科学的な根拠に基づいて具体的に記されている。まずは敵の正体を正しく知ること、放射線・放射性物質・放射能、外部被ばくと内部被ばく、ベクレルやシーベルトなどの言葉を正確に定義することが大事だ。悲しいかな、この本の出版の時点で、すでに被災した子どもたちがイジメにあっていることが言及されている。《いつまで気をつければいいの?》という問いへの答えは…
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村上春巻
ネタバレ【?】自死をおもいとどまらせる、現在の自身の状況―幸運も不遇も―を受容して生きていくという側面においては、自己啓発?的なものとして読む価値が本書にはあると思う。その一方で、検証しようのないことばかりなので、言ったもん勝ちじゃないの?という思いも正直ある。ナース姿の死神や天使のふりをする悪霊、「源氏物語」でもおなじみの生き霊の話などなど、なかなか興味深いものがあるのだが、UFOにまつわる話と同じように、やはり一定の距離をおいて面白がるのがオトナの対応なのだと思う。
が「ナイス!」と言っています。
村上春巻
ネタバレ【S】児童向けの植物図鑑は所有しているのだが、実際には花や樹も似たようなものが多くて、同定するのは結構難しい。本書は《葉っぱ検索表》と《花の色別一覧》で、そのストレスを劇的に解消してくれている。大正時代に米国に贈った桜の返礼に送られて来たのが、ハナミズキ。「薄紅色の可愛い」花を咲かせ、平成期に街路樹として普及し、一青窈さん歌唱の同名曲は、平成のカラオケで最も歌われた曲になったという。ヘーゼルナッツが日本でも自生している事実にビックリ。金木犀のなんともいえない香りで、私たち日本人は秋の訪れを知る。超良書。
が「ナイス!」と言っています。
村上春巻
ネタバレ【B+】新聞紙の上にのせられたカレーライスの喩えは極端であるが、魯山人のこの小文に我が意を得たりと首肯するかたもいれば、そうでないかたもいるだろう。買ってきた惣菜を皿に移しかえる―たとえそれが独り暮らしであっても―人もいれば、洗いものの手間や節約を考えて、購入したパッケージのままでいっこうにかまわないという合理的な人もいる。魯山人にとって料理と器は夫婦のようなもので、切っても切れない関係なのだ。そして優れた器のない時代には、美味しい料理は存在しないというのが、彼の根本思想である。中国料理には辛口の評価。
が「ナイス!」と言っています。
村上春巻
ネタバレ【A+】映画は見ているが、正直なところ私はキングの作品は片手で数えられるほどしか読んでいないので、流し読み。それでも彼が『キャリー』で世に出るまでにかなりの下積み時代を経たことや、薬物とアルコールに溺れたことや交通事故にあったことなどを興味深く読めた。映画化もされた初期の長編『デッド・ゾーン』は、事故の昏睡後に未来予知能力を得た主人公が、世界を破滅に導くに違いない米大統領候補を暗殺するというストーリー。トランプ大統領誕生の際には、キングが同作についてしばしば触れているのも、むべなるかなという感じ。
が「ナイス!」と言っています。
村上春巻
ネタバレ【S】『羊と鋼の森』を読むための、調律師とピアノまわりのみの再読。《ユニゾンにはじまりユニゾンで終わる》ともいわれる調律作業だが、細かいものも合わせると、その調律法は世界で1500種にもなるという。状態の良いものでも、基本的な作業は優に1時間半は要すらしい。最後に行う整音の作業では、ハンマーフェルトに針状のもの刺してその硬さを調整する。弦を爪で弾いて音を出すハープシコード(チェンバロ)の繊細な機構は、作曲家たちのあり余る欲求に応じきれなかったため、その地位をピアノ(フォルテ)にとって代られた。
が「ナイス!」と言っています。
村上春巻
ネタバレ●第十四候 鴻雁北(こうがんかえる)。新暦4/10~4/14頃。雁が北へ帰っていく時期。●この頃の曇り空を「鳥曇」という。秋に来日した雁が、温かくなると北へ帰ります。昔の子どもたちは、「棹になれ、鉤になれ」と囃し立てて、彼らを見送ったとか。●雛菊というゆかしい名前ながら、実は西ヨーロッパ原産の花。デージーという名のほうがぴんとくるのかも。●桜の咲く頃、同じように咲き始めるのが、雪柳と小手毬。花そのものは似ているのですが、咲き方は異なります。●昼の時間が増えました。「日永(ひなが)」は春の季語。
が「ナイス!」と言っています。
村上春巻
