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2024年3月の読書メーターまとめ

しい太
読んだ本
15
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感想・レビュー
15
ナイス
175ナイス

2024年3月に読んだ本
15

2024年3月のお気に入られ登録
1

  • 碓氷優佳💓

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

しい太
無名の画家が遺した絵画について調べるうちにとある一家の確執が明らかになっていく、という大枠に対して、スタート地点や配備された登場人物の初期位置がなんとなく全体的に遠いというか、回りくどいわけではないんだけど映画で言ったらラッシュを観ているようで、もう少しうまいこと編集できそうな気がする。話そのものはミステリー寄りで面白かったし、青春小説じゃなくても全然やれるって矜持を感じてよかった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
15

しい太
ネタバレ一市民の視点から見た戦後のベルリン情勢と戦時中の回想が非常に物語的に読ませる濃度で描かれている(最近物語性を排除した「HHhH」を読んだせいもある)。中盤までソ連のいわゆる秘密警察の人間をやたらヒロイックに登場させることが気になっていたが、まあそのまま素敵な人で終わらせる筈もない。直木賞選考時にミステリ要素が足を引っ張ったらしく、実際そこを話の肝にしたために削がれた部分(ヴァルターとハンスとか)がもったいなくも感じた。
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しい太
透明人間って概念としてはシンプルだけど細部のリアリティを追究すると冗談のようなレギュレーションに縛られた存在に堕す、というのを出オチで見せつけてくる表題作。オタクを雑に乱打する裁判員ものはなんか滑ってない?耳の良い調査員と頭の回る探偵のコンビは他のアンソロジーにもいたが、多分そっちの方が後発で良くできてた。最後の謎解きゲームを模した作品を読んで思ったんだけど、この人の凝り性全開作品って小説よりゲームや漫画(の原作)の方が合ってそう。推理マウントが鼻につくんだよな。
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しい太
ノンシリーズ作品(本作は最近続編が出たが)でも、コーベン作品は横の連携が強めで、ヘスターおばあちゃんなんか、読んでなくても「この人は以前何らかの作品でメイン張ってたな」とわかる。あと電話の応答"articulate"はウィンの真似のようだ。三十数年前に森で発見されて育ち、善良だが独特の人間性を持つ男ワイルドが行方不明になった少女の行方を探すが、そこから話はめちゃくちゃに膨らんで大統領候補の昏い過去にまでリーチする。相変わらず凄い加速度だけど、最後はしっかりまとまるんだよな。達人。
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しい太
タイトルそのままの話ではあるんだけど、概ね「未解決事件を本名詐称カメラマンがさっと解決する」というフォーマットにきっちりはめ込んだミステリ短編集であるため、読んでいると「鬼……?」という気持ちにはなる。殺人者は定義的に鬼だろと言われればそうかもしれんが。何かしら怖い要素があるんじゃないかという宣伝だった割にどうなんだ? でもプロローグ/エピローグの、意味ありそうでなさそうでちょっとだけある感じは面白い(最終話自体は微妙)。
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しい太
妻にかけられた一族の呪いを解くために過去へタイムトラベルして一家惨殺事件の真相を突き止める、というまあ強引だが面白そうではある出だしから、物語は特に始まらずにずーっと関係者と質疑応答するだけのページが続く。会話で状況を延々説明されても頭に入ってこない……(「凶鳥の如き」とか同じ理由で苦手)。デビュー作であること、三部作の一作目であること、ベタな題材をミステリへ変奏する発想力は凄い、という諸々を思うと、これだけでは判断し辛い。
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しい太
一作目は派手な始まりから地味な収束をした印象だったが、今作は最初から最後まで急展開の連続で押してくる。スウェーデンの一刑事に過ぎないヴァランダーが協力を請われてラトヴィアに飛び、独立直後ソ連解体直前というシビアな時期の首都リガで体制派と反体制派、誰が何だか全くわからない状況で混乱し、どさくさに恋にも落ちる(落ちるなよ)。前作同様、ヴァランダーは凄く賢いわけでも勇猛果敢なわけでもなく、いざというときにとことん突っ張れるわけでもないのだが、その等身大感が段々好きになってきた。
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しい太
アミクス嫌いを標榜していたエチカは(前作の色々を経て)既に相棒のハロルドを人間同等の存在とみなしており、むしろハロルドの方がアミクスとしての非人間的機序の発露で彼女を傷つけており、関係性自体は悪くないものの絆が深まるかというと微妙な巻。アミクスとそのモデルとなった人間を絡めたミステリー的な展開は好きだが、そもそも「アミクスはどうなったら『死』でどこまでの損壊なら『生』なのか」がわからなくて困った。ソフトの部分を追究する作品なのはわかるが、ハードの説明ももう少しあってほしいかも。
