
梶井は実際に、帝国ホテルでのアンリ・ジル=マルシェックスの演奏会に6夜通して通ったのだった。ベートーヴェンの「熱情」「テンペスト」といったドイツ音楽のほかに、初めて接するフランス音楽にも感銘を受けたという。梶井の書簡にはラヴェル「夜のガスパール」第3曲「スカルポ」が面白かったと書かれている。難解な曲を聴き分ける梶井の聴覚は極めて鋭敏であり、非凡な感覚を持つ故の孤独感の深さも迫ってくる。一瞬の感性の受容を、ここまで直接言葉に変換できるなら、長編小説は必要でない気もしてくる。
「共感」できることが、生きている実感であり、幸せなんだと思っています。ここでは、共感や共有できる方と出会えて嬉しいです。
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梶井は実際に、帝国ホテルでのアンリ・ジル=マルシェックスの演奏会に6夜通して通ったのだった。ベートーヴェンの「熱情」「テンペスト」といったドイツ音楽のほかに、初めて接するフランス音楽にも感銘を受けたという。梶井の書簡にはラヴェル「夜のガスパール」第3曲「スカルポ」が面白かったと書かれている。難解な曲を聴き分ける梶井の聴覚は極めて鋭敏であり、非凡な感覚を持つ故の孤独感の深さも迫ってくる。一瞬の感性の受容を、ここまで直接言葉に変換できるなら、長編小説は必要でない気もしてくる。