読書メーター KADOKAWA Group

大いなる遺産(下) (新潮文庫)

感想・レビュー
151

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
秋良
新着
【G1000】上巻に引き続きピップのブルジョワ生活が延々と展開し、読むのがきつかった。ただ先にここのレビューを見てみんなが「後半がすごい!」と書いてるので頑張ったら、遺産を誰が贈ろうとしたのか、脱獄囚がどう絡むのかが明らかになってからの展開がめまぐるしくてさくさく読めた。たとえ財産があっても、愛する人が周囲にいないなら人生は虚しいものになる。一貫したメッセージ性と、人のいい加減さ、身勝手さ、優しさ、誠実さが余す所なく描かれた大作。救いようがなく思えたエステラにすら最後は希望の光が見える。
0255文字
三月
新着
ネタバレ『ノルウェイの森』で主人公の先輩の永沢さん〈時の洗礼を受けた本しか読まない、人生は短い〉が好きな作家にディケンズあげてて、作中会話に「俺たちはまた会う気がする」「まるでディケンズの小説みたいですね」というのがあった。たぶんこれ。人物描写が秀逸。人生を考えさせる物語。残すべき遺産は金品資産ではなく知恵能力精神力や生きがい。不遇や逆境こそ大成の糧。でも、環境や愛情面が崩れるとその成功では満たされないもの。一切の気力が削がれたので、私はもう何もしないかもしれません。本のせいではなくて。もうすぐクリスマスですね。
0255文字
Ami Salon
新着
貧しい鍛冶屋のジョーに育てられた少年ヒップが大いなる遺産を手に入れることになり――という本の下巻です。 難易度:★★☆☆☆ 明るさ:★★★☆☆ 人生の学び:★★★★★
0255文字
dragon
新着
新大陸の発見、産業革命などで社会が大きく変わろうとしている時代のお話。哀愁があり、曇天返しのユーモアがあり、他者を顧みない人間の醜さと、変わらぬ愛情で信じサポートしてくれる人間の優しさを描いた作品。しかしながら、ところ所の会話が長かかった。自分自身の内面を見つめたことを友人と長く話すのかなぁと思うものの、当時はお金があって自分でやることがない人間同士はそういう環境なのかもなとも思う。
0255文字
dubonnet
新着
人の貴賤を決めるのは金銭や財産、出自ではないのだとつくづく思う。お金に代えられない物、かけがえのない友情や勇気、決して喜ばしくない傷ついた日々すら青年はロンドンに渡り成長する過程で得難いものとして手に入れたのだと思った。失意や裏切り、憎しみの経験は愛情や強さと蝶番のように繋がっていて向きや考え方一つで生き方すら変容する。ミス・ハヴィシャムもプロヴィスも復讐に執念を見せるが歪んだ愛情深さが複雑に造形を成していた。彼らは両親を知らないピップに対し血は繋がってないがその不器用な肉親の愛情を注いでいたのだと思う。
dubonnet

読み終えて眼窩が熱くなった。街の大動脈に沿うように滔々と流れるテムズ川…見たことのないこの大きな川の描写に旅情を感じた。潮の関係で渦を幾つも形成し、上流に引き返せずに波止場で待つシーン、テンプルという街、引き潮に乗ってグリニッジまで漕ぐ…など霧のたちこめるその風景を思い描くのは愉しかった。時折くすりとするような表現があってユーモアが見えるのも読みどころの一つ。ラスト付近のテンプルの船場で「見ていたのはその近辺に住む両生類のような二、三人だけだったが」に笑ってしまった。

