ところで本文中において魚は「カジキ」と明示されていない気がするのだが、読み落としだろうか。訳者は解説でしれっと「大きなカジキ」と書いていたので、そうだっただろうかと疑問に思ってしまった。個人的には、"The Olad Man and the Sea"のタイトルから察するに、老人と死闘を繰り広げる"上品だが強力な魚"は"美しいが時に牙を剥く海そのもの"の暗喩だと解釈していた。そのため、魚が具体性を持たない方が他に譬えようのない海の暗喩として適切な気がするのだが。真偽のほどは原典を読む必要がありそうだ。