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2024年10月の読書メーターまとめ

しい太
読んだ本
16
読んだページ
6959ページ
感想・レビュー
14
ナイス
120ナイス

2024年10月に読んだ本
16

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

しい太
江戸っぽい幕府と女系で継がれる天帝、凄腕メカニックと神出鬼没のアンドロイド。道具立てやその組み合わせは今でも物珍しいんだけど、読み始めたそばからすぐ己の血肉になるというか、あまりに馴染んでくるので初読みの気がしないしなんか頭の中で「MEMORIES」が勝手に再生されてた。凝ったタイトルの連作短編で要素としてはSF、時代ものよりミステリの色が圧倒的に強く(全部が合わさった上での魅力でもあるが)、だいぶ遅くはなったけど気づいて読めてよかった。名作。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
14

しい太
コールドケースを扱う連作ミステリを、捜査課ではなく資料保管室のポジションから描く。バリバリ一線で働いていた主人公が怪我とかで閑職に回されて……という流れはよくあるけど、この作品は主人公のストレートなやらかしで左遷されてるし元職場との関係性も相当悪い(本人が性悪ってわけでもなく)ところが新しいなと思った。どの話もプロットが凝ってて面白いんだけど、動機が軒並みソシオパスっぽくて怖かった。まあそういう要素でもないと迷宮入りしないか。
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しい太
三話収録中、表題作(実際には無題だけど)が密室殺人を扱っていて、これが本シリーズの独特なフォーマットに不思議な感じではまっていて面白かった。被害者視点で凶器が見えているので、「密室で発見された撲殺死体の凶器が不明なので被疑者を絞れない」を逆算していけるし、時限があるので必然ソリッドな推理になる。トリックは正味現実的でないような気はするけど、お話としてよかった。閻魔の沙羅さん、やたら死者を蘇生してくれるけどちょっと調べたら閻魔大王が安倍晴明を蘇生したって伝承があるんですね。
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しい太
ネタバレ犯罪者を囮捜査官として「スカウト」「教育」して麻薬密売組織に送り込む、というのがまず驚きだったが、上手くいかなさそうとなったらあっさり見捨てる(囮の方もそれを見越している)非情さにもビビった。グレーンス警部は過去作全部でそもそも正義公正とは程遠い人だが、自分がナメられたら相手が誰だろうと全力で潰しに行く(激怒のあまり冷静になってて周りから驚かれてる)のは良い。天敵(?)オーゲスタムともなんかいい感じになってる。あと、下巻の裏表紙がアホみたいなネタバレしてた。うっかり読まなくてよかったわ~。
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しい太
ネタバレ前作も前々作も主人公とその連れの名探偵君の軽薄なキャラ造形が作品の足を引っ張ってたが、三作目でもそれは変わらずむしろ悪化している。閉鎖環境でどんどん人が殺されるのに「探偵力によって犯人を突き止めればなんとかなる」と思っている主人公の考え方が謎だし(結局犯行も全然止められない)、眼前で殺害計画が何度も実行されているのにニヤニヤ茶々を入れてコントみたいなノリで済ます名探偵くんの道徳観も意味不明。あと、交換殺人って互いの素性を知らないなら(相手のターゲットを)やらなくていいじゃん。細部が適当過ぎる……。
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しい太
「刀と傘」の前日譚。もっと言えば本書のエピローグ部分と刀~の冒頭が重なっている。それくらい密接した時期の物語なのに(主人公も同じなのに)空気感が違う。激動の幕末期。坂本龍馬をメインに置いて「薩長同盟の成否にかかわるような人斬り事件の調査を頼まれた主人公」が桂や西郷、果ては土方歳三とまで折衝するという、ミーハーな私が読みたいものを全部見せてくれるな?という点でも面白かった。あと、扉裏の英題(?)が前作同様含蓄ある。これって作者が決めてるんかな?
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しい太
アイルランドの田舎に移住してきた元警官が知り合った子どもから兄の捜索を依頼される。気乗りしないなりに周辺人物に探りを入れると、誰と会って何を話したかがすぐ村中に広まったり、人付き合いを指図される面倒さに翻弄されつつも、行方不明の兄の謎が少しずつ明らかになっていく。骨子はシンプルだが田舎暮らしの肉付きがどっしりしていて読み応えがある。自分では絶対こんなとこ住みたくねえって思うけど、極端に走らず受け入れようとする主人公の姿勢には感動する。
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しい太