08/06 02:25
0255文字
Taku Kawaguchi
新着
読了 なかなか、読むのが大変 そんな風に言うの?という翻訳が多く、やはり別の翻訳を読むべきですね。翻訳は劣化する事例ですね
0255文字
ふう
新着
【ガーディアン必読小説1000冊】#154
0255文字
げんなり
新着
上巻の全体に重苦しい雰囲気から一転、主人公の生活も軽やかに華やかになる。そしてとにかく色んなことが繋がり、分かり、キャラクターの出入りという点で考えると、実に無駄なく多くの人物たちが生き生きと登場しては消えていく。シェイクスピアについてのくすぐりだとかストーリーと関係ないところにも興味が湧く。ディケンズは面白い。
0255文字
livre_film2020
新着
ネタバレ怒涛の伏線回収巻。正直、上と下の途中までは面白いと聞いたから……と我慢して読んでいたが、その苦労が報われる読了感!おお、そこでそれが繋がるのかと感動。およそ160年前に書かれたので、言葉遣いや生活などが違うものの、普遍的な考え方が描かれている。因果応報、勧善懲悪、無垢な愛など。私は最終的にピップとエステラは結婚することはないものの親しい友人のように共同生活を送ったに一票。だって、そうじゃないとこの小説の流れに背くではないですか。
0255文字
逢日
新着
ディケンズ4作目。物語の伏線回収の回。他作と違い、ミステリタッチも楽しめる。ピップが段々善人になって行くのが素晴らしい。大満足の読み応え。
0255文字
綾瀬恵理@稚読者
新着
なんだか定食を食したかのような、これまで読んだもので最も整っていてバランスが取れていると思わされた小説だった。人間の善性を強調している、またそれを信じている作品なのできっと当時は酷い人ばかりだったのだろう…。
綾瀬恵理@稚読者

この翻訳、古い故に今と生活が違いすぎることによっていろいろ訳が「変」なのも味となっている。バタつきのパン、おらんだぜり、スコーンの解説等々…

03/07 21:29
0255文字
ソングライン
新着
遺産相続人としてロンドンでの生活に溺れ、愛情をかけてくれたジョーと疎遠になるピップ、そこに突然に彼を訪ねる遺産譲渡者。上巻冒頭の脱獄犯との出会いの場面の意味が知らされると物語は急展開します。ピップに協力する親友ハーバートとウェミック、どんな時も彼の幸福を願うジョーとビディ、心冷ややかな美女エステラ、そして改心の脱獄犯マグウィッチ。心地よい読後感が残るピップの成長物語、さすがディケンズです。次はオリバー・ツイストです。
0255文字
Meena
新着
ディケンズは初めて読む。カササギ殺人事件にも名が登場するが、ちょっと似たようなところがある。 上巻に比べて、下巻は読みやすい。何度もストーリー展開があって面白く、頁をめくる手が早まった。 最後まで一貫して純朴で善良なジョーに心惹かれた。
0255文字
ヴェルナーの日記
新着
下巻は少年ピップから青年ピップに成長し、主にロンドンでの彼の生活ぶりが描かれている。そして謎だったピップの『大いなる遺産』の真の後見人が名乗りでた―― 上下巻を読み終わって、先ず感じたことは”紆余曲折がありながら、とどのつまり万事は塞翁が馬”と言ったところでしょうか…… やはり著者・ディケンズのロンドンの街並みや魅力あふれる登場人物の描き方は卓越している。おそらくは新聞記者の経験から、観察眼がとても鋭かったことと思う。さらに良くも悪くもロンドンという街を、そこに住む人々も含めてこよなく愛していたと感じる。
ヴェルナーの日記

