文字数限界まで感想を書くのが私の悪い癖。
来るもの拒まず去るもの追わず。ほどよい距離を保ちつつ。なのに生まれる不思議な読書コミュニティ。会ったことのないあなたを気にかけていたりします。
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
今年最大の出来事は橋本治が亡くなったこと。戦後の近代化をあれほど分かりやすく評論や小説で描いた人はいない。令和を迎える前に亡くなった橋本治の死に時代の象徴を感じました。さてランキング。1位は去年に引き続き見田先生(笑)、2位、3位は本屋と図書館での出会い本。テーマとしては「これからの社会はどうなるのか」思いはせながらいろいろ乱読しました。
●2019年ランキング https://bookmeter.com/users/7318/bookcases/11507566
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
◯過去の一押し本◯
2012--------------------------
見田宗介, 現代社会はどこに向かうか《生きる リアリティの崩壊と再生》
更科功, 化石の分子生物学――生命進化の謎を解く
吉岡攻,虐待と微笑 裏切られた兵士たちの戦 争
東島誠, 自由にしてケシカ ラン人々の世紀
永幡嘉之,巨大津波は生態系をどう変えたか―生きものたちの東日本大震災
鬼頭宏, 人口から読む日本の歴史
小島毅, 近代日本の陽明学
與那波潤, 中国化する日本 日中「文明の衝突」 一千年史
神里達博,食品リスク
上野千鶴子, おひとりさまの老後
2011--------------------------
唯円『歎異抄』 (光文社古典新訳文庫)川村湊訳
後白河法皇『梁塵秘抄』(光文社古典新訳文庫)川村湊訳
ル・クレジオ『悪魔祓い』
谷口智彦『通貨燃ゆ』
上岡 陽江,大嶋 栄子『その後の不自由―「嵐」のあとを生きる人たち』
カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
2010--------------------------
鈴木大介『家のない少年たち 親に望まれなかった少年の容赦なきサバイバル』
水野和夫,萱野稔人,『超マクロ展望 世界経済の真実』
ユクスキュル,クリサート『生物から見た世界』
木田元,『反哲学入門』
橋本治,『橋本治という行き方 WHAT A WAY TO GO!』
真木悠介,『気流の鳴る音―交響するコミューン』
渡辺浩,『日本政治思想史 十七〜十九世紀』
M.K.シャルマ,『喪失の国、日本―インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」』
小林多喜二,『蟹工船 一九二八・三・一五』の一九二八の小説
ノーマ・フィールド,『小林多喜二』
2009--------------------------
橋本治,『巡礼』
服部正也,『ルワンダ中央銀行総裁日記』
水野和夫,『金融大崩壊―「アメリカ金融帝国」の終焉』
米本和宏,『洗脳の楽園 新装版―ヤマギシ会という悲劇』
樫村愛子,『ネオリベラリズムの精神分析―
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます
この本の凄さって「時間」意識を相対化しただけでなく、近代的な時間意識が生み出す<虚無感からの解放>についても書かれているからなんですね。「時間がニヒリズムの元凶であるのではない。ニヒリズムが元凶としての時間を存立せしめる」(316)ことは紙幅を割いて論理的に導きだした。解放については論理的な展開を踏まえてジャンプする。だから真木名義の本なんですよね。「知でなく生による解放とは、世界を解釈することではなく世界を変革するということ、すなわちわれわれが現実にとりむすぶ関係の質を解き放っていくことだ。」(319)
「感覚の麻痺や脅迫的な信仰や論理のレトリックによるどのような自己欺瞞もなしにわれわれを死の恐怖と生の虚無から解放するのは、存在に向かってひらかれたこの共時性の感覚でしかありえない。」(317)
「自意識としての<知>がわれわれの<原罪>であり、この知ゆえにわれわれは死すべきものとして楽園を追われたとするヘブライ=キリスト教の神話の喩としての真実をもつこととおなじに、存在するすべてのもののうちに<仏>はあるとする仏教の説くところもまた、喩としての真実をもつ。けだしわれわれの<救済>はただ、それらのもののうちに自我を解き放つことのうちにしかありえないからだ。」(317-318)