ネタバレ【A+】最愛の女性を護れなかった罪悪感と、彼女から託された遺児♀の成長を見守るという責任感の板挟み状態にある好漢ペレス警部。付き合いの濃淡の差こそあれ、ほぼ皆が顔見知りであるという島嶼部の警察官だ。地滑りで発覚した他殺体の女性は、どういうわけか氏名を偽っていた。スコットランドから出張ってきた女性警部ウィローとは、お互いに惹かれあう関係だったが、本事件のさなか二人は一線を越えてしまう。若手刑事サンディは、不器用ながら着実に両警部に揉まれて成長中だ。《誰もが秘密をもっている。それが正気を保つ唯一の方法だから》
が「ナイス!」と言っています。
村上春巻
ネタバレ【A】「星岡」1933(昭和8)年のこの文章で、戦前において既に胡瓜の促成(温室)栽培がなされていたことを知り、ちょっとした驚きであった。《やはり旬のものに越したことはない》と言いつつ、《促成野菜は、いわゆる旬のものにない味わいを持っている。従って、軽々に取り扱うのは考えものである》と、魯山人翁に頑迷さがないのにも好感を持てた。で、それからは、ぬかみそに漬けた胡瓜を食べるタイミングについて述べる。筆が走ったのか、文章の最後が茄子のぬかづけで終わるのも面白い。
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ネタバレ【A+】❶涙なしには語れない野菜ヒストリー❷誤解を解きたい野菜たち❸葉っぱには葉っぱの事情がある❹地味な見た目に秘めたパワー❺本当に野菜なんですか?、という章立て。現在だと不適切な表現となる「大根足」だが、平安期の大根は細長い形状だったので、むしろ褒め言葉だったという。違いがよくわからない玉レタスとサラダ菜だが、サラダ菜は鉄分が約8倍、カロテンは約9倍というから、これからは摂るインセンティブが増すかも。織田信長が玉蜀黍のひげのように見える雌花を愛していた、というか当時それがあったことも意外でした。
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ネタバレ【B+】中国料理に較べると、日本料理においては、その美味しさは作り手の技倆よりも、素材自体に負う処が圧倒的だと魯山人は断言する。だが食材の確保や保存に難渋した故に、逆にそれを克服すべく発達した調理法、それから生まれた美味しさもあると思うのだが…。結論部分には目くじらを立てる向きがあるかも。
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ネタバレ【B+】1951年の築地八宝亭一家殺人事件が題材。中華料理店一家が、薪割り用の鉈で惨殺された事件で、とりわけ10歳の長女には尋常でない傷が残されていた。第一発見者は住み込みの25歳の男で彼には害は及ばす、事件前日に住み込みの女中として採用された女の部屋で、不審な男を見たと証言した。そして事件後に女は姿を消し、不可解な行動をとったことだけは捜査で浮き彫りになるのだが…。安吾探偵の文章の真意を把握できなかった、東京新聞に寄稿した文芸評論家が気の毒なくらいこてんぱんに揶揄されている、フシギな作品であった。
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ネタバレ【A】広く浅く、というようでいて、かなり専門的な記述もあるので、正直流し読みで読了。白物家電から情報機器、そして自動車、というのが大まかな流れ。この20年余で、我々を取り巻く機械は、ますますブラックボックス化してしまったよう。最後にフィルムのカメラで写真を撮ったのが思い出せない(その予感的に「写るんです」があったのかな)。褥瘡、いわゆる「床ずれ」予防の電動エアマットレスの普及は、介護する側される側双方の心理的かつ身体的な負担の軽減になるのか。2020年の米国ではアナログレコードがCDの売上を越えたという。
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ネタバレ【B+】書影は歌川国政(四代)「しん板猫のそばや」(1873年)という作品。蕎麦をたぐる猫に、蕎麦を打つ猫、出前に行くのも猫という猫だらけの蕎麦屋で、「鳥羽絵」という浮世絵スタイルらしい。「そら」「いろ」「かず」「はな」、に続いた本巻だが、既刊の充実度に較べると、新知識や刺さるものがなかったというのが正直な印象、テーマが「あじ」だけに辛口御免。
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ネタバレ【A+】英国の化学の先生が、食にまつわる不思議を有機化学で解き明かす。英原題は「アスパラガスはどうしておしっこを臭くするの?」。定番的な玉ねぎの下拵えと涙の関係に、一時期喧しかった薬とグレープフルーツジュースの飲み合わせ問題、日本人には河豚毒や山葵の話題があるのも嬉しい。「ビートを食べるとおしっこが赤くなる」「七面鳥を食べると眠くなるの?」などで食文化の違いを知れる。《もっともひどく卑劣なやり方で痛めつけられてしまった犠牲者》は、グルタミン酸ナトリウム。エナジードリンクには気分以外の効果は余りないみたい。
