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トーマス・マン (1983年) (20世紀思想家文庫〈1〉)

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kthyk
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自粛をチャンスとして、学生時代の長編を再読している。西行花伝の後はトーマス・マンと決めていたが。何から読むか、迷って手にしたのがこの本。併読しているアドルノとは全く同時代、マンの生をアドルノの自然と読みかえれば、共に現代芸術、反ファシズム含め、近代市民社会の最大の批判者。叙事詩を野蛮と書き、ミニマ・モラリア(美学)を追求する音楽家と、叙事詩を物語る音楽的小説家。マンにとって生と精神の対立がテーマ、精神の基準は常に生。マンの持つイロニー、懐疑性、相対性はドラマティクな存在に対して距離を置くことを教えている。
0255文字
ずしょのかみ
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マンそのものの語感がよく伝わってくる。19世紀末のヨーロッパ社会とその雰囲気や物語という文学の流れ。意思から身を引き対象を純粋に認識するショウペンハウエルやワーグナーから、意思を意思して生を志向するニーチェへの思想の推移。イロニーなどの認識方法と文体の関わり等を説きつつ、マンと時代や時代を代表する人びととの連関、そしてマンの彼らへの認識など、立体的にマン像を提起する。マンそれ自体の論証にとどまらず、哲学や社会の雰囲気全てを連関させて、時代の流れの中にマンを捉えるところに歴史学をやるものとして感銘を受けた。
0255文字
練馬太郎
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文章の書き手から見た、マンの文学への向き合い方。文節や単語の接合力を意識した文体。この本に出会い、読書をする時の視点がまた一つ増えたような気がします。 作家は、象牙の塔に一人籠らなければならない性格があり、その塔を高く高く積み上げていく必要がある。そして、「人間」を俯瞰し、鳥瞰する域まで登らなばならない。マンは、エレベーター付の近代的な塔を拵えていたのだなと感じました。逃れようのない凡庸な人間の姿が凡てである。尾崎豊や三島由紀夫、有島武郎らがなぜ死を選んだのか。その答えの一部がここにあるような気がします。
0255文字
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トーマス・マン (1983年) (20世紀思想家文庫〈1〉)評価100感想・レビュー3