読書メーター KADOKAWA Group

てれまこし
さんの感想・レビュー

てれまこし
新着
「メキシコの政治はピストルの政治、先んずること、それがすべてです。」かつては革命をともに戦った盟友たちが、大統領選をめぐって血で血を洗う抗争を繰り広げる。民主主義のファサードの裏にあるマキァヴェリアンな仁義なき政治が頭をもたげる。義を重んじボスに忠誠を誓うアギーレ将軍もこれを避けえない。自分にその気がなくても周囲が許さない。何もしなくてもライバルが放っておかない。友情や忠誠心は犠牲にし、与えられた役割を演じるしかない。「台詞を覚えよ、稽古せよ、演じよと闇から迫ってくるその力に、逆らうすべなどなかったのだ」
てれまこし

著者はディアス体制を守るために殉職した職業軍人の子だが、革命軍側に身を投じてサパタやビジャの片腕になってるから、理想主義的な若者であったらしい。革命後に自ら政治家になって、二度の亡命を余儀なくされてる。農民や労働者のために闘った闘士たちが、権力の座について私財を蓄え、野心のために互いに争う。そうした現実に革命の理想が裏切られるのを目の当たりにしながら、なんとか理想を維持しようという文人政治家アスカナーに、おそらく著者の姿が投影されてる。

01/31 10:49
  • kazi
  • syaori
  • ころこ
  • 銀河帝国
0255文字
全1件中 1-1 件を表示

てれまこし
さんの最近の感想・レビュー

修道師と死 (東欧の想像力 10)

修道師と死 (東欧の想像力 10)

メシャ セリモヴィッチ
もう旅に出ることができなくなったからか、時々知らない時代や国の海外小説が無性に…続きを読む
新訳 ソシュール 一般言語学講義

新訳 ソシュール 一般言語学講義

フェルディナン・ド・ソシュール
自分はことばを商売道具にする人間だから言語について自分なりに考えてきたけど、ま…続きを読む
ヒンドゥー教と仏教: 宗教社会学論集2

ヒンドゥー教と仏教: 宗教社会学論集2

マックス ヴェーバー
なぜ資本主義が他の文明ではなく西欧で起きたのか。いろいろなあるなかでヴェーバー…続きを読む
思い出す事など 他七篇 (岩波文庫 緑 11-6)

思い出す事など 他七篇 (岩波文庫 緑 11-6)

夏目 漱石
いわゆる「修善寺の大患」後の病床にいるときに書き綴られた。一度死にかけて生還し…続きを読む
書簡 上 (定本 漱石全集)

書簡 上 (定本 漱石全集)

夏目 漱石
漱石への関心が嵩じてこんなものまで読み始めた。明治22~39年の書簡。予備門で…続きを読む
アルテミオ・クルスの死 (岩波文庫 赤 794-2)

アルテミオ・クルスの死 (岩波文庫 赤 794-2)

フエンテス
革命軍兵士から一大ビジネス帝国の総帥となった混血児が、臨終の床で切り捨ててきた…続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/09/03(2743日経過)
記録初日
2015/10/02(3445日経過)
読んだ本
1215冊(1日平均0.35冊)
読んだページ
442639ページ(1日平均128ページ)
感想・レビュー
971件(投稿率79.9%)
本棚
1棚
自己紹介

フォロバされるのがいやな方もおられるらしいので、自動的なフォロバは中止しています。フォロバを希望される方は一報ください。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう