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ソヴィエト旅行記 (光文社古典新訳文庫 Aシ 7-2)

感想・レビュー
72

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Sin'iti  Yamaguti
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旅行記、というよりは、スターリン体制下のソヴィエト批判の書である。ジッドは素朴な(心情的な、あるいは宗教的な)共産主義者といってよい。人間の平等を希求し、それが「実現された」と喧伝されるソ連に招待しされて嬉々としてでかけるのだが、現実を見ることによって本書が生まれた。フランスはもとより日本でも話題になったらしいが、教条主義的共産主義者からは批判にさらされる。彼ら批判者がジッドほどの曇りのない眼をもっていたとしたら、国際共産主義運動のその後の命運は変わっていたかもしれない。
0255文字
L
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この本は一年半ほど積読していた本。今から振り返ると歴史的価値の方に多きを置いた本であるが、理想の国家としてソヴィエトを訪れたジッドの失望を描かれている。 戦間期の書物としては貴重な一冊。フランス映画作家による戦間期の本はこのような一冊になりがちで、何ともやるせ無い気になってしまう。
0255文字
ふみあき
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「私にとって何よりも優先されるべき党など存在しない。どんな党であれ、私は党そのものよりも真実の方を好む」とジッドは語るが、現在に至るまで(特に知識人と呼ばれる階級の人々には)なかなか実践できることではない。ソ連に対する擁護と批判の間を揺れまくる本書の筆致は、むしろ著者の知的誠実さを如実に示している。巻末の訳者解説では、本書刊行当時の日本での受容(と反発)について言及されており、すこぶる興味深い。
0255文字
あまね
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2L1936年にジッドがソ連に訪問した際の旅行記。振り返るとソ連のスターリン体制は欺瞞に満ち満ち共産主義の理想がいつの間にか独裁者を生み出し反対勢力への粛清と秘密主義により権力を維持するメカニズムにすり替わっていたことは明白であるが、そこを同時代で既に見抜いていたジッドの慧眼。プラトンのように理想を澄んだ思考ではるか遠くまで見通す目があればこそ欺瞞に一早く気づけるんだと思った。大抵の人は気づけないか気づかないふりをしている中でね。彼の作品は本物なんだろうなと思いジッドの他の作品を手に取りたいと思った。
0255文字
marumaru
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登場人物の中で、隔絶された世界で自分たちは最高であると信じきっている人が出てくる。これを見て、今の日本もなかなか微量なところがあるのではないかと不気味な感じがしてしまった。他の描写では、都市部は裕福だけど多くのその他の地域は極貧、というのがある。これも今の日本で既視感あるよな。文章自体はすごく読みやすい。ジッドの他の作品はこれとはかなり違うらしいので、何か読んでみようかな。
0255文字
YK
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アンドレ・ジッドが1936年にソ連からの招待を受けて彼の地を旅した記録。当時のフランスで共産主義運動が盛んだったことを知らなかったが、そもそも18世紀に王政打倒し革命によって共和制を敷いたフランスだからこそ、共産主義に理想を見出すのは自然の成り行きとも言える。そして夢と理想の国と思って訪れた地で、ジッドは現実を目の当たりにする。自分がこれまで見聞きしていた「共産主義の行きつくところ」は、まさにこの書が元になっていたのだった。レーニンは死ぬのが早すぎたし、スターリンが後継者になったことは不幸としか言えない。
0255文字
SAT(M)
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両世界大戦の間の頃、ソ連にシンパシーを感じていた著者が実際にソ連を訪れて失望するまでを書いた作品です。最初のうちは「ソ連の市民たちは生き生きしている!」と褒めているのですが、スターリンの粛清の実態を知って「暗いヤツは密告のターゲットにされるから明るく振る舞っているのでは‥」と言う結論にいたる過程が興味深い。ファシズムが欧州で台頭していた時代で、その対抗馬としての共産主義を支持する人が結構いたようですが、そんな彼らに冷水をぶっ掛けた一冊だったよう。極端VS極端な、そして極端=パワフルな時代だったんだな‥。
0255文字
ドラマチックガス
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ノーベル文学賞作家ジッド(恥ずかしながら知らなかった)が1936年に憧れていたソ連を旅行し、真実を知って絶望したすべてを書いた旅行記。割りと穏健に始まるのだが、モスクワに着いた頃からソ連批判、スターリン批判が激しくなる。出版後に左派系知識人から寄せられた激しい批判に対して出した『ソヴィエト旅行記修正』も収録。これが全く別物で、ソ連批判はさらに激しさを増す。スターリンの酷さ、恐ろしさと同時に、ソ連は本当に左派系の憧れだったのだということも痛感する。先日読んだ宮本百合子も、ジッド批判を発表していたらしい。
ドラマチックガス