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ネタバレ【A+】《料理の不味まずい理由は、大概料理人の材料を選択する際の不明、不注意からくる。選択の道を誤っているか、もしくは良否の判別が出来得ない未熟からだ》というのは、お刺身(お造り)が良い例だ。《よい材料を得ても、生かして用い得ず、わざわざ本質を殺してしまっているものもある。これはまた賢児を得ながら、教育し善導する道を知らないのと同じである》と口が肥えた陶芸家はなかなか手厳しい。それから話題は鰹節を削るカンナの刃について移行し、ああ『美味しんぼ』の原作者の蘊蓄はこの文章に依っていたのか、と合点がいった。
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ネタバレ【A】多くの生き物は寿命を全うできずに、捕食されるか餓死で最期を迎える。また代謝率が寿命に影響を及ぼすので、一般的に動物の寿命は体の大きさに比例する。働きアリの寿命は1年で、キリギリスのそれは2ヵ月というから、例の寓話は成立しないような…。縄文期の日本人の平均寿命は30年強で、現在は84歳を超えているのだが、癌の患者が急増する55歳あたりが、遺伝的な意味においては人間の寿命だと考えられるらしい。羽化する時期を間違えて季節外れに光る♂ホタルは、「こぼれ蛍」と呼ばれ、メスと交尾することなく孤独死する…
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ネタバレ【S】大好きなおぎやはぎのお二人が、旅行に特化したYouTubeチャンネルを開設、その初っ端が韓国での食べ歩きだったので、4年ぶりに書棚から本書を引っぱりだして、韓国の頁を再読。《木でつくられたおぼんに、いろいろな料理をならべ、はしとスプーンをそえた"ハンサンチャリム"というひとつのおぜんの形にして食べるのが伝統的なスタイル》とか。《茶の葉以外のものを使った伝統的な茶がたくさんある》らしく、番組でも高麗人参酒がオプションではなく供されていた。ついでにヴァランダー・シリーズでお馴染のスウェーデンも再読。
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ネタバレ【S】著者の院生時代の同人誌が編集者の目に止まり、生物に関する最先端の研究結果を噛み砕いた、この素晴らしい本が誕生した。的確で味のあるイラストと実に読みやすい自筆の文字と文章で、著者は我われ読者を自然界の不思議にいざなってくださる。その大きさのスケールは、ショウジョウバエからザトウクジラまで。生物の行動(含む子育て)を人間のそれと較べてみて、歴然とした違いと意外に共通点があるのが興味深い。一部のオオカミが自ら家畜化したのが最近の有力説で、家畜化には種を超えた共通の特徴があるというのも大変に興味深い。良書。
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ネタバレ【A+】表題は「料理の第一歩」とあるが、この小文はそれのみならず人生一般のことについて述べているように思う。《正しいこと、いいことを考え、間違ったことを少しもいわないひとびとがいる。そして一つも実行しない人間もいる》《世の中には、こんな頭の大きい男がたくさんいる。わたしは、この気味のわるい男の話をときどき思う》《考えることも大切だ。聞くことも大切だ。実行することはもっと大切なことだとわたしは思う》《その遠い道は、いつもいちばん手近の第一歩からはじまっているのだ》。「独歩」1953(昭和28)
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ネタバレ【A+】夫から逃走中の、幼児を抱える小山田聡美が偶々匿われたのは、江戸期から有名な鎌倉の縁切り寺であった。手助けしてくれたのはその寺の娘であり、なおかつ離婚案件を専門とする弁護士・紬であった。結婚出産をして判ったのは、夫が家事も育児の手伝いもしない、ただのモラハラ男だったこと。決定打となったの浮気の徴候だ。物語と並行して、読者は離婚の詳細や仕組み―調停・親権・養育費など―を知れる。なお当の紬先生は、人々がこぞって結婚する理由と意味がとんとわからない。最後の最後でまたどんでん返し、シリーズ化する予感大。