最後にピップにとっての『大いなる遺産』は、親友のハーバートやジョーとビディの存在であり、かけがえのない財産だと感じました。

10/19 23:24
0255文字
あかつや
新着
遺産を相続する見込みが出たことで生活が一変するピップ。紳士としての振る舞いを覚える一方で贅沢も知り、借金が嵩んでいく。下巻でも色々あって立場がまたもやくるっとひっくり返るけど、そうなっても変わらず接してくれた人と出会えたことが救いだな。特に好きなのはウェミックさんで、彼は失意の底にいるピップを励ますためにサプライズで結婚式を開いてくれる。結婚のシーンは色んな創作物で出てくるけど、このウェミックさんの結婚式は短いながらも最も美しく、心温まるものだと思う。再読し始める時、この場面を読むのが楽しみだったんだ。
0255文字
ひと
新着
ついにピップの前に遺産を譲る人物が現れる。全然予想もしない人でビックリ。恋の行方も逆転のまた逆転のような。最後まで楽しめる作品でした。
0255文字
Kazuki
新着
初めて長編の古典名作読み切った 当時のこと全然知らなくても、描写上手いから想像できておもろかった
0255文字
Shinya Fukuda
新着
タイトルがGreat Expectations、大いなる遺産ならHeritageじゃないのかと思った。しかし読み終わってそう言うことかと何となく納得した。ストーリーが変化に富んで登場人物も個性的でとても重厚な小説だ。自分自身は誰に近いかなと思いながら読むことが多いのだが私の場合ウェミックかなと思った。ジャガーズになりたいけれどとてもとても。一番分かりにくいのがエステラ。ラストシーンからの未来は想像をかき立てられる。冷静と情熱のあいだを思い出した。
0255文字
shosho
新着
ネタバレピップがついに恩人の正体を知り、その人と距離を置いてしまうのかと思ったが、最後は心を通わせて良かった。ジョーの無私ともいえる献身ぶりも感動的。ウォルワス気分に満ちた(と言えるかもしれない)ウェミックの結婚式が面白い。
0255文字
四葉♡⃛
新着
最初はちょっと展開遅いなとか思ってしまったけど、最後は惹き込まれて一気読みしました!こんなに偶然に繋がる?と思いながらも、お話の後ろの作者のメッセージを描くのには必要だったのかな。終わり方も好きです。「火は温かいけど危険も伴い、星は冷たいけど美しい。知性と仲間のおかげでそんな対極な世界の中で自分の基盤を見つけ、成長することができるのだ」
0255文字
やす
新着
やっと読了。上巻から5年くらいかかりました。。最初は何が面白いのかわからなかったのですが、後半から急展開、壮大な物語でした。心が洗われますね〜。日本でいうと幕末に書かれたのものですが産業革命の影響が社会に色濃く出ていて面白かったです。
0255文字
きのこ
新着
ガーディアン必読79下/1000 良くも悪くも登場人物は皆端役に至るまで一癖二癖あり際立っています。その人たちの心情が全編を通じて懇切丁寧に描かれているので、分かりやすいし面白い。伏線というか謎解きもきちんとしてくれています。古くさい言い回しが和訳のせいなのか150年前の作品たる所以なのかは不明。ハッピーエンド・ラバーとしては少々物足りないけど、これがディケンズなんでしょうか。好きな作品です。
0255文字
くみ
新着
今回再読して気づいたのは、何度も読み返したいシーンは①ジョー②アクヴィッチ③ウェルミック絡みだということ!特に下巻はマグヴィッチとピップの心が本当に通じ合った瞬間は心に響いた。本当によかった。そしてそのあとのジョー。ジョーには心を鷲掴みにさせられる。今回再読で、再認識しました。またウェルミックも好き。ウォルワスシーンはお気に入り。自然に親孝行とか素直じゃないけど面倒見のよいところとか。ピップに私生活を暴露させられたあとジャガースさんとギクシャクするところも可愛かった。再読してよかった!
0255文字
Ichigo∞Kugayama
新着
とにかく素晴らしい作品だわね。下巻は荒波が吹き荒れますが、ラストのシーンに救われますな。ちと忙しくて上巻からだいぶ経ってしまったけど、やっとこさ読み終わった・・・。
0255文字
ポポ
新着
上巻の続き…。 あと、弁護士ジャガーズの書記ウェミックとその老父の関係が最高! 息子の気遣いでもたらされている老父の屈託のなさは本当にほほえましい。新聞の朗読、トーストを焼くなど自分の役割を与えてもらい、耳が聞こえないのにも関わらず、毎日機嫌良くいきいきと暮らしている。 ウェミックの気遣いはとても自然で、父親への愛情にあふれている。 老父と息子の関係の理想型だと思った。親の老後も自分の老後もこんなふうでありたい。ディケンズは、こういう親子を本当に見たのだろうか。圧倒的な描写力で、理想的なのにリアルなのだ。
0255文字
りん
新着
もっと小難しい話かとおもっていたが、ストレートにストーリーとしての面白さと豊かさがあった。あとささやかで暖かいラストと原題の秀逸さ。
0255文字
nanako
新着
ネタバレ下巻では、上巻で張られた人物相関の伏線が見事に繋がっていき、謎の恩人も登場して物語は佳境に。オーリックやコンペイソンのような悪人はどこまでも卑劣な悪人で、ジョーやハーバードのような善人は天晴れな程、どこまでも善人。主人公のピップだけが、彼らに翻弄される過程で、様々なことを学び、失敗を経て成長していく。彼が人生の価値は富でも家柄でもなく人間性にかかっているという大事なことに気づけてよかった。プロヴィスの最期が心安らかなものであったことや、石の心を持ったエステラにも変化の兆しが少しでも見えてよかった。
0255文字
あっき
新着
先の展開を一切知らないまま読んだのでハラハラしすぎて胃が痛かった。尋常じゃないくらいムカツク登場人物がいっぱいいたけどジョーやハーバードくんやウェミックさんみたいなピップにやさしい人たちもちゃんといて良かったです。後半のピップとプロヴィスのやりとりにほろり。ミス・ハヴィシャムは気の毒だけどやっぱ怖い。ラストはどう解釈すればいいんだろう…
0255文字
雑草(仮)
新着
ネタバレ最後は仄かに切ないけど、個性溢れる人々に囲まれた主人公ピップの成長物語。人に優しく誠実であり、けれど打算や保身もあり、痛い目にあってから、そんな自分を後悔し、正しくあろうとする、そんなピップはどんなときでもとても人間らしくて、愛される存在だと思った。ジョーの優しさとマグウィッチの最期には泣けた。ただ翻訳が僕には少し難しかったから、また今度は別翻訳で読んでみたい。
0255文字
double_clip
新着
読み終えるのが惜しい、ずっと読み続けていたいとおもった。
0255文字
しずく
新着
ネタバレディケンズはドラマ性があって面白いです。登場人物も一人一人の個性がキラキラしていて大好きです。 本当は鍛冶屋のまま一生を終えたほうが幸せだったかもしれないピップ。でもいろんな人に会い、親友に会い、心の底から愛する人に会い、大金は手に入らなかったかもしれないが、人の心の優しさ(特にジョー)に気づけてよかったと思う。
しずく

