読書メーター KADOKAWA Group

「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた (筑摩選書)

感想・レビュー
51

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
ぐうぐう
新着
「戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた」とサブタイトルにある。コロナ禍でよく耳にした「新しい生活様式」という言葉。大塚英志はコロナ禍での自粛を要するこの言葉を、戦時下の第二次近衛内閣が開始した新体制運動と重ねてみせる。いわゆるプロパガンダは戦争を意識させるがゆえにわかりやすいが、女性や子供をターゲットとするそれは暮らしの中に忍び込んでくるので見過ごされやすい。断捨離や着こなし、町内会における隣保共助の精神等、個々で良かれと思ってやっていたささやかな行動が、(つづく)
ぐうぐう

実は翼賛体制という国策の一環であった歴史を、大塚は丁寧に明かしていく。もちろん、戦争に勝つことを目的とした「新しい生活様式」と、感染症を抑えるための「新しい生活様式」を安易に重ねることの危うさに大塚は自覚的だ。とはいえ、当初は戦争に例えられていたコロナとの戦い、その監視的かつ強要的な同調圧力を思い返せば、あながち安易な連想とも言えないのではないか。生活や日常の顔をして、かつて戦争がやって来た。近い将来、同じようなことが起こったとして、自分はそれを戦争の顔だと認識できるだろうか。

01/22 19:36
0255文字
はしご
新着
本書で言う、戦争を直接描く「男文字」のプロパガンダと、日常や生活を描いた「女文字」のプロパガンダ。「男文字」の勇ましいスローガンの陰に、十二月八日のフォントまで作ったりするような技術の粋が尽くされた表現。「女文字」なら『婦人の生活』の手書きによる見出し、「襖にゆかたを張る」なんて巧妙すぎる上に、完全に今もあるような雑誌のレイアウトでびっくりする。『女生徒』には元になる日記が存在することは知っていたけれど、その要旨は真逆であったというのは知らなかった。てっきり本当の作者を巡る問題かと思っていた。
0255文字
曲月斎
新着
日中戦争から太平洋戦争の過渡期、「新しい生活様式」の名で、国家の統制下に生活が組み敷かれた。有りようは、記憶に新しいコロナ禍下での新しい生活様式の流布にもつながる。筆者はこの点に注目する。今とは違い、Webもなく、情報源が活字とラジオ、レコードの時代。かといって、花森安治のような手練に掛かれば、今でも十分に通用していたかもしれない意識の誘導は紹介されるにつけて、見事というべし。ではその対策は。何か変だと思った時に声を上げ続けるしかない。今の世間でも。半藤一利が云う「遠くのひと筋の煙」を見落とさぬことか。
0255文字
AYK
新着
女文字とは、戦争から離れた日常や生活を描く。1940年の第二次近衛文麿内閣から増えてきた、らしい。戦場だけではなく内面から戦争に同調させる。私生活に官制の合理性を要求する。その要求圧力は雑誌や新聞に日常に織り込まれる。個性の発露はしれっとなかったことにされる。(太宰の「女生徒」と有明淑の元ネタ「日記」)市井は前線にいる男性の代わりに女性が率いる。これらは皇国2600年や12/8の宣戦布告辺りから「新生活様式」として「日常や生活の顔をしてやってきた」。その様をコロナと重ね合わせる。
0255文字
AShi
新着
今の価値観で個人攻撃をしているようなニュアンスが随所にあり。当時は嫌でも従わざるを得なかった苦悶を今の人間が想像することであの時への手向けになるのに、この作者は能天気に当時を悪と決めつけすぎているようで、途中で読むのをやめた。
0255文字
Buffalo2004_TYO
新着
■戦時下の「新しい日常生活」を大衆に根付かせるためのプロパガンダが、いかに雑誌・文芸に反映されたか示す■出版された雑誌・書物・写真等の分析が中心■花森安治の雑誌編集の工夫、太宰治『女生徒』、尾崎喜八の詩集、長谷川町子も参加した漫画『翼賛一家』、村岡花子の隣組肯定エッセイ等を分析・批判する■言掛りのように読める部分も多いが、現代も注意すべきキーワードやアプローチが多い:「新しい日常・生活」「科学」「男文字」「女文字」「ボトムアップ参加」「メディアミックス」■そして何より「共・協による個人主義の否定」に注意。
Buffalo2004_TYO

