2023年11月17冊4712ページ4923ナイス→ https://bookmeter.com/users/822995/summary/monthly/2023/11 ふむ、もう師走ですか、あとひと月で…というのも陳腐なので、大東亜戦争開戦から82年、あれキリが悪いな。明くれば東日本震災から13年、ますますキリ悪い。ええい、こうなったら、紀元は2684年…と、相変わらずジタバタしながら生きてます。今年最後の月となりました今月もよろしく。
しかし、それは前代の残滓に過ぎず、決定的要因は「職場での長時間拘束を必要とする働き方」にあるのだ、と説くのです。上級管理者さらに経営層に進むには全身全霊上司や取引先に「奉仕」することが求められる。その代償として時間辺り報酬は高くなって行くが、同時に家庭や育児を行うには、パートナーのうち1人が家庭に軸足を置かざるを得ない。妻がこちらを選好することが圧倒的に多く、こうして男性のフルタイムによる高い報酬と女性のパートタイムによる補助的業務とそれに見合う低い報酬が併存することになるのだ、と。(3/4)
(3)謂わば「合理的選好」の結果としての男女格差ですが、勿論著者はこのような事態を良しとしません。男女や夫婦に分断強いる長時間拘束・高額報酬の働き方の見直しこそ変えるべきだとして、男女格差の少ない薬剤師や獣医などの例を紐解いたり、コロナで脚光浴びたリモートワークなどに着目し、代替性ある標準化された業務への移行を模索します。米国の例が当然中心になりますが、日本においても思い当たる節は大いにあるのではないでしょうか。是非一読を。(4/4)
(2)そのように背中に一本筋を通した田村さんの権力や会社に対する姿勢も凡百と一線を画します。安倍氏など経済観では共通することも多い政治家に対しても自分からは近寄らず、批判的視点を確保する。自分や部下が確固とした根拠や視点に立って報じた記事に対して、官庁や外国に忖度するため社内の他部署が出した否定する方向の記事に対して敢然と憤りを発する。福澤諭吉の「独立自尊」を体現されていると思います。それは日本の真の自立を願う著者の姿に重なって行きます。(2/2)
(2)本書に取り上げられた最後の合戦である「大阪の陣」からでも400年余り経過していますが、その間先に見たような「通説」が形作られていく過程や作話する者にの意図などが伺えるのが面白い。「関ケ原の『問い鉄砲』」の場合は、神君家康を持ち上げる意図があったりしますが、「長篠の三段撃ち」の場合は江戸時代に原型ができ、近代になってヨーロッパから輪番射撃の知識が入って来るに及び「完成」して行ったことが明らかにされています。(2/3)
さらに、徳富蘇峰などの著述家や戦後は司馬遼太郎などの歴史小説家らが、「革命家・信長」のイメージを印象づけるのにうってつけの挿話として『三段撃ち』を好んで用いたのが、一般社会に広く流布していったと。ストーリーに酔い、そこから教訓などを得たりするのが歴史物語を読む楽しみですが、実際の歴史とは、歴史が正に今形作られている現在同様平凡で、「英雄」たちも我々と身の丈さほど変わらない人間と捉えるべきなのでしょう。それはそれとしての「歴史」の楽しみ方もあると思いますが、それはまた別稿でも。(3/3)
⑤関係を結ぶまでの外国への姿勢は総じて排外的、時に侮蔑的なものになる(小中華主義)(3)真にウンザリするものですが、著者は言及していませんが、現代の北朝鮮や残念ながら韓国においても同様な内輪揉めや対外姿勢を感じることができます。韓国なら、大統領選で政権交代する度に前大統領およびその支持勢力への報復人事、日本が韓国向け輸出管理の厳格化を行った際、防衛協力の一環としての日韓GSOMIA協定の破棄通告(その後、事実上撤回)を文在寅政権から行い、日米両国をいらたださせたこと等々が想起されます。(3/4)
(4)著者はそのような国内エリート層の伝統的な性質に起因して朝鮮の「独立」が不安定なものになり、ときに消失したと説きます。そして、冷戦下の米ソの対立が南北朝鮮の「独立」を早めたように、従属する相手のパワーバランスが「独立」を左右する力学を指摘して筆を置きます。このように内在する性質と周辺国のパワーの消長が、複雑な半島の歴史を見る際の視座となることに得心しました。(4/4)
積ん読、借り本優先なので、感想のアップは遅くなります。
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