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半減期を祝って

感想・レビュー
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ぽんちょ
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講談社、2016。中編三作。表題作は震災後文学でもあるけど、現実的なディストピアだった。 「もし、児童館の臨時職員として生活費を稼いでいる、その給料で妻子をかろうじて養っている、などと知らされたら、あのころの自分はそれでも同じよ うに男に接することができたのだろうか。  現実などどうせ見てはいなかった。想像の世界のなかで、オートバイに乗った美術評論家以外の何物でもないと思いこんでいたから、男に興味を惹かれ、 男の話に耳を傾ける気持になった。」pp.70-71(「オートバイ、あるいは夢の手触り」)
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nebosuke_wombat
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短編三作。いずれも短編で、おそらく読了するにかかる時間は短いはずなのに自分に落とし込むには時間が必要な作品。▪️『ニューヨーク・ニューヨーク』共同親権が閣議決定され、このまま有耶無耶のうちにそうなった時、こういう親子はどうなるのかな▪️『半減期を祝って』津島佑子が亡くなったのが2016年、半減期を待つことなく作中のような世界になったね、おめでとう▪️コロナ禍を知らずに逝った津島佑子がこの数年を生きていたらどんな小説を書いただろう
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CD
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ストーリーは面白そうなんだが、全部尻切れトンボな感じで、微妙・・・。売れなそうな本だなあ、という感想。。。遺作、ということで、価値があるのかもしれないが。。
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makko
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再掲
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西澤 隆
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それくらい、福島第一の事故の影響は大きかった。人生を奪われた人も、ふるさとに近づけなくなってしまった人も多い。だから本当に酷い目に遭った人たちが思うことに対して僕ら「ニュースとして接した」連中はなにももの申すことはできない。ただ、小説として読むこの手触りにはどうしてもザラッとした気分を感じてしまうのだ。すでに全国で危険さが指摘されどんどん減っている組み体操。古の組織のマスゲームのようなASD。現実を直視していない扇動家的な匂いが鼻につく。僕は諦めて批判に終始するより乗り越えていく側になりたいと願うのです。
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ひろ
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純文。純な感じも、楽しかった。
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さんくん
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「半減期を祝って」。セシウム137の半減期を祝うアナウンスは、なるほどリアリティがありそうだなと感心しました。どうせならこのアイデアをもっと膨らませて書いてほしかったと若干は思いますが。ヒトラーユーゲントばりの「ASD」はさすがにどうだろうかと思いつつ、運動会で7段の組体操ピラミッドに形骸化した学校の儀式性を見るのは、まこと時宜に敵っていてため息が出ます。余談ですが、「ASD」(愛国少年団)という語呂に「安倍晋三大好き」というバカな訳語を思い付いて一人で笑ってしまいました。他意はないです(すみません…)。
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nozomu
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表紙に書かれた「Cs」はセシウムの元素記号。最期の作品となった表題作は、セシウム137半減期の30年後を祝う日本の様子を、被災したトウホク人老女目線で描く。オリンピック以後の高揚感を経て独裁国家となった日本、政府に組織されたASD(愛国少年団)、セシウム半減を祝うという感覚の異常さは、創作というよりも津島さんの預言に思えてならない凄みがあり、続きを読んでみたかった。『ニューヨーク、ニューヨーク』『オートバイ、あるいは夢の手触り』の厳しい社会で生きるシングル女性の逞しさに、津島さんの姿を見た様な気持ちに。
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ふみ
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これは怖い。漠然と日本の将来を憂う今日この頃だが、その正体をしれっと具現化してる。タイトルに半減期をもってきたことにはうなってしまった。
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おゆ
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1つのチョコバーを永遠に食べ続ける方法、それは、常に半分だけを食べて残りを皿に取っておくこと。次もまた半分だけを食べ、残りは皿に。大島弓子「ロングロングケーキ」の冒頭だけれど、セシウムの半減期が報道でさかんに言われていた頃、私の頭にいつも浮かんでいたのはこれだった。30年後の日本で、この半減期を祝う行事がひっそりと始まる。愛国少年団と政府の関係はナチとユーゲントそのもの、なし崩しに軍国化されゆく現況を思うと笑えない。けれど真に恐ろしかったのは、どんな異常事態にも慣れ、脅威を脅威と感じなくなる人の心だった。
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百太
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津島 佑子さんの本、もっと読みたかったです。短編の「半減期を祝って」の続きがもっと読みたかったです。
百太

