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シン・ゴジラ論

感想・レビュー
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由弥
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この著者の本は他にも読んできたがこの本が一番難しかった。ゴジラは核兵器あるいは原発のメタファーであるという説はあらかじめ知っていたが、第二次世界大戦で死んだ日本兵の亡霊であるという説は初めて知った。ゴジラが向かう先は皇室で、戦争を指示した天皇に会いに行くために東京の陸路を進んだものの、終戦後に天皇が神ではなく人間であることが周知されたため、皇室の手前で足を止め引き返したように描かれたことがあるというポイントは面白かった。他にもゴジラ対3.11、ゴジラ対メタゴジラ、化学対物語、神対罪など。
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Isamash
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1983年生まれの藤田直哉・二松学舎大及び和光大学非常勤講師(早稲田大第一文学部卒、東工大学術博士)による2017年発行の著作。凄く面白かった。著者はゴジラを、戰後日本の神の国ではなくなった空虚を埋めるための擬似的な國體であり、虚構的な象徴。ナルシズムを満たしてくれる装置、魅力的であると同時に危険なものと説く。そしてシン・ゴジラのシンから、神が罪を生み(天皇が侵略戦争の多くの死者を生み)、罪が神を産む(原爆投下、敗戦と占領の経験がゴジラを産む)、罪=神である、戰後日本の空虚さを埋める機能を最大限に発揮する
Isamash

意図を読み取ったと記す。更に、シンゴジラはプロガバンダ映画や全体主義的なロマン主義になりそうなギリギリのところでそれに抵抗するポイントを用意している。それらの構想の痕跡により映画が救われ、抗争と葛藤の場となることによって生ずるゴジラの生命を見事に表現することに成功していると述べる。シンゴジラに対して映像の快楽で酔い個や虚構と現実が融解しているかの様な錯覚に陥ることを危惧。矛盾や両義性そのものであるシンゴジラを、単一の意味や政治思想にに回収せず、バラバラな葛藤それ自体として受け止める解釈こそが重要と主張。

12/20 19:11
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アナクマ
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「災害にもスペクタクルがある」被災者の心痛や酷烈な光景を考えると大いに問題発言だが、同意する自分がいる。もちろん不謹慎でタブーだから、倫理的な反省もセットで表明される(でも、世界中のカメラは「びっくり映像」を撮る/見せることを止めない)◉さて、私たちが現実を生きるために必要な虚構の代表格に神・宗教がある。その角度からシンゴジラを中心に論じるのが本書。ゴジラ=死者説の系譜検討や、シリーズ全体を俎上にあげた「科学の悪循環」など。面白い。◉創作物は、水面に投げ入れた小石。波紋を起こさずにはいられない、力の輸送。
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Bugsy Malone
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過去のゴジラシリーズから「シン・ゴジラ」を経て、「ゴジラ」とは何なのか、日本人に与えた影響は、そしてまた「ゴジラ」というものの立ち位置をこれでもかという引用を引き合いに出しつつ、そこに時代背景をも含め論じたゴジラ論、という感じでした。正直、引用部では不勉強が祟り解りづらい事や〈著者の思想を反映したかなり強めな論調〉と思える部分も有りましたが、同調出来る出来ないに関わらず非常に興味深く、かつ面白く読ませていただきました。様々なゴジラ論が有る中、何よりゴジラに向き合う著者の真剣な姿勢に圧倒されました。
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静かな生活
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‪68点*『シン・ゴジラ論』というよりは『-を通したサブカルチャー評論の必要性』といった旨。藤田ほどは感心しなかったが、『シン・ゴジラ』に論点が集中していたことは再認識した。宮台真司図式を回避し、オタク的アイロニーに仮託する下りは重要。良くも悪くも文芸批評的な語り口には注意が必要だろう。‬
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多聞
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めちゃくちゃ頭使って読んだので疲れた。シン・ゴジラは大好きなんだけど、冷静になって観ると確かにおかしい点は多々ある。この本ではそのモヤモヤを指摘して論じていたので少しスッキリした。あと、ゴジラとは空虚なものだという説は分かるけど、私はゴジラ=災害と考える方がしっくりくるかなぁ。空虚と言うか何も考えていないと言うか。分かんないけど。それと、シン・ゴジラはニュータイプの日本浪漫派だというのはなるほどなぁと思った。この人凄いな。
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渡邊利道
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映画『シン・ゴジラ』をめぐる多様な言説と、戦後の言説空間で「ゴジラ」という記号が持っていた文化的意味を多数の引用でやや煽り気味に論じた本。直接的には東日本の震災の記憶とその鎮魂が、スペクタクルな怪獣映画として成立してしまうことへの異和から出発しているようで、最後に「お笑い」の肯定に至るのは成程だった。私は全く怪獣に詳しくないので議論にどの程度精密さがあるのかは判断できないが、冒頭部の政治家たちのゴジラへの言及がことごとく手前勝手で「政治家」とはどういう存在なのかがわかってちょっと面白かった。
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まっ黒大魔王
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私のマイベスト映画『シン・ゴジラ』を主に日本人精神からの視点で分析。そこそこ面白いところとつまらないところの差があり、前半の政治云々の箇所はよくわからないまま。庵野監督がそこまで考えていたのかは本人に聞かないとわからないが、だからこそあれこれ想像して仮定して評するのは楽しい。
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姉勤
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近日地上波でやるというので(視聴予定は無し)。昨年公開映画を中心に、第1作の初代ゴジラからつづく、多くの著名人や識者の「ゴジラ論」を牽き、隠喩や背景を考察する。同監督のエヴァンゲリオン直撃世代というので、当時巷にあふれた考察本よろしく、作品中のふりまかれた思わせぶりなデコイに悉く食いつき、解説や元ネタを提示せねば気が済まなそうなのは、目の前の検索装置と膨大なリソースを活用し始めた世代の癖(へき)というところか。 20代の頃なら咀嚼もせず受け売って吹聴していたかも知れない。娯楽映画は娯楽として観るが吉。
姉勤