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ネタバレ【A+】《数の子を歯の上に載せてパチパチプツプツと噛む、あの音の響きがよい。もし数の子からこの音の響きを取り除けたら、到底あの美味はなかろう》と、美食家でも知られる陶芸家はいう。醤油漬けも厳禁で、《水にもどしてやわらかくなったものをよく洗い、適当の大きさに指先でほぐし、花がつおかまたは粉がつおのよいものを、少し余計目にかけて、その上に醤油をかけ、醤油があまり卵の中に滲み込まない中に食うのが、数の子を美味く食う一番の方法である》とも。実行してみないとわからないが、一方的な決めつけが面白くもある。(昭和5年)
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ネタバレ【A】シリーズ第3弾は魚卵+魚介の塩蔵品。すでに平安期には朝廷に献上されていた。塩を使って加工するという智慧は、当初は飢えに備えての保存食的な意味合いだったのだと思う。しかしそこは人間のさがで、美味しく食べたいという思いがつのり、なんと日本人は有毒の河豚の卵巣までほぼ無毒化することに成功した。それどころか宮崎県では山間部において蝶鮫の人工孵化が実現して、外国産よりもピュアなキャビア作りにも成功した。日本最初期の洋画家・高橋由一が描いた『鮭』、 魯山人『数の子は音を食うもの』という小文がふと脳裏に浮かんだ。
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ネタバレ【A】絶版になった2016年刊『地元パン手帖』から7年の時を経て、追加取材などをもとに再構成された御当地パン図鑑。昭和期を思わせる素朴なロゴやフォントに簡易な包装、なにより温かみを伴った素朴なパンたちの味と相貌が、TV等で紹介されるような、本格的でデコラティブなお洒落なパンに辟易したパン好きの心に訴求するのだろう。いわば町中華的な魅力とでも言うのか。県別や種類に分類化されたガチガチな図録的なものを好む向きもあれば、本書のようにパンのみの情報ではなく、地方パンの変遷や作り手の顔も知りたい人、それぞれだろう。
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ネタバレ【A】著者が急逝されて、加筆等されていない遺作なので、感想はやめておきます。
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ネタバレ【A?】マンガで学ぶあっちの世界の講義、全14限。講師―あの世のツアーガイド―は歯科医の御主人に先立たれた霊能者・流光七奈さんで、生徒(お客)はマンガ担当の安斎氏と編集子のふたり。一応、悪人があの世でどういうことになるかの記述はあるのだが、その末路については《詳細はわからない》とあるのがもどかしい。フシギなことに興味津津な私であるが、それと同じくらい♪ラララ科学の子でありたいので、全否定も全肯定もできないこの方面の内容は、本当に悩ましい。《猫による猫の為の秘密結社があるという噂》は信じたいのだけれど…
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ネタバレ●第十三候 玄鳥至(つばめきたる)。新暦4/5~4/9頃。燕が渡って来る時期。●黒い背中に白いお腹から、「燕尾服」という名が生まれました。●親燕はつがいで協力して雛たちを育てます。燕が営巣した家は栄えるという言い伝えの由来かも。●根につく根粒バクテリアが土質を良くすることから、かつては春の田をピンク色に染めた蓮華草。●「手に取るなやはり野に置け蓮華草」と詠まれた蓮華草は、実は本妻ではない女性の喩えです。●旧暦4/8はお釈迦様の誕生日で、「花祭」とも呼ばれます。可愛い誕生仏をまつり、甘茶の湯を注ぎます。
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ネタバレ【S】再読。ダイコンにナス、そしてトマトほか、生命の多様性は、近所の八百屋さんやデパ地下でも確認できるのだ。栄養があり、また利便性の高いアブラナ科の植物には、足を向けて寝られない。カロリーベースの食糧自給率で、政府やメディアは消費者の不安を煽るのがつねだが、巻末の資料によると日常的な野菜と果物は、ほぼ国内品でまかなえている。購入すべく近場の大きな書店を3つまわってみたが、どこにも在庫なし。2013年初版の本書自体が絶滅危惧種、というオチでありました。というわけで、密林の「ほしいものリスト」に登録。