【東日本大震災・あの日を忘れない】イベント参加中https://bookmeter.com/events/5074

03/16 16:31
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ましろ
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生きてゆくべき領分、夢と現実の手触りがいつまでも後を引く。何を思って、何を期待して、何を諦め、生きてきたのか。読みながら否応なしに過る感情を抱えて、今という時を生き、そしてこの先も行くこと。作家の眼差しが語る言葉にはらはら呑み込まれながら、この世界も、人間も、何かを追い求め続ける不完全なものであることを教えられる。危惧するような世界になるのかは知れない。けれど、変化が思いがけないところから始まることは、身に近いところでいずれじわじわ知るのかもしれない。生きてゆくことの確かな重みと手触りを残す作品たちだ。
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makko
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表題を含めた3つの短編集。30年後の近未来、戦後100年と「セシウム137」の半減期のお祝いで沸き立つ日本と被災者の老女の話。「何も変わらない」あるいは「変わったとしても何もできないのだ」と、見過ごしていく日常を描く。筆者津島佑子の絶筆となった作品集。
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natsuko
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意識を巻き取られるような、心の襞をちぎって投げつけてくるような、そんな津島佑子に身構えていたが、少し趣きが違っていた。短篇が三つ。あたりまえと信じたものを、失ってみて改めて気づくというその普遍を、この人は少し傾いた座標軸で著す。分かり合えないのは所詮お互いさまで、本心なんてどう転んだって分かるはずなくて、そんな諦めを他人事のように投下する。だが最後の表題作はむしろ逆だった。ツシマユウコという個を、トウホク人という隠れ蓑にして饒舌に語る。物語は続くはずだったのだろう。まだまだ言い足りなかったろう、きっと。
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田中峰和
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反安倍、反原発を訴える「半減期を祝って」は、福島原発事故の30年後を描いたディストピアの話。ヒトラーユーゲントのようなASD(愛国少年少女団)を組織する政権は、ユダヤ人の代わりにトウホク人を差別する。アーリア人至上主義を唱えたナチスのように、ヤマト人以外のアイヌ、オキナワ人は排除し、ASDに入団させない。戦中の士官学校を希望した少年たちのように、どうせ軍隊に入るなら優位な立場になりたいと自らASD入団を希望する子どもたち。30年後のセシウム137の半減期には、放射能より怖い国粋主義がはびこっているだろう。
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ぽんつく(まんじゅう)
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図書館の新着コーナーの棚から。表題作は福島の原発事故から30年経った世界が舞台だが、その装置は現在の差別と右極化を皮肉る。いつの間にか変化が始まり、皆が気づいたときにはもう止められない、そんな未来は恐ろしい。が、これを極端なお話の世界だ、と笑うことは私には到底できない。どうか明るい未来を。他二編は陰鬱な空気の漂う、強く生きなければならなかった女性の人生。断片的な思い出を渡り歩くようなストーリー。いい年をして甘ったれな現実から目を背ける男の姿は、太宰の影か。
ぽんつく(まんじゅう)

