形式:文庫
出版社:新潮社
裏表紙のあらすじには『じんわりいい話を集めた短編集』とあるが、邪悪な話もしれっと横入りしていたり。好き嫌いはっきり分かれる話も多かったけれど、23編もあれば煌めく話はそこかしこにあるもので。
一生忘れられない夜。子どもの頃にみたつがいで寄り添い死んでいた白い文鳥。になったように感じた夜があったことを思い出した。
世界で唯一タイムトラベルを実現した男の話「トインビー・コンベクター」も良かったな。メモ。
生涯に一度の夜/トインビー・コンベクター/トラップドア/オリエント急行、北へ/十月の西/最後のサーカス/ローレル・アンド・ハーディ恋愛騒動/二人がここにいる不思議/さよなら、ラファイエット/バンシー/プロミセズ、プロミセズ/恋心/ご領主に乾杯、別れに乾杯!/ときは六月、ある真夜中/ゆるしの夜/号令に合わせて/かすかな刺/気長な分割/コンスタンスとご一緒に/ジュニア/墓石/階段をのぼって/ストーンスティル大佐の純自家製本格エジプト・ミイラ/ 以上23編収録
「あるんだよ、レイ・ブラッドベリの小説に。夜に散歩する話。手つないで。それが生涯に一度の夜になるっていう」木皿泉脚本『Q10』に出てくる台詞。この『生涯に一度の夜』を読みたくて手にとった。こういう派生読書が自分にどんぴしゃはまると、小さくガッツポーズしたくなる。楽しい。
私まだこれ読んでないんです。この前の読書会では「後期の作品はダメ」っぽいみなさんの感想だったので、初期のものしかよんでない私はどうしようかと思ってたんですが、この感想を読んで、やっぱ読もう!ってなりました。ありがとうございます。
怪奇味は確かに薄いのですが、私はこちらもとても良かったと思います。80年代の作品が多いですが、何気に『墓石』が入ってますよー(^^)
本書収録作品 1.生涯に一度の夜 2.トインビー・コンベクター 3.トラップドア 4.オリエント急行、北へ 5.十月の西 6.最後のサーカス 7.ローレル・アンド・ハーディ恋愛騒動 8.二人がここにいる不思議 9.さよなら、ラファイエット 10.バンシー 11.プロミセズ、プロミセズ 12.恋心 13.ご領主に乾杯、別れに乾杯! 14.ときは6月、ある真夜中 15.ゆるしの夜 16.号令に合せて 17.かすかな刺 18.コンスタンスとご一緒に 19.ジュニア 20.気長な分割 21.墓石
22.階段をのぼって 23.ストーンスティル大佐の純自家製本格エジプト・ミイラ 以上
ブラッドベリの文章はわたしには手応えがあるので久々に読むとなかなか苦戦したけども、それでもお気に入りのお話も幾つか出来た。ハッピーエンドではないけど最初から読後の余韻まで全部が完璧だと思った『号令に合わせて』、もはや説明不要な『ご領主に乾杯〜』と『ローレル・アンド〜』、最後の一行に全てがある『プロミセズ、プロミセズ』、設定から展開から結末まで唯一無二の奔放さに脱帽な『十月の西』。不意打ちで触れてしまった絶望の予感に戦慄する『かすかな棘』も良き。
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