■太宰治の『女生徒』に元となった日記があることは有名ですが、もとの日記にあった個性・個人を重んじる記述は排除し、女生徒を刹那的であり、かつ、強い力に依存したがっている人間として巧妙に作品化されている戦時下文学であることを知り、少し残念…個性・個人尊重は骨抜きにされ、その感じたこを流れの様に書いていく綴り文体だけが盗られたのでした■『赤毛のアン』の翻訳者、村岡花子も戦時中はこんなに隣組肯定のプロパガンダエッセイを書いていたのですね…朝ドラ『花子とアン』にはどう描かれていたっけ?(今週からBS12再放送開始)

07/07 12:21
Buffalo2004_TYO

■「共・協による個人主義の否定」は許容できないが、自民党の憲法改正草案に既にその兆候がみえる■十三条現在:「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」■自民党改正草案:「全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。」⇒「個」は削除、「公益及び公の秩序」優位。

07/07 12:29
0255文字
マカロニ マカロン
新着
個人の感想です:B+。『女生徒』(太宰治)読書会参考本。カバー写真は1936年防空演習前の日本女子体育専門学校(現・日女体大)の女学生だが、これが『女生徒』の元ネタ「有明淑の日記」と同世代に他ならない。本書内の一章で『女生徒』がいかに戦時に合せて「有明淑」から改変されていったのかを比較分析してある。有明淑は『生きてゐる兵隊』(石川達三)を読み、発禁処分について憤りを綴っているが、太宰は『クオレ』(アミーチス)や『昼顔』(ケッセル)に変えている。有明の戦争を含む社会への批判精神は太宰によりカットされていた
マカロニ マカロン

1930年代からの戦時期に行われた統制は、現代のコロナ禍での自粛という名の統制に共通するという。(戦後『暮しの手帖』を創刊した)花森安治が選定した標語「ぜいたくは敵だ」とコロナ禍の「不要不急」、「断捨離」、「こんまり」などは「新しい生活様式」の顔をして情報や社会生活の統制が行われ、やがて戦争に突入した流れに似る。また近頃よく聞く「協働」も阪神淡路大震災以降普及したように思うが、実は戦前から使われていた言葉だという。かつてはプロパガンダに見えないように工夫されたが、今やステマで生活や意識に忍び込む怖さがある

06/23 18:01
マカロニ マカロン

本書を読むと、上記の太宰治、花森安治以外にも多くの文筆家などが戦時下での「統制」に従わざるを得なかったことがわかる。本人としては意図してないだろうが宮本百合子のエッセイまで利用されているし、長谷川町子や村岡花子には「隣組」普及のための工作員的役割を求められていた。戦後スタートした『サザエさん』的な近隣とのつながりには、どこか「隣組」的な色合いもあるかもしれない。なお、有明淑が日記を書き出した動機は戦前の舞台劇、映画『綴方教室』の影響があるらしいという。築地小劇場で山本安英の舞台を見た直後から書き始めている

