形式:単行本
出版社:KADOKAWA
バックグラウンドや、日本語でこの本を読むという行為で読み方にかなりの制約が生まれていると思うが、(監訳の)今井むつみ先生による解説のおかげで少し引きで本文の内容を捉えられると思う。個人的に以前から気になっていた「文法に性がある言語は認知にどのような影響があるのか、ないのか」という疑問へのひとつのヒントになる実験なども紹介されており面白かった。この後は参考文献の中から気になる記事や論文をさらっていきたい。
著者は心理言語学者なので仕方ないのでしょうが、もっと社会学や哲学的な観点から外国語を学ぶことの意義を知りたかった。だって外国語の学習が脳に良いってのは当然と言えば当然だからね。私は本書が言うバイリンガルに該当しますが、本書で紹介される事に心当たりがあります。でも外国語を学ぶことの素晴らしさって、そういう事じゃないんだよね。韓国語は日本語より形容詞が発達した言語ですが、それら形容詞の意味・用法を学ぶと言葉が持つ奥深さと豊かさを本当に実感するのです。
そして、そうした言葉を用いながら喜怒哀楽を表し、生活を紡ぎ続けきたこの国の人々を敬意する心が自然と湧き起こってきます。外国語を学ぶ意味はここじゃなかろうかと。月並みですが、ITがここまで発達しても世界の分断が一向に埋まる気配を見せない現代において外国語学習の意味はコミュニケーションを取って、まさに相手を敬う心を育むことに集約されるのではないでしょうか。まぁ、私の主張に「科学的な根拠」を与えるためにも著者の研究がすごく重要なのは分かるのですが、ビオリカ先生、もうちょっと突っ込んだ議論をしてほしかったな。
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