ロマン・ロランへの反論が痛烈。「なかでもロマン・ロランからの悪罵は、私にはこたえた。これまで彼の書くものをいいと思ったことは一度もないが、少なくともその人間性だけは高く評価していたからである」。ちなみに巻末の解説(これもまた勉強になる)でロマン・ロランからの「悪罵」も紹介されている。人格者であるはずのロマン・ロランを狂わせるまでに、ソ連は希望だったんだなぁ…

02/29 19:32
ドラマチックガス

Wikipediaによると、ジッドはソヴィエト旅行をしたまさに1936年、ロマン・ロラン生誕70年祝賀会で司会をしたらしい。ロマン・ロラン(なぜかフルネームで書きたくなる)は日本風に言えば古希祝賀会の司会者の著作を悪罵したんだ。また、祝賀会の司会をしたほどの相手に「書くものをいいと思ったことは一度もない」と言い切るジッドもすごい。

02/29 20:14
0255文字
siva
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1936年にソ連の作家組合から招待を受けたジッドは3か月滞在。当時のフランスの知識人は世界初の社会主義国家を支持しており、ジッドもその一人だったが、それは失望に変わっていく。立派な文化公園や休息の家、豪華な接待の陰に農場や工場に縛り付けられた圧倒的に貧しい人々や順応主義に反する者の密告、国家と特権階級による搾取があった。政治的に素人である作家が見たこと感じたことを誠実に書いている。
siva

「幸せになるためには順応的であれ」「今日、ほかのどんな国でも、ヒトラーのドイツでさえ、このソ連以上に精神が自由でなく、ねじ曲げられ、恐怖に怯え、隷属させられている国はないのではないか」旅行記を出版後多くの罵倒を浴びたジッドは翌年旅行記修正を出版し反論している。理想から政治への移行する間での変容。現代に読む価値のある記録。

01/04 21:49
0255文字
ブラックジャケット
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20世紀早々、マルクス・エンゲルスが来たるべき社会とした共産主義を掲げる国家がロシアで成立した。世界を震撼とさせたのだが、同時に初めて人類が到達したユートピアとして世界中で称賛された。アンドレ・ジッドも左翼思想に傾倒していたので、ソ連に対して好意的に見ていた。そして彼を含めた視察団が一九三六年にソヴィエトを訪問した。ソ連が金に糸目をつけずに豪華旅行に仕立てあげた。しかしお膳立てしたコースを外れ、一般の人々と交流し監察し、虚心坦懐に偽りの世界を感じ取った。率直な紀行文で、堂々と嘘で固めた実態を看破した。
0255文字
風に吹かれて
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 1936年、ジッドはソヴィエトを旅行した。当時、共産主義に傾倒しソヴィエトを理想国家と認識している知識人が少なくなかった。ジッドもソヴィエトを支持する一人だった。ソヴィエトを訪れ実際にその国に触れれば触れるほど考えを変えていく。  ソヴィエトは体制順応主義の国。国民を主導するひとつが共産党機関紙『プラウダ』。自国以外のことを国民は知ることができない。比較することができないから批判もない。体制に順応しないものは厳しく取り締まられる。 →
風に吹かれて

