形式:新書
出版社:筑摩書房
形式:Kindle版
パートナーシップ制度が作られ、同性婚が法制化されるとその制度はお役御免ということで廃止される。しかしイギリスやフランス、オランダでは両者は併存している。後者の国々では、結婚というのは宗教的な色彩を強く持つものであるために、そうではないパートナーシップ制度を選ぶ人々がいるという。フランスにおけるPACSは、異性や同姓の縛りがないのみならず、性愛関係になる2人も届け出ることができるという。◆終章では今後の結婚の未来が占われる。マーサ・ファインマンの『ケアの絆』やエリザベス・ブレイクの「最少結婚」論を引きつつ、
国家が性愛関係にのみ保護と特権を与えることを批判する視座が紹介される。簡単に言えば、互いにケアし合う関係全てに保護を与えるべきではないかということ。その視座からすれば、同性婚も批判の対象になるし、友人同士で結婚(パートナーシップ登録)することもまたよしとされることになる。個々人がケアし合う関係を、結婚というパッケージに全て押し込めることをやめること。この結論は、浜日出夫の『戦後日本社会論』でも触れられていた。若者たちが結婚に拘らなくなり、孤独死も増えていく現状、それでも結婚に拘る必然性は乏しいと思う。
社会がマイノリティの生き方に強い関心を持って制度を形づくるからこそ個々の人たちは互いの違いに無関心でいられる。逆に社会が無関心だと個々の人たちは「自分とは違う他人」に過剰なまでの関心を持ってしまう。(p245-246)
ただ、海外での数値比較などをあまりに重視するのは、隣の芝を青く見ているだけなのではないかという気持ちもあって。欧米で用いられているような様式が日本という環境で同様に動作するとは自分には思えないし、下手に海外の様式を取り入れようとすると現行制度の二の舞となるのではないかと読みながら感じたりもした。とはいえもはや、従来の様式を稼働し続けるには社会のかたちが変わりすぎているよなぁと思う。よくも悪くも、いまの日本(特に都市部)はもっと個人主義的で流動的なのではないかという体感がある
→最小結婚など、グラデーションがある制度設計が行われてほしいし、選択肢が多い世の中になってほしいと思った。
結局国は税金のために子供を増やしたいから、友達などを含む新たな結婚・家族関係の実現は難しいんじゃないかと思量する…
っても家族というチームとしてやっていくことに問題がないことが証明されているともいえる。私自身名前が変わった時は大変だったなあと思い返されます。 女性が姓を変えずに結婚するのは難しい現状がある。「自分が生まれ持った名前」を変えない権利を持ちたいというのは「わがまま」なのか? 結婚という制度にこだわる必要がないと考える人が増えた。→それでも、税制上のメリットは結婚に誘導しようとしている。 結婚制度は成人どうしのケア関係を支える基盤。結婚という制度を利用することで税制上優遇されることも多いことから、友人を家族に
した話。恋愛感情、性的関係のない友人関係が結婚という制度を利用して権利を享受する。 誰かパートナーと支えあって暮らすことや、子どものケアに携わる(血縁関係にない子など)ことに価値を置き「かたち」にはこだわらないスウェーデン。
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パートナーシップ制度が作られ、同性婚が法制化されるとその制度はお役御免ということで廃止される。しかしイギリスやフランス、オランダでは両者は併存している。後者の国々では、結婚というのは宗教的な色彩を強く持つものであるために、そうではないパートナーシップ制度を選ぶ人々がいるという。フランスにおけるPACSは、異性や同姓の縛りがないのみならず、性愛関係になる2人も届け出ることができるという。◆終章では今後の結婚の未来が占われる。マーサ・ファインマンの『ケアの絆』やエリザベス・ブレイクの「最少結婚」論を引きつつ、
国家が性愛関係にのみ保護と特権を与えることを批判する視座が紹介される。簡単に言えば、互いにケアし合う関係全てに保護を与えるべきではないかということ。その視座からすれば、同性婚も批判の対象になるし、友人同士で結婚(パートナーシップ登録)することもまたよしとされることになる。個々人がケアし合う関係を、結婚というパッケージに全て押し込めることをやめること。この結論は、浜日出夫の『戦後日本社会論』でも触れられていた。若者たちが結婚に拘らなくなり、孤独死も増えていく現状、それでも結婚に拘る必然性は乏しいと思う。