この世に未練を残したまま亡くなった人の前に、「とりつくしま係」が現れる。とりつくしま係は尋ねる。「あなたは何をとりつくしまにしたいですか？」と。とりつく、というと、おどろおどろしいもののように聞こえるが、そうではない。思いがけず死んでしまったら、自分の人生が終わったことを悔いるよりも、残された家族がどうしているかを気に掛ける人が多いことに、心を動かされた。自分なら、何をとりつくしまにするかな？妹のことが気になるから、妹の持ち物だろうか。

巻頭の人物紹介を見て、「今回はベッキーちゃんの出番は無しか・・・」と落胆したけれど、沢山登場していたので嬉しかった。強く優しい人には辛い過去があったり、職業柄、どうしても他人を疑わなければならなかったりと、キャラクター達が実に面白い。読みながら笑ったりほっこりしたり、好きな言葉を反芻しながら読むので、なかなか進まない。とにかく「すき」。

「乙女の本棚」シリーズ。名だたる文豪たちの原文はそのままに、イラストが添えられている。太宰の短編が好きなので、読んでみました。現代人にとって、明治時代の作品はとっつきにくいという印象があるかもしれませんが、挿絵があることにより、手に取りやすいです。なお、やや差別的な表現があっても原文が尊重され、文章は変えられていません。同シリーズの、他の作家の作品も読みたい。

“If I stay”の続編。前作はMiaの目線で語られていたが、本作は、恋人のAdamが主軸となる。凄惨な交通事故に遭いながらも、奇跡的に一命を取り留めたMia。彼女はAdamの前から、突然姿を消してしまう。あれから3年。なぜMiaは、自分の元から去ったのか。自問し続けたが、答えは見つからないままだった。そんなある日、Adamは思わぬ形でMiaと再会を果たす。著者の情景描写が好きで、ニューヨークの街並みが、ありありと目の前に浮かぶようでした(ニューヨーク、行ったことないけど・・・)。

まず、設定が面白いと思った。子どもを持つには、「免許」が必要な社会。虐待やネグレクトを無くすのが狙いだ。子どもを望む夫婦の元には、「扶養審査官」が派遣される。彼らは子どもの見た目をしているが、夫婦と生活を共にして、審査を行う。夫婦が、親になるのにふさわしいかどうかの判断は、この審査官に委ねられている。ラストは、何回読んでも泣く。

この世に未練を残したまま亡くなった人の前に、「とりつくしま係」が現れる。とりつくしま係は尋ねる。「あなたは何をとりつくしまにしたいですか？」と。とりつく、というと、おどろおどろしいもののように聞こえるが、そうではない。思いがけず死んでしまったら、自分の人生が終わったことを悔いるよりも、残された家族がどうしているかを気に掛ける人が多いことに、心を動かされた。自分なら、何をとりつくしまにするかな？妹のことが気になるから、妹の持ち物だろうか。