「今日、ほかのどんな国でも――ヒトラーのドイツでさえ――このソ連以上に精神が自由でなく、捻じ曲げられ、恐怖に怯え、隷属させられている国はないのではないかと私は思う。」(p85)とジッドは書く。  神を愛するが故に男性を愛することに苦しむ女性を書いた『狭き門』しか読んだ事がなく、好みとは言い難い作家なのだが、ジッドがソヴィエトをどう書いているのか、興味本位の気持ち半分で読み始めたのだが、真っ当なジャーナリストが現地を見、手に入る資料を出来るだけ読みこんで書きあげたような本だった。 →

12/18 21:38
風に吹かれて

 ジッドが描いたソヴィエトは、今のロシアにも通じているところがあるのではないか、と感じた。ロシアのことを知りたくて読んだ新書的な本も有意義だったが、こういった本もロシア理解を深めてくれると思った。  1936、1937年刊。   ……≪大事なのは、物事をそれがそうであるとおりに見ることであって、こうであったらよかったのにという希望のとおりに見ることではない。(p244)≫……

12/18 21:40
0255文字
Sin'iti  Yamaguti
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ジッドが共産主義にシンパシーを感じていたことは、この本で初めて知った。ジッドは、本当に平等な社会、理想的な社会を夢見ていた。ソビエトが自分が夢見ていた国とはまったく違っていたことにショックを受けつつ、自分の見識の至らなさを率直に認めたことに誠実さを感じるのだが、本書を批判したソビエトびいきの人たちは(宮本百合子も含めて)どういうつもりなのだろう、と思う。凝り固まった教条主義者にはなりたくないものだ。(自分自身にもその傾向があるから自戒をこめて)
0255文字
TSUYOSHI
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フランス人作家のアンドレ・ジッドは1936年、ソヴィエト作家同盟の招きでソ連を訪れる。予て共産主義への支持を表明していたジッドは、かの国に自由と平等の楽園を夢見るが、実地に臨んで深い失望を味わう。ソ連はそんな夢想の対極にあった。時にスターリンの独裁体制下。そのおぞましさの説明には多言を要しない。『一九八四年』そのものと言えば十分だろう。文章からは理想と現実の板挟みに遭ったジッドのアンビバレントな感情も読み取れるが、彼の知的誠実さ、自由と平等に対する熱意はその葛藤を凌駕して、告発の筆を走らせた。⇒(1/3)
TSUYOSHI

⇒不都合な真実を見せまいと、一行をとにかく歓待するソ連側の目をくぐり、ジッドは一般民衆とのふれ合い、語らいを重んじた。そうした体験が合理的な批判精神と芸術家の感性と合わさって『旅行記』に結実したのだろう。もとよりジッドが党派的な人物でなかったことも大きい。しかし同書はフランスの共産主義者から猛反発を受けてしまう。ジッドは反論として同書の『修正』を執筆するが、そこにかつてのアンビバレントな筆致はなく、ソ連をきっぱり批判している(尤も共産主義にはまだ幾許かの期待を抱いていたようにも感じられる)。⇒(2/3)

08/11 19:59
TSUYOSHI

⇒ジッドの見たソ連の実態が、逸脱事例ではなくむしろ共産主義の必然的な帰結であることは今や歴史的にも明らかだが、ジッドは1936年という、まだソ連の内情が覆い隠されていた時期にそれを鋭く見抜き、時代や思想に制約されることなく『旅行記』や『修正』に書き留めた。その慧眼には驚きを禁じ得ない。息を吹き返しつつある共産主義と、その系譜に連なる権威主義体制が自由と平等を脅かす昨今、これらの体制を採る国家に屈従することがどんなディストピアをもたらすかを、はるか90年近い過去から本書は教えてくれる。(3/3)