06/23 18:15
0255文字
る
新着
「ていねいなくらし」「断捨離」「二次創作」が、一見自由で自主的に見えるがファシズムに端を発してることを解説する本。 戦時下では雑誌、文学、広告、新聞まんが、演劇、ラジオ、テレビ、写真など様々な媒体がメディアミックスして翼賛体制への内面の参与を促していたことを詳細に示している。 もし当時その渦中にいたらそれが官製だと気付けていただろうか......と恐ろしくなる。
0255文字
海冨長秀
新着
ネタバレ「「ホットケーキ」の非政治性は、翼賛体制という政治の表層をコーティングし、その本質を見え難くするのだ。」「戦争はかつて「日常」や「生活」の顔をしてやってきたのである。」人間は、意識している以上に、外部からの影響を受けやすく、一見関係のないものから、そう考えることが当然のような状況へと導かれ突き進んでいってしまう。最近与党議員が「機運を高める」などと発言しているのを耳にする。今この現代でも、気がつかないうちに私などは擦りこまれているのだろう。多くの人が同じ方向を向いたとき、反対の方向を丁寧に確認したい。
0255文字
うなぎ
新着
必読であり、歴史的に貴重であるが、どうもほめる気になれない。新しい生活様式に対して大衆がくそまじめに対応したとでもおもってるのかねえ。面従腹背にきまってるでしょう。そのへんの感覚がないように思う。
0255文字
gkmond
新着
何を読み取らせたいかが明快なのでふんふん読めた。花森安治、村岡花子の狡猾なレトリックを誉め殺し的に紹介し、太宰には地の文がドン引きし、隣組に美を見出そうとする尾崎喜八を憐み、ガスマスクと制服の組み合わせにアバンギャルドの残滓を見る、みたいな話。あ、あと『翼賛一家』の話もあった。豪華なキャストに見えたのは戦中の業績が戦後の活躍を支える仕組みになっていて、食い込んだ人間が安泰だったってことなのかもしれない。アメリカの介入を挟むことで戦前戦後の繋がりを隠す流れは事故物件の一ヶ月入居バイトを連想した。
gkmond

で、一冊へえへえと読めたんだけども、現代と絡めて1930〜40年代を語るなら著名人の戦争協力あげつらったり伝統の創造紹介したり(トリビア的には面白い)より、屈服の論理をもっと目立たせてほしいと思ったり。

10/30 05:56
0255文字
かめすけ
新着
文藝2023年春号批評特集の大塚英志インタビューに「女性一人称の私小説」について、戦時下の太宰作品への言及があったので第2章を読む。他の章はパラ読み程度。この本の前提にあるのは、戦時下、「日常」や「生活」などの一見戦争とは無関係の言葉(=女文字)を、いかに男文字(=政治的、公の言葉)に「書き換え」られているか(発っし手のジェンダーに規定されない)という主張だ。太宰は、「女生徒」で有明淑の日記を、「個」の葛藤を「強い者₍=天皇)の求心」という正反対の意味に捉えられるように書き換えた。大文字の歴史と、日記の→
かめすけ

形式は遠いようでいてじつは密接な関係にある。この構造は最近でも散見される。「新しい〇〇」「貯蓄から投資へ」「女性活躍」「ポスト〇〇」など、大文字=男文字が、手を変え品を変え、いかに私たちの生活に浸透しているか。また、4章の「参加型プロパガンダ」であったという指摘も、現在のSNSと通じるところがあり面白かった₍これは文藝のインタビューで語られているが)。歴史は誰が作るのか。陰謀論₍参加型偽史構築)が蔓延り大文字の歴史(いわゆる教科書的な歴史)が葬られ敗北した今、その対抗馬となるものはいったい何か。

07/30 11:40
かめすけ

また、SNS的な「連帯」、フェミニズムの用語でいえば「シスターフッド」が、ムラ的な閉鎖的共同体のなかで「自主性」という言葉のもとに暴力の種として育ってはいないか。本著の書き方はライトで同じ主張を何度も繰り返したりしつこい部分もあったが、サブカル論者といえど様々な考察・分析の視点があったように思う。

