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根に帰る落葉は (ポケットスタンダード)

感想・レビュー
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あきこ
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南木さんの作品が好きで一時期よく読んでいたが本書は久しぶりに手に取った。このかわいい装丁の絵本のような佇まいに惹かれたのだ。しかし絵本などとは程遠く、南木さんの長い二束のわらじ生活の苦悩が綴られていた。一見華やかそうに見える「医者でありながら作家」という暮らしには身を削るような時間を割かなければならなかったのだ。今でも心身のためにリュックを背負い遠い通勤路を歩いて通っている。そこに医者として、作家として、人間としての真実があるように思い、再び作品を読んでみたいという気持ちになった。
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さとみ
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やっぱり山には人を癒やす力があるんだろうなぁと思いながら。 片田舎のよくある市街地住みには山も川も森もないけれど、たまには山に足を伸ばしてリフレッシュしたい思いが強くなった。
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オールド・ボリシェビク
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「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞を受賞するも、その後、パニック障害やうつ病に苦しんだ作家・南木佳士さん。現在も長野県佐久平で医師として活動している。本書は作家生活40年を記念して2020年に出版したエッセイ集である。新聞連載エッセイが主で、重複も目立つのだが、それも含めて、南木さんらしい素朴さというか、朴訥さにあふれていて、好感が持てる。しかし、「書くために生きたのではなく、生きるために書いたのだった」という心境は、本人にしかわからないだろうなあ。
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NNN
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作者の朴訥で誠実なお人柄が滲み出ている作品。自身のこれまでの生き方について感じたことを、飾り気なく表現している。群馬の自然に囲まれて幼少期から過ごしていたとのこと、美しい文体は、その素地から来ているのかと頷ける。体感を通じた言葉の一つ一つが、身体に染み入る。作者の作品は数冊読んでいるが、さらに読んでみたいと思った。
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ワッピー
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読み友さんの好きな作家さん。このエッセイで詳しいプロフィールを知りました。受験に失敗し、秋田大学医学部に入学したこと、佐久総合病院で医師として働きつつ文筆に手を染める日々、37歳で芥川賞を受賞したものの、その後パニック障害を起こし、医業・文筆業ともに退かざるを得なかった時期、山林を歩くことで次第に自分を取り戻し、定期的に奥様と山に登るようになったこと、医師として復帰し、気がづけばかつての上司や同僚も皆定年でいなくなっていったこと、老境になって見えてきたこと。静かな言葉のなかに込められた想いは胸に響きます。
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やまもと
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くどい
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Sakie
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根に帰る落ち葉。南木さんは私の親の同世代だ。自身の人生の終いを意識した文章が多くなった。それでも私の行く先を照らしてくれる言葉は健在で、人間のからだというものは揺れるものだと、死に向けて絶え間なく老いていくもの、しかしつよいものだと教えてくれる。『記憶をおのれに都合よく改編しつつしたたかに生きのびている』。意に沿わない記憶の改ざんもまた、生き抜くためのスキルと受け入れていい。夫婦での登山の文章にある『人間ドックの検査結果説明では禁煙と歩くことの大切さ以外に、受診者に伝えることはほとんどない』も肝に銘ずる。
Sakie

『東京へ、東北へと帰る友の乗るタクシーを見送った夜空に膨らんだ月が重なって出ていた。あえて酔眼を凝らす必要もないので、二つの月をそのままにし、冷えた夜気を胸が痛くなるまで深く吸ってため息をつき、とりあえず今生きて在る事実を確認してみた』。

12/26 16:28
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頭痛い子
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最新エッセイ(たぶん)。本の造りが普通の文庫本と違って、ハードカバーを文庫本サイズにした感じ。やっぱり良いですね。南木さんの書くエッセイは。言葉がしっくり来ます。何度読み返してみても飽きないし、キラッと光る一語が必ず入っている。
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ちゃちゃ
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「落葉帰根」タイトルに惹かれた。若葉は陽の光を浴びて青葉となり、やがて黄葉の時を迎え、散り落ちた落葉はいつしかもとの根に帰る。誰もが老いて自然に還ってゆくのだ。本作は、南木さんの作家40年を記念して出版されたエッセイ集。信州の総合病院の勤務医として激務をこなし、芥川賞受賞翌年にはパニック障害発症、その後10年余り鬱病に苦しみ続けたという。夫人と共に登った山々の自然に息を吹き返し、生と死を真摯に見つめた作品を世に送り出す。きっと南木さんという落葉は私たちの心にも舞い落ちて、静かに深く根を張ってゆくのだろう。
クリママ

