形式:単行本
出版社:ダイヤモンド社
(3)人間にのみ与えられた宿命であると観れば、それを手放しで進化として喜んで良いのだろうか。そしてさらに時代は下り、その自ら生み出した神を見限り、科学技術なるものを背景とした物神を中心とする新たな宗教に憑りつかれ、他の生物を大量に巻き込んだ絶滅の危機を迎えようとしているのだとしたら、一体脳の進化とは何だったのだろうか。一方、かくも複雑で、神秘的な進化を遂げた脳を持つ人類が、そのように簡単に破滅に向かうと考えるのも、短絡的に過ぎるような気もする。統一的な意志さえあれば、その科学技術を、毒ではなく、→(4)
(4)良薬に転換することも、自然界最高の脳を持つ人間には可能であると考えたい。
学説の紹介がメインだったので、多神教と一神教の性質の違いをもっと掘り下げて欲しかった。2012年米国で行われた調査では3/4が「いわゆる普遍的な神」がいるのは間違いないと答えたそうな。人知の及ばない力(自然・運勢)にすがったり、困難や悲劇の慰めを求めたり、社会・集団の結束や福利としての神は理解できる。でも仮に、宇宙を創造した神がいたとして、そんな巨大な存在がちっぽけな人間ごときを「一人一人見守り、愛し、導いてくれる」って本気で信じるのは狂気の沙汰だと思う日本人です
10万年前にはホミニンが類人猿の祖先たちから別れて590万年ほど経過していて、それは分岐から現在に至る期間の99%。その間、類人猿と特に変わることはなくイノベーションは起きなかったのに、残りの1%で、アンコールワットやシャルトル大聖堂を築き、マクベスやメサイアを記し月に飛んだ、すごい。
E. Fuller Torrey (2017), Evolving Brains, Emerging Gods: Early Humans and the Origins of Religion, Columbia University Press.
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