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ネタバレ【S?】児童向けのイラストを駆使した哲学の思想(史)図鑑。独りで読み進めることにも意義があるが、《君ならどう考える?》を足掛かりにして、複数人で議論すると更に内容の理解が深まると思う。なぜなら本書の内容を咀嚼吸収することがかなり困難で、また数学のように一義的に解が定まらないからだ。有名な「トロッコ問題」や「哲学的ゾンビ」の話題などは、思考訓練の一助となるだろう。なぜかふと、ハクスリー『素晴らしき世界』に登場する、「不幸になる権利」のやりとりを思い出してしまった。《何度も読むのがコツですよ》とは訳者の弁。
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ネタバレ【A】原文が優れているのか、はたまた訳者が有能なのか判らないが、事件の経過とともに英国の北海に浮かぶ群島の情景が美しく綴られる。前シリーズで心に深傷を負ったペレス警部は、いまだに傷心を持て余している。現場で指揮を執る本土から来た女性警部ウィローは、彼に同情しつつも苛立ちをおぼえる。そんな二人に挟まれながら、生粋の地元っ子である若手刑事のサンディは気をもむばかりだ。2件の被害者に共通点はあるのだが、意味を成す動機が見つからない。とても読ませる筆致なのだが、何も書かれていない絵葉書の存在は不要だったかも。
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ネタバレ【A】妖怪が初めて記録に登場したのは宝亀八年(777年)の『続日本紀』で、奈良期の光仁帝の頃。彼らが宮中にしきりに現れ、大祓がたびたび行われる様になり、現在でも毎年二回催される。鬼たちは漫然と地方から都へと上るのではなく、きちんと道なりに進んでくることは、道路が交差する「ちまた」に現存する神社(の御神体)が証拠となる。時が下ると、妖怪は為政者だけでなく普通の民の前にも現れるようになった。『鬼太郎』から『千と千尋』、そして『妖怪ウォッチ』に『鬼滅の刃』まで、通過儀礼としての異世界が日本人を魅了するのかな。
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ネタバレ【B+】雑誌「サライ」の連載に書下ろしを加えたもの。語られるのはコロナ禍のことどもだから、大学のリモート授業に、当世学生気質、若者言葉に流行語、そしてAIにChatGPTの可能性と限界などなど、という塩梅。私が期待していた内容とはかなり違っていた。言ってはいけないかもしれないが、お父様である春彦先生の小文の格調と滋味を知っているがゆえに、その残念さが増してしまった。
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ネタバレ【A+】字面や文脈で類推できるものもあれば、とんと判らないものも少なくない。その最たるものが、「台」と書いて「うてな」と読ませるそれ。「西米」とは、5~6年前に大ブームだった「タピオカ」のこと、春の季語「野馬」(かげろう)なんてのは、ヒントなしではまず読めない。蜚蠊とは例のGのことで、漢字(感じ)からして本当に嫌だ。真珠麿(マシュマロ)を食べる彦摩呂を見てみたい。薬丸岳を缶と私が読み間違うのは「薬缶」の所為かも。随分と子守熊(コアラ)の行進(マーチ)を食べていないな~。しりとり→林檎→猛狒→喇叭→鳳梨…
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ネタバレ【S】男性陣は首肯してくださると思うのだが、ネクタイを締める手間は、何とかならんものか。平常時ならともかく、寝坊した時などは恨めしいほどのひと手間である。そういう現在の男子の服装規範の大元となったのが、ボー・ブランメル氏、「伊達者」という意味にもなっている御仁だ。「チェーン・メール」は、実は「鎖かたびら」のこと。1946年のビキニ(小箱に収納できる水着)は、現代では糾弾の的になるだろう。部屋着、あるいは労働着であった、Tシャツやスウェット(いわゆるジャージ)上下が、普段着として市民権を得る時代の到来。
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ネタバレ【A?】1974年(昭49)初版(図書館/書庫)。五島勉のノストラダムス本が大ヒットし、映画『エクソシスト』が公開されるなど、日本全体がオカルト的な事象に寛容(?)だったころ、新倉イワオさんと著者が、TVと活字分野において幽霊的な話題を担っていたように記憶している。そんな中岡氏自身が「コックリさん」を体験したのは、技術者として八路軍に拘束されていた、敗戦後の中国で。この占い法が世界中で行われていること、我が国では地方ごとに様々な流派があったことも、民俗学的に分析すると面白いのではないかな。