ちゃちゃさん、素敵なレビュー、そして、コメント! 南木作品には心に残るものが多くありますが、私もやはり「阿弥陀堂だより」です。大丈夫だよとそっと励まされているような気持ちになりました。誠実に真摯に患者さんと向き合ったあまりの精神のご病気だったのではと拝察しています。こちらの作品も、ぜひ読みたいと思います。

03/18 22:42
ちゃちゃ

クリママさん、ありがとうございます♪♪ 信州の美しい自然の中で再生してゆく夫婦の物語、『阿弥陀堂だより』の世界観、良いですよね。さて、本作は様々な媒体に掲載された比較的最近のエッセイを集めた作品です。ただ、内容的にかなり重複があるのですが、医師として定年を迎え、今は非常勤医として働いておられる南木さんの、老境に入った心境が率直に綴られています。単行本扱いですが、文庫本サイズのコンパクトな本です。また、機会がありましたら、お手に取ってくださいね。

03/19 08:23
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博多のマコちん
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文庫本サイズだけれど装丁がしっかりした愛すべき小さな単行本。ここ数年のいろいろなところに載せたエッセイの集まりなので、繰り返しのこと(特に過去のご自分の精神と体調が不安定だったことやその経過)も出てくるけれど、合点承知のファンとしてはそんなことは気にしません。それをいつも書かざるを得ないという南木さんの気持ちはそれで良いと思っています。同世代の南木さん、だんだん書くのは辛くなってきたと述べてるけれど、体調は逆に元気になられてる様子、是非あと2つか3つは心に沁みる作品を送り出してほしい。
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鬼山とんぼ
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「二足のわらじ」から半分脱落した、自他ともに認める?体力・力量に弱点のある作家兼医師の屈託と愚痴だらけの回顧エッセイ。だが弱点は長所でもあるのだ。だって読者も人間で、弱点だらけなんだもん。そのおかげで、分野は違っても、きっと自分との共通点が多々あって、心に染み入る蝉の声。最初手にして、おいおい、こんな小さな本でいいのかよ、と思ったが、詩集のように少しずつ読み進めるにはこの程度の量がありがたい。これでいいのだ。
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kaoru
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信州の佐久病院で診療を続けながら小説を書いてきた著者のエッセイ集。37歳で芥川賞を受賞するもパニック障害と鬱病を発症し、それでも何とか「二足の草鞋」をこなしつつ65歳で勤務医としての定年を迎えた。地方病院での勤務と山登り、同じような内容にも拘らず惹きつけられるのは著者が生と死を見つめる濃密な時間を生きてきたからだろう。芥川の心身の不調を医師として分析し坂口安吾の誠実さを尊ぶ。「もう偉そうなことは言わない。『わたし』は『からだ』だ」。「落ちた葉は根に帰る」現象で次第に小児期に帰ってきている、と書かれるが→
ちゃちゃ

kaoruさん、これは南木さんのエッセイ集なのですね。タイトルからして、惹かれるものがあります。ご自身の心の病と向き合いながらの執筆活動と勤務医としてのハードな日々。その思いを私も読んでみたいです。kaoruさんの素敵なレビューに惹かれて登録させていただきます(o^^o)

10/26 18:11
kaoru

ちゃちゃさん、コメント有難うございます。これまでの執筆活動や勤務医としての40年に渡る日々を綴ったエッセイ集、不安定な心身を労わりつつ執筆に打ち込んだ南木さんの集大成と言った感じの一冊で言葉は平易ですが深い内容です。登録して頂いて嬉しいです🎶レビューお待ちしていますね🌷

10/26 18:31
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hitokoto
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 浅間山の北、上州で生まれ、浅間山の南、信州で暮らす南木佳士さん、佐久平で医者と作家の二足のわらじです。落葉帰根、「根に帰る落葉は」、2020.3発行、上質なエッセイです。四股を踏んで2年、下半身を鍛え、大腰筋歩行を。登山、鮎釣り、ワカサギの氷上釣りなどを楽しんでらっしゃいます。病院は非常勤になり、かなり自由な時間が増えたようです。90歳を超えた方々は異口同音に口にするそうです。「みずから長寿を望んだことはなく、きょう一日を快適に過ごしたいとのみ念じてからだを動かしてきた。」
hitokoto

ナイス、有難うございます!