ガーディアン1000冊 49冊目 2/2

04/03 21:46
0255文字
ましろ
新着
人間の善良な部分や細かな心遣いを見抜く力は、思えば小さなピップも備えていた。結末までたどり着けば、始まりを思い出す。出会った人、見てきたもの、そこから感じ取るもの、たどり着く先は、先を見通すことはできなくとも、同じ今を掴み続けることはできなくとも、様々な経験を積んで、立ち帰ってゆくようだった。恩知らずだった自分を恥じ入り、捨て去った人を取り戻すことも。人間の愛情や感謝、寛容を見出すことも。抱えていたことや虚偽からも真実以上のことを受け取り、自分の力で踏み出すことも。幾層にも深まって、ピップの人生はあった。
0255文字
ヴェチョ
新着
ネタバレディケンズはほんまこんなんばっかりでどれ読んでも外れなし、暖かい気持ちにさせてきてやりますねぇ!としかいえん。 実は滅茶苦茶狭い世界の物語。 もう、死んだ方が幸福なのだ、という他者からの決めつけは残酷のひとこと。生きてピップを見続けるほうが、ひたすら酒を飲んで娘に介護されるのがどれだけ幸せか、そしてどれだけ周りを不幸にするか・・・ 世の中はままならん、最後はまさかああなるとは思わず、やるやんけ!!とテンションが上がったしハードボイルド感もあり大人な感じ漂わせてきた。 もう一度書くけど、やるやんけ!!
0255文字
關 貞浩
新着
まさかこんな展開になるとは。上巻で描かれた出来事のすべてが伏線として見事に物語全体と調和し、次々と新しい構図を描いて見せる。借金をつくりながらもハーバートの事業に匿名で出資するピップ。根の善良さは失われていないようで少しほっとする。中盤で明かされる庇護者の正体。混乱、嫌悪、狐疑逡巡。朴訥で善良なジョーとともに少年期を過ごしたことほどの幸運があっただろうか。眼に前にあるものの素晴らしさに、すべての者が気付けるわけではないこと。人生の最後に残るのは、他人を思い自ら進んで与えたものだけだということを強く感じた。
0255文字
鳥越
新着
本を閉じてもまだ出会った人物一人一人が鮮烈に心に焼き付いたままで、ピップと共に十数年の時を歩んできたような感覚が残りました。あんな場面があった、こんな場面があった、と思い返してみると、本当に自分の目で見たかのように情景が目に浮かんで、あれ、これってもしかして走馬灯?と思っちゃうくらい。読書というより経験として降り積もったような、私にとって初めての読後感で少し戸惑いもありました。/美しい人、言葉、光景が沢山ありましたが、特に終盤のある場面では嬉しさ楽しさから涙が込み上げ、幸福な気持ちにさせてもらいました。
鳥越