08/11 20:00
0255文字
Caracal
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本書を読んでみようと思った理由は、自らが求めていた平和と平等が社会主義体制のソ連で実現していると信じていた著者がこの国を訪れ大きく失望し、この旅行記を書き残したと知ったためである。今のわれわれは歴史として、スターリン体制のソ連がどれほど独裁的であり、庶民たちが自由を奪われ搾取されていたかを知っている。だが、ジッドの時代には共産主義に憧れをいだいていた知識人たちが多かったらしい。本著では落胆の色が隠せないジッドの心情を感じつつ、自らの目で確かめた現状を記してあるところがただの歴史書では得られない感動がある。
0255文字
Erina
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この手の面白さの本はかなり久しぶりだった。下手したら日本もこうなりかねないというディストピア。読みやすい訳文だからもっと知られたらいいのにな。
0255文字
スター
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 アンドレ・ジッドの本を読んだのは初めてですが、読みごたえがありました。  ソ連を労働者の天国だと信じていたジッドがスターリン体制下のソ連に招かれ、その実態を観察したうえで書かれた本。  が、実際のソ連は経済格差が激しく、浮浪児がたくさんいて、情報が制限されているのでソ連国外の知識に乏しく、識字率も低く、生活に必要な物資は量も足りなければ質も悪い有様で、そんな悲惨な状況を赤裸々に記述しています。
0255文字
ゆー
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1936年、スターリンの大粛清が始まった頃、ソ連に招かれたジッドによる旅行記。そんなもの現代に読む価値があるかという、これが極めて現代的な示唆に富む読書体験であった。文学者って社会問題には疎かったり変な思想を持ってたりするものだし、ジッドの政治思想なんてまるで知らなかったが、この慧眼、作家てすごいんだな。巻末の年表にあるジッドの性的放蕩ぶりも本書と対比させると味わい深い。
0255文字
xtcblar
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ネタバレ共産主義には夢があったと思ってたら夢そのものでした。
0255文字
Ex libris 毒餃子
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期待を込めて旅行に行ったソ連で見聞きしたことにドン引きした本とそれに対する批判に対する回答を書いた本をまとめた一冊。革命に対する憧れが強い共産党員の気持ちも分かるが、スターリニズムが酷すぎるとは想像がつかないでしょう。
0255文字
Yamazaki
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見たままを正直に表現しただけなのに、ソヴィエトに行ったこともない人たちに批判されててジッドさんかわいそう。当時の人たちはどれだけ社会主義国家に理想を見ていたのだろう。実際はハリボテの国だったのに。
0255文字
aki
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ネタバレもし私が初めに判断を間違ったのなら、できるだけ早く自分の過ちを認めることが最善であろう。なぜなら私には、この過ちに影響された人たちに対して責任があるからだ。このとき自尊心などというものは問題にならない。第一私はそのようなものをほとんどもっていない。私の目から見れば、私自身よりももっと大事なものがある。ソ連よりも大事なものがある。それは人類であり、その運命であり、その文化である。-24頁
aki

自己批判なるものは、要するに、これこれのことが「しかるべき線の中に収まっている」かそうでないかを問うものに過ぎないのだということを。線そのものは議論されないのである。議論されるのは、ある作品なり、振る舞いなり、理論なりといったものが、この神聖にして侵すべからざる線に合致しているかどうかだけなのだ。

12/26 16:44
aki

それ以上を試みんとする者には災いあれ!この枠内での批判ならば、好きにやって構わない。だが枠を超えた批判は許されていない。そういう例は歴史の中にいくらもある。しかし、こういう精神状態ほど文化を危機にさらすものはない。-67頁

