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ドイツ文化 55のキーワード (世界文化シリーズ)

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たろーたん
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この本では、ドイツ人のメンタリティとして、矛盾する二つの魂があると表現されている。例えば、無機質なアウトバーンが景観に配慮してデザインされていたり、近代文明に対する批判から自然療法が生み出されたり、エコロジーがファシズム的暗部を内包しつつ極めて非学問的な優生学と結びついたり、合理的なドイツ精神を持ちながら、南国イタリアの官能性に憧れたりと、内と外、秩序と混沌、理念と現実など、様々な二項対立を心の中に持っている。(続)
たろーたん

そんなドイツビールを語るうえで避けて通れないのが「ビール純粋令」である。ビール造りには、「大麦の麦芽、ホップ、水、(酵母も後咥えられる)以外は用いてはいけない」というものだ。1906年に適用されたこの法律はEUの立法により廃止されているが、今でも多くの醸造所では、誇りをもってこの法律を守り続けているという。ドイツのビールの品質の良さは、この純粋令のおかげなのだ。ただ、この法律の背景には、多くの粗悪なビールが出回っていたためなので、あまり誇らしいことではないのだが…。

10/19 22:05
たろーたん

ただ、意外なことに、こと飲料において、現在ドイツでの消費量第一位を占めているのはビールでもミネラルウォーターでもなく、コーヒーらしい。景気づけ、気分転換に必要で、朝食や休憩時間には欠かせないそうだ。そして、もう一つ、ソーセージの人気と二分するメニューとしてドネルケバブがあるそうだ。西ドイツの経済復興のための必要な労働力として迎えた移民のトルコ人から広まったものらしい。移民はあまりいい話を聞かないが、これについてはちょっとほっこりした。

10/19 22:05
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0255文字
yoneyama
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38人のドイツ研究者によるテーマごとの文集。やや教科書的(授業っぽい)話の人もいるけど上手い人もいて、興味深いキーワードから、つい読み進める。内容は濃い。 「過去の克服」自国の犯罪的な過去を批判的に想起することを、今のドイツは努めている。その歩みははじめからではなく、1969年の学生運動で大きく変わったという。周辺諸国からの信頼を勝ち取った流れを知る。 「オスタルギー」旧東ドイツが統一後にどう動いてきたかを興味深く読んだ。映画演劇、文芸などのテーマも面白い。
0255文字
たか
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ドイツに二年半暮らしていても、教科書で勉強するような歴史以外あんまりドイツのことを知らないなあと思って、帰国したときに買ってそれから一日一章ずつ読んだ。 オスタルギーやクラインガルテンは生活していてなんとなく目にするけれど、それがどういう文化的背景を持っているかは知らなかったから、そういうちょっとニッチなところまでテーマにしてくれていて満足度の高い本だった。これからドイツに移住する人にはおすすめできる。
0255文字
あか
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いろいろな切り口から手際よく解説されたドイツ文化論。前提とする知識がしっかりあればもっと面白く読めるのだろう、中級者向けの本といった雰囲気で、だから個人的には覚えるべきキーワードを収集するための教本のように読んだ。だから「気楽なドライブ」的には読み進められなかったけれど、本棚に控えておいて折に触れて読むには重宝するだろう。残念ながらワインについて触れられてはいなかったものの、終章の憧れの地としてのイタリアという視点は、ワインにおいても実感される部分である。ワインにおいてもやはり、ふたつは相補的な存在だ。
0255文字
tieckP(ティークP)
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ページ数は実質250頁程度だが、かなり重厚な本。類書には明石書店の「○○を知るための」というシリーズがあるが、あれより執筆者の人数もおそらく多く、文学・文化研究者たちが本当に自分の得意なことについて4頁の制約に挑戦して書いたコラムの集合という感じ。人数が多いだけに玉に交じって石もなくはなく、またドイツにとって重要な事柄を上から55個集めたならこれは入らないだろう、というかなり特殊な題材について書いたものもあるが、後者はそれでも書くだけあって知識としてはハイレベル。この知識の重たさ、なるほどドイツらしい。
0255文字
岑雄
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ドイツ文化の入門編として最適である。特に興味を持ったのが第6章「暮らしと文化」。ドイツは正反対のものを求めるふたつの魂が同居している。近代化しながら中世に憧れたり、科学の進歩を求めながら自然回帰を求めたり、学問を尊重しながら迷信的思考を繰り広げたりと、絶えず逆方向のものを内包している。この場合、「ドイツは」というよりも「人間は」と主語を置き換えることも可能だが、ドイツはこの傾向が少し強いようだ。Gemütlichkeit(居心地のよさ)という言葉から住まい、エコロジーに展開する話も興味深い。
0255文字
marukuso
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1コラム4ページと読みやすかった。ドイツの歴史から生活面までと幅広く収録されている。中でも印象的だったのは、ヒトラーの像の捉え直しだろうか。笑顔の写真を見ると同じ人間だったのだと改めて実感する。またドイツ人はビールはイコール水なのだとか。1人年間100リットル以上飲むとか飲みすぎだろ。勉強目的でも旅行目的でも読める本である。
0255文字
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