10/01 03:48
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りんご
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入院中のベッドで読んだ。本当に医師たちの働き方には頭がさがる。いつ休んでいるのかと思う。 毎日死や苦しみを目にし、自分がいつそうならないと言えるか、と不安になり鬱になったというが。医師も人間。
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のんちゃん雲に乗る
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手の平に乗るような大きさながらのハードカバー。作者さ69歳作家生活40年目。「良くも書いて来たものだとの感慨よりも生き延びるるために書かざるを得なかったとの想いがはるかに強い。書くために生きたのではなく、生きるために書いたのだ」 「直木賞は獲りたくて獲る賞 芥川賞は生きるための自己開示の手段として小説を書かざるを得ないある種の病人の受賞者が圧倒的に多い」
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pirokichi
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作家生活40年目に出された小ぶりで素敵な装丁のエッセイ集。重複する内容が多いが、この歳になると、繰り返された方がありがたいというか、心にちゃんと入ってくるみたい。「いつからか四股を踏むことを覚え、股関節が柔らかくなって石をまたぐのも容易になった夫は、からだの余力のぶん、黙って待っていられる」。四股を踏む場面が何度か出て来て新鮮。気もちよさそう。
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たんたん
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コンパクトで綺麗な装丁を手に取り、思わずレジへ直行。 最近の新聞や雑誌などへの寄稿を集めたものです。書かれていることは一貫して「落葉帰根」。繰り返し触れられる内容が多いですが、不思議と読んでいて苦になりません。切り立った山から落ちてなんとか沢水を飲みながら生き延びた(比喩)という南木氏ですが、また新しい景色をみているのでしょうか。どこか境地にたどり着いたような気がしてなりません。
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Takeda Masaru
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生きるために書くしかなかったというところから、よくぞご無事でという想いです。話が、繰り返されるのも、そのことが多いに関係があるのでしょう。
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algon
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めでたく勤務医で定年を迎え非常勤として医師を続ける著者の現在を著した最新掌編エッセイ集。私小説家としてのエッセイは自らの来し方を綴るルーチンがあり掌編でもあるのでかなりの頻度このルーチンが表出する。しかしその短文が全く良く練られていて心地よく読むことができる。加えて様々な余裕のせいか今までほぼ無かったユーモアまでが埋められていてめったに読書で笑わない自分も何度も声を出してしまった。ユーモアのネタは奥さんがらみが多いが奥さんを見る目も思いやりが感じられ、全体を覆う滋味の一因ともなった。この本は買って手元に。
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キムチ
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体裁は文庫本、なのに装丁が立派な単行本。愛蔵版の面持。読了は思いの外時間を要した。南木作品が好きだがこれは同じ呟きが何度も繰り返され 少々辟易。多方面から頼まれた依頼文を1冊に纏めるとこうなるだろうね。南木氏の性格からして等身大、身の丈の周辺状況を語るがモットーだろうし、個人情報が絡むのはフィクションにしても語るのを好まないのだろうし。山、妻と暮らす日々、生まれ育った在‥そこには浅間山、草津白根、四阿山等の眺めが。落葉帰根。いい言葉。南木氏の心に有る普遍的な想いだからこそ、何度も繰り返されるのだとの感慨
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けんとまん1007
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いろいろなところに発表されたエッセイ集。重複するところも多いのだが、あまり気にならない。かえって、深みが増すような味わいがある。何気ない日常に眼を配ること、これが、なかなかできないこと。だからこそ、命あることのありがたさが伝わってくる。山あり谷ありの営みが、普通のことであって、それすらありがたこと。
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枝豆
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作家生活40年記念で出版された、最新エッセイ集! 読み終わるのがもったいなくって、新たな一篇を読んだり、読み返したりの毎日。でも、読了してしまった。なんだかとっても寂しい。 南木先生、お達者で。
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Gaudi
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精神を病むのは、そう難しいことではないと思います。いや、誰しも簡単に陥るとも。 亡き親父にもそんな時期があったので、自分にもいつ起こっても不思議ではないと。 危うい時期はたしかにありました。
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きょ
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この方の本はあたたかな深みがある。新しい本が発行されると、ああ、お元気でいらした、いつかお会いしてみたいと勝手に思っている。作家生活40年になられたとか。ほんとうによかった。「阿弥陀堂だより」から20年近く経て「山中静夫氏の尊厳死」が映画化された。きっと、わかる人にはわかるのだ。静かに沁みて響いてくる、作家自身の道のりが。私も心が沈みそうになった時期をやり過ごして歳を重ねている。来た道を振り返り、根や土に帰るという往く道を思う。文中の言葉を借りて『とりあえずいま生きて在る事実を確認』する。
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