不穏なタイトルに惹かれ借りてから、作者が太宰治の娘であり、この作品が遺作であることを知った。

08/25 10:57
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Daiki
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亡くなる前の最期の小説だという。半減期とは原発事故によるセシウム137の半減期を指す。30年後を舞台とした近未来小説です。 日本は独裁政権による監視社会になっている。ヤマト人種による少年少女で「愛国少年団」が結成され、アイヌ人、オキナワ人、チョウセン人が迫害される世の中に。中でも一番迫害されるのはトウホク人であった。 「変わっていないと見えるときにかぎって、なにもかもが変わってしまっているということはあり得る」という言葉が印象的。著者は太宰治の次女。東北への想いを感じる一冊であった。
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tom
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たぶん、初読みの作家。名前しか知らない人。最後の頁を読んでみると、亡くなった直後に出版された本。そのこともあって、なんともコメントが書きにくい。少なくとも、表題作は、短編としても物語としても、奇妙に値打ちがないような感じがあります。表題作以外の2作は、それなりに読んだのだけど、楽しんだのかどうかと問われたら、楽しめなかったとしか答えられない。私は、楽しく本を読みたい人だから、津島祐子さんは、私からはちょっと離れた人だったということでした。
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翔亀
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生前最後に発表された表題作を含め、晩年となってしまった時期の短編3作。シングルマザー/先住民族/核と生涯追及してきたテーマが続く。短編だから人生の断片が語られるだけだが、それぞれの"生きざま"の総体を彷彿させられる、この作家の美点が出ていて好ましい。しかし表題作は彼女の作品系列の中でも異質だ。30年後の日本のディストピアの世界。ちょうどセシウムの半減期の年。決して成功しているとは言い難いが、東京2020オリンピック以来のヤマト民族主義独裁政権によるフクシマ民族差別と軍国青年団強制入団法制定は、残された者↓
翔亀

→への遺言として書かれたのかもしれない。そう思うと、精読して襟を正して向き合うしかないのだ。

11/23 23:56
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surf
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今、自分が信じているものが、30年後には悪になっているかもしれない。30年経てば、人の考えも世の中の価値観も変わるだろう。「ニューヨーク、ニューヨーク」と「オートバイ、あるいは夢の手触り」は、女性の心情が複雑で理解がし難い。わかる気はするけど・・・。図書館の本。
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燃えつきた棒
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僕は、表題作よりも、「ニューヨーク、ニューヨーク」に心惹かれた。 昔観た浦山桐郎監督の映画「私が棄てた女」を思い出して、なぜか後ろ髪を引かれるような気がした。
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anaksi
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今年二月に亡くなった著者の絶筆。三編の中編を収む。 三編ともに明快なストーリーと云うよりは主人公の心象風景を丁寧に描く。 一編目、死んだ元妻の思いをなぞる元夫。二編目、大学講師の女性がフランスの海外県からの留学生から伝説的に語られる曽祖母の逸話と、自身が若い時分に付き合った妻帯者とをオートバイと云う共通点から思い返す。三編目、表題作。今から30年後、セシウム137の半減期を祝うと云う趣旨の題だが恐ろしい作品。淡々と紡がれる30年後の日本、何気なく読んでいるうちにだんだんにゾッとしてくる。日本は世界から孤立
anaksi

し、独裁・愛国化が進み、東北人への差別が描かれる。本人が太宰治の娘であり「津軽」と云う酒を愛した人であったと云うから他人事として書いたのではない。相当な痛みと共に、だからこそ淡々とした筆遣いで書かれたのだろう。 あまりこれまで読んでこなかったが今後この方の本、読んでみたい。