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ネタバレ●第十二候 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)。新暦3/31~4/4頃。雷が鳴り始める時期。●4月いっぴの「万愚節」は、11月1日の「万聖節」に対応する言葉で、キリスト教が愚弄されたことを忘れない日だとか。●フランスだと「四月の魚」という。個人的には情趣があってこちらのほうが好み。●この時期にいっきに芽吹くのが、目にまぶしい連翹の黄色い花。奈良期に渡来したらしく、むかしは「いたちぐさ」と呼ばれていた。動物の鼬とは無関係で、接頭語の「い」+「立ち草」が語源で、まっすぐ伸びる草という意味らしい。
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ネタバレ【S】そりゃ30年も隔たれば世の中が激変するのは当たり前なのだが、本書が扱っている平成から令和の《こんなに変わった!》ぶりは、かなり異質である。ネットと携帯端末の浸透がその要因である。本書は北海道から沖縄までその変遷を見てゆくわけだが、その切り口は単純な数値データだけではない。その県についての教科書の記述の変化や県内企業の売上ベスト5の推移、ユニークなのはネットニュースでも散見する《地方百貨店の興亡》という視点だ。都心回帰と人口減がシンクロしていることが如実に分かった。甲子園常連校という括りもありかも。
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ネタバレ【A+】わかるようでわからない、「文壇」なるものの存在。昭和期にも「文学論争」はあったが、最近はとんと聞かなくなった。本書は明治から昭和前期にかけて活躍した文士たちの、口喧嘩&筆喧嘩(文章での罵り合い;私の造語)を集めたもの。芥川賞を切望したことからの、太宰・川端・佐藤春夫の激烈なやり取りは有名だが、それ以外の文豪たち―漱石・鷗外・谷崎・芥川ほか―の活字ごしの名指しの喧嘩は、野次馬には実に面白い。個性が全く違う谷崎(変態性)と安吾(ふっきれ度)に、どういうわけか文学者としての矜持を感じた。癇癪持ちの漱石。
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ネタバレ【S】2日続けて英国を舞台にした小説―A・クリーヴス『空の幻想』とM・W・クレイヴン『グレイラットの殺人』―を読んでいたので、本書を頼りに登場人物の移動を追いかけながらの、ざっくりとした通読。特に後者では、主人公たちがカンブリア州から、英国南部のサウサンプトンまで車で移動したりするので、「東京からだとどれくらいかな~」などと距離感を想像するなどして楽しめた。あちらでも海苔を食すのは本当だったのね(ウェールズ地方)。《出発日検討カレンダー》というのも役立ちそう。石造りの古い建物には、曇天が似合いそうだな。
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ネタバレ【S】冒頭から映像が浮かぶような描写、英映画を代表するあのアイコンが登場。W・ポー刑事をアシストするのは、人間計数機にしてネットの達人でもある天才女子ティリー。ポーの友人かつ、命の恩人だ。そんな二人が有無を言わさずある殺人事件の捜査を命じられる。FBIとMI5との共同案件だ。カンブリア州で行われる商業サミットの関係者が、拷問ののち何者かに惨殺された。現場に残されたラットの置物と3年前の不可解な事件…。ポーはチェスの指し手のつもりだったが、自身が優秀さと頑固さゆえに択ばれたpawnだったことに漸く気づいた。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/03/22(2598日経過)
記録初日
2015/02/17(3362日経過)
読んだ本
5105冊(1日平均1.52冊)
読んだページ
1225728ページ(1日平均364ページ)
感想・レビュー
4987件(投稿率97.7%)
本棚
19棚
性別
自己紹介

S(殿堂入り)A(90点)B(80点)±(5点)
《》は本文からの引用。B/Oはブックオフの略。

●鳥頭(3歩歩いたら全部忘れちゃう)なので、あらすじ等を備忘録的に記述するのをご理解(了承)ください。
●猫と飛行機と天せいろと人工衛星が好き。
●なんちゃってナイスはせずに、レビューはちゃんと読んでいます(キリッ)。

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