ゴジラ禁足の地たる宮城より天皇陛下には京都御所へ御戻りいただき、江戸城本丸を再建してのち、次のゴジラに壊してもらいましょう。

11/10 21:02
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入江・ろばーと
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あまりにも自分がシン・ゴジラを観た時の印象と違いすぎるし、こじつけが過ぎちゃいないか?というのが、正直な感想。
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あまたあるほし
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「大東亜戦争」を侵略戦争と断じる著者によるシン・ゴジラ論である。結論は、ああ、なるほどと思わされた。しかし、いただけない部分も多い。最初の章はまとめサイトを読まさせてるのかと驚くほどの引用の嵐。そこまではいらない。金を払ったのは筆者の解釈が読みたいからだ。また、三島をあつかった章では、靖国神社の話になるが、科学技術館が旧近衛師団のあった場所であることにはまったく触れていない。226事件の話をするならば、最終決戦の舞台が近衛師団のあった場所であることを論じないと意味がないと私は思う。
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keroppi
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3.11、安倍首相、イデオロギー、天皇、原発、電通、神、科学、文化、憲法、浪漫、笑い、様々に論は発展する。「シン・ゴジラ」とは、「ゴジラ」とは、そういう映画たちなのかもしれない。作り手が、そこまで深くは考えていなかったと思うのだが、観る人の心を炙り出す力を持った作品なのだろう。私自身、「ゴジラ」に魅せられてならない。こういう本を読むと、さらに深読みしたくなる。
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岸田解
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藤田直哉、二冊目の単著。「『シン・ゴジラ』論」であり、「シン・『ゴジラ論』」でもある。やはり、過去の《ゴジラシリーズ》も「ビートたけし第一回監督作品」も観なくてはなぁ……。『新世紀ゾンビ論』も近い内に。
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糸
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シン・ゴジラ論なんだけど、他のゴジラシリーズにも当然触れていて、しかも初代だけではないところが新鮮。特にミレニアムシリーズは目新しい。世代でしょうか。 丁寧に論立てていて、なおかつ自分の思い入れもしっかり乗って、納得できる内容になってました。
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梟をめぐる読書
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ゴジラは「象徴」である。英霊の、戦死者の、水爆の、天皇の、三島由紀夫の、震災の、津波の、原発の。そうしたあらゆる「解釈」を怪獣的に呑み込みながら同時にすべてを拒む「ブラックボックス」としてゴジラは在る、と著者はいう。そのように認めることによってのみ、私たちはゴジラを政治的なイデオロギーから解放することができるのだ、と。その根底にあるのは、日本において低級“だからこそ”無意識的なタブーの表現による昇華に向かわざるを得なかった戦後サブカルチャーという分野に対する、著者の深い愛情。論旨は明快だ。
梟をめぐる読書

しかしゴジラを「ブラックボックス」として結論することは実質的に自論を何も述べていないに等しく、その結論が公開当初の『シンゴジラ』評を総括して得られたものであるということも含めて、ちょっと「後出し」的な狡さも感じてしまう(庵野を「作家性なき作家」で片付けてしまうことにも同じことが言える)。ゴジラがあらゆる解釈を受け入れながら拒む存在であるという「解釈」を相手に、どのような反論や「乗り越え」が可能であるというのか? これまで書かれたなかでもっとも充実した『シンゴジラ』論であることは間違いないと思うのだが。

03/28 13:35
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council
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何故か見ると色々持論を展開したくなる映画である。ただ書籍としてはネット上の意見や畑違いの経済誌での論調まとめから始まって旧作との比較やら信仰まで色々論調を広げすぎてまとまりがなくなっちゃっている。エヴァンゲリオンの庵野氏作品なのだから謎を撒き散らして後は皆勝手に考えろ!だと思うので正解や作り手のメッセージを探しても皆バラバラなんだと思う。「東宝特撮映画史の上にエヴァ+パトレーバー+踊る大捜査線的世界観を載せて今時ニッポンの問題点をまぶした娯楽映画」だと単純に思うんだが。
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toiwata
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題名にゴジラを冠する映画で描かれる「日本」は、象徴ゴジラ制ともいうべき奇妙な政体なのではないか、と想像させる一冊。一切の弁明なく最初のゴジラと相討ちになる芹沢博士と「巨災対」の対比。流れた「戦後」の時間。<<私は好きにした、君らも好きにしろ>> に対する応えとしての <<だから、自分で考えることにした。>>p.3
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ころこ
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先行研究の調査・整理は素晴らしいと思います。しかし、そのことで2つの問題が起こっているようにみえます。①著者の意見が平凡で、先行研究の優秀さを際立たせてしまっています。3章のメタゴジラで、前著の虚構内存在をもってきて、大切な箇所だと思うのですが、3章が一番冗長な印象を持ちました。②章ごとにテーマを設け、ゴジラ論とシン・ゴジラ論を繋げる作戦でしたが、読者が読みたいのは「シン・ゴジラ論」です。どちらかというとゴジラ論の引用が多く、そちらに引っ張られているようでした。策士策に溺れるといったところでしょうか。
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ピンボールK
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ネタバレ山田胡瓜?藤村緋二?がアマゾンレビューで「本編よりもスピンオフのほうが面白い」などと自作自演のレビューをしてる。
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