09/20 08:01
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ニケ
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太宰治の次女で今年68歳でお亡くなりになった津島佑子さんの遺作。表題作は30年後の日本を描いている。もしかして、この作品は途中だったのでは?と思うような最後だった。
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山男777
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あの心中した太宰修の次女というが作家氏68で亡くなった。皆さんのレビューでいずれも初めて知った。短編3つ目でトウホクとオキナワは中央のヤマトに虐げれていると。今の世相を鋭く切り込んでいる。早過ぎた死、神経神をすり減らす文筆業長生きできないのか。普通に生きてもっと情報発信して欲しかった。
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尋hiro
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トウホク、しかもフクシマの人間としては、かなり複雑な心境です。太宰治の娘の作品、しかも遺作と聞いて期待して読みましたが、出来の悪いSF小説のようでがっかりでした。前の2作はまあまあ面白かった。
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マリメッコ
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読後改めて津島佑子の死を残念に思う。三編に共通するのは怒り。写真の彼女はいつもおだやかで優しい印象だがとても強い人、強くならざるをえなかった人なのだと思う。
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林克也
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危機感かパニックか焦か、でも、津島佑子が描くこの世界は空想上の世界ではなく、実際にそうなってもおかしくない、絶対嫌だけれど、そういう世界をなのだろう。それを見届けないで逝ってしまった津島佑子はズルい、と言いたい。もっともっと書き、発言し、行動してもらいたかった。明後日、日本が破滅に向かうための参議院選挙。三十年後には「日本」はもうない。もちろん自分もいない。 最後の一文「老女は涙を流しつつ、美しくかがやくトウキョウ湾を眺め続ける。」これではこの物語は終わってない。この後、何を書こうとしていたのだろうか。
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100名山
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扉目次に三篇の小説を合計してもたったの105ページの本です。 いずれの作品も津島佑子を身近に感じる作品です。 シングルマザーの生きざま、混血女性の生きざまときて、怒れる津島佑子の抑えの利かない小説で幕を閉じます。
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mick
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30年後この本を読み返す時、どんな世界にいるのだろう。ここに描かれる世の中を笑えるような世界にいたいと心から願う。そのために今できることは何なのだろうと、この不安定な世の中にいて思う。
0255文字
oooolong
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短編3作が収録されている。著者の作品を読むのは初めてだけれど、悪くない。って調べたら太宰の娘なのか。表題作を発表してすぐ亡くなったので、これが遺作ということになる。シングルマザーがやたらと出てくるのは出自に理由があるのか。ただ群像の30年後を想像するというテーマのもと書かれた表題作は正直あまり出来が良くないというか、最近話題の『カエルの楽園』があるけれどもあれの反対版、極度に右傾化した日本が描かれていて、さすがにここまでは、と思ってしまう。しかし筆者にはそれくらい切実に現在が映っていたということか。
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peace  land
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亡くなった後に出版されている。 表題の作品はなくなった月に雑誌に掲載されている。病の中で死を見つめ、筆は中断されたかのように終わる。
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mayu
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タイトルに興味を惹かれて手に取った本。「ニューヨーク、ニューヨーク」と「オートバイ、あるいは夢の手触り」は少し叙情的で、私にはよく分からなくて不安な気分になった。それでも容易に読み終えることが出来た。表題作「半減期を祝って」は、SF?のような、ホラーのような。でも、現実に起こった原発事故をもとに書かれているので妙なリアリティーもあり、引き込まれてしまった。不思議な雰囲気の文体。“シャワー室”が恐ろしくて、暫く忘れられそうにない。
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14番目の月
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3編の短編でしたがどれも考えさせられる重い内容でした。 重い内容ですがじっとりした大江さんのような感じでなく、サラサラした感じ。 お父さんはあまりにも有名で、父に関する事を聞かれる事が辛いと話されていたそうでしたが、死についてずっと向き合って生き、そして作品の中に描かれているのだと思いました。
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いもぷ
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この作家さんのことは名前しか知らず、お亡くなりになったと聞いて初読み。表題は近未来本当に起こりそうなストーリー。なかなか興味深い。
0255文字
ASYURA
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日本を超えて世界規模の視野を切り拓き続けた津島文学のエッセンスがここにある!
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greco
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津島祐子は初めて読んだ。気になっていたがなかなかチャンスがなないまま亡くなってしまった。亡くなったタイミングで太宰の娘と知った。短編3作だったがどれも独特の乾いた暗い風景。
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