12/26 16:45
0255文字
たい
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ネタバレダビの遺体はモスクワで荼毘に付され…(p.326)
0255文字
じろう
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どうしても現代の状況と絡めて読んでしまう。ロシア国家の本質と民族性は変わらない。「文化を脅すもの、それはファシズムであり偏狭なナショナリズムでありそれらは真の愛国主義、祖国への深い愛とはなんの共通点もありません。文化を脅かすもの、それは憎悪に満ちたナショナリズムが宿命的に必然的に引き起こすことになる戦争なのです。」プーチンとウクライナ国民のナショナリズムの差を言い当てているような。
0255文字
ご〜ちゃん
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ソヴィエトの何十年前の状況と、今の日本と似ているところが、以下の文章に書かれていて、ゾッとした。 「外国で何が起きているか、彼ら(学生たち)もそれなりに関心がないわけではない。ただ、それよりもずっと気にかかっているのは、外国が彼らのことをどう思っているかなのである。彼らにとって大切なのは、私たちが彼らを十分に称賛しているかどうかだ。私たちが彼らの美点をよく知らないのではないか、と彼らは恐れている。彼らが私たちに望んでいるのは、彼らのことをたくさん知ることではなく、彼らを賛美することなのである。」
0255文字
HANA
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第二次世界大戦前、共産主義が理想とされていた時代。ソ連に招待されたジッドがその印象を綴った旅行記。本書の凄い所は参加したのが共産圏のパッケージツアーでありながら、理想の国の背後に隠された全体主義を鋭く見抜いている所か。日本にも北朝鮮を最後まで地上の楽園と言っていた自称知識人が多かったけれども、何だろうなあこの違い、やっぱり知性の差かなあ。両者を比較するに本書のような旅行記は如何に党派性を超越するかが肝だと思う。本書発表後「転向」が攻められたが、ジッドのような人道主義者にとってそれは必然だった気もするかな。
0255文字
なるう
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ソヴィエト建国当初の様子が伝わってきた本。 具体的なエピソードが紹介されていて、歴史書を読むだけよりも頭に入ってくる。 全然歴史を知らなかったので、これを機に調べてみようかな。
0255文字
明石
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#読了 社会主義に傾倒していた小説家ジッドが、ソ連に招かれ、その実態を目にして失望するさまを綴ったエッセイ。「革命」に熱狂する人々を冷めた目で眺め、みずからも理想と考えていたイデオロギーに熱中できたらと願う気持ちと、それを捨てざるえないことへの葛藤が美しく熱力のある文体で紡がれる。第一部(=初のソ連訪問)で社会主義に疑問をもち、第二部(第一部への修正版)で疑問を確信に変えるという皮肉のきいた物悲しい構成もまた良い。今年読んだ本の中(暫定)ベストかもしれない。ページをめくる手が止まらないとはまさにこのこと。
明石

オスカーワイルドの流れを汲む耽美的な文体と、あくまで(左翼主義者ではなく)小説家然とした自己内省的な描写には、この作家の小説を一冊しか読んだことのないわたしでさえ、敬意をあらたにせざるをえなかった。それにしても光文社の新訳は読みやすくて良いですね。

04/06 23:06
0255文字
佐藤
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ネタバレたとえば警官が浮浪児に「呼びかけ」(アルチュセール)るとき、そこにいるのは単に「公僕」としてイデオロギーを放つ権力の婢女としてではなく、ひとりの「人間」としての存在であり、彼の優しいふるまいを「百姓マレイ」に重ねるのは無邪気といえばそれまでだが、作品に通底するシステム(=順応主義)からこぼれ落ちる人間らしさのスケッチとして象徴的な場面である。「あの革命的精神(もっと端的に言えば批判的精神)がもう通用しなくなっているということ、もう必要ではなくなってしまったということを。
佐藤