07/30 11:44
0255文字
かんがく
新着
コロナ禍で注目された「新しい生活/日常」という概念が、戦時下のプロパガンダにおいても繰り返し用いられていたことを、雑誌、小説、漫画、服装などの文化を通して分析していく。「生活/日常」という女性の領域とされがちな部分に、「戦争」がどのように侵入していったかという研究は面白い。
0255文字
蝸牛
新着
#読了  だいぶコロナも落ち着いてきたし冷静に読めるかな、ということで積読から。しかしまぁ、コロナ禍での飲食店の時短営業とか、映画演劇の自粛とかもう、戦時中じゃん!と。個人的に1番背筋が寒くなったのは、自分の母校の制服が丸襟、ジャンバースカート、襞は2本という統制制服まんまだったことですかね。
0255文字
ガジ
新着
オススメされてた本。花森安治、太宰治など男性からみた・描いた女性の話が多いのが印象的だった。5章の制服女学生も、カメラマンは男性だしね。一〜五をおわりにで一気に現代へと引きつけていったのが印象的。話題の連続に違和感はないが、描かれた女性のみ浮き彫りになるのは微妙な気持ち。あと太宰治の話題をするとき、有明淑の話、みんなしすぎ。
0255文字
裕
新着
日常的な生活から考え方を変えさせ浸透するファシズム。太宰治が嫌いな理由がわかった気がする。
0255文字
舞い降りた解答
新着
第二章キレキレ。
0255文字
なん
新着
芸術とプロパガンダ、1940年近衛新体制による新体制生活、2020年コロナ禍を境とする新しい生活、日常の戦時下起源。
0255文字
ishii.mg
新着
感想の前に。筑摩書房よ、単純な誤植が多い、校正は下請けの校正者がやるのだが編集がいい加減だとスルーされる。編集者の猛省を促す。タノムヨ。 真綿でゆっくりと締め上げるようなファシズムの浸透なのだ。ファシズムとはそういう側面があるということ。
0255文字
ミネチュ
新着
コロナ禍と1940年の近衛文麿政権による「新生活体制」の類似を念頭に、日常生活に忍び込んでくるファシズムについて書かれた本。 恐ろしいのは、「さぁ、皆で翼賛生活をしましょう」と強制されることではなく、雑誌やら文学やら漫画やらを通して、翼賛生活が自然な形で浸透していくこと。 著者がそもそもコロナ禍での様々な言説を見聞して近衛の翼賛体制を想起した通り、現在のコロナへの対応に関しては色々と危ういところがあると私も思います。 ただ、この本は私には難しくて途中からかなりいい加減に斜め読みしました・・・
0255文字
takao
新着
ふむ
0255文字
西野西狸
新着
ネタバレかつての総力戦・翼賛体制の中での生活の変化を花森安治のファッションや太宰治・尾崎喜八らの文学、長谷川町子の漫画、その他の雑誌資料から描き出していく。メディアと作家がどのような関係を翼賛体制化でどのような役割を果たしていたのか、花森の国民服論や政策、太宰の「女生徒」の改変などが興味深い。一方で日記とかの実際の庶民はそうした文化を受け止めていたのか気になるがそれは有明の日記で相対化されているのか。
0255文字
Mealla0v0
新着
総力戦の下で国民生活は政府によって組織化・統制される。それはまるで「新しい生活様式」のように。だが、新体制は上からの統制ではなく下からのフィードバックを回路として持ち、人々の自発性を引き出すようなシステムであった。これを水路づけるプロパガンダのうち「暮し」に訴求性を持ったのが「女文字」であった。これは大正以降の消費社会の広告テクノロジーの戦時利用であり、そこには細やかな喜びを人々が見出す契機があった。隣組が生み出した「家庭」や「町内会」の秩序は戦後民主主義の中で「ホームドラマ」的表象として生き延びていった
Mealla0v0

大塚英志はあずまんみたいなのに引用され、まあマンガ原作者でもあるという点も相俟って、アカデミズムの中では不当に低評価を押されている感はあるが、やはり硬派なオタクは違うぜ、という気概を本書は見せてくれた。マンガが戦時プロパガンダに利用された――いや、そこに協力することで活路を見出したという点を反省するからこその態度である。内容も学術的に重要だと言えるが、著者のアティチュードも重要である。

