形式:単行本
出版社:山と渓谷社
形式:Kindle版
出版社:山と溪谷社
なぜならけいが、信じるに値する人だったからだ。ヒマラヤ級の難関に挑み命を落としていたのなら、けいのこれまでの言動は「無謀」という言葉に結び付けられ、多くの人がその事故に納得しただろう。けれど、なんとなく集まったメンバーと、とくに思い入れのないプランとして登った黒岳で、しかも「トイレに行ってくる」とメンバーに声を掛けて姿を消した直後、滑落してしまうのだ。なぜという疑問と同時に理不尽さは残るが、険しい未踏のルートに挑戦して亡くなったと聞かされるよりも、「らしさ」を感じさせられもする。(つづく)
それは谷口けいが、信じられる人のまま亡くなったからではないか。「トイレに行ってくる」と言って姿を消した時の彼女の表情は、きっと笑顔だったに違いない。
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