形式:単行本
出版社:新潮社
形式:文庫
形式:Kindle版
【その頃、初音さんの心はしきりに外へ出て行くようだった。ただその行き先は誰にも察しはつかないのだ。 「おとといの晩もね、千里さんが帰られた後、初音さんたら部屋を抜けると、裏口の戸を開けて外へ出て行こうとされたんですよ。」 ー中略ー あの日は初音さんの規則正しい寝息を聴いてから、千里は枕元を去ったのだった。 ー中略ー 初音さんはその後で目を覚まして起き上がった。真っ暗な裏庭へ出て行こうとしたようだ。 ー中略ー 幸い夜勤の介護士がドアを開けようとする姿を発見して連れ戻した。】
そう言えば、僕の母もサ高住に入居していたとき、毎晩荷物をまとめてエレベーター前に行き、家に帰ると言っては施設の人たちを困らせていたっけ。
馬が迎えに来る優しい牛枝さんも力強いコウゴさんも良かったですね。私も村田さんのこの文体が大好きなんです♡
ばうさん。私は村田さんの本はまだ二冊かな、でもどれも強弱がはっきりしてる文章が読みやすかったです。また他の本も読んでみたいと思います。
アンさん、共読私も嬉しいです(*^-^*)スタッフ、特に大橋看護師の対応には目からウロコでした。かなり昔に祖母の介護をしましたが、年を聞くという考えはなかったです。良い本を読みました(^^)/
追記:5/14に文庫版ゲットしました(*^-^*)解説はやはり岸本佐知子さん。最後の一文「親は一度しか死んでくれない」が沁みました。こちらも名解説だと思います(^^)/
pohchoさん、私も大好きな村田作品の中の一冊です。ともすれば否定的にとらえがちな認知症に対して、こういう捉え方ができるのだなあと新たな視点をいただきました。村田さんの描く老女は、ホントに素敵ですね(^^)
ちゃちゃさん、実際の介護の現場はもっと大変なんだろうけど、この小説のような描き方もできるんですね。天津の租界については初めて知りました。華やかだったんですね。自分も夢うつつの中にいるような読書でした。
村田さんの近年の作品では『屋根屋』『飛族』『人の樹』が好みです。どれも現実から乖離していますが、惹きつけられる何かがありました。機会があれば手に取ってくださいね♪
では…手始めに『屋根屋』からいってみます!
『人間の幼児期は短く、老年期は何倍も長い…親の恩とはなんだろうと千里は思う。恩返しのつもりでやるも、返しすぎたりするかもしれない。』 『昔は齢を取ったら死んでゆく。動けなくなったらゴールだった。分かりきったことなのに、今ではなんとなくまだいろいろ手をツクサネバならなくなった。人が死ぬに難しい世の中になったのだ。』
認知症の祖父を持つ私の中で、新たな気づきがたくさんあった。そして認知症の人の目線を追体験できたことはとても良かった。 平均寿命が延びている現代において、何れ自らの身にも起こりうる「老後と介護」への考え方のヒントもあった。
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