11/07 00:06
0255文字
さくは
新着
1940年、第2次近衛内閣が「新体制運動」を開始。「戦時用語、プロパガンダ用語に思えないものが実は「戦時下のことば」であった」ことを考察していく。「ていねいなくらし」花森安治と女文字プロパガンダ。太宰治「女生徒」と有明淑の日記の対比で見えてくる「生活綴方」のファシズム利用。新聞まんがの「家族」キャラクターと「町内」という約束事と「翼賛一家」。制服女学生とガスマスク、戦時下の機械美という不穏な「モード」。
0255文字
彼方
新着
表層では、左寄りの人が言う、何でも軍靴の響く音に聞こえる系です。 しかし、芯は、戦時下と同じシステムで、現在も為政者の思惑が日常に侵入していくあり様を切り取っています。 大体がいつも通り難しい内容なのであれですが、違和を挟みにくい「空気」に対し、それこそ違和感を表明していくスタイルと切り口はファンならずとも必読に値します。 マスクがガスマスクに重なって見える、は言い過ぎとしても、誰かの思惑を自身のものと思わせる術(システム)がこの世間を騒がせる「禍」に潜んでいるのでしょう。 思考の消毒も忘れずに。
0255文字
oritako
新着
戦争を鼓舞し戦場へ人を誘う「男文字」と、銃後の日常や生活である「女文字」。花森安治がその女文字プロパガンダに与えた影響や、戦後のサザエさんに至るまでの経緯は、これまで自分自身がごく自然に受け入れてしまっていたことでもあった。 表紙のガスマスクは強烈だが、これも当時は機械芸術的な美の表現でもあったという・・。
0255文字
jackbdc
新着
戦争はかつて日常や生活の顔をしてやってきた。この指摘には当初違和感を覚え、反論を探したいと思ったのだが、結局は完全に同意に至る。コロナ禍の現状を考えると身につまされる事ばかりであった。外からの強敵に対峙する際には、個人戦では立ち行かない。集団で力を合わせて戦うほかない。個人の尊厳を活かしつつ集団で如何に力を結集するか。これは国家の存在意義や力量を決める問いである。個人の日常の生活に我慢や変化を強いる事、コロナ禍における所謂ニューノーマルが戦時下と共通するのも当然であり、単純な善し悪しの問題ではない。
0255文字
Mana
新着
太宰治の「女生徒」のもとになった有明淑の日記が具体的にどのように改変されているかを扱っているという書評を見て読んでみた。他にも暮しの手帖、花森安治、花岡花、など見たことのある名前がちらほら。翼賛体制が軍の威圧的な押し付けではなく、いかに巧みに生活の中に入り込んできたかという話。
0255文字
Boobo
新着
面白かったー 物質主義の現代に生きるわたしは、 戦時中の清貧等に不謹慎ながら憧れてしまったりする…… コロナとの関連はあまり共感できなかったけど、 確かに、コロナははじめから戦争だと思っている
0255文字
akio numazawa
新着
大政翼賛体制は、「丁寧なくらし」という「女文字」も含めて確立された。そのために太宰治や村岡花子が果たした役割。民主主義と親和的なはずの「協同」が、個の尊重を否定し、翼賛体制のために使われた事実。
0255文字
SK
新着
太宰治の「女生徒」を面白く読んだので、ここまで改変されているとは驚いた。まるで逆方向の改ざん。本来なら、「生きてゐる兵隊」発禁に抗議する聡明な女性なのに。「男文字」より「女文字」のプロパガンダの方が、日常に浸食してきて分かりにくい文、巧妙なのかもしれない。
0255文字
ochatomo
新着
題名に惹かれて もう少し短くまとめてくれると読みやすいだろう 皇紀2600年の1940年、第2次近衛内閣は新体制運動を展開し『大正デモクラシー的な理想が“国策”に搦め取られ』『確実に“日常”や“生活”に新しい輪郭を与え具体化』した 『家でできる社会参加』として節約・工夫、断捨離はこの頃にもあったそう “女文字”プロパガンダの担い手だった「暮しの手帖」創刊の花森安治氏や太宰治氏について知らなかった面が多い 2021刊
0255文字
ume_take
新着