年初から気温も降雪も平年を逸脱し、春も夏も「冬」が踏みつぶしていく環境異変の中で日々を生きる高校生。いい年の大人でもコロナ禍の不便や理不尽は山ほどあったが、本来得られるはずの機会をひたすら潰され続ける高校生目線で描かれると改めてしんどいな~と思う。主人公の男の子、賢いうえに物分かりが良すぎていたたまれない。タイトルも抗うとか戦うじゃなく、「そむく」だもんな。一方で女の子はある種年齢相応にふわふわしてて、だから終章は良くも悪くも意外な帰結だった。
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しい太
ブロックの短編集にはちょいちょい収録されていたエイレングラフものが初出も込みの全新訳で一冊にまとまった。そもそも文春がブロック作品を出すのもこれが初めてというのが驚き。エイレングラフものは不意に食らう一発目のパンチの威力がそのまま面白さでもあるので、ブロック自身も言う通りそこまでパターンを出せないスタイルなのもあって、改めて読んでも劇的に楽しいかというとそこまでではない。逆に言えば大昔に読んだ数本のインパクトがずーっと残っているってことでもあるが。
が「ナイス!」と言っています。
しい太
江戸っぽい幕府と女系で継がれる天帝、凄腕メカニックと神出鬼没のアンドロイド。道具立てやその組み合わせは今でも物珍しいんだけど、読み始めたそばからすぐ己の血肉になるというか、あまりに馴染んでくるので初読みの気がしないしなんか頭の中で「MEMORIES」が勝手に再生されてた。凝ったタイトルの連作短編で要素としてはSF、時代ものよりミステリの色が圧倒的に強く(全部が合わさった上での魅力でもあるが)、だいぶ遅くはなったけど気づいて読めてよかった。名作。
が「ナイス!」と言っています。
しい太
1、2巻と違って事件の謎解きではなく「犯罪被害者救済委員会」と「探偵図書館」の繋がりの追究がメインで、挑戦状とその事件の詳細は(トリックの面白さは別として)完全にオマケ化している。敵対していると思しき組織と主人公たちが所属している組織のメンバーがめちゃくちゃ被っているので正直この先の主人公の目的にちゃんと道理が伴うのか疑問ではあるが、最終的にゲーム本編には影も形もない彼女の存在がどのように霧切から離れていったのか、この巻で可能性の一端が見えたような気はした(それまではどうせ死ぬんやろと思ってた)。
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しい太
ネタバレこの大正ミステリのシリーズ名、結構数が出ている今でも未詳なのかな? メインの登場人物がしっかり出揃って、事件に直接的には関係しないが物語の縦軸として魅力的なエピソードが充実しており(峯子の未来像模索など)、単純にドラマとして楽しめた。その一方で事件は陰惨不可解、犯人の独白に至っても、なんというか「憎悪によって残虐に懲らしめたい対象と前者を完遂する手段として止む無く死んでいただきたい存在」の死に方が正直大差ないというか、後者の数が多すぎて怖い。蓮野も井口もそこには特に突っ込まないのね……。
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しい太
遷都の下見に南京へやってきた王太子、乗ってた船は爆破され避難した城でも強襲を食らって孤立無援……からの即席スクワッドで北京へ全速帰還を目指す、たったの15日で(追手は山ほど来る)。粗筋はシンプルで展開も名場面100連発の如く密度の濃すぎるエンタテイメントしている(重いテーマを含みつつ)が、地名人名職位等々があまりにわからんすぎるので、そこはある程度流しても大丈夫と気づくまでは骨が折れた。中心人物四人組の中でも朱瞻基と呉定縁まわりのドラマがメインではあるが、不器用忠義インテリの于譲が一押しだったな~。
が「ナイス!」と言っています。
しい太
乱歩の「赤い部屋」やジョン・コリアの「夢判断」等々、古典名作をオマージュした作品を集めた一冊。新本格作家の作品自体は当然のこと、彼らが敬愛する作品も読み漁っていたお陰で元ネタもおおむね読んでたり積んでたりだった。それぞれの作品は全体的に「余興」って印象で、むしろ付与された作者本人による後書きっぽい解説の方が(評論部門でバリバリやってるだけあって)興味深かった。
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しい太
サラエボ・ハガダーの修復を依頼された若い女性が発見する微細な手掛かりから断片的に再現される「古書の来歴」と、女性自身の家族との確執とが交互に語られる。大枠としては古書は実在するし近年いかにして保護されてきたかの流れも事実ベースらしい。ユダヤの宗教書なので多くの期間弾圧に晒されていたことが(フィクションのエピソードではあるが)補填され、物理存在としての書籍にそこまで関心のない自分でも凄みのあるロマン……というか奇跡を感じた。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2008/11/29(5846日経過)
記録初日
2000/01/01(9101日経過)
読んだ本
5529冊(1日平均0.61冊)
読んだページ
1822639ページ(1日平均200ページ)
感想・レビュー
1065件(投稿率19.3%)
本棚
0棚
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