今、為政者たちが人々に求めているのは、おとなしく受け入れることであり、順応主義である。」という言葉は(残念ながら)アクチュアルに響く言葉である。

03/29 08:19
0255文字
かふ
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ジッドが戦時中に、ナチスがソ連と敵対している時に、ソ連の批判文を書いたので(ナチスより独裁政治が進んでいるとも)、フランスの共産主義者から批判された。中にはロマン・ローランのような大作家やポール・ニザンのような若手批評家からも批判を受けた。しかし、ジッドが書いたことは今では明らかにされていることだし、ソ連邦解体の情報公開で秘密警察や粛清の手口も知られている。以下、https://note.com/aoyadokari/n/na68aa7dfb460
0255文字
トレイルかめ
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まるで北朝鮮 歴史は、繰り返す
0255文字
時をかける牛丼
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「順応主義」という言葉をはじめて知った。
0255文字
まると
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スターリン独裁下のソ連を旅した文字通りの旅行記。精神の自由が奪われ、順応主義が蔓延したソ連を手厳しく批判しています。招待されて滞在したにもかかわらず、真実を伝えようとする知的誠実さを貫き、そこに暮らす人たちへの愛情も込められている。ジッドの正義感あふれる優しさが感じられます。スターリンによる大粛清や自由への抑圧体制、飢餓犠牲者の大量発生などは、ナチスドイツの犯罪に比べると詳細が語り継がれておらず、歴史の「忘却の穴」に埋もれている部分が多いはず。その穴を埋めるのににも役立つ、貴重な記述なのだろうと思います。
0255文字
小波
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マルクス主義的な社会に無邪気に憧れていたジッドが、実際にソヴィエトへ行き、現実に触れ、失望するまでの流れがとても興味深く読めた。自分の信じたいものが徐々に崩れていくことの辛さ。その事実を認められない者もいる中で、それを認められたジッドは強い人だと感じた。自分の信じたものが間違っていると気づいた時、修正或いは引き返す勇気があるか?自問せずにはいられなかった。
0255文字
ケイ
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コンゴ紀行を読んだので、旅行の順に合わせこちらも再読。コンゴでは、現地のエキゾシズムに情感を刺激され、時に冷静な視線を逸脱している印象もあった。ソビエトでは、流される事無く、差し出されたものをそのまま見ず、自らの見方で、ヒューマ二スティックな観点から冷静に見極め、身の危険も顧みず、かける範囲で筆をとり、帰国後に原註の形で補足された文章のみごとさ。共産主義とはともすればどういうものであるか、どういう危険性を孕んでいるのか、理想と現実の乖離の仕方など、一読すべき内容。特にベルリンの壁を知らない世代におすすめ。
0255文字
ポラリス
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熱心なコミュニストだった著者が本場を旅行するにつれて実態が目に入り、次第に愕然としていくという紀行文。もう少し淡々と書いて欲しかった。文面とあとがきの経歴から著者の激情家な面が伝わってくる。
0255文字
🍭
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ネタバレ事実は創作譚より惨い。マルクス主義を殺したと悪名高いソヴィエト時代に現地に赴き、プロレタリアと官僚の格差などの現実を知ったジッドがありのままのソ連を批判する。『ソヴィエト旅行記修正』Ⅵ で触れられている『官僚』や『公務員』で……(略)のようなことを実現するのは難しかったのか、ソ連のことについてはもっと様々な書物を読むべきだと思っている。苦しい歴史から、そうならない術を学んでいきたい。コンゴ旅行記も必ず読みたい。
0255文字
ましろ
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物事がこうであったならと見るのではなく、物事がそうであるとおりに見ることの難しさを日常生活でも感じればこそ、ジッドの言葉は身に沁みた。人は自分の信じたいものを信じようとする。信じるべくある方へ考えてしまいがちだ。真実が目の前にありながら、信じたい方に流されてしまいそうになる。初めにあった理想のソヴィエトと乖離があると気づいたとき、事実から目を背けず、批判も受け止め、実際にその目で見て、耳で聞いて感じたこと、数値が示すことなど、近く肌で感じた民衆の沈黙、その声なき声に心を傾け、言葉を尽くす姿勢に感じ入った。
0255文字
ゆき
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めちゃくちゃ面白い。ジッドはすごく「平等」で「素直」。そこがいい。理想の共産主義社会なんてどこにもなかったんだね。
0255文字
ちぃ
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共産主義の理念に掲げられる平等というのは素晴らしいことだと思うけど、その理想の実現はどうもこれまでどの国家でも実現していない。しかし当時はその理念そのものが新しかったことから、熱心にその思想を支持する人も多かった。今日の某国もこんな感じなのかなぁと「愛の不時着」を観たばかりの私は考えを巡らせてしまった💧ジッドは神経質で情熱的な文章を書く人だと思っていたけれど、こういう物も書くのだな。コンゴ旅行記の方も読んでみたくなった。
0255文字
しゅう
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初めはソ連に対して好印象だったが、実際に目の当たりにして徐々に疑問に思っていく。 それさ、「ヒトラー率いるドイツよりも、自由のない生活をしている」と言わせる程である。 貧しい家も含めて、全ての家にスターリンのポスターが貼ってある様子とかは、ジョージオーウェルの1984年を思い出す。 都合の悪い情報は隠して、都合の良いように情報を流すやり口は現代でも変わりないなと感じました。
0255文字
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