医師の父の左遷転勤により男女の二手に分かれ生活する四人家族、父と母と兄と妹がそれぞれの視点で語る連作短編であり、十年間に渡るある家族の絆を描いたひとつの物語でもある。父は北関東の公務員の次男坊、母は製薬会社重役の令嬢という格差婚、同時期に読んでいたのが宮部みゆきさんの杉村氏シリーズだったこともあり、千葉東端の漁師町への引っ越しを忌避するお嬢様育ちの母に何となく嫌なものを感じたけど、よく考えたら住み慣れた場所を自分の意思以外の理由で離れるのは子どもでも大人でも普通気が進まないよね。風評被害ごめんよ母さん。
冒頭作収録のアンソロ未読、内容の前情報全くなしで読む。親の都合による転居転校と家族が半分になった不安を抱えた小学生の兄妹が健気で不憫で、どこか能天気な父や意固地な母の言動に苛立ったけど、彼らメインの章でイメージが大きく変わる。父の能天気は温かく優しい親兄弟や友人に囲まれ育まれたまっすぐな心根に、母の意固地は裕福でも肝心なものが得られなかった苦しみに。実家の呪いに縛られ続けていた母が、子どもたちを負の連鎖に巻き込むことなく、自分自身も解放することができて本当によかった。しかし母の実家は気持ち悪いな色々と。
タイプ:どく分類:ものぐさほんよみ生息地:カナガワちほう主な出現場所:としょかん・ふるほんや特技:ひるね弱点:あつさ・さむさ・くうふく・ねむけ持病:かたこり・つかれめ
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医師の父の左遷転勤により男女の二手に分かれ生活する四人家族、父と母と兄と妹がそれぞれの視点で語る連作短編であり、十年間に渡るある家族の絆を描いたひとつの物語でもある。父は北関東の公務員の次男坊、母は製薬会社重役の令嬢という格差婚、同時期に読んでいたのが宮部みゆきさんの杉村氏シリーズだったこともあり、千葉東端の漁師町への引っ越しを忌避するお嬢様育ちの母に何となく嫌なものを感じたけど、よく考えたら住み慣れた場所を自分の意思以外の理由で離れるのは子どもでも大人でも普通気が進まないよね。風評被害ごめんよ母さん。
冒頭作収録のアンソロ未読、内容の前情報全くなしで読む。親の都合による転居転校と家族が半分になった不安を抱えた小学生の兄妹が健気で不憫で、どこか能天気な父や意固地な母の言動に苛立ったけど、彼らメインの章でイメージが大きく変わる。父の能天気は温かく優しい親兄弟や友人に囲まれ育まれたまっすぐな心根に、母の意固地は裕福でも肝心なものが得られなかった苦しみに。実家の呪いに縛られ続けていた母が、子どもたちを負の連鎖に巻き込むことなく、自分自身も解放することができて本当によかった。しかし母の実家は気持ち悪いな色々と。