コロナ禍における世相に違和感を感じて読んでみた。太平洋戦争中を事例にファシズムがどのように日常に浸透していったのかを示している。ファシズムはファシズム然としてくるものばかりでは無い事に気付かされる。そして今まさに暮らしに入り込んできている。狙っているのか、性なのか。いずれにせよ、今、ファシズムが侵食してきているのかもしれない事に考えを馳せて自分の行動、言動を律する必要があると感じた。
0255文字
踊る猫
新着
流石は大塚英志だ。アクチュアリティが非常に高い問題設定に唸らされる。私たちに身近な「暮し」は「政治」と一見すると離れた、平穏なセーフティゾーンのように感じられる。だがその内側から、つまり「暮し」を汚染するようにして(失礼!)「ファシズム」が忍び寄る可能性/危険性について、『暮しの手帖』や太宰治の小説などを引きながら大塚は論証していく。大塚がすごいなと思うのは、カルチュラル・スタディーズなどの「箔」をつけずに日本の文脈だけでこの難題を論じてしまったところ。そしてここで提起された問題は「現在進行形」であるはず
0255文字
retro
新着
翼賛体制の元で人々の暮らしの中にどのようにファシズムが侵入していったのかを検証している。あからさまな統制のような戦時プロパガンダとは別に翼賛体制にはいわば「女文字」のプロパガンダがあって,その日常に組み込まれていく「目に見えにくいプロパガンダ」は,節約,自粛,生活の簡素化,丁寧な暮らしなどを,国民に自発的にさせるように,同調圧力を生むように仕掛けられていたのだという。「第4章サザエさん一家はどこから来たのか」が特に面白い。また,戦時下の言説がいかに現在のコロナ禍の言説と似通ってしまうのかが議論されている。
0255文字
Go Extreme
新着
戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってくる:新生活体制 みんなでつくる 断捨離が愛国心を育む 花森安治と「女文字」のプロパガンダ:2つのジェンダー総動員 衣服で人の心を変える 男文字と女文字 太宰治の女性一人称小説と戦争メディアミックス:生活綴方という方法論 強い力を待望する者への書き換え 戦時下のミニマリスト詩人・尾崎喜八の「隣組」:生活に求められる科学的思考 サザエさん一家はどこから来たのか:家族と町内 翼賛一家 制服女学生とガスマスクのある日常:アヴァンギャルドの国策化 花森安治の小説とモダニズム
0255文字
九曜紋
新着
コロナ禍で普及したスローガン、「新しい生活様式」。実は80年前にも同様な活動があった。1940年、近衛内閣下の大政翼賛会における「新生活体制」である。そして「医療従事者にエールを」と「兵隊さん、ありがとう」の文脈の一致。著者は両者のシンクロニシティにファシズムに通ずる危険性を感じている。しかしそれはやや牽強付会ではないか?今は「コロナとの戦い」という戦時下であることは事実だし、日本人が同調圧力に弱いこともまた事実だろう。ただ、これをもってファシズムの再現と看做すことは違う。着眼点としては面白いとは思うが。
0255文字
イズル
新着
図書館本。真ん中は読み流した。「戦時下の婦人雑誌『婦人の生活』」の章は興味深く読んだ。
0255文字
やまおじさん
新着
苦労して読了。部分的に興味深いエピソードはあったけれど<現在私たちが享受する「当たり前の日常」の起源を問い、政治の生活への介入があからさまになった「withコロナ」の暮らしを見つめ直す>(本書カヴァー裏のコピー)という著者の狙いが伝わってこなかった。戦時下と現在とのアナロジーがピンとこない。たしかにコロナ禍での同調圧力に共通するものはありそうだが。花森安治や太宰治、小池知事の発言の分析は面白い。別の方が感想に書いていたが、これだけ調べあげたのだから、巻末に参考図書・出典一覧があってもよかったのではないか。
0255文字
全51件中 1-40 件を表示
「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた (筑摩選書)評価93感想・レビュー51