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しい太
人口飽和状態の地球から「新天地」を求めて宇宙へ拡散していく地球化惑星探査、それ自体は常道だが、「そもそも地球化に適するような惑星には先住者の可能性があり、その安定環境に人間が(観測行為でさえ)干渉していいのか」を丹念に思慮する哲学的要素が押し出されたハードSF作品群。表題作はそうした思考実験の極北のような、「先住生物の自然法(らしきもの)に人間が従う」という設定がぶっ飛んでいて面白い。タイトルがめちゃくちゃ良い。正直言ってイーガン作品みたいにディテールが難解でとっつきにくくはあるが……
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しい太
無名の画家が遺した絵画について調べるうちにとある一家の確執が明らかになっていく、という大枠に対して、スタート地点や配備された登場人物の初期位置がなんとなく全体的に遠いというか、回りくどいわけではないんだけど映画で言ったらラッシュを観ているようで、もう少しうまいこと編集できそうな気がする。話そのものはミステリー寄りで面白かったし、青春小説じゃなくても全然やれるって矜持を感じてよかった。
が「ナイス!」と言っています。
しい太
良くも悪くも歪な前作のお陰で、主人公エイダンの性格、属性等をある程度把握した状態から読み始められるし、なんといっても今作の彼は基本的にずっと素面なので思考も言動もたいへんクリアで、故に割と複雑なプロットでありながらスムーズについていける。前作は(ドラッグと酒でぐずついた脳でふらつくから)本当しんどかった。本編の端々に挿入される少年パートが本筋と噛み合うタイミングの絶妙さ、前作からの嫌い合う相棒であるサティとの案外やっていけてる感、色々シリーズとしての読みどころが多くて良い。
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しい太
ネタバレ恩田陸の帯コメントは鬱陶しい(巷に溢れる底の浅い真相ってやつをぜひ具体的に頼む)が、本作に惚れ込むのも良くわかる。作者は脚本家メインで活動しているらしいけれど、この魅力的な文章を読んだ後では正直「もっと小説書かんか?なんで過去作全然無いん?」となってしまう。美形で天才肌のスイマーだった青年の自死の謎と、彼に関わった人々同士の関係性が織りなす、どこか冷酷なようで衆生済度のようでもある連作集。あと猫堂とかいう、専門家でもないのに己の片恋相手をオリンピックまで導く凄い奴、あまりに良すぎる。
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しい太
ウェストレイクがドートマンダーを生み出す前に書いていたライトなノンシリーズ。訳出自体は多分最近なのもあって、50年以上前の作品といえど古臭さは全くない。ギャングの対立派閥の双方から因縁をつけられて必死に弁明するくだりなんかはコミカルだが、主人公のやっていること自体は普通にハード。ミステリーとしての出来栄えは御愛嬌というか、布石に見えたものはおおむね気まぐれなオブジェで、正直言うと行き当たりばったりで書いてるやつだなと感じた。楽しいけどね。
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しい太
彼に初めて会った人が皆「死神のよう」と思うのだが、陰気で黒スーツで痩身という姿が言うほど死神のイメージか?そこは最後まで引っかかった(キャッチ―さの押し付けというか……)。オーソドックスな倒叙ミステリ群だが、倒叙の多くが多分そうであるように犯人はまあまあ間抜けで、決定的な証拠を普通に残すし、コロンボ係である乙姫警部は直観力とかではなく地道な捜査でそれに気づく。淡々とした作品ではあるんだけど構えず読むのにちょうどよい。
が「ナイス!」と言っています。
しい太
相変わらず主要人物は前作からのダメージに苛まれており、しかも前作までの内容をそう詳しく振り返りもしないので、ぱっと読んだだけだとレナという人物の言動が不条理すぎて物語の成立さえ邪魔しかねない。シリーズ既読であっても正直「メインの彼らが身内を喪って心身擦り減らすの、まだ続けるのか?」と感じる。まだ続けたのかどうかは以下未訳なのでわからんし、このシリーズは結局のところ後発のトレントものの前日譚くらいの位置づけなのかもしれん。
が「ナイス!」と言っています。
しい太
沖縄を旅先ではなく日常生活圏として描く作品、あまり読む機会がないから()地域文化の紹介だけでもやたら面白かった。軍用地とか言葉しか知らなかったし、模合に至っては言葉さえ知らなかった。東京から何らかの事情で沖縄の法テラスに来て働く弁護士が依頼案件を(特にミステリ風味でもなく)もくもくとこなすだけの話ではあるが、沙英子さんの「結果さえ出してりゃ態度はどうでもよかろう」の姿勢は、読んでてなんだか疲れちゃった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2008/11/29(5629日経過)
記録初日
2000/01/01(8884日経過)
読んだ本
5462冊(1日平均0.61冊)
読んだページ
1795153ページ(1日平均202ページ)
感想・レビュー
1002件(投稿率18.3%)
本棚
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