【抜書2】「わしらがふたり、被告席につれだされたとき、わしはなによりもまず第一に、巻き毛で黒い服を着、白いハンケチをもってるコンペイソンのやつが、どんなに紳士らしく見えるか、それから、自分がどんなにつまらんみじめな虫けらに見えるかってことに気づいた。求刑がはじまって、証拠がまえもって手短にのべられたとき、わしはそれがみんなわしにばかり重くかかって、あいつには軽くしかかからないってことに気づいた。証人席で証拠がのべられたとき、前に進み出て、証言を述べさせられるのはいつでも自分だということ[…](p230-)

01/16 22:50
鳥越

【抜書3】[…]わたしは、いったいどうして昔彼を無能な人間だなんて考えたのだろうと、なんどもふしぎに思った。が、ある日、たぶんその無能さは彼のうちにあったのではなく、わたしのうちにあったのだと反省してみて、いっさいが氷解した。(p515)

01/16 22:51
3件のコメントを全て見る
0255文字
おりがみ
新着
ネタバレ月並みですが身の丈以上のものを望むことは悪いことではないと思いますが身の丈以上のものが何かの拍子に手の届くところに来てしまったときどうふるまうべきか問われている気がします。遺産をピップに与えようとした人物は何者かという大きな謎もこの物語の魅力ですが、それ以上に青年ピップの体験した悲しみ、喜び、怒りが分厚く、押し寄せてくる印象です。ひとつひとつ地道に積み重ねて幸福をつかんだ人々がピップのすぐそばにいることが皮肉です。学生時代に読んだ時よりも結末がより好ましくさわやかな印象を受けました。
0255文字
blue_blue
新着
原題はGreat Expectations、直訳すると「大遺産相続の見込み」。もし明日、とてつもない幸運が舞い込んできたら。その幸運を、何の疑いも抱かず素直に享受できるひとというのは、案外少ないのでは。なぜ自分に?どうして自分が?その理由を探し、どうにか自分の納得できる理由づけをして受け入れる、そういうひとが多いのではないかと思う。ピップのように。善意の陰にあったものを既に失っていたこと。思い描いた未来へは到達できないこと。全てを受け入れた先に待つエンディングの美しく静かな余韻に胸が熱くなった。ブラボー!
blue_blue

「わたしはわたしの数多い訳書のうち、いちばん懐かしい、いちばん好きな作品として、この訳書を若い方たちに贈ります。だれはばからず、思いきり哀れみ、愛し、憎み、激しく蔑み、ほんとに怒り、思いきり泣いてください。そして、ただ笑いと涙に流されてしまうだけでなく、作者がこの作品の中に魂こめて描きこんだ作者のメッセージを読みとるひとも何人かあってほしい。それは、すべてのひとは、幸福であり、豊かである権利がある、ということです。それをふみにじるものをば本気で怒り、抗議し、糾弾することです。ディケンズのように!」

12/12 18:27
blue_blue

途中で挫折しリベンジした作品だが、読み終えてみると、ディケンズの中では登場人物そんなに多くないし、三人称で神(ディケンズ)視点が入りこんでくるわけではないし、読みやすいほうだったのかもしれない。あと、余韻たっぷりのこのラストはやっぱりすごく素敵だなあと思う。あー、面白かった!

12/12 18:30
5件のコメントを全て見る
0255文字
amishima
新着
ずいぶん前にE・ホークとG・パルトロウが出ていた映画を観たことはありましたが、ディケンズの原作は読んだことはありませんでした。主人公のピップは、映画版での絵画のような才能があるわけでなく、謎の遺産相続の見込みに有頂天になり、浪費や借金に溺れます。育ての親への恩も忘れる始末でほとんど良いところはないのですが、むかし脱走を手助けした罪人が自分に向けてくれた恩義に気づいてからの改心ぶりと、恋い焦がれ破れたエステラとの関係も含めたすべての縁が最後に収束していくストーリー展開には、映画版とは違った感動を覚えました。
0255文字
全151件中 1-40 件を表示
大いなる遺産(下) (新潮文庫)評価63感想・レビュー151